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相続人がタイ在住でも安心!相続手続きの進め方と注意点を解説

2025-03-29
目次

ご家族が亡くなられ、相続人の中にタイにお住まいの方がいらっしゃる場合、「手続きはどう進めたらいいの?」「日本と何が違うの?」と不安に思われるかもしれませんね。国際相続は少し複雑に感じられるかもしれませんが、ポイントを押さえれば大丈夫です。この記事では、相続人がタイに居住している場合の相続手続きについて、分かりやすく解説していきます。

国際相続の基本!どちらの国の法律が適用される?

まず最初に気になるのが、「日本の法律とタイの法律、どちらに従って手続きを進めるの?」という点ですよね。これを「準拠法」と言いますが、相続する財産の種類や、亡くなられた方(被相続人)の国籍によって変わってきます。基本的な考え方を理解しておきましょう。

日本国内の財産(不動産・預貯金など)

亡くなられた方が日本人で、相続財産が日本国内にある場合、原則として日本の民法に基づいて相続手続きが進められます。相続人がタイにお住まいでも、この点は変わりません。遺産分割協議や相続登記などは、日本のルールに沿って行います。

タイ国内にある財産

もし、亡くなられた方がタイ国内にコンドミニアムや銀行預金などの財産を持っていた場合は、話が少し複雑になります。タイの法律では、不動産はその所在地のある国の法律、つまりタイの法律が適用されます。預貯金などの動産は、亡くなられた方の最後の住所地の法律が適用されるのが原則です。そのため、タイの財産については、タイの法律に詳しい専門家への相談が必要になるケースが多いです。

相続税の考え方

相続税については、相続人がどこに住んでいるか、亡くなられた方や相続人の国籍などが関係してきます。相続人がタイに住んでいても、日本の相続税の納税義務者になる場合があります。基本的には、日本国内にある財産は課税対象となります。国外の財産も、一定の要件を満たすと日本の相続税の対象になることがあるので注意が必要です。

納税義務者の区分(相続人がタイ在住・日本国籍の場合) 課税対象となる財産の範囲
被相続人の死亡前10年以内に日本国内に住所があった 国内財産+国外財産
被相続人の死亡前10年以内に日本国内に住所がなかった 国内財産のみ(※被相続人の状況により国外財産も対象となる場合があります)

相続人がタイ在住の場合の具体的な手続きの流れ

それでは、実際にどのような流れで手続きを進めていくのでしょうか。日本の財産に関する手続きを中心に、タイ在住の相続人が関わる際のポイントを見ていきましょう。

相続人の確定と戸籍謄本の収集

まず、誰が相続人になるのかを確定させるために、亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)を集めます。これは日本国内での手続きと全く同じです。相続人全員の現在の戸籍謄本も必要になります。

遺産分割協議と遺産分割協議書の作成

相続人全員で、誰がどの財産をどれだけ相続するのかを話し合います。これを遺産分割協議といい、話し合いがまとまったら「遺産分割協議書」という書類を作成します。タイにお住まいの相続人とは、国際郵便やメールなどで連絡を取り合いながら進めることになります。

遺産分割協議書への署名と印鑑証明

ここが国際相続の大きなポイントです。遺産分割協議書には、相続人全員が署名し、実印を押印する必要があります。そして、その印鑑が本人のものであることを証明する「印鑑証明書」を添付します。しかし、タイにお住まいの方は日本の市区町村で印鑑登録をしていないため、印鑑証明書を取得できません。

タイ在住の相続人に必要な特別の書類

印鑑証明書が取得できないタイ在住の相続人は、代わりにどのような書類を用意すればよいのでしょうか。主に「サイン証明書(署名証明)」というものを利用します。

サイン証明書(署名証明)とは?

サイン証明書とは、日本の印鑑証明書の代わりとなる書類です。タイにある日本大使館や総領事館で発行してもらえます。領事の目の前で遺産分割協議書などに署名(サイン)をし、その署名が本人のものであることを証明してもらうものです。これにより、その書類が本人の意思に基づいて作成されたことを公的に証明できます。

サイン証明書の取得方法

サイン証明書を取得するには、本人がパスポートなどの本人確認書類と、署名する書類(遺産分割協議書など)を持って、タイの日本大使館・総領事館に出向く必要があります。事前に予約が必要な場合が多いので、各大使館・総領事館のウェブサイトで確認しましょう。手続きは、書類にサインをしていない状態で持参し、担当官の目の前で行う必要がありますので注意してください。

在留証明書も必要になる場合がある

手続きによっては、サイン証明書に加えて在留証明書の提出を求められることがあります。在留証明書は、タイにどのくらいの期間、どこに住んでいるかを証明する書類で、これも日本大使館・総領事館で取得できます。不動産の相続登記(名義変更)などで必要になることが多いです。

