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生前に墓地や仏具購入で相続税対策!非課税財産で預貯金を賢く減らす方法

2025-05-08
目次

「そろそろお墓の準備を考えないと…」「相続税対策って何から始めたらいいんだろう?」このようにお考えではありませんか?実は、お墓や仏壇・仏具といった「祭祀財産(さいしざいさん)」は、相続税がかからない非課税財産です。これを生前に購入しておくことで、課税対象となる預貯金を減らし、結果的に相続税の負担を軽くすることにつながるんです。この記事では、なぜ墓地や仏具が相続税対策になるのか、その仕組みと具体的な注意点について、わかりやすく解説していきます。

墓地や仏具は相続税がかからない「祭祀財産」

まず大切なポイントとして、お墓や仏壇、仏具などは「祭祀財産」と呼ばれ、相続税の課税対象にはならないと法律で定められています。これは、ご先祖様を敬い、供養するという日本の慣習や国民感情に配慮されているためです。そのため、高額になりがちなお墓や仏壇を所有していても、その価値に対して相続税が課されることはありません。この仕組みを上手に活用することが、生前対策の第一歩となります。

そもそも祭祀財産(さいしざいさん)とは?

祭祀財産とは、祖先や神様を祀るために使われる財産の総称です。具体的には、民法で以下の3つに分類されています。これらは一般的な相続財産とは区別され、特定の承継者が引き継ぐことになります。

種類 具体例
系譜(けいふ) 血縁関係を記録した家系図など
祭具(さいぐ) 仏壇、仏像、位牌、神棚、神具など
墳墓(ふんぼ) 墓地、墓石、墓碑など

相続税が非課税になる祭祀財産の具体例

国税庁のウェブサイトでも、日常的に礼拝の対象となっている祭祀財産は非課税であると明記されています。具体的にどのようなものが非課税になるのか、下の表で確認してみましょう。

分類 非課税となるものの例
墓所・霊廟など 墓地(土地の所有権ではなく永代使用権)、墓石、墓碑
祭具など 仏壇、仏具(おりん、線香立てなど)、位牌、仏像、神棚、神具、神体、庭内神し(ていないしんし:敷地内にあるお社など)

相続税の課税対象になるケースもあるので注意

ただし、祭祀財産であれば何でも非課税になるわけではありません。注意が必要なのは、「骨とう的価値があるもの」や「投資の対象となるもの」です。例えば、純金でできた仏像や仏具などは、礼拝の対象というよりも換金性の高い資産とみなされ、相続税の課税対象となる可能性が高いです。あくまで「日常的に礼拝に使うもの」という趣旨から外れるものは、税務署から否認されるリスクがあることを覚えておきましょう。

生前の購入が相続税対策になる仕組み

なぜ祭祀財産は「生前」に購入することが重要なのでしょうか。その理由は、課税対象となる財産を、非課税の財産に組み替えることができるからです。例えば、預貯金はそのまま持っていると全額が相続税の課税対象です。しかし、その預貯金を使って生前にお墓を建てると、現金は「お墓」という非課税財産に変わります。その結果、相続財産の総額が減り、課される相続税も少なくなる、という仕組みです。

具体例で見る!生前購入と死後購入の相続税の違い

実際にどれくらい相続税が変わるのか、簡単なモデルケースで比較してみましょう。

【前提】
・相続財産:現金5,000万円
・相続人:子ども1人
・基礎控除額:3,000万円 + (600万円 × 1人) = 3,600万円
・購入するお墓の価格:300万円

項目 パターン① 生前に300万円のお墓を購入した場合
相続開始時の現金 4,700万円(5,000万円 – 300万円)
課税遺産総額 1,100万円(4,700万円 – 3,600万円)
相続税額(概算) 110万円(1,100万円 × 15% – 50万円)
項目 パターン② 亡くなった後に相続財産から300万円のお墓を購入した場合
相続開始時の現金 5,000万円
課税遺産総額 1,400万円(5,000万円 – 3,600万円)
相続税額(概算) 160万円(1,400万円 × 15% – 50万円)

このように、亡くなった後に相続した財産でお墓を買っても、相続税の計算対象となる財産は減りません。生前に購入しておくことで、このケースでは約50万円もの節税につながることがわかります。

生前購入で相続税対策をするときの3つの注意点

とても有効な相続税対策ですが、いくつか注意すべき点があります。間違った方法で行うと、せっかくの対策が無駄になってしまう可能性もあるので、しっかり確認しておきましょう。

ローンでの購入は避けて現金一括払いで

お墓は高額なため、ローンでの購入を考える方もいるかもしれません。しかし、もしローンを完済する前に亡くなってしまった場合、残っているローン残高は相続財産から差し引く「債務控除」の対象にはなりません。通常、借金は財産からマイナスできますが、非課税財産であるお墓の購入費用に関するローンは、控除が認められないのです。節税効果を最大限に活かすためには、生前に現金で一括払いするか、ローンを完済しておくことが重要です。

