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相続人が韓国在住でも大丈夫!相続手続きの進め方と注意点を解説

2025-04-02
目次

ご家族が亡くなり、相続人の一人が韓国にお住まいの場合、「手続きはどう進めたらいいの?」と不安に感じていらっしゃるかもしれませんね。国をまたぐ相続は、書類の準備や法律の適用が複雑に感じられるかもしれませんが、ポイントを押さえれば大丈夫です。この記事では、韓国に住む相続人がいる場合の具体的な手続きの流れや必要書類、注意点について、分かりやすく解説していきます。

どちらの法律が適用される?相続の基本ルール

相続人が韓国に住んでいる場合、まず気になるのが「日本の法律と韓国の法律、どちらに従うの?」という点ですよね。これは「準拠法」という考え方で決まります。

原則は亡くなった方の国籍国の法律(本国法)

日本の法律では、「相続は、被相続人(亡くなった方)の本国法による」と定められています。つまり、亡くなった方が日本国籍であれば、たとえ相続人が韓国に住んでいても、日本の民法に基づいて手続きを進めるのが基本です。もし亡くなった方が韓国籍(在日韓国人の方など)であれば、原則として韓国の民法が適用されます。

遺言で日本の法律を指定することも可能

ただし、亡くなった方が韓国籍であっても、遺言書で「相続は日本の法律に従う」と明確に指定していれば、日本の民法を適用することができます。どちらの法律がご自身の家族にとって有利かを考え、生前に遺言書で指定しておくことも一つの方法です。

相続税はどこに納める?

相続税については、法律の適用とは別に考えます。被相続人(亡くなった方)が日本に住んでいた場合、相続人が韓国に住んでいても、原則として日本国内だけでなく海外にある財産も含めて日本の相続税の課税対象となります。逆に、相続人が日本に住んでいて、被相続人が韓国に住んでいた場合も同様です。これを「全世界課税」と呼びます。

韓国在住の相続人がいる場合の手続きの流れ

それでは、具体的にどのような流れで手続きを進めていくのか見ていきましょう。基本的な流れは国内の相続と似ていますが、海外とのやり取りが必要になる点が特徴です。

STEP1: 遺言書の有無を確認する

まずは遺言書があるかどうかを確認します。遺言書があれば、その内容が最優先されます。自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所での「検認」という手続きが必要です。

STEP2: 相続人と相続財産を確定する

次に、誰が相続人になるのか、どのような財産があるのかを確定させます。相続人を確定するためには、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本などをすべて集める必要があります。財産については、預貯金通帳や不動産の権利証などを確認し、財産目録を作成します。

STEP3: 遺産分割協議を行う

遺言書がない場合、相続人全員で遺産の分け方を話し合います。これを遺産分割協議と呼びます。韓国にいる相続人とは、電話やメール、ビデオ通話などで連絡を取り合い、全員の合意を目指しましょう。

STEP4: 遺産分割協議書を作成する

話し合いがまとまったら、その内容を「遺産分割協議書」という書類にまとめ、相続人全員が署名・押印します。この書類が、不動産の名義変更や預貯金の解約手続きに必要になります。

書類の準備がカギ!韓国在住の相続人が用意するもの

国際相続で最も時間と手間がかかるのが、書類の準備です。特に、韓国に住む相続人の方には、日本国内とは異なる書類を用意してもらう必要があります。早めに連絡を取り、準備をお願いしましょう。

印鑑証明書の代わりに「署名証明書(サイン証明書)」

遺産分割協議書には、通常、実印を押して印鑑証明書を添付します。しかし、韓国には印鑑登録の制度がありません。そのため、韓国にお住まいの方は、現地の日本大使館や領事館署名証明書(サイン証明書)を取得してもらう必要があります。これは、遺産分割協議書などの書類に本人が署名したことを証明する公的な書類です。

住民票の代わりに「在留証明書」

不動産の相続登記(名義変更)などでは、新しい名義人となる方の住所を証明する書類が必要です。日本にいれば住民票ですが、韓国在住の場合は、これも日本大使館や領事館在留証明書を発行してもらう必要があります。

書類名 取得場所
署名証明書(サイン証明書) 在韓国日本大使館・領事館
在留証明書 在韓国日本大使館・領事館

遺産分割協議書の作成と送付のポイント

全員の合意がとれ、書類の準備ができたら遺産分割協議書を作成します。国際的なやり取りになるため、いくつか注意点があります。

署名欄の工夫

韓国在住の相続人には署名(サイン)をしてもらうため、押印欄の横に「(署名)」と追記しておくと親切です。また、住所は在留証明書に記載されている通りに正確に書いてもらいましょう。

書類の郵送方法

作成した遺産分割協議書を韓国へ郵送します。重要な書類なので、EMS(国際スピード郵便)など、追跡ができて信頼性の高い方法で送りましょう。相続人の方には、署名証明書や在留証明書と一緒に返送してもらいます。書類のやり取りには時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。

相続税の申告と納税

相続財産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合は、相続税の申告が必要です。申告と納税は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に行わなければなりません。

納税管理人の選任

韓国に住んでいる相続人は、日本で納税手続きをすることが難しい場合があります。その場合、日本に住んでいる親族などを納税管理人として定め、税務署に届け出る必要があります。納税管理人は、本人に代わって申告書の提出や納税手続きを行います。

二重課税を防ぐ「外国税額控除」

もし韓国国内にも財産があり、韓国でも相続税が課税される場合、日本と韓国で二重に税金がかかってしまう可能性があります。このような二重課税を避けるため、韓国で納めた相続税額を日本の相続税額から一定額まで差し引くことができる外国税額控除という制度があります。適用には条件があるため、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

相続人が韓国に居住している場合の相続手続きは、国内だけで完結するケースに比べて、書類の準備やコミュニケーションに時間と手間がかかります。特に、署名証明書在留証明書といった、現地の日本大使館・領事館で取得する書類が重要になります。手続きの期限は日本国内の相続と変わらないため、早めに専門家(司法書士や税理士など)に相談し、計画的に進めることが、スムーズな相続を実現するカギとなります。不安な点は一人で抱え込まず、専門家の力を借りながら、着実に手続きを進めていきましょう。

参考文献

国税庁: No.4138 相続人が外国に居住しているとき

国税庁: No.4152 相続税の計算

韓国に居住する相続人の相続手続きに関するよくある質問

Q. 相続人が韓国に住んでいます。どの国の法律が適用されますか?

A. 亡くなった方が日本国籍であれば、原則として日本の民法が適用されます。亡くなった方の国籍によって決まります。

Q. 遺産分割協議書には実印が必要ですか?

A. 韓国には印鑑登録制度がないため、実印の代わりに、現地の日本大使館・領事館で取得した「署名証明書(サイン証明書)」を添付します。

Q. 住所を証明する書類は何が必要ですか?

A. 日本の住民票の代わりに、現地の日本大使館・領事館で発行される「在留証明書」が必要です。

Q. 相続税の申告期限はいつまでですか?

A. 日本国内の相続と同じく、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。期限が延長されることはないので注意が必要です。

Q. 韓国在住の相続人はどうやって納税するのですか?

A. 日本に住む親族などを「納税管理人」として定め、税務署に届け出ることで、その人が代わりに申告や納税の手続きを行うことができます。

Q. 韓国にも財産がある場合、税金はどうなりますか?

A. 日本と韓国の両方で相続税が課税される可能性がありますが、「外国税額控除」という制度を利用して、二重課税を調整することができます。

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