手続きをスムーズに進めるためのポイント

国際相続は、書類のやり取りなどに時間がかかりがちです。スムーズに進めるためのいくつかのポイントをご紹介します。

専門家への相談

国際相続は、法律や税務が複雑に絡み合うため、早い段階で司法書士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。特に、タイにも財産がある場合は、現地の法律に詳しい専門家との連携も必要になります。専門家は、必要な書類や手続きの流れを的確に案内してくれるので、時間や手間を大幅に省くことができます。

コミュニケーションを密に取る

日本とタイでは時差もありますし、距離も離れています。相続人同士でこまめに連絡を取り合い、手続きの進捗状況を共有することが大切です。ビデオ通話などを活用して、顔を見ながら話し合う機会を設けるのも良いでしょう。誤解や認識のズレを防ぎ、円満な遺産分割につながります。

納税管理人の選任

相続人が日本にいない場合、相続税の申告や納税手続きのために納税管理人を選任する必要があります。納税管理人は、日本国内に住んでいる親族や、税理士などに依頼することができます。納税管理人を定めたら、税務署に「納税管理人届出書」を提出します。

タイの相続手続きとの違い

参考までに、日本とタイの相続手続きの主な違いも知っておきましょう。もしタイに財産がある場合は、これらの点を理解しておくことが重要です。

遺産管理人の選任

タイでは、相続手続きを進めるために、裁判所で遺産管理人を選任するのが一般的です。日本のように相続人が直接銀行や法務局で手続きをするのではなく、選任された遺産管理人がすべての手続きを代行します。この選任手続きには、数ヶ月かかることもあります。

法定相続人の範囲

法定相続人の範囲も日本と少し異なります。日本では、配偶者は常に相続人となり、子がいれば親は相続人になりませんが、タイでは子と親が同順位で相続人になるなど、違いがあります。遺言がない場合は、タイの法律に基づいて相続分が決まります。

順位 タイの法定相続人
第1順位 直系卑属(子、孫など)
第2順位 父母(第1順位の相続人がいても相続権があります)
第3順位 父母を同じくする兄弟姉妹

まとめ

相続人の中にタイにお住まいの方がいらっしゃる場合、日本の相続手続きに加えて、いくつかの特別な書類や手続きが必要になります。特に、印鑑証明書の代わりにサイン証明書を取得することが重要なポイントです。書類のやり取りに時間がかかるため、早めに準備を始め、相続人同士でしっかりとコミュニケーションを取りながら進めていきましょう。また、国際相続は複雑な点も多いため、不安な場合は一人で抱え込まず、専門家に相談することをおすすめします。この記事が、皆さんの相続手続きをスムーズに進めるための一助となれば幸いです。

参考文献

No.4138 相続人が外国に居住しているとき|国税庁

在外公館における証明|法務省

タイ在住の相続手続きに関するよくある質問まとめ

Q.相続人がタイ在住です。日本の遺産分割協議書にはどうやって署名すればいいですか?

A.日本の印鑑証明書が取得できないため、タイの日本大使館・総領事館で「サイン証明書(署名証明)」を取得し、遺産分割協議書に添付します。領事の目の前で署名する必要があります。

Q.タイに住んでいる相続人も日本の相続税を払う必要がありますか?

A.はい、日本国内にある財産を相続した場合は、原則として日本の相続税の課税対象となります。また、一定の要件を満たすと、タイにある財産も課税対象になることがあります。

Q.タイにある父の銀行預金を相続したいのですが、どうすればいいですか?

A.タイの相続手続きでは、まずタイの裁判所で「遺産管理人」を選任するのが一般的です。選任された遺産管理人が、銀行口座の解約などの手続きを行います。現地の専門家への相談をおすすめします。

Q.サイン証明書はどこで取得できますか?

A.タイにある日本の大使館または総領事館で取得できます。事前に予約が必要な場合が多いため、ウェブサイトなどで確認してください。

Q.日本に相続税を納める場合、タイ在住の相続人はどうすればいいですか?

A.日本国内に住んでいる親族や税理士などを「納税管理人」として定め、税務署へ届け出る必要があります。納税管理人が申告や納税の手続きを代行します。

Q.手続きにかかる期間はどのくらいですか?

A.日本国内のみの相続に比べ、書類の国際郵便でのやり取りや、大使館での手続き予約などで時間がかかります。タイに財産がある場合は、裁判所の手続きも加わるため、半年以上かかることもあります。早めに準備を始めることが大切です。

事務所概要
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