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相続税の修正申告、延滞税はいつ納めるかで変わる?申告と納付の順番を解説

2026-01-22
目次

相続税を期限内に申告し、納税も済ませて一安心。そう思っていたのに、半年後に計算ミスや新たな財産の発見で、追加の税金が発生することがあります。これが「修正申告」です。このとき気になるのが、ペナルティとして課される「延滞税」。実はこの延滞税、追加の税金を「申告してから納付する」か、「納付してから申告する」かで金額が変わることがあるのをご存知でしたか?今回は、相続税の修正申告における延滞税の仕組みと、損しないための申告と納付の順番について、わかりやすく解説していきます。

相続税の修正申告とペナルティの基本

まずは、修正申告とは何か、そしてどんなペナルティがあるのか基本を押さえておきましょう。相続税の申告と納付の期限は、原則として「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内」です。この期限内に一度申告・納付した内容に誤りがあり、本来納めるべき税額より少なかった場合に、後から正しい税額に訂正する手続きが「修正申告」です。修正申告を行うと、追加で納める本税のほかに、ペナルティとして以下の税金が課される可能性があります。

延滞税とは?納付が遅れたことへの利息

延滞税は、定められた期限までに税金を納付しなかった場合に課される、利息のような性質を持つペナルティです。本来の納付期限(法定納期限)の翌日から、実際に税金を納付した日までの日数に応じて計算されます。修正申告で追加の税額が発生するということは、結果的に本来納めるべき税金の一部を遅れて納付することになるため、この延滞税がかかります。

過少申告加算税とは?申告額が少なかったことへのペナルティ

過少申告加算税は、申告した税額が本来納めるべき税額よりも少なかったこと自体に対するペナルティです。ただし、税務署から調査の通知を受ける前に、自ら間違いに気づいて自主的に修正申告をした場合には、この過少申告加算税は課されません。そのため、ミスに気づいたら一日でも早く対応することが大切です。

重加算税とは?悪質なケースの重いペナルティ

重加算税は、意図的に財産を隠したり、書類を偽造したりするなど、仮装・隠ぺいといった悪質な行為があった場合に課される、最も重いペナルティです。過少申告の場合は追加税額の35%、無申告の場合は納税額の40%という非常に高い税率が適用されます。このような事態にならないよう、誠実な申告を心がけましょう。

延滞税の計算方法と税率

延滞税は「追加で納める税額 × 延滞税の税率 × 延滞した日数 ÷ 365日」という式で計算されます。計算の基礎となる税額は10,000円未満を切り捨て、計算して出てきた延滞税額の100円未満も切り捨てられます。計算自体はシンプルですが、「税率」と延滞日数の起算点となる「納期限」の考え方が少し複雑です。

延滞税の税率は2段階!

延滞税の税率は、納付が遅れた期間に応じて2段階に設定されています。税率は市中金利に合わせて毎年見直されますが、近年の税率は以下のようになっています。

期間 税率(令和4年1月1日~令和7年12月31日)
納期限の翌日から2か月を経過する日まで 年2.4%
納期限の翌日から2か月を経過した日以後 年8.7%

納付が遅れれば遅れるほど、高い税率が適用される仕組みになっています。

延滞税計算のスタート地点「納期限」とは?

延滞税の計算で非常に重要なのが「納期限」という言葉です。これは、相続税の申告・納付期限である「法定納期限」とは異なる場合があるため注意が必要です。ケースごとの「納期限」は以下の通りです。

申告の種類 納期限
期限内申告(納付のみ遅れた場合) 法定納期限(死亡を知った日の翌日から10か月)
期限後申告・修正申告の場合 申告書を提出した日
税務署による更正・決定を受けた場合 更正通知書を発した日から1か月後の日

今回のテーマである修正申告の場合、納期限は「修正申告書を提出した日」となります。ここが、申告と納付の順番を考える上で最大のポイントになります。

本題:申告と納付、どちらが先かで延滞税は変わる?

ここからが本題です。相続税の修正申告において、申告と納付のどちらを先に行うかで延滞税は変わるのでしょうか。結論から言うと、「変わります」。延滞税を少しでも安く抑えたいなら、納付のタイミングが重要です。

ケース1:先に修正申告し、後日納付した場合

まず、先に税務署へ修正申告書を提出し、その数日後に金融機関で追加の税金を納付したケースを考えてみましょう。この場合、延滞税はいつからいつまで計算されるのでしょうか。

延滞税の計算期間は「法定納期限の翌日から、実際に納付が完了した日まで」となります。先に解説した通り、修正申告の場合の「納期限」は申告書を提出した日ですが、延滞税の計算そのものは、法定納期限の翌日から通算して計算されます。そして、納付が完了するまで日数のカウントは止まりません。つまり、申告してから納付するまでの数日間も、きっちり延滞税の計算対象になってしまうのです。

ケース2:先に納付し、後日修正申告した場合

次に、追加で納める税額がわかった時点ですぐに金融機関で納付を済ませ、その後に修正申告書を提出したケースです。

この場合の延滞税の計算期間は「法定納期限の翌日から、実際に納付が完了した日まで」です。納付を済ませた時点で延滞の状態は解消されるため、延滞税の日数カウントはその日でストップします。その後に修正申告書を提出しても、すでに納付は完了しているため、延滞税が増えることはありません。

結論:納付を先にするのが断然おトク!