社会通念から逸脱した高額なものはNG

非課税になる祭祀財産に、法律上の金額の上限はありません。しかし、だからといって何千万円もするような、明らかに豪華すぎる墓石や純金製の仏具などを購入すると、税務署から「相続税逃れが目的の投資商品だ」と判断されてしまう可能性があります。あくまで社会の常識的な範囲内で、ご自身の信仰心に合ったものを選ぶようにしましょう。

相続開始直前の駆け込み購入はリスクあり

亡くなることが予見されるような状況で、急いで高額な祭祀財産を購入した場合も注意が必要です。税務署は個人の財産の動きを数年間にわたって調査することができます。そのため、相続開始の直前に不自然な大きな出費があると、意図的な相続税対策とみなされ、非課税財産として認められないケースも考えられます。お墓の購入は、元気なうちから計画的に進めることが大切です。

お墓や仏具以外で非課税になる財産は?

相続税がかからない財産は、祭祀財産だけではありません。代表的なものとして「生命保険金」や「死亡退職金」の非課税枠があります。これらも合わせて活用することで、より効果的な相続税対策が可能になります。

生命保険金・死亡退職金の非課税限度額

被相続人(亡くなった方)が保険料を負担していた生命保険金や、会社から支払われる死亡退職金は、相続財産とみなされます(みなし相続財産)。しかし、遺された家族の生活保障という側面から、一定額までが非課税となる制度が設けられています。

非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数

例えば、法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人いる場合、500万円 × 3人 = 1,500万円までが非課税となります。生命保険金と死亡退職金、それぞれでこの枠を利用できます。

申告期限までに寄附した財産

相続によって得た財産を、相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月以内)までに国や地方公共団体、特定の公益法人などに寄附した場合、その寄附した財産には相続税がかかりません。社会貢献に関心がある方は、このような制度を利用するのも一つの方法です。

葬儀費用は相続財産から控除できる

生前に購入する祭祀財産とは少し異なりますが、亡くなった後に発生する「葬儀費用」も、相続税を計算する際に財産総額から差し引くことができます。これは相続において必然的に発生する費用であるため、控除が認められています。

控除できる葬儀費用とできない費用の違い

ただし、葬儀に関する費用なら何でも控除できるわけではありません。控除の対象になる費用とならない費用をしっかり区別しておくことが大切です。

控除できる費用 お通夜、告別式にかかった費用(会場費、飲食代など)、火葬料、埋葬料、納骨費用、お寺へのお布施、読経料、戒名料など
控除できない費用 香典返しの費用、初七日や四十九日などの法要にかかる費用、墓地や仏壇の購入費用(※死後購入のため)、遺体の解剖費用など

まとめ

今回は、墓地や仏具などの祭祀財産を生前に購入することで、相続税対策になるというお話をしてきました。課税対象である預貯金を、非課税財産であるお墓や仏壇に生前のうちに変えておくことで、相続財産の総額を減らし、結果的に相続税の負担を軽減できます。ただし、その効果を確実に得るためには、現金一括で購入すること、社会通念上、常識的な範囲の価格のものを選ぶこと、そして計画的に準備を進めることが重要です。ご自身の終活の一環として、また、遺されるご家族のために、元気なうちから検討を始めてみてはいかがでしょうか。

参考文献

国税庁 No.4108 相続税がかからない財産

祭祀財産と相続税に関するよくある質問

Q.なぜお墓や仏壇は相続税がかからないのですか?

A.日本の慣習や国民感情に配慮し、ご先祖様を敬うための「祭祀財産」として、法律で特別に非課税と定められているからです。一般的な財産とは区別して扱われます。

Q.生前にお墓を買うのは縁起が悪いと聞きましたが…

A.いいえ、そんなことはありません。生前にお墓を建てることは「寿陵(じゅりょう)」と呼ばれ、長寿や子孫繁栄を願う縁起の良いこととされています。ご自身の気に入った場所やデザインを選べるというメリットもあります。

Q.いくらまでのお墓なら非課税になりますか?

A.非課税となる金額に法律上の明確な上限はありません。しかし、社会の常識から見てあまりにも高額なもの(純金製など)は、投資目的とみなされ課税対象となる可能性があります。

Q.亡くなった後に、相続したお金でお墓を買っても節税になりますか?

A.いいえ、節税にはなりません。相続が発生した後に相続財産から購入した場合、その購入費用を相続税の計算上、財産から差し引くことはできません。節税のためには生前の購入が必須となります。

Q.お墓をローンで買って、完済前に亡くなったらどうなりますか?

A.お墓のローンが残っていても、その残額を相続財産から差し引く「債務控除」の対象にはなりません。お墓が非課税財産であるため、それに関連する債務も控除できないというルールになっているためです。

Q.ペットのお墓も非課税になりますか?

A.ペット専用のお墓は非課税財産とはならず、相続税の課税対象となります。ただし、ご自身が入る予定のお墓にペットも一緒に入れる(納骨できる)場合は、そのお墓全体が非課税財産として扱われます。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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