皆さん、こんにちは!
突然ですが、「相続時精算課税制度」って聞いたことありますか?
相続や贈与に関わる制度なのですが、名前だけ聞くとちょっと難しそうですよね。
でも、実はこの制度、使い方によっては大きなメリットがあるんです!
今回は、この相続時精算課税制度について、できるだけわかりやすく、詳しく解説していきたいと思います。
将来、相続や贈与を考えている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
相続時精算課税制度の基本を理解しよう!
相続時精算課税制度は、簡単に言うと、「生前贈与した財産を、相続時にまとめて精算する」制度です。
通常、贈与税は年間110万円の基礎控除を超える金額に対して課税されますが、この制度を利用すると、贈与者(贈与する人)が亡くなるまで、最大2,500万円までの贈与が非課税になります(2,500万円を超える部分には一律20%の贈与税がかかります)。
ただし、贈与者が亡くなった際には、この制度で贈与した財産を相続財産に加えて相続税を計算し、既に支払った贈与税額を差し引いて納税することになります。
つまり、贈与税を先払いするようなイメージですね。
誰が利用できるの?
この制度を利用できるのは、
- 贈与者:贈与をする年の1月1日時点で60歳以上の父母または祖父母
- 受贈者:贈与を受ける年の1月1日時点で18歳以上の子または孫(贈与者の直系卑属)
となっています。
どんなメリットがあるの?
相続時精算課税制度の主なメリットは、以下の3つです。
- まとまった金額を一度に贈与できる:
例えば、お子さんの住宅購入資金や、お孫さんの教育資金など、まとまったお金が必要な時に、非課税で贈与できるのは大きな魅力です。 - 贈与者の意思を確実に反映できる:
生前に贈与することで、贈与者の希望する形で財産を渡すことができます。 - 将来値上がりしそうな財産を贈与するのに有利:
相続時精算課税制度では、贈与時の価額で相続税を計算します。そのため、将来値上がりが見込まれる財産(例えば、土地や株式など)を早めに贈与することで、相続税の負担を軽減できる可能性があります。
デメリットや注意点はある?
もちろん、メリットだけでなく、注意点もあります。
- 一度選択すると暦年課税に戻れない:
相続時精算課税制度を選択すると、その贈与者からの贈与については、暦年課税(年間110万円の基礎控除)が利用できなくなります。 - 相続税がかかる場合がある:
この制度は、あくまで贈与税を相続税で精算する制度です。相続財産の総額によっては、相続税が発生する可能性があります。 - 小規模宅地等の特例が使えない:
相続税には、一定の要件を満たす土地の評価額を減額できる「小規模宅地等の特例」という制度がありますが、相続時精算課税制度を利用して贈与された土地には、この特例が適用できません。
贈与税と相続税の計算方法をチェック!
相続時精算課税制度を利用した場合の、贈与税と相続税の計算方法を具体的に見ていきましょう。
贈与税の計算
- 課税価格の計算:
1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額を計算します。 - 基礎控除額の控除:
令和6年1月1日以降の贈与については、課税価格から基礎控除額110万円を控除します(複数人から贈与を受けた場合は、贈与者ごとに按分します)。 - 特別控除額の控除:
さらに、特別控除額(最大2,500万円)を控除します。 - 贈与税額の計算:
残った金額に、一律20%の税率を掛けて贈与税額を計算します。
相続税の計算
- 相続財産の価額の計算:
相続や遺贈によって取得した財産の価額を計算します。 - 相続時精算課税適用財産の加算:
相続時精算課税制度を利用して贈与された財産の価額(贈与時の価額。基礎控除額は控除した後の金額)を加算します。 - 相続税の総額の計算:
合計額から基礎控除額などを差し引いて、相続税の総額を計算します。 - 各人の相続税額の計算:
相続税の総額を、法定相続分に応じて各相続人に割り振ります。 - 贈与税額控除:
各相続人の相続税額から、既に納めた相続時精算課税に係る贈与税額を控除します。 - 差額の納付または還付:
控除しきれない贈与税額がある場合は還付を受け、不足する場合は差額を納付します。
利用するための手続き
相続時精算課税制度を利用するには、最初に贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に、「相続時精算課税選択届出書」を税務署に提出する必要があります。
贈与税の申告書と一緒に提出します。
必要書類を準備しましょう。
- 相続時精算課税選択届出書
- 受贈者の戸籍謄本など、一定の書類
税務署に届け出をしましょう。
暦年課税との違いを比較!
相続時精算課税制度と、一般的な贈与税の課税方式である暦年課税との違いを比較してみましょう。
項目 | 相続時精算課税制度 | 暦年課税 |
---|---|---|
基礎控除 | 年間110万円(令和6年1月1日以降の贈与) | 年間110万円 |
特別控除 | 最大2,500万円 | なし |
税率 | 一律20% | 10%~55%の累進課税 |
課税のタイミング | 贈与時と相続時 | 贈与時 |
制度の変更 | 一度選択すると変更できない | 毎年選択可能 |
小規模宅地等の特例 | 適用できない | 適用可能 |
メリット | まとまった金額を非課税で贈与できる、将来値上がりしそうな財産を贈与するのに有利 | 少額の贈与を非課税で行える、毎年利用できる |
デメリット | 相続税がかかる場合がある、暦年課税に戻れない、小規模宅地等の特例が使えない | 多額の贈与には向かない |
こんな場合はどうなる?
贈与者が途中で亡くなった場合は?
相続時精算課税制度を選択した贈与者が、贈与をした年の途中で亡くなった場合でも、この制度は適用されます。
相続税の申告の際に、贈与された財産を相続財産に加えて計算します。
複数の人から贈与を受けた場合は?
相続時精算課税制度は、贈与者ごとに選択できます。
例えば、父からの贈与にはこの制度を利用し、母からの贈与には暦年課税を利用することも可能です。
相続放棄した場合は?
相続時精算課税制度を利用して贈与を受けた人が相続放棄した場合でも、贈与された財産は相続財産とみなされ、相続税の課税対象となります。
まとめ
相続時精算課税制度は、使い方によっては、とても有効な制度です。
しかし、メリットだけでなく、デメリットや注意点もきちんと理解しておくことが大切です。
この制度を利用するかどうかは、ご自身の状況や将来の計画に合わせて、慎重に検討しましょう。
もし、判断に迷う場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
今回のブログが、皆さんの相続や贈与に関する疑問を解消する一助となれば幸いです。
相続時精算課税制度のよくある質問まとめ
Q. 相続時精算課税制度って何ですか?
A. 生前贈与した財産を、相続時に相続財産と合算して相続税を計算する制度です。贈与時には特別控除額(2500万円)まで贈与税がかかりません。
Q. 相続時精算課税制度のメリットは何ですか?
A. 2500万円まで贈与税がかからずに、まとまった財産を若い世代に移転できることです。
Q. 相続時精算課税制度のデメリットは何ですか?
A. 一度選択すると、暦年課税(年間110万円の基礎控除)に戻れないこと、相続税の節税効果がない場合があることです。
Q. 相続時精算課税制度は誰でも利用できますか?
A. 贈与者は60歳以上の父母または祖父母、受贈者は18歳以上の子または孫(推定相続人または代襲相続人)である必要があります。
Q. 相続時精算課税制度を利用すると贈与税は必ず0円になりますか?
A. いいえ、2500万円を超える贈与には、超えた部分に対して一律20%の贈与税がかかります。
Q. 相続時精算課税制度の手続きはどうすればいいですか?
A. 贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までに、贈与税の申告書に「相続時精算課税選択届出書」を添付して税務署に提出します。