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相当の地代の改訂タイミングはいつ?固定方式と改定方式を解説

2025-12-11
目次

親族間やご自身の会社と土地の貸し借りをする際、「相当の地代」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。この相当の地代、一度決めたらそのままで良いのでしょうか?実は、定期的な見直し、つまり「改訂」が必要になるケースがあります。今回は、どんな時に相当の地代の改訂が必要になるのか、そのタイミングや方法について、わかりやすくお話ししますね。

そもそも「相当の地代」って何ですか?

まずは基本の確認から始めましょう。「相当の地代」とは、親族間や同族会社間などで土地を貸し借りする際に、権利金の授受がない代わりに支払われる、少し高めに設定された地代のことを指します。なぜこのような地代が必要になるのでしょうか。

権利金の代わりになる地代

通常、第三者から土地を借りて建物を建てる際には、借地権を設定する対価として「権利金」という一時金を支払うのが一般的です。しかし、親子間や社長個人と自分の会社の間といった関係では、高額な権利金を実際にやり取りすることは少ないですよね。
そこで、権利金をもらわない代わりに、通常よりも高めの地代を毎月支払うことで、権利金をもらったのと同じような経済的効果があると考えるのです。この「権利金代わりの高めの地代」が、相当の地代の正体です。

認定課税を避けるために重要

もし権利金なしで、地代もタダや市場価格より非常に安い金額で土地を貸してしまうと、税務署から「借りた側は、権利金に相当する経済的な利益をタダでもらった」と判断されてしまうことがあります。これを権利金の認定課税といい、借りた側に思わぬ贈与税や法人税が課税されるリスクがあるんです。
相当の地代をきちんと設定し、支払い続けることで、このような認定課税を未然に防ぐことができます。これは、親族間での不動産取引において非常に重要なポイントなんですよ。

「相当の地代」と「通常の地代」の計算方法

では、「相当の地代」は「通常の地代」と比べてどれくらい高いのでしょうか。それぞれの計算方法の目安を見てみましょう。

種類 計算方法の目安
相当の地代 土地の更地価額 × おおむね年6%
通常の地代 土地の更地価額 × (1 – 借地権割合) × おおむね年6%

このように、相当の地代は土地全体の価値(更地価額)を基準に計算されるのに対し、通常の地代は土地の価値から借地権の価値を引いた「底地」の価値を基準に計算されます。そのため、相当の地代の方が高くなるんですね。

相当の地代の改訂方法には2種類ある

相当の地代の支払い方には、将来の地代をどうするかによって「固定方式」と「改定方式」という2つの方法があります。どちらを選ぶかによって、地代の改訂が必要かどうかが決まります。

ずっと地代が変わらない「固定方式」

固定方式は、土地の貸し借りを始めたときに決めた相当の地代の金額を、その後もずっと変えずに支払い続ける方法です。契約時に将来の改訂について特に取り決めをせず、後述する税務署への届出も行わない場合は、自動的にこの固定方式を選択したとみなされます。
地価が上がり続けていた時代には、貸主の相続税対策として有効な場合がありましたが、近年のように地価が変動する状況では注意も必要です。

定期的に地代を見直す「改定方式」

改定方式は、地価の変動に合わせて地代を定期的に見直していく方法です。これが、今回のテーマである「地代の改訂」が必要になるケースです。
この方式では、おおむね3年以下の期間ごとに土地の価額を評価し直し、その時点での相当の地代を再計算して地代を改訂します。この方式を採用するためには、契約時に貸主と借主の連名で「相当の地代の改訂方法に関する届出書」を税務署長に提出する必要があります。

相当の地代の改訂はどんな時に必要?

それでは、具体的にどのような場合に相当の地代を改訂する必要があるのかを詳しく見ていきましょう。

「改定方式」を選択した場合

最も明確に改訂が必要となるのは、「相当の地代の改訂方法に関する届出書」を税務署に提出し、「改定方式」を選択している場合です。
この場合、契約で定められた通り、おおむね3年以下の期間ごとに地代を改訂する義務があります。土地の価額(特に路線価)は社会情勢によって変動するため、その時々の適正な価額に見合った相当の地代に修正していくことが求められるのです。

土地の価額が大きく変動したとき

固定方式を選んでいる場合でも、改訂を検討すべき時はあります。例えば、周辺の再開発や新しい駅の開業などによって土地の価額が契約当初から大幅に上昇したり、逆に下落したりした場合です。
このような状況で地代を据え置くと、貸主と借主の間で不公平感が生じる可能性があります。当事者間の合意があれば地代を見直すことは可能ですが、税務上の取り扱いに影響が出ることもあるため、安易に判断せず、一度専門家に相談することをおすすめします。

