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相続人が行方不明で困った!手続きを進める方法を分かりやすく解説

2026-03-22
目次

ご家族が亡くなり相続が始まったものの、「相続人の一人とまったく連絡がとれない…」「どこに住んでいるのかも分からない…」とお困りではないでしょうか。遺産の分け方を話し合う遺産分割協議は、相続人全員の参加が必須です。そのため、一人でも行方不明の方がいると、預金の解約や不動産の名義変更などの手続きが止まってしまいます。でも、ご安心ください。このような状況でも、法律で定められた手続きを踏むことで、相続を進めることができます。この記事では、相続人が行方不明のときの具体的な対処法を、ステップごとに分かりやすく解説していきますね。

まずは行方不明の相続人を探してみましょう

法的な手続きに入る前に、まずはご自身でできる範囲で相続人の所在を調査することが大切です。もしかしたら、思ったより簡単に見つかるかもしれませんよ。

戸籍の附票で現在の住所を調べる

「戸籍の附票(こせきのふひょう)」という書類をご存知でしょうか。これは、その人の本籍地の市区町村で戸籍と一緒に保管されている書類で、その戸籍が作られてからの住所の履歴が記録されています。相続人であれば、他の相続人の戸籍の附票を取得することが可能です。まずは、行方不明の方の本籍地を調べ、そこの役所で戸籍の附票を請求してみましょう。現在の住民票の住所が判明する可能性があります。

手紙で連絡をとってみる

戸籍の附票で住所がわかったら、まずは手紙を送ってみましょう。突然の連絡になるかと思いますので、丁寧な言葉遣いを心がけてください。「〇〇が亡くなり、遺産相続の手続きを進めるにあたり、相続人であるあなたのご協力が必要です」というように、目的を明確に伝え、連絡が欲しい旨を記載しましょう。内容証明郵便で送ると、相手が受け取ったかどうかを記録として残せるので、より確実です。

応答がない・手紙が返送されてきた場合

手紙を送っても返信がなかったり、「宛先不明」で戻ってきたりした場合は、残念ながらその住所には住んでいない可能性が高いです。また、連絡を意図的に無視されているケースも考えられます。もし連絡を拒否されているようであれば、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てるという方法もありますが、その前に次のステップである法的な手続きを検討することになります。

行方不明のまま手続きを進めるための裁判所の手続き

ご自身での調査でも相続人の所在がわからない、または生死さえ不明な場合は、家庭裁判所に申し立てを行い、法的な手続きによって相続を進めることになります。主に2つの方法があります。

【生死不明が7年未満】不在者財産管理人の選任

行方不明(法律上では「不在者」といいます)になってから7年未満で、生きている可能性が高い場合は、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てます。不在者財産管理人とは、その名の通り、行方不明の方の財産を本人に代わって管理する人のことです。この管理人が、行方不明の相続人の代理人として遺産分割協議に参加してくれるのです。

ただし、注意点があります。不在者財産管理人は、あくまで行方不明者の財産を守るのが役目です。そのため、遺産分割協議では、行方不明の方の法定相続分をきちんと確保する内容でなければ、家庭裁判所は許可してくれません。他の相続人の都合の良いように遺産を分けることはできない、ということを覚えておきましょう。

不在者財産管理人選任の申立て概要
申立先 行方不明者の従来の住所地または居所地を管轄する家庭裁判所
費用 収入印紙800円分、連絡用の郵便切手、予納金(20万円~100万円程度が目安)

【生死不明が7年以上】失踪宣告の申立て

行方不明になってから7年以上が経過し、生死が全く分からない場合は、家庭裁判所に失踪宣告の申立てをすることができます。失踪宣告が認められると、その方は法律上、7年の期間が満了したときに死亡したとみなされます。これにより、その方は相続人ではなくなり、残りの相続人で遺産分割協議を進めることができます。

もし、失踪宣告を受けた方にお子さんがいれば、そのお子さんが代わりに相続人(代襲相続)となりますので、その点には注意が必要です。

失踪宣告の申立て概要
申立先 行方不明者の従来の住所地または居所地を管轄する家庭裁判所
費用 収入印紙800円分、連絡用の郵便切手、官報公告料(5,000円弱)

不在者財産管理人と失踪宣告、どちらを選ぶべき?

