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生命保険の解約返戻金が死亡保険金超え?解約が得するタイミングとは

2024-12-04
目次

加入している生命保険、見直したことはありますか?実は、加入期間が長くなると「解約返戻金」が「死亡保険金」を上回ることがあるんです。この状態は、保険の役割が保障から資産へと変化したサインかもしれません。このタイミングで「解約」や「払済保険への変更」を検討することで、より有効にお金を活用できる可能性があります。この記事では、その仕組みと具体的な選択肢、税金の注意点について分かりやすく解説していきますね。

解約返戻金が死亡保険金を上回るってどういうこと?

長年保険料を払い続けていると、積み立てられたお金(解約返戻金)が、万が一の時に受け取れる死亡保険金の額を超える現象が起こることがあります。これは特に貯蓄性の高い終身保険などで見られるケースで、保険契約が「成熟」した状態ともいえます。この状態になったら、保障内容を見直す絶好のタイミングかもしれません。

なぜ解約返戻金が死亡保険金を超えるの?

生命保険の中でも、終身保険や養老保険といった「貯蓄型」の保険は、支払った保険料の一部が将来のために積み立てられています。この積立金は、保険会社の運用によって少しずつ増えていく仕組みになっています。そのため、契約から長い年月が経つと、払い込んだ保険料の総額に運用益が加わり、解約返戻金が死亡保障額を上回るケースが出てくるのです。例えば、死亡保険金が1,000万円の契約でも、30年、40年と保険料を払い続けると、解約返戻金が1,010万円になるといったことが起こり得ます。

どんな保険で起こりやすい?

この現象は、主に貯蓄機能を持つ保険で見られます。ご自身の保険がどちらのタイプか確認してみましょう。

保険の種類 特  徴
終身保険 一生涯の死亡保障があり、解約返戻金が貯まっていく保険です。特に、保険料の払込期間が終了した後も契約を続けると、解約返戻金は運用によって増えやすい傾向にあります。
養老保険 死亡保険金と満期保険金が同額の保険です。満期が近づくにつれて、解約返戻金は死亡保険金(満期保険金)の額に近づいていきます。

一方で、定期保険や医療保険などの「掛け捨て型」と呼ばれる保険では、解約返戻金がないか、あってもごくわずかなので、このような現象は起こりません。

自分の保険を確認する方法

ご自身の保険がこの状態になっているか確認するには、保険会社から年に一度送られてくる「ご契約内容のお知らせ」や、保険証券をチェックするのが一番です。そこには、現在の解約返戻金の額や将来の推移が記載されています。もし書類が手元にない場合や見方がわからない場合は、保険会社のコールセンターや担当者に問い合わせて、「現時点での解約返戻金額」と「死亡保険金額」を直接確認するのが確実ですよ。

解約返戻金が死亡保険金を超えたときの選択肢

もしあなたの保険が「解約返戻金 > 死亡保険金」の状態になっていたら、主に3つの選択肢が考えられます。それぞれのメリット・デメリットを理解して、ご自身の今の状況に最も合った方法を選びましょう。

選択肢1:保険を解約して現金を受け取る

最もシンプルな方法が、保険契約を解約し、解約返戻金を現金で受け取ることです。例えば、死亡保険金1,000万円に対し解約返戻金が1,050万円の場合、解約すれば1,050万円が手元に入ります。このお金を、老後資金や旅行、住宅のリフォームなど、ご自身のために自由に使うことができます。ただし、解約すると当然ながら死亡保障はなくなってしまうので、万が一の備えが別途必要かどうかを家族と話し合っておくことが大切です。

選択肢2:払済保険に変更する

「保障は少し残したいけど、もうこれ以上保険料は払いたくないな」という方におすすめなのが「払済保険」への変更です。これは、その時点の解約返戻金を元手(一時払いの保険料のような形)にして、今後の保険料の支払いをストップする方法です。保障額は元の契約より下がりますが、一生涯の死亡保障を確保できます。例えば、解約返戻金1,050万円を元に、死亡保障800万円の払済終身保険に変更するといった形です。保険料の負担がなくなるのが大きなメリットですね。

