ご家族が亡くなられ、準確定申告を済ませた後、ほっと一息つきたいところですよね。でも、「相続発生日までの住民税や事業税の納税通知書がなかなか届かない…」と不安に思っている方もいらっしゃるかもしれません。税務署への申告は終わっても、地方税の手続きはこれから。今回は、そんな時の対処法や、役所へのスムーズな問い合わせ方法について、分かりやすく解説していきます。
準確定申告後の住民税・事業税、いつ通知が来るの?
準確定申告は所得税に関する手続きですが、その申告情報は税務署から市区町村や都道府県へ共有され、それをもとに住民税や事業税が計算されます。この情報連携には少し時間がかかるため、申告後すぐに通知が来るわけではないんです。まずは、通知が届く一般的なスケジュールを理解しておきましょう。
住民税の納税通知書が届く時期
準確定申告の内容に基づき計算された住民税は、通常、申告から数ヶ月後に相続人代表者宛てに納税通知書が送られてきます。多くの自治体では、準確定申告の内容を反映させた納税通知書は、申告手続きを行った年の6月以降に発送されるのが一般的です。ただし、申告時期が3月15日間際だった場合や、自治体の処理状況によっては、さらに遅れて7月や8月頃になることもあります。
事業税の納税通知書が届く時期
故人が個人事業主だった場合、所得税や住民税に加えて事業税も発生します。事業税の納税通知書は、故人の事業所の所在地を管轄する都道府県税事務所から送付されます。こちらも準確定申告の情報に基づいて計算され、通常は8月頃に通知書が届くことが多いです。住民税と同様に、申告のタイミングによって時期が前後することがあります。
なぜ通知が遅れることがあるの?
税務署から市区町村や都道府県への情報連携には、どうしても時間がかかってしまいます。特に、確定申告シーズンである2月16日から3月15日の期間に準確定申告を行うと、役所側の処理も大変混み合います。そのため、通常より処理に時間がかかり、通知の発送が遅れる傾向にあるのです。また、申告内容に確認が必要な事項があった場合など、個別の事情で遅れるケースもあります。
通知が来ない…役所に問い合わせても大丈夫?
はい、もちろんです!あまりにも通知が来なくて心配な場合は、直接役所に問い合わせて状況を確認することができます。問い合わせることで、現在の処理状況やおおよその発送見込みを教えてもらえることが多いですよ。忘れてしまった頃に納税通知書が届いて慌てないためにも、気になる場合は連絡してみましょう。
問い合わせ先はどこ?
問い合わせ先は、税金の種類によって異なります。間違った場所に連絡しないように、事前にしっかり確認しておきましょう。
| 税金の種類 | 問い合わせ先 |
| 住民税 | 故人が亡くなった年の1月1日時点で住民票を置いていた市区町村の役所(住民税課、市民税課など) |
| 事業税 | 故人の事業所の所在地を管轄する都道府県税事務所 |
問い合わせ前に準備しておくこと
電話や窓口でスムーズに話を進めるために、いくつか情報を手元に準備しておくと安心です。これらを伝えることで、担当者の方がすぐに状況を確認しやすくなります。
- 故人の氏名、生年月日、亡くなった年月日、最後の住所
- 相続人代表者の氏名、連絡先
- 準確定申告書の控え(提出日や内容の確認のため)
- 前年度の納税通知書や納税番号(もし手元にあれば、伝えると非常にスムーズです)
特に、前年度の納税番号(納税者番号や通知書番号など)が分かると、役所側で本人確認や情報の検索が格段に早くなります。もし書類が見当たらなくても、他の情報があれば調べてもらうことは可能ですので、安心してくださいね。
問い合わせ時の伝え方と確認したいポイント
実際に問い合わせる際の、具体的な伝え方の例と、聞いておきたいポイントをご紹介します。落ち着いて、要点を分かりやすく伝えることが大切です。
問い合わせの際の伝え方(例文)
「お世話になります。相続人の〇〇(あなたの名前)と申します。亡くなった父(母)、〇〇(故人の名前)の準確定申告後の住民税についてお伺いしたいのですが。今年の〇月〇日に準確定申告を提出したのですが、まだ納税通知書が届いておらず、状況を確認させていただきたくお電話いたしました。」
このように、誰が・誰の・何について知りたいのかを最初に伝えると、話がスムーズに進みます。担当者から質問されたら、準備しておいた情報を落ち着いて伝えましょう。
確認しておきたいことリスト
問い合わせた際には、以下の点を確認しておくと、その後の見通しが立ちやすくなります。
- 現在の処理状況(申告内容が届いているか、計算中かなど)
- 納税通知書がいつ頃発送される予定か
- 納税額がどのくらいになりそうか(概算でも教えてもらえる場合があります)
- 今後の手続きで何か必要なことがあるか
準確定申告後の納税義務について
故人に課される税金は、相続人がその納税義務を引き継ぎます。納税通知書が届いたら、記載されている内容をしっかり確認し、定められた期限内に納税しましょう。
納税義務者は誰?
