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相続手続きのリーダー!代表相続人の役割・選び方から注意点まで徹底解説

2026-04-04
目次

ご家族が亡くなられた後、相続人が複数いる場合、さまざまな手続きを誰が中心となって進めるか決める必要があります。金融機関での預金の払い戻しや不動産の名義変更など、手続きは多岐にわたります。そんなとき、相続人のまとめ役となるのが「代表相続人」です。この記事では、代表相続人とはどのような役割を担うのか、どうやって選べば良いのか、そして注意すべき点について、わかりやすく解説していきます。

代表相続人とは?

代表相続人とは、複数の相続人がいる場合に、その中から選ばれた代表者のことです。金融機関や役所とのやり取り、必要書類の取りまとめなどを一手に引き受け、相続手続きを円滑に進めるための「リーダー」や「窓口」のような役割を担います。相続人全員で話し合って決めるのが一般的です。

代表相続人は法律で決められたものではない

実は、「代表相続人」という役職は、民法などの法律で定められたものではありません。あくまで、金融機関や役所での手続きをスムーズに進めるための実務上の役割です。そのため、必ず代表相続人を一人選ばなければならないという決まりはありません。しかし、相続人それぞれがバラバラに手続きを行うと、手間が増えたり、混乱が生じたりする可能性があるため、一人代表者を決めておくことが推奨されています。

代表相続人になると相続分が増えるわけではない

「代表」という言葉から、何か特別な権利があったり、遺産を多くもらえたりするのでは?と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。代表相続人の役割は、あくまで手続きの窓口となることです。そのため、代表者になったからといって、その人の遺産の取り分(法定相続分)が増えたり、他の相続人より優位な立場になったりすることはありません。

手続きごとに代表相続人を分けることも可能

相続手続きは多岐にわたるため、すべてを一人に任せるのは負担が大きい場合もあります。そのような場合は、手続きごとに代表相続人を分担することも可能です。例えば、「預貯金の手続きは長男」「不動産の名義変更は次男」「相続税の申告は長女」というように、得意なことや状況に合わせて役割分担をすると、よりスムーズに手続きを進めることができます。

代表相続人の主な4つの役割

代表相続人が具体的にどのような手続きを行うのか、主な4つの役割を見ていきましょう。

金融機関での預金の払い戻し・解約

故人の銀行口座は、死亡が確認されると凍結され、お金の引き出しができなくなります。この凍結を解除し、預金を払い戻すためには、原則として相続人全員の同意と署名・捺印が必要です。しかし、相続人全員が銀行の窓口に集まるのは大変です。そこで、代表相続人が他の相続人から委任状などを集め、代表して預金の払い戻しや解約の手続きを行います。払い戻された預金は、一旦代表相続人の口座に入金され、そこから遺産分割協議で決まった割合に応じて各相続人に分配されます。

不動産の名義変更(相続登記)

故人が所有していた土地や建物などの不動産は、法務局で名義変更(相続登記)の手続きが必要です。2024年4月1日から相続登記は義務化されており、相続を知った日から3年以内に申請しなければなりません。代表相続人は、この相続登記に必要な戸籍謄本や遺産分割協議書などの書類を集めたり、司法書士とのやり取りの窓口になったりします。特に、不動産を売却して現金で分ける「換価分割」を行う場合は、一度代表相続人の名義に変更してから売却手続きを進めることもあります。

固定資産税納税通知書の受け取り

固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に課税されます。年の途中で所有者が亡くなった場合でも、納税義務は相続人に引き継がれます。しかし、役所は誰が不動産を相続したかすぐには把握できないため、納税通知書は故人宛に送られ続けます。そこで、代表相続人を決め、「相続人代表者指定届」を市区町村役場に提出することで、納税通知書を代表相続人が受け取れるようになります。あくまで通知書の受取人であり、代表相続人が一人で税金を全額負担するわけではありません。

相続税申告の窓口対応

遺産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続税の申告が必要です。申告は相続開始を知った日の翌日から10か月以内に行わなければなりません。相続税の申告は複雑なため、税理士に依頼することが一般的です。その際、代表相続人税理士との主な連絡窓口となり、必要書類の収集や他の相続人への連絡調整などを行います。

