親から土地を相続したけれど、調べてみたら「都市計画道路予定地」だった…なんてことがあるかもしれません。将来、道路になる予定の土地は、建物を自由に建てられないなどの制限があるため、相続税を計算するときの評価額が安くなる可能性があるんです。この記事では、都市計画道路予定地とは何か、そして相続税評価額がどう変わるのかを、分かりやすく解説していきますね。
都市計画道路予定地ってどんな土地?
「都市計画道路予定地」とは、その名前のとおり、将来、道路を新設したり、今の道路を広げたりする計画が決定している土地のことです。これは都市計画法という法律に基づいて、街をより良くするために「ここに道路を作りますよ」と決められています。計画が決まった段階で、その土地は都市計画道路予定地となり、実際に工事が始まるまでの間、いくつかの制限を受けることになります。
なぜ相続税評価額が下がるの?
なぜ都市計画道路予定地だと相続税評価額が下がるのでしょうか。一番大きな理由は、土地の使い道に「建築制限」がかかるからです。例えば、自由に高い建物を建てたり、好きな構造で建築したりすることが難しくなります。このように、土地の利用価値が通常の土地と比べて低くなってしまうため、その分、財産としての評価額も低く見積もられ、結果として相続税が安くなる仕組みになっているんです。
どんな建築制限があるの?
都市計画道路予定地には、都市計画法という法律に基づいて、建物を建てる際に以下のような制限が設けられています。いざ道路を造るときに、スムーズに立ち退きができるようにするためです。
| 階数 | 2階建て以下で、地下室がないこと |
| 構造 | 木造、鉄骨造、コンクリートブロック造など、簡単に移転したり取り壊したりできる構造であること |
この制限があるため、例えば鉄筋コンクリート造の頑丈なマンションや、3階建て以上の住宅を建てることは原則としてできません。商業地であれば高層ビルを建てられないなど、土地活用の幅が大きく狭まってしまうことがわかりますね。
どうやって自分の土地が予定地か調べるの?
相続した土地が都市計画道路予定地に含まれているかどうかは、ご自身で調べることができます。一番確実な方法は、その土地がある市区町村の役所(都市計画課やまちづくり課など)に問い合わせることです。窓口で地図を見ながら詳しく教えてもらえます。また、多くの自治体では、公式ホームページで「都市計画図」を公開しているので、インターネット上でも手軽に確認することができますよ。
相続税評価額の計算方法
都市計画道路予定地にかかる宅地の相続税評価額は、通常の計算方法とは少し異なります。基本的な計算式は以下のようになります。
【計算式】
都市計画道路予定地でないとした場合の評価額 × 補正率
この計算式で最も重要なのが「補正率」です。この補正率を掛けることで、建築制限による価値の減少分を評価額から差し引くことができるのです。補正率は土地の状況によって変わり、最大で50%(補正率0.50)も評価額が下がることがあります。
評価額を決める3つの要素
評価額を減額するための「補正率」は、以下の3つの要素を組み合わせて国税庁の補正率表から探し出します。どの土地も一律で評価が下がるわけではなく、これらの要素によって減額の度合いが変わってきます。
- 地区区分
- 容積率
- 地積割合
次から、この3つの要素について一つずつ見ていきましょう。
地区区分
「地区区分」とは、その土地がどのような地域にあるかを示す分類のことです。国税庁が公表している「路線価図」で確認することができ、主に以下のような種類があります。
- ビル街地区
- 高度商業地区
- 繁華街地区
- 普通商業・併用住宅地区
- 普通住宅地区
- 中小工場地区
- 大工場地区
路線価図を見ると、路線価(道路に面する土地1㎡あたりの価格)が書かれていますが、その数字を囲む記号で地区区分がわかるようになっています。
容積率
「容積率」とは、土地の面積に対して、どれくらいの延べ床面積の建物を建てられるかを示す割合のことです。この数値が大きいほど、より大規模な建物を建てることができます。相続税評価で使う容積率は、以下の2つを比べて、いずれか低い方の数値を使います。
| 指定容積率 | 都市計画によって定められた、その地域ごとの容積率。市区町村の都市計画図などで確認できます。 |
| 基準容積率 | 土地の目の前にある道路の幅(前面道路幅員)によって計算される容積率。道路が狭い場合に、大きな建物が建ちすぎるのを防ぐための基準です。 |
基準容積率は「前面道路の幅員(m) × 40%または60%」で計算します(住居系地域は40%、商業・工業系地域は60%が一般的)。容積率が高い土地ほど、建築制限による影響が大きくなるため、評価額の減額幅も大きくなる傾向があります。
地積割合
「地積割合」とは、土地全体の面積のうち、どれくらいの割合が都市計画道路予定地にかかっているかを示すものです。計算式はとてもシンプルです。
【計算式】
都市計画道路予定地にかかっている部分の面積 ÷ 土地全体の総面積
