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相続税の総則6項とは?タワマン節税の伝家の宝刀を徹底解説

2026-03-08
目次

相続税の負担を少しでも減らしたいとお考えの方にとって、タワーマンションを活用した方法はこれまで非常に魅力的な選択肢でした。しかし、近年では過度な節税対策に対して国税庁が厳しい目を向けており、総則6項というルールが適用されるケースが増えています。この記事では、タワマン節税の仕組みから、最高裁での判例、そして2024年からの新しい評価ルールまで、具体的な金額を交えながらわかりやすく解説していきます。今後の対策にぜひお役立てください。

タワマン節税の仕組みと節税効果が高い理由

まずは、なぜタワーマンションを購入すると相続税が安くなるのか、その基本的な仕組みについて確認していきましょう。

タワマン節税とはどのような仕組みなのか

タワマン節税とは、手元の現金でタワーマンションを購入したり、銀行からお金を借りて購入したりすることで、相続財産の評価額を大きく下げる方法です。相続税は財産の評価額をもとに計算されるため、1億円の現金をそのまま持っているよりも、1億円で購入した不動産のほうが評価額が下がり、結果的に支払う税金が少なくなります。この時価と評価額の差を利用したのがタワマン節税です。

路線価や固定資産税評価額と実勢価格の差

不動産の相続税評価額は、実際に売買される価格(実勢価格や時価)とは異なる基準で計算されます。一般的に、建物の評価には固定資産税評価額が使われ、時価の約70%程度になります。また、土地の評価には路線価が使われ、時価の約80%程度になるのが目安です。以下の表で違いを確認してみましょう。

財産の種類 相続税評価額の目安
現金 時価の100%
建物の評価額 時価の約70%(約30%オフ)
土地の評価額 時価の約80%(約20%オフ)

このように、現金から不動産へ形を変えるだけで評価額が下がるため、節税対策として広く活用されてきました。

高層階ほど節税効果が高くなる理由

タワーマンションが一般的な不動産よりもさらに節税効果が高いとされるのには、明確な理由があります。マンションの土地の評価額は、敷地全体の面積を各部屋の専有面積で割り算して計算されます。タワーマンションは階層が多いため、一部屋あたりの土地の持ち分が非常に小さくなります。さらに、高層階になるほど実際の取引価格は高額になりますが、相続税の評価額は階数に関係なく専有面積で計算されていました。そのため、価格が高い高層階を買うほど、時価と評価額の差が大きくなり、極めて大きな節税効果を生んでいたのです。

相続税の総則6項とは?伝家の宝刀と呼ばれる理由

節税効果の高いタワマン節税ですが、やりすぎると国税庁から待ったがかかることがあります。その根拠となるのが総則6項です。

財産評価基本通達第1章総則6項の内容

相続税の計算方法は、国税庁が定めた「財産評価基本通達」というルールブックに従って行われます。しかし、その第1章の6項には「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」という例外ルールが記載されています。これが総則6項です。つまり、ルール通りに計算しても、あまりにも実態と離れていて不公平だと判断された場合は、国税庁が独自に評価額を決め直すことができるという決まりです。

なぜ伝家の宝刀と呼ばれるのか

このルールは「著しく不適当」という基準が少し曖昧であるため、これまでは頻繁に使われることはありませんでした。納税者側も「ルール通りに計算したのだから問題ない」と考えがちです。しかし、一部の極端な節税対策を是正するために、国税庁が奥の手として発動することから、いつしか伝家の宝刀と呼ばれるようになりました。

適用される3つの具体的な基準

では、どのような場合にこの宝刀が抜かれるのでしょうか。国税庁の事務運営指針では、主に以下の3つの基準を総合的に判断するとされています。

確認される基準 具体的な内容
他の評価方法の存在 通常のルール以外に、合理的な評価方法(不動産鑑定など)が存在するか
著しい乖離の有無 通常のルールでの評価額と、実際の時価との間に著しい差があるか
合理的な理由の有無 その財産だけ別の評価額を適用することに、税の公平性を保つための合理的な理由があるか

これらに当てはまる極端なケースでは、評価額が見直される可能性が非常に高くなります。

タワマン裁判の経緯と判決のポイント

実際に総則6項が適用され、最高裁判所まで争われた有名な事例があります。どのようなケースだったのかを見ていきましょう。

13億8,700万円の物件購入と借金による相続税0円申告

この事例では、当時90歳を超えていた方が、銀行から約10億800万円の多額の借入れを行い、自己資金と合わせて合計13億8,700万円で2棟のマンションを購入しました。その後、相続が発生した際、ご家族は通常のルールに従って不動産を約3億3,370万円と評価して申告しました。借入金が評価額を大きく上回ったため、本来なら約2億円かかるはずだった相続税が0円として申告されたのです。

国税庁が独自の評価額で2億円超の追徴課税を実施

この0円申告に対し、国税庁は「評価額が実際の価値と離れすぎており、不適切である」と判断し、総則6項を発動しました。独自に不動産鑑定士による評価を行った結果、マンションの適正な価値を12億7,300万円と算定しました。その結果、約2億4,000万円の追徴課税(追加で支払う税金)を求めました。ご家族はこれを不服として裁判を起こしました。