代表相続人はどうやって選ぶ?適している人の3つの特徴

代表相続人には誰がなるべき、という決まりはありません。相続人同士の話し合いで自由に選ぶことができますが、円滑に手続きを進めるためには、以下のような特徴を持つ人が適任と言えるでしょう。

信頼できて責任感が強い人

代表相続人は、他の相続人の財産である故人の預金を一時的に預かることになります。そのため、金銭管理をしっかり行える信頼できる人であることが最も重要です。また、相続税の申告など、期限が定められている手続きも多いため、途中で投げ出さずに最後までやり遂げる責任感の強さも求められます。

時間に融通がきく人

役所や金融機関、法務局などの窓口は、基本的に平日の日中しか開いていません。また、税理士や司法書士などの専門家との打ち合わせも平日の日中に行われることがほとんどです。そのため、仕事などで平日に休みが取りやすい、あるいは時間に融通がきく人が代表相続人になると、手続きがスムーズに進みます。

高齢すぎない人

相続手続きは、多くの書類を集めたり、あちこちの窓口へ出向いたりと、精神的にも体力的にも負担が大きいものです。そのため、あまりに高齢の方が一人で担うのは大変かもしれません。もちろん年齢だけで決めるものではありませんが、もし高齢の方が代表者になる場合は、他の相続人が積極的にサポートするなど、協力体制を整えることが大切です。

手続きがスムーズになる!代表相続人の選び方のポイント

誰を選ぶかによって、手続きの進み具合も変わってきます。ここでは、手続きごとにより適した人の選び方のポイントをご紹介します。

金融機関の手続き 金融機関の店舗が近く、平日の日中に窓口へ行ける人が便利です。郵送で手続きできる場合でも、書類の準備や記入を正確に行える人が向いています。
不動産の名義変更 特に不動産の売却を考えている場合は、不動産業者とのやり取りや物件の案内に立ち会う必要があるため、その不動産の近くに住んでいる人が適任です。
固定資産税の納税 納税通知書を受け取った後、他の相続人からお金を集める前に一時的に税金を立て替える可能性があります。そのため、ある程度経済的に余裕がある人だと安心です。
相続税の申告 税理士や他の相続人とこまめに連絡を取る必要があるため、コミュニケーションが円滑で、物事を整理して伝えるのが得意な人が向いています。

固定資産税の手続きには「相続人代表者指定届」を提出

故人が不動産を所有していた場合、相続登記が完了するまでの間、固定資産税の納税通知書を受け取る代表者を決めて役所に届け出る必要があります。それが「相続人代表者指定届」です。

相続人代表者指定届とは?

相続人代表者指定届は、故人に代わって固定資産税の納税通知書を受け取る代表者を、市区町村に知らせるための書類です。これを提出することで、納税通知書が代表相続人宛に送られるようになり、納税漏れを防ぐことができます。この届出は、不動産の所有権を確定させるものではなく、あくまで納税に関する窓口を決めるための手続きです。

相続人代表者指定届の書き方と提出方法

届出の書式は各市区町村によって異なりますが、一般的に以下の内容を記入します。提出時には、代表相続人の本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証のコピーなど)の添付が必要です。

被相続人 亡くなった方の氏名、住所、死亡年月日などを記入します。
相続人代表者 代表者となる人の氏名、住所、電話番号などを記入し、押印します。
他の相続人 代表者以外の相続人全員の氏名、住所、続柄などを記入します。相続人全員の署名・押印を求められる場合もあります。

提出しないとどうなる?ペナルティはある?

相続人代表者指定届を提出しなくても、直接的な罰則(ペナルティ)がない自治体がほとんどです。しかし、提出しないと役所が代表者を判断し、独自に代表者を選定して納税通知書を送付する場合があります。また、相続登記の義務化に伴い、不動産の現所有者を申告する「現所有者申告書」の提出を義務付けている自治体もあり、こちらを正当な理由なく怠ると10万円以下の過料が科されることがありますので注意が必要です。

注意点:相続放棄した場合はどうする?