例えば、300㎡の土地のうち60㎡が道路予定地にかかっていれば、地積割合は20%(60㎡ ÷ 300㎡)となります。この割合が大きいほど、土地利用への制約が大きくなるため、補正率が低くなり、評価額もより大きく下がります。
【具体例】相続税評価額を計算してみよう
それでは、具体的な例で評価額がどれくらい変わるのかを見てみましょう。
【前提条件】
- 土地全体の面積:300㎡
- 路線価:300,000円/㎡
- 都市計画道路予定地部分の面積:90㎡
- 地区区分:普通住宅地区
- 容積率:200%
ステップ1:都市計画道路予定地でない場合の評価額を計算
300,000円/㎡ × 300㎡ = 90,000,000円
ステップ2:地積割合を計算
90㎡ ÷ 300㎡ = 0.3 = 30%
ステップ3:補正率表から該当する補正率を探す
国税庁の補正率表で、「地区区分:普通住宅地区」「容積率:200%」「地積割合:30%以上60%未満」が交わる箇所を探すと、補正率は「0.94」となります。
ステップ4:評価額に補正率を掛ける
90,000,000円 × 0.94 = 84,600,000円
この結果、評価額は5,400,000円も下がることになります。相続税率が20%の方であれば、納税額が108万円も変わってくる可能性がある、非常に重要なポイントです。
都市計画道路予定地の評価における注意点
都市計画道路予定地の評価には、いくつか知っておきたい注意点があります。
倍率地域の場合はどうなる?
土地の評価方法には路線価方式のほかに、固定資産税評価額に一定の倍率を掛ける「倍率方式」があります。倍率地域にある土地が都市計画道路予定地の場合でも、評価額の減額は可能です。ただし、固定資産税評価額の時点で既にこの制限が考慮されている場合があるため、市区町村役場で確認が必要です。考慮されていない場合は、「普通住宅地区」の補正率を使って減額計算を行います。
セットバックとの違いは?
幅が4m未満の道路に接している土地で、建物を建てる際に道路の中心線から2m後退させることを「セットバック」と言います。このセットバック部分も評価額が減額されますが、都市計画道路予定地の減額とは根拠が異なります。両方の要件に当てはまる場合、それぞれの減額を併用して適用することが可能です。
道路以外の都市計画施設でも減額できる?
都市計画で定められる施設は道路だけではありません。公園や広場、学校なども「都市計画施設」に含まれます。もし相続した土地がこれらの施設の予定地になっていて、道路予定地と同じような建築制限があり、計画が長期間にわたる見込みであれば、都市計画道路予定地の評価方法を準用して減額できる場合があります。
まとめ
今回は、都市計画道路予定地と相続税評価額への影響について解説しました。
もし相続した土地が都市計画道路予定地に含まれている場合、建築制限があるために相続税評価額を大きく引き下げられる可能性があります。評価額の減額は自動的に行われるわけではなく、申告の際にきちんと計算して主張する必要があります。
評価額の計算には、「地区区分」「容積率」「地積割合」という専門的な要素が関わってきます。ご自身で判断するのが難しいと感じたら、必ず相続税に詳しい税理士などの専門家に相談しましょう。大切な財産を正しく評価し、払い過ぎのないように適切な相続税申告を行ってくださいね。
参考文献
都市計画道路予定地と相続税評価額に関するよくある質問
Q.都市計画道路予定地とは何ですか?
A.将来、道路を整備するために都市計画法に基づいて指定された土地のことです。実際に道路が整備されるまでには時間がかかりますが、その間、土地の利用に一定の制限(建築制限など)がかかります。
Q.都市計画道路予定地にある土地は、相続税評価額に影響しますか?
A.はい、影響します。建築制限などにより土地の利用価値が制約されるため、その制限の度合いに応じて相続税評価額が減額される可能性があります。
Q.相続税評価額はどのくらい減額されるのですか?
A.減額割合は、建築できる建物の構造や階数といった利用制限の内容によって変わります。地区区分や容積率、土地全体に占める予定地の割合などに応じて、所定の補正率を乗じて評価額を計算します。
Q.自分の土地が都市計画道路予定地か確認する方法はありますか?
A.土地が所在する市区町村の役所(都市計画課など)で確認できます。窓口や電話で問い合わせるか、自治体のウェブサイトで公開されている都市計画図で調べることも可能です。
Q.都市計画道路予定地では、自由に建物を建てられますか?
A.いいえ、厳しい建築制限が課せられます。一般的に、将来の道路整備時に移転や除却が容易な、木造2階建て以下などの簡易な構造の建物しか建築許可が下りないことが多いです。
Q.都市計画道路予定地の土地を相続したら、まず何をすべきですか?
A.まずは役所で利用制限の内容を正確に把握することが重要です。その上で、相続税評価額の減額を正しく適用して申告するために、相続税に詳しい税理士などの専門家に相談することをおすすめします。