相続が発生したとき、遺産分割の方法で悩むことってありますよね。特に、不動産など分けにくい財産がある場合は、どうすれば良いのか迷ってしまうかもしれません。
今回は、そんなときに役立つ「代償分割」という方法について、わかりやすくご説明します。代償分割の基本から、メリット・デメリット、注意点まで、一緒に確認していきましょう。
代償分割ってどんな方法?相続の選択肢を増やそう!
代償分割とは、相続人のうちの誰かが、特定の財産(例えば、実家の土地や建物など)を相続する代わりに、他の相続人に対して、お金(代償金)を支払うことで、公平に遺産を分ける方法です。
代償分割が選ばれるのはどんなとき?
代償分割は、以下のような場合に選ばれることが多いです。
- 実家を相続したい人がいる場合: 例えば、「長男が実家を継ぎたい」という場合、長男が実家を相続し、他の兄弟には代償金を支払うことで、円満な解決ができます。
- 事業を承継する場合: 会社経営者が亡くなった場合、後継者が会社の株式や事業用資産をまとめて相続し、他の相続人には代償金を支払うことで、スムーズな事業承継が可能です。
- 分けにくい財産が多い場合: 預貯金のように簡単に分けられる財産が少なく、不動産や美術品など、分割が難しい財産が多い場合に有効です。
代償分割と他の分割方法との違いは?
遺産分割の方法は、代償分割だけではありません。主な分割方法として、以下の3つがあります。
- 現物分割: 遺産をそのままの形で分ける方法です。例えば、「長男は土地、次男は預貯金」といった分け方です。
- 換価分割: 遺産を売却してお金に換え、そのお金を分ける方法です。
- 代償分割: 上で説明した通り、特定の相続人が財産を相続し、他の相続人に代償金を支払う方法です。
それぞれの方法にメリット・デメリットがあるので、状況に応じて最適な方法を選ぶことが大切です。
代償分割の具体例を見てみよう!
例えば、相続人が長男と次男の2人で、遺産が3000万円の価値のある実家(土地と建物)だけだったとします。
- 代償分割を選ばない場合: 実家を共有にしたり、売却して現金を分けたりする方法が考えられますが、どちらも手続きが面倒だったり、後々トラブルになる可能性があります。
- 代償分割を選んだ場合: 長男が実家を相続し、次男に1500万円(3000万円の半分)の代償金を支払うことで、公平に遺産を分けることができます。
代償分割のメリットは?円満相続への近道!
代償分割には、以下のようなメリットがあります。
公平に遺産を分けられる
代償分割では、特定の相続人が財産を取得する代わりに、他の相続人には代償金が支払われます。そのため、相続人間の不公平感を減らし、円満な相続につながりやすいです。
思い出の詰まった財産を守れる
実家や家業など、特定の相続人が「どうしても手放したくない」という財産がある場合、代償分割は有効な選択肢です。換価分割のように売却する必要がないため、財産を守ることができます。
相続税を節税できる可能性も!
代償分割で土地を相続する場合、「小規模宅地等の特例」が適用できる可能性があります。この特例が適用されると、土地の評価額が下がり、相続税の負担を軽減できる場合があります。
代償分割のデメリットは?注意点も知っておこう!
代償分割には、以下のようなデメリットや注意点もあります。
代償金を準備する必要がある
代償分割を行うには、財産を相続する人が、他の相続人に支払うための代償金を準備する必要があります。ある程度の資金力がないと、代償分割は難しいかもしれません。
代償金の金額で揉めることも…
代償金の金額は、相続人同士の話し合いで決めることになります。しかし、不動産の評価額などを巡って意見が対立し、話し合いがまとまらないケースもあります。
税金に注意!贈与税や所得税がかかる場合も
代償金の支払いは、原則として相続税の対象となります。しかし、遺産分割協議書にきちんと記載されていなかったり、代償金の金額が不適切だったりすると、贈与税がかかる可能性があります。
また、代償金を現金ではなく不動産などで支払う場合は、譲渡所得税がかかる可能性もあります。
代償金の決め方は?トラブルを避けるために
代償金の金額は、相続人全員が納得できるように、慎重に決める必要があります。
不動産の評価方法を確認しよう
代償金の算定の基礎となる不動産の評価方法には、いくつかの種類があります。
- 相続税評価額: 相続税を計算する際に用いられる評価額です。
- 時価(実勢価格): 実際に取引される価格です。不動産会社に査定を依頼するなどして調べます。
- 固定資産税評価額: 固定資産税を計算する際に用いられる評価額です。
遺産分割協議では、どの評価方法を使うか、相続人同士で話し合って決めることになります。
専門家への相談も検討しよう
不動産の評価や代償金の計算は、複雑な場合もあります。トラブルを避けるためにも、税理士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
代償分割と相続税の関係は?
代償分割を行った場合、相続税の計算方法が少し変わります。
相続税の課税価格の計算
- 代償金を支払った人: 相続した財産の価額から、支払った代償金の額を差し引いた金額が課税価格になります。
- 代償金を受け取った人: 相続した財産の価額(もしあれば)に、受け取った代償金の額を加えた金額が課税価格になります。
具体的な計算例
国税庁のウェブサイトに、具体的な計算例が掲載されています。そちらを参考にすると、より理解が深まるでしょう。
(参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4173.htm)
まとめ
代償分割は、相続における遺産分割の有効な方法の一つです。特に、不動産など分けにくい財産がある場合に、円満な相続を実現するための選択肢となり得ます。
しかし、代償金の準備や税金の問題など、注意すべき点もいくつかあります。代償分割を検討する際は、メリット・デメリットをよく理解し、必要に応じて専門家にも相談しながら、慎重に進めるようにしましょう。
今回の記事が、皆さんの相続のお役に立てれば幸いです。
代償分割のよくある質問まとめ!相続トラブルを避けるための基礎知識
Q. 代償分割とは何ですか?
A. 代償分割とは、相続財産を現物で分ける代わりに、特定の相続人が財産を取得し、他の相続人に対して代償金(お金)を支払う方法です。
Q. 代償分割はどんな時に利用されますか?
A. 不動産など分割しにくい財産がある場合や、特定の相続人が事業を継承する場合などに利用されます。
Q. 代償分割のメリットは何ですか?
A. 相続財産を公平に分けられ、特定の相続人が財産を維持できる点がメリットです。
Q. 代償分割のデメリットは何ですか?
A. 代償金を支払う相続人に経済的な負担がかかる可能性がある点がデメリットです。
Q. 代償分割の代償金はどうやって決めますか?
A. 相続人同士の話し合いで決めるのが基本ですが、不動産鑑定士などの専門家の意見を参考にすることもできます。
Q. 代償分割で注意すべき点はありますか?
A. 代償金の額や支払い方法について、相続人全員が納得するまで話し合い、合意内容を書面(遺産分割協議書)に残すことが重要です。