税理士法人プライムパートナーズ

相続人がゼロ!私の財産はどうなる?国に没収される前にできること

2026-04-24
目次

「自分には身寄りがないから、亡くなった後の財産がどうなるか心配…」「相続人がいない場合、財産は全部国のものになってしまうの?」そんな不安を抱えていらっしゃる方、少なくないかもしれませんね。ご自身の築き上げてきた大切な財産、その行方がどうなるのかはとても気になるところだと思います。実は、相続人がゼロの場合、財産はいくつかのステップを経て、最終的に国庫、つまり国のものになる可能性があります。しかし、生前に準備をしておくことで、ご自身の希望通りに財産を遺すこともできるんですよ。この記事では、相続人がいない場合の財産の行方と、今からできる対策について、優しく丁寧に解説していきますね。

相続人がいない「相続人ゼロ」とはどんなケース?

まず、「相続人がゼロ」とは具体的にどのような状況を指すのでしょうか。主に、以下の3つのケースが考えられます。ご自身の状況がどれに当てはまるか、確認してみてくださいね。

法定相続人が一人もいないケース

法定相続人とは、法律で定められた遺産を相続する権利を持つ人のことです。配偶者は常に相続人となり、それ以外には順位が決められています。
具体的には、以下のようになります。

第一順位 子(子が亡くなっている場合は孫などの直系卑属)
第二順位 父母(父母が亡くなっている場合は祖父母などの直系尊属)
第三順位 兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥・姪)

生涯独身でお子さんがおらず、ご両親や祖父母もすでに亡くなっていて、兄弟姉妹もいない(または先に亡くなっていて甥・姪もいない)という場合、法定相続人が一人もいない「相続人ゼロ」の状態になります。

相続人全員が相続放棄をしたケース

法定相続人がいる場合でも、その全員が「相続放棄」をすると、相続人がいない状態になります。相続放棄とは、プラスの財産(預貯金や不動産など)もマイナスの財産(借金など)も一切引き継がないという意思表示を家庭裁判所で行う手続きのことです。例えば、故人に多額の借金があった場合などに、相続人がこの手続きを選択することがあります。

相続人が欠格・廃除されたケース

あまり聞きなれないかもしれませんが、特定の理由で相続権を失うケースもあります。一つは「相続欠格」です。これは、故人を殺害したり、遺言書を偽造したりするなど、著しく不当な行為をした場合に、法律上当然に相続権が剥奪される制度です。もう一つは「相続廃除」です。これは、故人が生前に家庭裁判所に申し立てることで、虐待や重大な侮辱などを行った相続人から相続権を奪う制度です。これらの理由で、すべての相続人が相続権を失った場合も「相続人ゼロ」となります。

相続人がゼロの場合、残された財産はどうなる?

では、相続人がいないと判断された場合、残された財産はどのような運命をたどるのでしょうか。すぐに国のものになるわけではなく、いくつかの段階を踏むことになります。その流れを見ていきましょう。

財産の行き先が決まるまでの流れ

相続人がいない場合、利害関係者(債権者や特別縁故者など)や検察官が家庭裁判所に申し立てることで、「相続財産管理人」が選任されます。この相続財産管理人が、故人の財産を管理・清算し、最終的な行き先を決定する役割を担います。大まかな流れは以下の通りです。

  1. 相続財産管理人選任の申立て:利害関係人などが家庭裁判所へ申し立てます。
  2. 相続財産管理人の選任・公告:家庭裁判所が弁護士などから相続財産管理人を選任し、その事実を知らせます(官報に掲載)。
  3. 債権者・受遺者への請求申出の公告:相続財産管理人が、故人にお金を貸していた人(債権者)や遺言で財産をもらうことになっていた人(受遺者)に名乗り出るよう促します。
  4. 債権者などへの支払い:名乗り出た債権者などに対して、財産の中から支払いを行います。
  5. 相続人捜索の公告:本当に相続人がいないか、最終確認のために6か月以上の期間を定めて公告します。
  6. 特別縁故者への財産分与:相続人が現れなかった場合、後述する「特別縁故者」が財産分与を申し立てることができます。
  7. 国庫への帰属:すべての手続きが終わっても残った財産が、最終的に国のものとなります。

