親御さんなどから金を相続して、いざ売却しようと思ったとき、「税金はどれくらいかかるの?」と不安になりますよね。金は持っているだけでは税金はかかりませんが、売却して利益が出たときには所得税の対象になります。この記事では、相続した金を売却する際にかかる税金の種類や計算方法、注意すべきポイントについて、具体的にわかりやすくお話ししていきますね。
相続した金の売却でかかる税金の基本
相続した金を売却した場合、その利益は原則として譲渡所得となり、所得税と住民税の課税対象となります。相続した時点で相続税を支払っている場合でも、売却して得た利益には別途税金がかかるので注意が必要です。
金の売却益は譲渡所得になる
金を売却して得た利益は、給与や事業の利益とは分けて計算される分離課税ではなく、給与所得などと合算して計算する総合課税の譲渡所得となります。つまり、金の売却で出た利益は、皆さんのその年の他のお給料などと足し合わされ、全体の所得額に応じた税率がかけられることになります。
保有期間で短期と長期に分かれる
金の譲渡所得は、金を保有していた期間によって「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」の2つに分かれます。この保有期間は、皆さんが相続した日から数えるのではなく、亡くなった方が金を購入した日から引き継いで計算します。
| 購入からの保有期間 | 所得の種類 |
|---|---|
| 5年以内の場合 | 短期譲渡所得 |
| 5年を超える場合 | 長期譲渡所得 |
長期譲渡所得になると税金が半分になる
金の保有期間が5年を超え、長期譲渡所得に分類されると、税金の計算上とても有利になります。なぜなら、計算された利益からさらに半分(2分の1)にした金額だけが課税対象となるからです。そのため、親御さんが昔から持っていた金であれば、多くの場合この長期譲渡所得に当てはまり、税負担が軽くなりますよ。
金の売却益の具体的な計算方法
それでは、実際に金の売却益がいくらになるのか、そしてどれくらい税金がかかるのかを計算してみましょう。金の譲渡所得には年間50万円の特別控除があるため、売却益が50万円以下であれば税金はかかりません。
短期譲渡所得の計算式
亡くなった方が金を購入してから5年以内に売却した場合の計算式です。売却した金額から、金の購入代金や手数料を差し引き、さらに50万円を引いた残りが課税対象になります。
| 項目 | 計算式 |
|---|---|
| 短期譲渡所得の課税対象額 | 売却価格-(購入価格+売却費用)-50万円 |
長期譲渡所得の計算式
亡くなった方が金を購入してから5年を超えて売却した場合の計算式です。先ほどの短期譲渡所得の計算で出た金額を、さらに半分にした額が課税対象となります。
| 項目 | 計算式 |
|---|---|
| 長期譲渡所得の課税対象額 | {売却価格-(購入価格+売却費用)-50万円}÷2 |
購入価格がわからない場合の特例
相続した金の場合、親御さんがいくらで購入したか、領収書などが残っていなくてわからないことがよくあります。購入金額の証明ができない場合は、売却した金額の5パーセントを購入価格として計算しなければならないという決まりがあります。例えば200万円で売却した場合、購入価格はたったの10万円として計算されるため、売却益が大きく増えてしまい、税金が高くなる原因になってしまいます。
相続した金を売却する際の注意点
金を売却して損をしないため、また税務署からペナルティを受けないために、いくつか知っておいていただきたい注意点があります。
売却時の本人確認と支払調書
現在、マネーロンダリングなどを防ぐため、金の売却時には必ず本人確認が行われます。さらに、1回の売却金額が200万円を超える場合、買い取り業者は税務署に対して支払調書という書類を提出する義務があります。この書類には「誰に、いくら支払ったか」が記載されるため、税務署は皆さんが金を売却した事実と金額を正確に把握しています。
確定申告が必要になるケース
金の売却で利益が出て、その年の特別控除50万円を超えた場合は、原則として翌年の2月16日から3月15日までに確定申告を行う必要があります。会社員の方で、給与以外の所得が20万円以下であれば申告不要という特例もありますが、金の売却益が大きい場合は必ず申告しなければなりません。申告を忘れると、無申告加算税や延滞税といった罰金のような税金が追加でかかってしまいます。
取得費加算の特例を利用する
相続税をすでに納めている方限定ですが、相続開始の翌日から3年10ヶ月以内に金を売却した場合、取得費加算の特例という制度を使える可能性があります。これは、支払った相続税の一部を金の購入代金に上乗せできる特例です。購入代金が増えれば売却益が小さくなるため、所得税を大幅に減らすことができますよ。
まとめ
相続した金の売却には、基本的に所得税と住民税がかかります。亡くなった方の購入時期を引き継ぎ、5年を超えていれば長期譲渡所得として税金が安くなりますが、購入価格がわからないと売却額の5パーセントしか購入代金と認められず、税金が高くなるリスクがあります。売却額が200万円を超えると税務署にも通知されるため、利益が50万円を超える場合は忘れずに翌年の3月15日までに確定申告を行ってくださいね。不安な場合は早めに専門家へ相談することをおすすめします。
参考文献
国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
国税庁 No.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)
相続した金の売却に関するよくある質問まとめ
Q.相続した金を売却すると税金はかかりますか?
A.はい、金の売却で生じた利益は譲渡所得となり、年間50万円の特別控除額を超える利益が出た場合は、所得税と住民税の課税対象となります。
Q.相続した金の保有期間はどのように計算しますか?
A.相続した日からではなく、亡くなった方が金を購入した日から引き継いで計算します。購入から5年を超えていれば長期譲渡所得となり税金が安くなります。
Q.金の購入価格がわからない場合はどうなりますか?
A.購入価格を証明できる領収書などがない場合、売却した金額の5パーセントを購入価格として税金計算しなければならず、税金が高くなる傾向があります。
Q.金を売却したことは税務署にばれますか?
A.はい、1回の売却金額が200万円を超える場合、買い取り業者は税務署へ支払調書を提出する義務があるため、税務署は売却の事実と金額を把握しています。
Q.売却して利益が出たら必ず確定申告が必要ですか?
A.給与所得以外の所得が20万円以下の会社員などの例外を除き、売却益が年間50万円の特別控除を超えた場合は、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告が必要です。
Q.相続税を払ったのに売却でも税金がかかるのは損ではないですか?
A.相続税と所得税は別物として計算されますが、相続開始の翌日から3年10ヶ月以内に売却した場合、支払った相続税の一部を購入代金に上乗せして所得税を減らせる特例があります。