地代を改訂する具体的な流れ

「改定方式」で地代を見直す場合、どのような手順で進めればよいのでしょうか。一般的な流れをご紹介します。

土地の価額を再評価する

まず、改訂を行う時点での土地の更地価額を算出します。最も一般的なのは、相続税路線価を基準にする方法です。国税庁が毎年7月頃に新しい路線価を公表するので、そのタイミングで見直すとスムーズでしょう。
計算の際には、改訂する年の路線価だけでなく、「その土地の相続税評価額の過去3年間の平均額」などを用いることで、より実態に即した評価額を算出できます。

新しい相当の地代を計算する

再評価した土地の更地価額が算出できたら、その金額を使って新しい相当の地代を計算します。
計算式は「再評価した土地の更地価額 × 6%」です。これで、次の改訂時期までの新しい年間地代が決定します。

契約書を見直す

新しい地代の額が決まったら、その内容を明確にするために「地代変更に関する覚書」や「変更契約書」といった書面を作成しましょう。口約束だけでなく、貸主と借主がお互いに署名・捺印した書類を一部ずつ保管しておくことが、将来のトラブルを防ぐ上でとても大切です。

改訂しないとどうなるの?

地代の改訂は少し手間がかかる作業ですが、もし必要な改訂をしなかった場合、どのようなことが起こるのでしょうか。

「改定方式」で改訂を怠った場合

改定方式を選んでいるにもかかわらず、正当な理由なく地代の改訂を怠ると、税務署から指導が入る可能性があります。また、実際の土地の価額から計算される相当の地代と、実際に支払っている地代との間に大きな差額が生まれると、その差額分が贈与とみなされるなど、意図しない税金の問題に発展するリスクもあります。

「固定方式」のメリット・デメリット

一方で、固定方式にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。改定方式と比較してみましょう。

方式 メリット デメリット
固定方式 ・改訂の手間がかからない
・地価上昇局面では相続税対策につながることがある
・地価が下落すると、地代が割高なままになり借主の負担が増える
・契約内容が実態と合わなくなる可能性がある
改定方式 ・常にその時点での適正な地代を支払える
・地価の下落にも対応でき、借主の負担を軽減できる
・おおむね3年ごとに見直しの手間と計算が必要になる
・地価が上昇すれば、地代の負担も増える

固定方式は、地価が上昇している場合は、貸主(個人)から借主(法人)へ実質的に財産が移転している(自然発生借地権)とみなされ、相続時の土地評価額が下がる効果が期待できます。しかしその分、会社の株式価値は上がるため、どちらが有利かは総合的な判断が必要です。

まとめ

相当の地代の改訂は、主に「改定方式」を選択し、税務署へ届出をしている場合に、おおむね3年ごとに必要になります。土地の貸し借りを始める際に、どのような契約を結んだか、どちらの方式を選択したかをご自身の契約書で一度確認してみることが大切です。
地代の設定や改訂は、相続税や法人税、所得税など様々な税金に影響を与える重要な手続きです。もしご自身のケースでどのように進めるべきか、あるいは現在の地代が適正かどうか不安に感じたら、税理士などの専門家にご相談ください。正しい知識で、安心して大切な土地の貸し借りを続けていきましょう。

参考文献

相当の地代の改訂に関するよくある質問まとめ

Q.そもそも「相当の地代」とは何ですか?

A.個人が同族法人などに土地を貸す際に、権利金の授受がない代わりに収受すべき、税務上適正とされる地代のことです。通常、過去3年間の土地の相続税評価額の平均額の年6%程度とされています。

Q.相当の地代は、どのようなタイミングで見直し(改訂)が必要になりますか?

A.主に、土地の評価額が変動したタイミングです。具体的には、3年ごとに行われる固定資産税評価額の評価替えや、毎年改訂される相続税路線価が大幅に変動した時などに見直しを検討する必要があります。

Q.固定資産税が上がったら、必ず地代も改訂すべきですか?

A.必ずしも必須ではありませんが、固定資産税の増額は土地の評価額が上がったことを示すため、相当の地代の計算に影響します。税務上のリスクを避けるためにも、改訂を検討するのが一般的です。

Q.地代の改訂をしないままだと、どんなデメリットがありますか?

A.実際の地代が相当の地代よりも低い場合、差額部分が土地の所有者から法人への贈与とみなされ、法人側に受贈益として課税(寄附金課税)されるリスクがあります。

Q.相続税路線価が下がった場合、地代を値下げすることもできますか?

A.はい、可能です。相当の地代は土地の評価額を基に計算されるため、相続税路線価が下落すれば、それに伴い算定される地代も下がります。実態に合わせて改訂することが重要です。

Q.地代改訂の手続きはどのように進めればよいですか?

A.まずは現在の土地評価額を基に新しい相当の地代を算定します。その上で、貸主と借主間で合意し、「土地賃貸借契約変更覚書」などの書面を作成して、契約内容を更新するのが一般的な流れです。

事務所概要
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税理士 島本 雅史

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