特別縁故者への財産分与

特別縁故者」とは、故人と特別な縁があった人のことです。相続人ではないけれど、故人の財産を受け取るのにふさわしいと認められる場合があります。具体的には、以下のような方が該当します。

  • 故人と生計を同じくしていた人(内縁の妻や夫、事実上の養子など)
  • 故人の療養看護に努めた人(長年にわたり身の回りのお世話をした親族や友人、近所の方など)
  • その他、故人と特別の縁故があった人

相続人捜索の公告期間が満了してから3か月以内に家庭裁判所に申し立てを行い、認められれば財産の全部または一部を受け取ることができます。ただし、認められるかどうかは裁判所の判断次第です。

最終的に国のものに(国庫帰属)

債権者への支払いや特別縁故者への財産分与を行っても、まだ財産が残っている場合、その財産は「国庫に帰属」します。つまり、国の収入となるわけです。これが、一般的に「国のものになる」「没収される」と言われる状態の最終形です。

重要な役割を担う「相続財産管理人」とは?

相続人がゼロの場合の手続きで、中心的な役割を果たすのが「相続財産管理人」です。一体どのような人で、何をしてくれるのでしょうか。

相続財産管理人の役割

相続財産管理人は、家庭裁判所によって選ばれる、いわば「亡くなった方の財産の公的な清算人」です。通常は、その地域の弁護士が選任されることが多いです。主な役割は以下の通りです。

  • 財産の調査と管理:預貯金の解約や不動産の管理など、故人の財産をすべて把握し、清算が終わるまで適切に管理します。
  • 債務の弁済:故人の借金や未払いの税金などを、財産の中から支払います。
  • 相続人の捜索:戸籍を調査するなどして、本当に相続人がいないかを確認します。
  • 特別縁故者への財産分与:家庭裁判所の審判に基づき、特別縁故者へ財産を引き渡します。
  • 国庫への引き継ぎ:残った財産を国に引き継ぎます。

これらの複雑な手続きを、法律に則って公平に進めてくれる重要な存在です。

選任手続きと費用

相続財産管理人の選任は、利害関係者(アパートの大家さんやお金を貸していた金融機関など)または検察官が、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。申立ての際には、手数料(収入印紙800円分)や連絡用の郵便切手などが必要になります。
注意が必要なのは、申立ての際に「予納金」を納める必要がある点です。これは、相続財産管理人の報酬や管理費用にあてられるお金で、財産の状況にもよりますが、数十万円から100万円程度になることもあります。この予納金は、最終的に故人の財産から支払われますが、財産が少ない場合は申立人が負担することになる可能性もあります。

相続人ゼロの方が生前にできる対策

「自分の財産が、知らないうちに国のものになるのは避けたい」「お世話になった人に財産を遺したい」そうお考えの方も多いでしょう。ご安心ください。生前にきちんと対策をしておけば、ご自身の意思を財産の行方に反映させることができます。

最も有効な対策は「遺言書の作成」

相続人がゼロの場合、最も有効で確実な対策が「遺言書」を作成することです。遺言書があれば、法定相続のルールに関わらず、ご自身が「誰に」「どの財産を」「どれくらい」遺したいかを自由に決めることができます。
お世話になった友人や知人、遠い親戚、あるいは応援したいNPO法人や母校などに財産を遺す「遺贈」が可能になります。遺言書があれば、相続財産管理人が選任されるような複雑な手続きを経ずに、スムーズにご自身の希望を実現できるのです。

遺言書の種類と選び方

遺言書にはいくつか種類がありますが、代表的なのは「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。それぞれの特徴を理解して、ご自身に合った方法を選びましょう。

種類 特徴
自筆証書遺言 全文、日付、氏名を自筆で書き、押印して作成します。費用がかからず手軽に作成できますが、形式の不備で無効になったり、紛失や改ざんのリスクがあったりします。法務局で保管してもらう制度もあります(別途手数料3,900円)。
公正証書遺言 公証役場で、証人2人以上の立会いのもと、公証人に作成してもらう遺言書です。費用はかかりますが、形式不備で無効になる心配がなく、原本が公証役場で保管されるため最も安全で確実な方法です。