どちらの手続きを選ぶかは、行方不明になってからの期間が大きな判断基準になります。7年未満であれば「不在者財産管理人」、7年以上で生きている可能性が極めて低いなら「失踪宣告」を検討するのが一般的です。どちらの手続きも、申立てから完了まで数ヶ月から1年ほどかかる場合があるため、相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月)なども考慮しながら、早めに専門家に相談することをおすすめします。

【特殊なケース】認定死亡制度について

失踪宣告と似た制度に「認定死亡」があります。これは、水難や火災、震災といった事故や災害が原因で、遺体は発見されていないものの、状況から見て死亡したことが確実な場合に適用される制度です。警察などの官公庁が調査して死亡を認定し、戸籍にその旨が記載されます。失踪宣告のように家庭裁判所への申立ては不要で、認定されれば、その方は死亡したものとして相続手続きが進められます。

行方不明者がいても遺産分割協議なしで手続きできるケース

実は、場合によっては行方不明の相続人がいても、複雑な裁判所の手続きなしで相続を進められることがあります。

遺言書がある場合

故人が生前に遺言書を遺していて、その中で財産の分け方が具体的に指定されていれば、原則として遺産分割協議は不要です。遺言書の内容に従って、不動産の名義変更や預貯金の解約手続きを進めることができます。行方不明の相続人がいても問題ありません。

法定相続分で相続登記をする場合

不動産については、行方不明の相続人を含めた全員の法定相続分で共有名義として相続登記をすることも可能です。この手続きは、相続人の一人から申請できます。しかし、これはあくまで一時的な方法です。その不動産を将来売却したり、担保に入れたりする際には、結局、共有者全員の同意が必要になります。行方不明者がいる限り、実質的にその不動産を動かせなくなってしまうため、問題の先送りにしかならず、あまりおすすめできる方法ではありません。

生前のうちからできる対策

将来、ご自身の相続で家族が困らないように、今からできる対策もあります。もし、ご自身の相続人になる予定の方の中に、連絡が取りにくい方や行方が分かりにくい方がいる場合は、ぜひ検討してみてください。

遺言書を作成しておく

最も有効な対策は、やはり遺言書を作成しておくことです。誰にどの財産を相続させるかを明確にしておけば、相続人たちが遺産分割協議をする必要がなくなり、行方不明の相続人がいてもスムーズに手続きを進めることができます。

遺言執行者を指定しておく

遺言書を作成する際には、あわせて遺言執行者を指定しておくとさらに安心です。遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続き(預貯金の解約や不動産の名義変更など)を行う権限を持つ人のことです。遺言執行者がいれば、他の相続人の協力がなくても単独で手続きを進められるため、よりスムーズに相続が完了します。

まとめ

相続人が行方不明の場合、まずは戸籍の附票などを頼りにご自身で所在を調査することから始めましょう。それでも見つからない場合は、行方不明の期間に応じて、家庭裁判所で「不在者財産管理人の選任」や「失踪宣告」といった手続きを行う必要があります。これらの手続きは時間も費用もかかりますので、専門家のアドバイスを受けながら進めるのが賢明です。そして何より、将来ご家族が困らないように、生前の対策として遺言書を作成しておくことが、最も確実で安心な方法と言えるでしょう。もし手続きでお困りのことがあれば、一人で抱え込まずに、弁護士や司法書士などの専門家へ気軽に相談してみてくださいね。

参考文献

裁判所 不在者財産管理人選任

裁判所 失踪宣告

相続人が行方不明のときの手続きに関するよくある質問

Q.相続人が一人でも行方不明だと、相続手続きは進められないのですか?

A.はい、原則として進められません。遺産分割協議は相続人全員の合意が必要なため、一人でも欠けると協議が成立せず、不動産の名義変更や預貯金の解約などができなくなります。

Q.行方不明の相続人を探すには、まず何をすればよいですか?

A.まずは、行方不明者の戸籍附票(こせきふひょう)を取得して、住民票上の住所を調べます。それでも見つからない場合は、家庭裁判所への「不在者財産管理人選任の申立て」や「失踪宣告の申立て」を検討します。

Q.「不在者財産管理人」とは、どのような役割の人ですか?

A.行方不明の相続人に代わって財産を管理し、遺産分割協議に参加する権限を持つ人です。家庭裁判所によって選任され、通常は弁護士や司法書士などの専門家が選ばれます。

Q.「失踪宣告」の手続きについて教えてください。

A.7年以上生死が不明な場合に、家庭裁判所に申し立てることで法律上死亡したとみなす制度です。失踪宣告が認められると、その人が死亡したものとして相続手続きを進めることができます。

Q.「不在者財産管理人」の選任と「失踪宣告」は、どちらを選べばよいですか?

A.行方不明になってからの期間や状況によって異なります。比較的期間が短く、生存の可能性がある場合は「不在者財産管理人」、長期間(7年以上)行方不明で生存の可能性が低い場合は「失踪宣告」が適していることが多いです。

Q.行方不明の相続人がいる場合の手続きには、どのくらいの費用がかかりますか?

A.戸籍等の取得実費のほか、不在者財産管理人選任や失踪宣告の申立てには、数十万円から100万円程度の予納金や専門家への報酬が必要になる場合があります。事案によって費用は大きく異なります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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