2つのケースを比較すると、先に納付を済ませてから申告する方が、延滞税を安く抑えられることがわかります。相続税の申告と納付の順番は法律で厳密に定められているわけではありません。そのため、追加で納めるべき税額が確定したら、修正申告書を税務署に提出する前に、金融機関などで納付を済ませてしまうのが賢い方法です。ほんの数日の違いでも、納税額が大きければ延滞税の金額も変わってきます。

延滞税の計算シミュレーション

具体的にどれくらい変わるのか、簡単なモデルケースで計算してみましょう。

【前提条件】

  • 法定納期限:令和5年3月1日
  • 追加で納める相続税額:500万円
  • 修正申告書を提出する日:令和5年9月1日(法定納期限から184日後)
  • 令和5年の延滞税率:年2.4%

先に申告、10日後に納付した場合の延滞税

9月1日に申告し、9月11日に納付したとします。延滞期間は、法定納期限の翌日(3月2日)から納付日(9月11日)までの194日間です。

計算式:500万円 × 2.4% × 194日 ÷ 365日 = 63,780円
100円未満は切り捨てられるため、延滞税は63,700円となります。

先に納付、同日に申告した場合の延滞税

9月1日に納付を済ませ、同日に申告したとします。延滞期間は、法定納期限の翌日(3月2日)から納付日(9月1日)までの184日間です。

計算式:500万円 × 2.4% × 184日 ÷ 365日 = 60,493円
100円未満は切り捨てられるため、延滞税は60,400円となります。

このケースでは、納付を10日早く済ませるだけで、3,300円の差が出ることがわかります。

注意点:延滞税の計算期間の特例(免除期間)

修正申告における延滞税には、知っておきたい特例があります。これは、税務調査がすぐに行われず、申告から長期間経ってから修正申告となった場合に、納税者が過大な不利益を被らないようにするための救済措置です。

特例が適用されるケース

自主的に修正申告をする場合、「法定納期限から1年を経過する日の翌日から、修正申告書を提出した日までの期間」は、延滞税の計算期間から除外されます。例えば、法定納期限から2年後に修正申告した場合、延滞税が課されるのは最初の1年分だけで、残りの1年分は免除されるということです。今回のテーマである「申告から半年後」のケースでは、まだ1年を経過していないため、この特例は適用されません。

特例が適用されないケース

注意点として、仮装・隠ぺいなど悪質な行為があったとして重加算税が課される場合には、この免除期間の特例は適用されません。その場合、法定納期限の翌日から納付日までの全期間に対して延滞税が計算されることになります。

まとめ

今回は、相続税の修正申告における延滞税と、申告・納付の順番について解説しました。ポイントをまとめます。

  • 相続税の修正申告で追加の税額が発生した場合、延滞税がかかる。
  • 延滞税は、納付が完了するまでの日数に応じて計算される。
  • 延滞税を最小限に抑える鉄則は「先に納付、後で申告」。
  • 追加で納める税額が確定したら、一日でも早く納付手続きを進めることが大切。
  • 申告内容のミスに気づいたら、ペナルティを軽くするためにも、速やかに自主的な修正申告を行いましょう。

相続税の手続きは複雑で、ご自身で対応するのが不安な場合もあるかと思います。そのようなときは、無理せず税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

参考文献

相続税の修正申告と延滞税のよくある質問まとめ

Q.修正申告の際、申告と納付はどちらを先にすべきですか?

A.延滞税を抑えるため、先に納付してから修正申告書を提出することをおすすめします。納付した時点で延滞税の計算がストップするため、申告書を提出する前に納付を済ませるのが最も有利です。

Q.延滞税の税率はいくらですか?

A.令和4年1月1日から令和7年12月31日までは、納期限の翌日から2ヶ月までが年2.4%、それを過ぎると年8.7%です。この税率は市中金利の動向により毎年見直される可能性があります。

Q.修正申告をすれば、必ずペナルティがかかりますか?

A.追加で納める税金がある場合、納付の遅れに対する利息である「延滞税」はかかります。ただし、税務署の調査通知前に自主的に修正申告すれば、「過少申告加算税」というペナルティは課されません。

Q.延滞税の計算で免除される期間はありますか?

A.はい。法定納期限から1年を経過した後に修正申告した場合、1年経過後から修正申告書提出日までの期間は延滞税の計算から除かれる特例があります。ただし、重加算税が課される場合は適用されません。

Q.追加で納める税金はどこで納付できますか?

A.所轄の税務署や金融機関の窓口で納付書を使って納付できます。その他、クレジットカード納付、コンビニ納付(30万円以下)、e-Taxを利用したダイレクト納付やインターネットバンキングでの納付も可能です。

Q.納付してから申告書を提出するまで、どのくらい期間が空いても大丈夫ですか?

A.法律で明確な期間は定められていませんが、納付を済ませたら速やかに申告書を提出するのが望ましいです。手続きを円滑に進めるため、できるだけ間を空けずに提出しましょう。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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