税理士法人プライムパートナーズ

相続税が安くなる?「震動の甚だしい宅地」の具体的な評価方法

2025-09-21
目次

ご家族から相続した大切な土地。もしその土地が線路や高速道路のすぐそばにあるとしたら、もしかしたら相続税を払いすぎてしまうかもしれません。実は、鉄道や幹線道路の近くで「震動の甚だしい宅地」と認められると、土地の相続税評価額が10%も減額される可能性があるんです。この記事では、どのような土地が対象になるのか、具体的な評価方法や注意点について、専門的な言葉をなるべく使わずに、わかりやすく解説していきますね。

相続税評価額が下がる「利用価値が著しく低い宅地」とは?

相続税を計算するとき、土地の価値は国が決めた「路線価」という価格をもとに評価するのが基本です。でも、すべての土地が同じ条件なわけではありませんよね。周辺の環境によっては、他の土地と同じように評価するのは不公平な場合があります。そこで、特定の条件を満たす「利用価値が著しく低い宅地」については、評価額を下げてもらえる特別なルールがあるんです。その一つが、今回ご説明する「震動の甚だしい宅地」なんですよ。

評価額が10%減額されるケース

「震動の甚だしい宅地」以外にも、土地の利用価値が低いと判断される要因はいくつかあります。国税庁では、以下のような土地について、評価額を10%減額できると定めています。ご自身の土地が当てはまらないか、一度チェックしてみてくださいね。

減額要因 具体例
震動の甚だしい宅地 鉄道や高速道路に近接し、振動や騒音がひどい土地
騒音、日照阻害が甚だしい宅地 工場や高架道路などに隣接し、騒音や日照阻害がある土地
悪臭、忌み等がある宅地 ごみ焼却場や墓地、火葬場などに隣接している土地
高圧線下にある宅地 土地の上空に高圧電線が通っている土地
高低差が著しい宅地 周辺の土地や道路との高低差が大きく、利用しにくい土地

「震動の甚だしい宅地」とは具体的にどんな土地?

「震動の甚だしい宅地」とは、簡単に言うと、鉄道や高速道路、交通量の多い幹線道路にとても近くて、電車やトラックが通るたびに家が揺れたり、大きな音がしたりして、穏やかに暮らすのが難しい土地のことです。ただ「少し揺れるな」「音が気になるな」という感覚だけでは、残念ながら認められません。その振動や騒音が、客観的に見ても「社会生活上、一般的に我慢できる限度を超えている」と判断される必要があります。

減額を適用するための客観的な基準

税務署に減額を認めてもらうためには、「これだけひどいんです」という客観的な証拠がとても大切になります。一般的に、次のようなレベルが目安とされています。

  • 騒音レベル:環境省が定める騒音規制法の基準(例:住居地域で昼間55デシベル、夜間45デシベル)を大幅に超えていること。
  • 振動レベル:振動規制法で定める基準(例:住居地域で昼間65デシベル、夜間60デシベル)を超えていること。

これらの数値を証明するために、専門業者に依頼して騒音計や振動計で測定したデータを用意することが有効です。また、過去に同じようなケースで減額が認められた裁判例なども、有力な根拠になりますよ。

「震動の甚だしい宅地」の評価方法を徹底解説

もし相続した土地が「震動の甚だしい宅地」に当てはまる場合、評価額はどのように計算するのでしょうか。計算方法はとてもシンプルで、通常の計算方法で算出した評価額から10%を差し引くことができます。

評価額の計算例

具体的にどれくらい評価額が変わるのか、例を見てみましょう。

【条件】

  • 路線価:1平方メートルあたり200,000円
  • 土地の面積:150平方メートル

【減額を適用しない場合の評価額】
200,000円/㎡ × 150㎡ = 30,000,000円

【「震動の甚だしい宅地」の減額を適用した場合】
30,000,000円 × (1 – 0.10) = 27,000,000円

このケースでは、評価額が300万円も下がることになります。相続税率が20%の方なら、相続税額が60万円も変わってくる計算です。とても大きな違いですよね。

申告時に必要な書類や注意点

この減額を適用して相続税の申告をする際には、ただ申告書に記載するだけでは不十分です。なぜこの土地の評価額を10%減額したのか、その理由を税務署にきちんと説明する必要があります。具体的には、以下のような書類を添付するのが一般的です。

  • 意見書:土地の評価額を減額した根拠をまとめた説明書
  • 客観的データ:騒音や振動の測定結果報告書
  • 現地の写真:線路や道路との位置関係がわかる写真
  • 地図:住宅地図や公図など

これらの資料を個人で準備して、税務署を納得させるのは簡単なことではありません。そのため、土地の評価に詳しい税理士などの専門家に相談しながら進めるのが安心です。

線路沿い・道路沿いの土地すべてが対象ではない?

「線路や道路の近くだから、うちの土地も対象になるかも!」と思われたかもしれませんが、残念ながらすべての土地で減額が認められるわけではありません。いくつか注意点があります。

商業地や工業地の場合

この減額は、主に人々が住むための居住用の土地を想定しています。例えば、お店やオフィスが並ぶ商業地域や、工場が集まる工業地域では、ある程度の騒音や振動は当たり前の環境と考えられています。そのため、同じように線路沿いであったとしても、居住用の土地に比べて減額が認められにくい傾向があります。

減額が認められにくいケース

ほかにも、以下のような場合は減額が難しいかもしれません。

  • 利便性が高い場合:駅のすぐそばにあるなど、振動や騒音のデメリットを上回るほどの利便性があり、それが路線価に反映されているケース。
  • 対策が取られている場合:高い防音壁が設置されていたり、建物自体に二重サッシなどの防音対策がしっかり施されていたりして、影響が少ないと判断されるケース。
  • 地域全体が同じような環境の場合:その地域一帯が同じように騒音や振動のある環境で、それが地域の標準的な状況だと見なされるケース。

騒音や高低差など、その他の減額要因もチェック!