納税義務は、法定相続人全員が連帯して負うことになります。一般的には相続人代表者がまとめて支払いますが、遺産分割協議で特定の相続人が支払うと決めた場合でも、税法上の連帯納税義務はなくなりません。もしその人が支払わなければ、他の相続人に請求がいく可能性があるので注意が必要です。
納税通知書は誰に届く?
準確定申告書には「相続人代表者」を記載する欄があります。特に指定がない場合、納税通知書はその相続人代表者宛てに送付されます。複数の相続人がいる場合は、誰が代表者になっているか、相続人間で事前に情報を共有しておくと良いでしょう。
納税資金はどこから支払う?
故人の住民税や事業税は、相続財産の中から支払うのが一般的です。相続財産から支払うことで、相続税を計算する際に、その税額を債務として財産総額から控除することができます(債務控除)。
相続財産から支払う場合の注意点
故人の預貯金から税金を支払うことは、相続を単純承認したとみなされる行為の一つです。もし、相続放棄や限定承認を検討している場合は、故人の財産に手をつける前に、必ず弁護士や司法書士などの専門家へ相談してください。相続人が自身の財産から一時的に立て替えて支払うことも可能ですが、その場合も後で相続財産から精算する手続きなどを相続人間で決めておくと、トラブルを防げます。
まとめ
準確定申告後の住民税・事業税の通知が来ない場合でも、まずは慌てずに待ちましょう。通常、通知は申告から数ヶ月後、住民税は6月以降、事業税は8月頃に届くのが目安です。それでも心配な場合は、故人の最後の住所地を管轄する市区町村役場や都道府県税事務所に問い合わせてみましょう。その際は、故人の情報や前年度の納税番号を準備しておくと話がスムーズに進みます。納税通知書が届いたら、相続人全員で内容を確認し、期限内にしっかり納税手続きを完了させましょう。
参考文献
国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)
準確定申告後の住民税・事業税の通知に関するよくある質問まとめ
Q.準確定申告後、住民税や事業税の納税通知書はいつ頃届きますか?
A.通常、準確定申告の情報が税務署から市区町村や都道府県へ連携された後、6月以降に通知書が送付されるのが一般的ですが、通常の確定申告よりも処理に時間がかかる場合があります。
Q.通知がなかなか来ない場合、役所に問い合わせても教えてくれますか?
A.はい、ご心配な場合は管轄の市区町村役場(住民税)や都道府県税事務所(事業税)へ問い合わせることが可能です。現在の状況を確認できます。
Q.役所に問い合わせる際に準備しておくと良いものはありますか?
A.故人(被相続人)の氏名、住所、生年月日、死亡日に加え、前年度の納税通知書など納税番号がわかるものがあると、本人確認や照会がスムーズに進みます。
Q.問い合わせは誰が行うべきですか?相続人なら誰でも大丈夫ですか?
A.基本的には相続人代表者や準確定申告書を提出した方が望ましいですが、相続人であることが確認できれば対応してもらえる場合が多いです。
Q.なぜ準確定申告後の通知は遅れることがあるのですか?
A.税務署から各自治体への情報連携に時間を要することや、相続の発生に伴う特別な事務処理が必要になるため、通常のスケジュールより遅れることがあります。
Q.納税通知書が届かないまま放置するとどうなりますか?
A.納税義務がなくなるわけではありません。納付期限を過ぎると延滞金が発生する可能性があるため、通知が来ない場合は放置せず、一度役所に状況を確認することをおすすめします。