最高裁が総則6項の適用を認めた決定的な理由

2022年4月の最高裁判決では、国税庁の処分が妥当であり、ご家族側の敗訴が確定しました。裁判所が重視したのは、単に評価額に差があったことだけではありません。銀行の稟議書に「相続税対策のため」とはっきり記載されていたことや、近い将来に相続が発生することを見越して、一般の人には到底できないような多額の借入れを行ってまで意図的に税負担を免れようとした点が「他の納税者と比べて著しく不公平である」と判断されたのです。

今後のタワマン節税はどうなる?税制改正による新たなルール

最高裁の判決を受けて、国税庁はタワーマンションなどの評価方法そのものを見直すことにしました。これからのルールはどうなるのでしょうか。

マンションの評価方法に関する2024年の新ルール

2024年1月1日以降に発生した相続や贈与からは、居住用の分譲マンションの評価ルールが新しくなりました。これまでのように路線価と固定資産税評価額だけで計算するのではなく、建物の築年数や総階数、所在階、敷地の持ち分の狭さなどを考慮して「評価乖離率」という数字を計算し、新しい評価額を算出することになったのです。

乖離率1.67倍以上で評価額が引き上げられる基準

新しいルールでは、市場の売買価格と相続税評価額の乖離(差)を計算します。一戸建ての乖離率が平均1.66倍であることを基準とし、マンションの評価額と市場価格の乖離率が約1.67倍以上(評価水準が0.6未満)になる場合、評価額が引き上げられることになります。

乖離率(評価水準)の状況 新しいルールの適用内容
乖離率1.67倍以上(評価水準0.6未満) 現行の評価額に乖離率と0.6を掛け算して評価額を引き上げる
乖離率1.66倍以下〜1倍(評価水準0.6〜1) これまでの評価方法のまま(補正なし)

これにより、これまで市場価格の4割から5割程度で評価されていたタワーマンション高層階の評価額は、最低でも市場価格の6割程度まで引き上げられることになり、過度な節税効果は薄れることになりました。

極端な節税対策を避けるための注意点

新しいルールができたからといって、総則6項がなくなったわけではありません。今後も不動産を活用した生前対策は可能ですが、やりすぎには注意が必要です。例えば、ご高齢になってから到底返済できないような多額のローンを組むことや、相続の直前に不動産を購入し、相続後すぐに売却してしまうような行為は、純粋な投資ではなく税金逃れとみなされるリスクが高いため、控えるのが無難です。

事前の現状分析と適正な生前対策の重要性

過度な対策が否認されるリスクを避けるためには、正しい手順で準備を進めることが大切です。

節税対策の前に正確な財産の把握を

まずは、ご自身が現在どれくらいの財産を持っていて、万が一の時にどれくらいの相続税がかかるのか、正確に把握することから始めましょう。現金、不動産、有価証券などをリストアップし、現行のルールに基づいた基礎控除額と照らし合わせて、納めるべき税額の目安を知ることが第一歩です。

借入額と返済期間のバランスを見極める

もし不動産を購入して対策を行う場合は、純粋な資産運用としての側面を意識することが重要です。家賃収入でしっかりとローンを返済できる現実的な計画を立てましょう。ご自身の年齢に見合わない多額の借入れは、ご家族にも負担を残すことになりかねません。資金計画にはゆとりを持たせることが大切です。

早めの計画で無理のない相続準備を

相続対策は、直前になって慌てて行うものではありません。早い段階から計画を立てることで、例えば毎年少しずつ財産を譲る暦年贈与など、時間を味方につけた無理のない対策を選ぶことができます。ご家族でしっかり話し合い、全員が納得できる形で財産を引き継ぐ準備を進めていきましょう。

まとめ

タワマン節税は効果的な対策として注目されてきましたが、過度な行き過ぎた行為に対しては総則6項という強力なルールが適用され、多額の追徴課税が発生するリスクがあります。また、2024年からは新しい評価ルールが導入され、マンションの評価額が実態に近づくよう引き上げられました。これからの相続対策は、単なる税金逃れではなく、ご家族の将来を見据えた健全な資産運用として考えることが大切です。早めに現状を分析し、無理のない計画を立てていきましょう。

参考文献

国税庁:No.4667 居住用の区分所有財産の評価

タワマン節税と総則6項のよくある質問まとめ

Q.タワマン節税とはどのような仕組みですか?

A.現金をタワーマンションなどの不動産に変えることで、相続財産の評価額を実際の購入価格よりも低く抑え、相続税を安くする仕組みです。

Q.相続税の総則6項とは何ですか?

A.国税庁のルール通りに財産を評価すると著しく不公平になると判断された場合に、国税庁が独自の評価方法で税金を計算し直すことができる例外ルールのことです。

Q.なぜ総則6項は伝家の宝刀と呼ばれているのですか?

A.適用される基準が明確ではなく、行き過ぎた過度な節税対策に対してのみ、国税庁が最終手段として発動することからそのように呼ばれています。

Q.最高裁のタワマン裁判で納税者が負けた理由は何ですか?

A.多額の借金をして相続税を意図的に0円にしたことや、銀行の書類に相続税対策と明記されており、他の納税者と比べて著しく不公平だと判断されたためです。

Q.2024年からのマンション評価の新しいルールとは何ですか?

A.築年数や所在階などを考慮し、実際の市場価格と評価額の差が1.67倍以上あるマンションについては、評価額が引き上げられる新しい計算方法です。

Q.今後、タワーマンションを使った節税はできなくなるのですか?

A.全くできなくなるわけではありません。ただし、過度な借入れや相続直前の売買など、極端な税金逃れとみなされる行為は否認されるリスクが高いため注意が必要です。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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