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相続した土地が都市計画事業の対象に?相続税評価額への影響を解説

2025-09-04
目次

親から土地を相続したけれど、その土地が「都市計画事業」の対象地域だった…なんてことがあるかもしれません。将来、道路や公園になる予定の土地は、使い方に制限がかかるため、実は相続税の評価額が大きく変わることがあるんです。この記事では、都市計画事業とは何か、そしてそれが土地の相続税評価額にどう影響するのかを、わかりやすく解説していきますね。

そもそも都市計画事業とは?

都市計画事業について、まずは基本から押さえていきましょう。言葉は少し難しく聞こえるかもしれませんが、私たちの暮らしをより良くするための大切な計画なんですよ。

都市計画事業の目的

都市計画事業とは、都市計画法という法律に基づいて、都道府県や市町村が主体となって行う「まちづくり」のことです。具体的には、道路や公園、下水道などの公共施設を整備したり、市街地を再開発したりする事業を指します。これにより、人々が安全で快適に暮らせる、機能的な街を目指しているんですね。

都市計画道路予定地とは?

都市計画事業の中でも、特に相続税評価に大きく関わるのが「都市計画道路予定地」です。これは、将来、道路を新しく作ったり、今の道を広げたりする計画が決定された土地のこと。計画が決定されると、その土地は「都市計画道路予定地」として指定されます。すぐに工事が始まるわけではなく、計画決定から事業が開始されるまで数十年かかるケースも珍しくありません。

建築制限がかかる

ご自身の土地が都市計画道路予定地になると、その土地の利用に一定の制限がかかります。これを「建築制限」と言います。具体的には、建物を建てる際に都道府県知事などの許可が必要になり、許可が下りる建物も以下のような条件を満たすものに限られます。

制限の内容 具体例
階数 2階建て以下で、地下室がないこと
構造 木造、鉄骨造、コンクリートブロック造など、移転や解体が比較的簡単な構造であること

このように、自由に建物を建てられなくなるため、土地の利用価値が下がってしまいます。この利用価値の下落分が、相続税評価額に反映されることになります。

都市計画事業が土地の相続税評価額に与える影響

では、実際に相続した土地が都市計画道路予定地だった場合、相続税の評価額はどのように変わるのでしょうか。ここが一番気になるところですよね。詳しく見ていきましょう。

評価額が減額される理由

前述の通り、都市計画道路予定地に指定されると建築制限がかかり、土地の自由な利用が難しくなります。高いビルを建てて賃貸収入を得る、といった活用もできなくなります。このように土地の利用価値が制限されることを考慮して、相続税を計算する際の土地の評価額を減額する「補正」が認められているのです。この減額措置によって、相続税の負担が軽くなる可能性があるんですね。

評価額の計算方法

都市計画道路予定地にある宅地の評価額は、以下の計算式で求められます。

(都市計画道路予定地でないとした場合の評価額) × 補正率

つまり、まずは通常の土地として評価額を計算し、そこに国税庁が定めた「補正率」を掛けて評価額を引き下げる、という流れです。この補正率は、土地の状況によって細かく定められています。

評価減額の補正率

補正率は、最大で50%も評価額を下げることができる重要な要素です。この率は、以下の3つの要素によって決まります。

  1. 地区区分: 土地がどのエリアにあるかを示します。「ビル街地区」「高度商業地区」「普通住宅地区」など、路線価図で確認できます。
  2. 容積率: 敷地面積に対する建物の延床面積の割合です。容積率が高いほど、本来は高い建物を建てられるため、建築制限による影響が大きくなり、補正率による減額幅も大きくなります。
  3. 地積割合: 土地全体の面積のうち、どれくらいの割合が都市計画道路予定地にかかっているかを示します。この割合が高いほど、減額幅も大きくなります。

これらの要素を国税庁の補正率表に当てはめて、ご自身の土地に適用される補正率を確認します。

補正率を決定する3つの要素を詳しく解説

先ほどご紹介した3つの要素「地区区分」「容積率」「地積割合」について、もう少し詳しく解説します。ご自身の土地の状況を正しく把握することが、適切な評価額を算出する第一歩です。

地区区分の確認方法

「地区区分」は、国税庁のウェブサイトで公開されている「路線価図」で確認できます。路線価図を見ると、道路に「500C」のように数字とアルファベットが書かれています。この数字が路線価で、アルファベットが借地権割合、そして路線価を囲む記号が地区区分を表しています。例えば、円で囲まれていれば「ビル街地区」、多角形で囲まれていれば「普通住宅地区」といった具合です。

容積率の調べ方

「容積率」は、市区町村の役所の都市計画課などで確認できます。多くの自治体では、ウェブサイト上の「都市計画図」で公開していますので、そちらで確認することも可能です。ただし、注意点があります。評価に使う容積率は、都市計画で定められた「指定容積率」と、前面道路の幅によって決まる「基準容積率」のうち、低い方を採用します。ご自身で判断が難しい場合は、役所に問い合わせて確認するのが確実です。