土地の評価額が下がる要因は、振動だけではありません。相続税の申告前には、他にも減額できるポイントがないか、多角的にチェックすることが大切です。

土地の物理的な要因による減額

土地の使いやすさは、その形によっても大きく変わります。このような物理的な要因も、評価額を下げる理由になります。

  • 不整形地:きれいな四角形ではなく、いびつな形をしている土地
  • 間口狭小地:道路に接している部分(間口)が狭い土地
  • 奥行長大(過大)地:間口に比べて奥行きが極端に長い土地
  • がけ地:土地の一部に崖が含まれている土地

これらの土地は、建物を建てにくかったり、利用に制限があったりするため、路線価から一定の割合で評価額を補正(減額)することができます。

周辺環境による減額

土地そのものに問題がなくても、周りの環境が原因で評価額が下がることもあります。先ほども少し触れましたが、改めて確認してみましょう。

減額要因 具体例
嫌悪施設との隣接 墓地、ごみ焼却場、火葬場、下水処理場などが近くにある
高圧線下地 土地の上空に高圧電線が通っており、建物の建築に制限がある
日照阻害 すぐそばに高層マンションなどがあり、日当たりが著しく悪い

専門家への相談がカギ!税理士や不動産鑑定士の役割

ここまでご説明してきたように、土地の評価、特に減額要因の判断は非常に専門的で複雑です。もし、ご自身で判断して申告した場合、後から税務調査で「この減額は認められません」と指摘され、追加で税金を納めることになってしまうリスクがあります。逆に、本来受けられるはずの減額を見逃して、余分な税金を払ってしまう可能性も。そうならないためにも、専門家の力を借りることがとても重要です。

相続税に強い税理士に相談するメリット

相続を専門に扱っている税理士は、土地評価の経験が豊富です。現地調査をしっかり行い、見逃しがちな減額要因を見つけ出してくれます。そして、税務署が納得できるような説得力のある意見書や資料を作成してくれるので、安心して申告を任せることができます。税理士に支払う報酬以上の節税効果が得られることも少なくありません。

不動産鑑定士による鑑定評価

特に評価が難しい土地や、税務署との見解の相違が予想される場合には、不動産のプロである不動産鑑定士に「鑑定評価」を依頼するという方法もあります。不動産鑑定士が作成した鑑定評価書をもとに評価額を申告することで、より客観的な根拠を示すことができます。ただし、鑑定評価額で申告しても、必ず税務署がその金額を認めるとは限らないため、まずは相続税に強い税理士に相談し、どのような方法が最適かアドバイスをもらうのが良いでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。相続した土地が線路や高速道路、幹線道路のすぐそばにある場合、「震動の甚だしい宅地」として相続税評価額を10%減額できる可能性があることをご理解いただけたかと思います。ただし、この特例を適用するには、「我慢できないほどの振動や騒音がある」という客観的な証拠が必要です。ご自身の判断だけで申告を進めるのは、大きなリスクを伴います。相続財産に土地が含まれる場合は、まずは一度、相続税に詳しい税理士に相談してみてください。それが、適正な納税と、大切な財産を守るための最も確実な一歩になりますよ。

参考文献

震動の甚だしい宅地のよくある質問まとめ

Q.「震動の甚だしい宅地」とは、具体的にどのような土地ですか?

A.幹線道路や鉄道沿い、大規模な工場・事業所の近くなどで、交通や機械の稼働による振動が日常生活に影響を及ぼすレベルで伝わる宅地のことです。特に地盤が軟弱な場合は、より振動が伝わりやすくなります。

Q.土地の振動はどのように調査できますか?

A.専門家による振動測定が最も正確ですが、個人で確認する場合は、現地で一定時間滞在して体感したり、コップに注いだ水の揺れを見たりする方法があります。また、自治体のハザードマップや近隣住民への聞き取りも参考になります。

Q.土地の振動は建物にどのような影響を与えますか?

A.継続的な振動は、建物の基礎や構造体に微細なダメージを蓄積させ、ひび割れや歪みの原因となる可能性があります。また、家具の転倒や建具の不具合、居住者のストレスなど生活面への影響も懸念されます。

Q.振動が激しい土地でも家を建てることはできますか?

A.はい、可能です。ただし、地盤改良工事を行ったり、免震・制震構造を採用したりするなど、振動対策を施した設計・施工が重要になります。専門家と相談し、土地の状況に適した対策を講じる必要があります。

Q.土地の振動は資産価値に影響しますか?

A.はい、影響します。振動が著しい土地は、居住快適性が低いと判断され、一般的に資産価値が低くなる傾向があります。売買の際には、振動の事実を告知する義務があり、価格交渉の要因となることがあります。

Q.振動対策にはどのような方法がありますか?

A.土地に対しては地盤改良や防振溝の設置、建物に対しては免震・制震構造の採用や基礎の強化などが挙げられます。また、窓を二重サッシにするなど、音と振動を軽減する工夫も有効です。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。