選択肢3:契約をそのまま継続する

もちろん、そのまま契約を続けるという選択肢もあります。特に保険料の支払いがすでに完了している場合、解約返戻金は保険会社の運用によってさらに増え続ける可能性があります。将来、もっとお金が必要になったタイミングで解約したり、相続対策として確実に死亡保険金を遺族に残したいと考えたりする場合に有効です。ただし、万が一のことが起きた際に受け取れるのは、あくまで死亡保険金の金額(例:1,000万円)までです。解約返戻金との差額分(例:50万円)は受け取れないという点は覚えておきましょう。

解約を選ぶメリット

なぜ、解約返戻金が死亡保険金を上回ったタイミングで解約するのが「得」と言われるのでしょうか。その具体的なメリットを3つのポイントで見ていきましょう。

死亡時より多くの現金が手に入る

最大のメリットは、生きているうちに、万が一の時よりも多くの現金を手に入れられることです。死亡保険金1,000万円の契約で解約返戻金が1,050万円の場合、もしものことがあればご家族が受け取るのは1,000万円ですが、ご自身で解約すれば1,050万円を受け取れます。この50万円の差は大きいですよね。ご自身のセカンドライフを豊かにするために使うことができます。

資金の使い道が自由になる

解約して受け取ったお金は、もちろん自由に使うことができます。老後の生活費の足しにしたり、趣味や旅行を楽しんだり、お子さんやお孫さんへの生前贈与の資金にしたりと、ライフプランに合わせて柔軟に活用できます。保険という形で縛られず、流動性の高い現金として持てるのは大きな安心感に繋がります。

将来のインフレリスクに備えられる

保険の死亡保障額は契約時に固定されているため、将来インフレ(物価上昇)が進むと、お金の価値が実質的に目減りしてしまう可能性があります。例えば、30年後に受け取る1,000万円は、現在の1,000万円と同じ価値ではないかもしれません。解約して現金化し、NISAなどを活用してインフレに強い資産で運用し直すことで、大切な資産の目減りを防ぐという考え方もできます。

解約する際の注意点と税金の話

解約にはメリットが多いですが、いくつか知っておくべき注意点もあります。特に、思わぬ税金がかからないよう、基本的な知識を身につけておきましょう。

解約すると保障がなくなる

これは基本的なことですが、とても重要です。保険を解約すると、その時点ですべての保障が終了します。もし、まだ死亡保障が必要だとお考えの場合は、解約する前に別の保険への加入を検討するか、先ほどご紹介した「払済保険」への変更を考えましょう。新たに保険に加入する場合、年齢が上がっているため保険料が高くなったり、健康状態によっては加入できなかったりする可能性もあるので注意が必要です。

解約返戻金にかかる税金(一時所得)

解約返戻金を受け取った際、支払った保険料の総額を上回る利益が出た場合、その利益部分は「一時所得」として所得税の対象になります。ただし、利益が出たらすぐに税金がかかるわけではありません。

一時所得の計算式:
(解約返戻金額 - 支払保険料総額 - 特別控除50万円) × 1/2

この計算式で算出された金額が、給与所得など他の所得と合算されて課税されます。つまり、利益が50万円以下であれば、特別控除によって税金はかからないのです。例えば、支払保険料総額が800万円で、解約返戻金が850万円の場合、利益は50万円なのでこのケースでは税金はかからない計算になります。

契約者と受取人が違う場合は贈与税?