地積割合の計算方法

「地積割合」は、以下の式で計算します。

地積割合 = 都市計画道路予定地にかかる部分の面積 ÷ 土地全体の面積

都市計画道路予定地にかかる面積は、役所の都市計画課などで「都市計画決定線」の図面を取得して確認します。事業の進捗状況によっては正確な測量図がない場合もありますが、その際は図面からおおよその面積を算出することになります。

具体的な評価額の計算例

ここで、簡単なモデルケースを使って、実際にどれくらい評価額が変わるのかを見てみましょう。

計算の前提条件

  • 土地全体の面積:300㎡
  • うち都市計画道路予定地部分の面積:90㎡
  • 地区区分:普通住宅地区
  • 容積率:200%
  • 都市計画道路予定地でないとした場合の評価額:6,000万円

計算ステップと評価額

ステップ1:地積割合を計算する

90㎡ ÷ 300㎡ = 0.3(30%)

ステップ2:補正率表で補正率を確認する

国税庁の補正率表から、「地区区分:普通住宅地区」「容積率:200%」「地積割合:30%以上60%未満」に該当する補正率を探します。この場合の補正率は「0.90」です。

ステップ3:評価額を計算する

6,000万円 × 0.90 = 5,400万円

このケースでは、都市計画道路予定地であることにより、評価額が600万円減額され、相続税の負担が軽減されることになります。

相続した土地が都市計画事業の対象か調べる方法

ご自身の土地が都市計画事業の対象かどうかは、必ず確認しておきたいポイントです。調べ方は難しくありませんので、相続が発生したら早めに確認しましょう。

役所の担当窓口で確認する

最も確実な方法は、土地が所在する市区町村の役所に行くことです。「都市計画課」や「建築指導課」といった部署が担当しています。窓口で地番を伝えれば、その土地が都市計画道路予定地などの対象になっているか、どのような制限があるかを詳しく教えてもらえます。

自治体のウェブサイトで確認する

最近では、多くの自治体がウェブサイトで都市計画情報を公開しています。「(自治体名) 都市計画図」などで検索すると、インターネット上で手軽に確認できる場合があります。ただし、最新の情報が反映されていない可能性もあるため、最終的には役所の窓口で確認することをおすすめします。

まとめ

相続した土地が都市計画事業の対象、特に都市計画道路予定地である場合、建築制限がかかるため、その分、相続税評価額を減額できる可能性があります。評価額の減額には、「地区区分」「容積率」「地積割合」という3つの要素からなる補正率を正しく適用することが重要です。ご自身の土地が対象かどうかは、まず役所の都市計画課で確認しましょう。土地の評価は専門的な知識が必要となるため、少しでも不安な点があれば、相続に詳しい専門家に相談することをおすすめします。適切な評価を行うことで、払い過ぎの相続税を防ぎ、円満な相続を実現しましょう。

参考文献

都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価|国税庁

質疑応答事例:容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の一部が都市計画道路予定地の区域内となる宅地の評価|国税庁

都市計画事業と相続税評価額のよくある質問まとめ

Q.都市計画事業とは何ですか?

A.都市計画事業とは、道路、公園、下水道などの都市施設を整備したり、市街地開発を行ったりする事業のことです。都市計画法に基づいて決定され、快適で機能的な街づくりを目的としています。

Q.都市計画事業の対象になると土地にどんな影響がありますか?

A.都市計画事業の対象区域になると、建物の建築や増改築などに制限がかかる場合があります。例えば、計画されている道路の区域内では、一定以上の高さや構造の建物を建てることができなくなります。

Q.都市計画事業の対象地は相続税評価額が下がりますか?

A.はい、下がる可能性があります。建築制限などにより土地の利用価値が制約されるため、その制限の度合いに応じて相続税評価額が減額(斟酌)されます。

Q.相続税評価額はどのくらい減額されるのですか?

A.減額割合(斟酌率)は、建築制限の内容によって異なります。例えば、都市計画道路区域内の宅地では、容積率や建ぺい率の制限に応じて、最大で50%程度評価額が減額されるケースがあります。

Q.相続税の申告で評価減を受けるにはどうすればよいですか?

A.相続税申告書に、都市計画事業による建築制限がある旨を記載し、評価額を減額した根拠を示す資料(公図や都市計画図など)を添付して提出する必要があります。専門的な判断が必要なため、税理士への相談をおすすめします。

Q.まだ事業が始まっていなくても評価減の対象になりますか?

A.はい、なります。事業が実際に開始されていなくても、「都市計画決定」が告示された時点で建築制限がかかるため、その時点から相続税評価額の減額対象となります。

事務所概要
社名
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本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。