ご両親などから相続した家、今は住んでいなくて空き家になっていませんか?
「将来的にどうしよう…」とお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。
空き家を売却する場合、税金について気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、相続した空き家を売却する際にかかる税金について、わかりやすく解説していきます。
「どんな税金がかかるの?」「控除って何?」といった疑問を解消して、安心して売却を進められるように、一緒に確認していきましょう!
相続した空き家を売却すると、どんな税金がかかるの?
相続した空き家を売却して利益が出た場合、その利益(譲渡所得)に対して税金がかかります。
これを「譲渡所得税」と呼びます。
譲渡所得税には、「所得税(復興特別所得税を含む)」と「住民税」が含まれています。
譲渡所得ってなに?
譲渡所得は、単純に売却価格のことではありません。
売却価格から、その家を取得したときにかかった費用(取得費)や、売却するためにかかった費用(譲渡費用)を差し引いた金額が、譲渡所得になります。
計算式
譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)
取得費ってなに?
取得費は、その家を建てたときの建築費用や、購入したときの代金のことです。
土地と建物を一緒に相続した場合、土地と建物それぞれの取得費を計算する必要があります。
- 土地の取得費:
- 親が購入した時の代金や、購入時にかかった仲介手数料、登録免許税などを含めます。
- もし、購入時の価格がわからない場合は、売却価格の5%を取得費とすることができます。
- 建物の取得費:
- 建物の建築費用や購入代金から、減価償却費を差し引いた金額が取得費となります。
- 減価償却費は、建物の使用年数に応じて価値が減少することを考慮するためのものです。建物の構造によって計算方法が異なります。
譲渡費用ってなに?
譲渡費用は、家を売るためにかかった費用のことです。
具体的には、以下のようなものが含まれます。
- 不動産会社に支払う仲介手数料
- 売買契約書に貼る印紙税
- 登記費用(抵当権抹消登記など)
- 建物を解体して更地にした場合の解体費用
- 測量費用
譲渡所得税の税率はどのくらい?
譲渡所得税の税率は、その家を所有していた期間によって異なります。
所有期間が5年を超えるか、5年以下かで税率が変わります。
所有期間が5年を超える場合(長期譲渡所得)
所得税:15%
住民税:5%
復興特別所得税:所得税額×2.1%(令和19年まで)
合計税率:20.315%
所有期間が5年以下の場合(短期譲渡所得)
所得税:30%
住民税:9%
復興特別所得税:所得税額×2.1%(令和19年まで)
合計税率:39.63%
所有期間の注意点
所有期間は、家を売却した年の1月1日時点で計算します。
例えば、2020年6月に家を取得し、2025年8月に売却した場合、売却した年の1月1日時点(2025年1月1日)では、所有期間が5年を超えているため、「長期譲渡所得」となります。
相続した空き家の売却で使える、お得な特例!
相続した空き家を売却する際には、「相続空き家の3,000万円特別控除」という特例を利用できる場合があります。
この特例を利用すると、譲渡所得から最大3,000万円を控除することができます。
つまり、譲渡所得が3,000万円以下であれば、税金がかからないということになります!
相続空き家の3,000万円特別控除の適用要件
この特例を受けるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
主な要件は以下のとおりです。
- 相続開始直前まで被相続人(亡くなった方)が一人で住んでいたこと
- 老人ホームなどに入所していた場合でも、一定の要件を満たせば適用される場合があります。
- 昭和56年5月31日以前に建築された家であること
- 旧耐震基準で建てられた家が対象です。
- 相続時から売却時まで、事業用、貸付用、居住用として使用されていないこと
- 空き家の状態である必要があります。
- 売却価格が1億円以下であること
- 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
- 建物を解体して更地にして売却するか、耐震リフォームをして売却すること
- 旧耐震基準の家をそのまま売却することはできません。
特例を受けるための手続き
特例を受けるためには、確定申告が必要です。
確定申告の際には、以下の書類などが必要になります。
- 被相続人の除票住民票
- 売買契約書の写し
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
- 耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し(耐震リフォームの場合)
- 家屋の取り壊し後の敷地の売買契約書の写し等
その他の税金について
譲渡所得税以外にも、以下のような税金がかかる場合があります。
印紙税
売買契約書に貼る印紙代です。
売買価格によって金額が異なります。
例えば、売買価格が1,000万円超5,000万円以下の場合、印紙税額は1万円(軽減税率適用)です。
登録免許税
不動産の名義変更(所有権移転登記)をする際にかかる税金です。
通常は買主が負担しますが、売主が抵当権抹消登記を行う場合は、売主も負担します。
抵当権抹消登記の登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。
自分で計算するのが難しい場合は?
税金の計算は複雑で、専門的な知識が必要になることもあります。
「自分で計算するのは難しい…」と感じたら、税理士や不動産会社に相談することをおすすめします。
専門家のアドバイスを受けることで、安心して売却を進めることができます。
まとめ
相続した空き家を売却する際には、譲渡所得税や印紙税、登録免許税などの税金がかかります。
しかし、「相続空き家の3,000万円特別控除」などの特例を利用することで、税金の負担を軽減できる可能性があります。
- まずは、ご自身のケースで特例が利用できるか確認しましょう。
- 税金の計算は複雑なので、専門家(税理士や不動産会社)に相談することをおすすめします。
- 信頼できる不動産会社を見つけて、売却をスムーズに進めましょう。
この記事が、相続した空き家の売却を検討されている方のお役に立てれば幸いです。
不明な点や不安なことがあれば、お気軽に専門家にご相談ください。
相続した空き家売却の税金対策!よくある質問まとめ
Q. 相続した空き家を売却すると、どんな税金がかかりますか?
A. 主に「譲渡所得税(所得税・住民税)」がかかります。これは、売却によって得た利益(譲渡所得)に対して課税されるものです。
Q. 譲渡所得の計算方法を簡単に教えてください。
A. 譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用) で計算されます。取得費は、亡くなった方がその家を購入した時の価格など、譲渡費用は仲介手数料などです。
Q. 空き家を相続した場合、税金が安くなる特例はありますか?
A. はい、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」(空き家特例)という制度があります。一定の要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円まで控除できます。
Q. 空き家特例を受けるための主な要件は何ですか?
A. 主な要件は、①相続開始直前まで被相続人(亡くなった方)が一人暮らしをしていたこと、②昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、③相続から売却までの間に空き家であること、などです。
Q. 相続した空き家を売却する際、確定申告は必要ですか?
A. はい、原則として必要です。売却した年の翌年の2月16日から3月15日までの間に、確定申告を行う必要があります。
Q. 空き家売却の税金について、誰に相談すれば良いですか?
A. 税理士や税務署に相談することをおすすめします。特に、空き家特例などの適用可否や、複雑な計算については、専門家のアドバイスを受けるのが確実です。