特に注意が必要なのは、保険料を支払っていた「契約者」と、解約返戻金を受け取る「受取人」が違うケースです。この場合、契約者から受取人へのお金のプレゼント(贈与)とみなされ、贈与税の対象となる可能性があります。贈与税は基礎控除額が年間110万円ですが、税率が所得税より高くなることがあるため、解約手続き前に必ず契約者と受取人の名義が誰になっているかを確認しましょう。

生前贈与としての活用法

解約返戻金が死亡保険金を上回った保険は、相続対策、特に生きているうちに行う「生前贈与」の手段としても有効に活用できます。

契約者変更による生前贈与

保険を解約せずに、契約者の名義を親から子へ変更する方法があります。この契約者変更をした時点での解約返戻金額が贈与額とみなされ、贈与税の課税対象となります。この金額が贈与税の基礎控除(年間110万円)の範囲内であれば、税金をかけずに保険という財産を子に引き継ぐことができます。名義変更後、お子さんは好きなタイミングで解約して現金を受け取ったり、保障をそのまま継続したりできます。

相続税対策としての考え方

死亡保険金には「500万円 × 法定相続人の数」という生命保険の非課税枠があります。しかし、解約返戻金が死亡保険金を上回っている場合、この非課税枠を最大限に活用できていない状態とも言えます。例えば、法定相続人が3人(非課税枠1,500万円)、死亡保険金1,000万円、解約返戻金1,200万円のケース。このまま相続が発生すると、非課税枠を500万円分使えず、ご家族が受け取れるのは1,000万円だけです。もし生前に1,200万円を解約して現金で受け取り、その中から年間110万円ずつ贈与するなどの対策をとれば、より効率的に資産を次の世代に移せる可能性があります。

まとめ

長年加入している貯蓄型の生命保険は、気づかないうちに解約返戻金が死亡保険金を上回っていることがあります。これは、保険を見直す大きなチャンスのサインです。そのままにしておくと、本来受け取れるはずだった金額よりも少ない死亡保険金しか手元に残らない、という少しもったいない状況になってしまうかもしれません。

ご自身の保険証券を確認し、「解約返戻金 > 死亡保険金」の状態になっていたら、

  • 解約してご自身の生活を豊かにするために現金化する
  • 保険料の負担をなくすために払済保険に変更する
  • お子さんやお孫さんのために生前贈与として活用する

など、様々な選択肢を検討してみましょう。ご自身のライフプランやご家族の状況に合わせて、一番納得できる方法を選んでくださいね。

参考文献

国税庁 No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき

国税庁 No.4660 生命保険契約に関する権利の評価

生命保険の解約返戻金に関するよくある質問まとめ

Q.なぜ生命保険の解約返戻金が死亡保険金を上回ることがあるのですか?

A.長期間保険料を払い続けることで、支払った保険料の総額に運用益が加わり、保障額である死亡保険金を解約返戻金が上回ることがあります。特に貯蓄性の高い保険で起こりやすい現象です。

Q.解約返戻金が死亡保険金より高くなったら、解約した方が得ですか?

A.一概にそうとは言えません。保障が不要で、資金を有効活用したい場合は解約も選択肢です。しかし、解約すると万が一の際の保障はなくなります。ご自身のライフプランや健康状態を考慮して慎重に判断する必要があります。

Q.解約せずに保険をそのまま続けるメリットはありますか?

A.はい、あります。解約せずに継続すれば、万が一の際の死亡保障は維持されます。また、解約返戻金は時間とともにさらに増える可能性もあります。将来の相続対策として活用できる場合もあります。

Q.解約返戻金を受け取ると税金がかかりますか?

A.はい、税金がかかる場合があります。解約返戻金から支払った保険料の総額を差し引いた利益(差益)が50万円を超える場合、その超えた部分が一時所得として課税対象になる可能性があります。

Q.解約ではなく「払済保険」に変更するのはどうでしょうか?

A.非常に有効な選択肢です。払済保険に変更すると、以降の保険料の支払いは不要になり、保障額は下がりますが、保障自体を継続できます。解約返戻金を元手にするため、保障を残しつつ保険料負担をなくしたい場合に適しています。

Q.解約してまとまったお金を受け取った後、新しい保険に入るべきですか?

A.保障が必要かどうかによります。解約によって保障がなくなるため、ご自身の年齢や健康状態、家族構成などを考慮し、新たな保障が必要であれば、よりニーズに合った保険への加入を検討するとよいでしょう。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
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〒107-0052
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電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

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