どちらの形式にもメリット・デメリットがありますが、相続人がいないケースでは、後々の手続きを確実にするためにも「公正証書遺言」の作成を強くおすすめします。

遺贈寄付という選択肢

特定の個人だけでなく、ご自身の関心のある社会貢献活動や研究、団体などに財産を寄付する「遺贈寄付」という選択肢もあります。ご自身の財産を未来のために役立てたい、という思いを実現する方法として、近年関心が高まっています。遺言書で寄付先と金額を指定することで、ご自身の社会への思いを形にすることができます。

相続人ゼロに関するよくある質問

最後に、相続人がゼロのケースに関してよく寄せられる質問にお答えします。

借金も国が引き継いでくれるの?

いいえ、国が借金そのものを引き継ぐわけではありません。相続財産管理人が、故人の残した預貯金や不動産などのプラスの財産を売却するなどしてお金に換え、その中から借金の返済を行います。財産が借金の額に満たない場合は、法律で定められた割合で各債権者に分配され、残りの借金は事実上、返済されることなく終わります。

誰も手続きしないとどうなるの?

誰も相続財産管理人の選任申立てを行わなければ、財産はそのまま放置されることになります。預貯金は金融機関で眠ったままになり、不動産は管理されない状態が続きます。しかし、例えば固定資産税が支払われなくなれば市区町村が、アパートの家賃が滞れば大家さんが、利害関係者として申立てを行う可能性が高くなります。そのため、いずれは誰かが手続きを開始することが多いです。

まとめ

今回は、「相続人がゼロの場合」に財産がどうなるのか、そしてその対策についてお話ししました。内容をまとめますね。

  • 相続人がゼロの場合、残された財産は「相続財産管理人」によって清算されます。
  • お世話になった人などが「特別縁故者」として財産を受け取れる可能性があります。
  • 最終的に残った財産は、国庫に帰属し、国のものになります。
  • ご自身の意思を反映させるには、生前の「遺言書」作成が最も有効です。
  • 遺言書があれば、お世話になった人や団体に財産を遺す「遺贈」ができます。

ご自身の財産の行方について考えることは、ご自身の人生を振り返り、未来への思いを形にする大切な機会です。もしご不安な点があれば、専門家に相談しながら、ご自身の希望に沿った準備を進めていってくださいね。

参考文献

相続人がいない場合のよくある質問まとめ

Q.相続人がいない場合、残された財産はどうなりますか?

A.最終的に国のもの(国庫に帰属)となります。ただし、特別縁故者がいる場合や遺言書がある場合は、その内容に従って財産が渡されることもあります。

Q.「相続人不存在」とはどのような状態ですか?

A.戸籍上の法定相続人(配偶者、子、親、兄弟姉妹など)が一人もいない、または全員が相続放棄をした状態を指します。

Q.相続財産管理人とは何ですか?

A.相続人がいない場合に、家庭裁判所によって選任される専門家です。亡くなった方の財産を管理・清算し、最終的に国庫に引き継ぐ役割を担います。

Q.特別縁故者とは誰のことですか?財産をもらえますか?

A.亡くなった方と生計を同じくしていた人や、療養看護に努めた人など特別な縁故があった人です。家庭裁判所に申し立て、認められれば財産を受け取れる可能性があります。

Q.相続人がいない場合、生前にしておくべき対策はありますか?

A.遺言書を作成することが最も有効です。お世話になった人や特定の団体に財産を遺贈(寄付)する旨を記しておくことで、ご自身の意思を反映させることができます。

Q.プラスの財産だけでなく借金があった場合、どうなりますか?

A.相続財産管理人が、残された財産の中から債権者へ返済を行います。財産で返済しきれない借金が残っても、相続人がいないため誰も返済義務を負うことはありません。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

\ 相続の不安、専門家にまずは無料相談 /
士業の先生向け専門家AI
士業AI【税務】
\ 相続の不安、専門家にまずは無料相談 /