もし、相続人代表者指定届の提出を依頼された人が相続放棄をしている場合、その人は代表者になることはできません。相続放棄をした人は、初めから相続人ではなかったことになるため、固定資産税の納税義務もありません。その場合は、相続放棄をしたことを証明する書類(相続放棄申述受理証明書のコピーなど)を添付し、他の相続人を代表者として届け出るようにしましょう。

代表相続人を選ぶ際の3つの注意点

最後に、代表相続人を選ぶ際にトラブルを避けるために知っておきたい3つの注意点を解説します。

相続できる割合は変わらない

繰り返しになりますが、代表相続人になったからといって、遺産を多く相続できるわけではありません。大変な役割を引き受けてくれた感謝として、他の相続人の合意のもとで「寄与分」のような形で遺産を多めに渡すことは可能ですが、法律上の権利として相続分が増えることはない、ということを相続人全員が理解しておくことが重要です。

遺産分割協議書に代表相続人を明記する

故人の預金を代表相続人が一括で受け取り、その後で各相続人に分配する方法は、手続き上とても効率的です。しかし、このお金の動きが税務署から「代表相続人から他の相続人への贈与」と見なされてしまうリスクもゼロではありません。このような誤解を避けるため、遺産分割協議書に以下のような一文を加えておくことを強くおすすめします。

(文例)
「相続人〇〇(代表相続人の氏名)は、他の共同相続人を代表して、被相続人名義の預貯金の解約・払い戻し手続きを行い、遺産分割協議の内容に従い、各相続人に分配するものとする。」

相続人以外は代表相続人になれない

代表相続人は、その名の通り「相続人」の代表者です。そのため、相続権のない人(例えば、相続人の配偶者や、すでに亡くなっている子の配偶者など)は代表相続人になることはできません。手続きに詳しいから、時間に余裕があるからといった理由で相続人以外の人に任せることはできないので、必ず相続人の中から選ぶようにしましょう。

まとめ

代表相続人は、法律で定められた義務ではありませんが、相続人が複数いる場合に相続手続きをスムーズに進めるために非常に重要な役割を担います。代表相続人を選ぶ際は、誰か一人に負担を押し付けるのではなく、相続人全員で協力し、信頼できる人を話し合いで選ぶことが大切です。役割や注意点を正しく理解し、円満な相続手続きを目指しましょう。もし手続きに不安がある場合は、税理士や司法書士などの専門家に相談することも検討してください。

参考文献

代表相続人に関するよくある質問

Q.代表相続人とは何ですか?

A.代表相続人とは、複数の相続人がいる場合に、相続手続きを円滑に進めるために窓口となる代表者のことです。法律で定められた制度ではありませんが、金融機関での手続きなどで必要になることが多くあります。

Q.代表相続人は必ず選ばないといけませんか?

A.法律上の義務ではありません。しかし、遺産分割協議書の作成や金融機関での預貯金解約・名義変更手続きなど、相続人全員の窓口として代表相続人を立てることで、手続きがスムーズに進む場合が多いです。

Q.代表相続人は誰がなるべきですか?

A.一般的には、被相続人(故人)の配偶者や長男・長女など、中心的な立場の相続人がなることが多いです。また、手続きに時間が割ける方や、他の相続人と円滑にコミュニケーションが取れる方が適任です。

Q.代表相続人になると、他の相続人より多く遺産をもらえますか?

A.いいえ、代表相続人になったからといって、法定相続分や遺産分割協議で決まった相続分が増えることはありません。あくまで手続き上の代表者という立場です。

Q.代表相続人の主な役割は何ですか?

A.主な役割は、遺産分割協議の取りまとめ、金融機関での預貯金の解約・名義変更、不動産や株式の名義変更手続きの窓口、他の相続人への進捗報告など、相続手続き全般の代表窓口となることです。

Q.代表相続人を決める際に注意すべきことはありますか?

A.特定の相続人が勝手に決めるのではなく、必ず相続人全員の合意を得て選ぶことが重要です。後々のトラブルを防ぐため、役割や権限の範囲を明確にし、書面に残しておくとより安心です。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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