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知らないと大変?自動車所有者が死亡した際の名義変更と相続税

2026-02-03
目次

ご家族が亡くなられた後の手続きは、悲しむ間もなくたくさんあって本当に大変ですよね。その中でも、意外と見落としがちなのが「自動車の相続手続き」です。故人が大切にされていたお車をどうすればいいのか、名義変更はいつまでに必要なのか、そして相続税はかかるのか…など、わからないことだらけで不安に感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、自動車の所有者が死亡した際の手続きについて、名義変更の期限や相続税のことまで、一つひとつ丁寧に、わかりやすく解説していきます。

自動車の相続、まず何から始める?

自動車の相続手続きを進めるにあたって、最初に確認すべきことがあります。これを押さえておかないと、手続きがスムーズに進まないこともあるので、まずはここから始めましょう。

所有者の確認が第一歩

まず、車検証(自動車検査証)を見て、「所有者の氏名又は名称」の欄を確認してください。ここに記載されているのが、法律上の所有者です。多くの場合、亡くなられた方の名前が記載されていると思いますが、もしローンを組んで購入していた場合、所有者がディーラーや信販会社になっていることがあります。所有者が誰かによって、この後の手続きが大きく変わってきますので、必ず最初に確認しましょう。

新しい所有者を決める(遺産分割協議)

車の所有者が亡くなられた方本人であった場合、その車は相続人全員の共有財産となります。誰か一人が車を相続して乗り続けるのか、売却するのかなどを、相続人全員で話し合って決める必要があります。この話し合いを「遺産分割協議」と呼びます。話し合いで決まった内容は、後の名義変更手続きで必要となる「遺産分割協議書」にまとめます。

ローンが残っている場合の注意点

車検証の所有者がディーラーや信販会社だった場合、多くは自動車ローンが残っています。この場合、まずはローン会社に連絡し、残債の確認をしましょう。相続人がローンを引き継いで支払いを続けるか、一括で返済して所有権を解除してもらう必要があります。所有権が解除されないと、相続人への名義変更はできませんので注意が必要です。

自動車の名義変更(移転登録)手続きの進め方

新しい所有者が決まったら、次はいよいよ名義変更の手続きです。車の種類によって手続きの場所や必要書類が少し異なりますので、ご自身の状況に合わせて確認してくださいね。

手続きの期限はいつまで?

道路運送車両法という法律で、自動車の所有者が変わった場合、新しい所有者は「その事由があった日から15日以内」に移転登録の申請をしなければならないと定められています。相続の場合は、遺産分割協議がまとまり、新しい所有者が決まった日が「事由があった日」となります。すぐに罰則が適用されるケースは少ないですが、トラブルを避けるためにも、できるだけ早く手続きを済ませましょう。

普通自動車の名義変更に必要な書類

普通自動車の名義変更は、新しい所有者の住所を管轄する運輸支局(陸運局)で行います。必要書類は少し多いですが、一つずつ準備すれば大丈夫です。

類の種類 主な入手先・備考
申請書(OCRシート第1号様式) 運輸支局の窓口、またはウェブサイトでダウンロード
手数料納付書(検査登録印紙500円分を貼付) 運輸支局の窓口で入手
自動車検査証(車検証) 原本が必要です。車検が切れていると手続きできません。
戸籍謄本または戸籍全部事項証明書 所有者の死亡と、相続人全員の関係がわかるものが必要です。
遺産分割協議書 相続人全員の実印が押印されたもの。
新所有者の印鑑証明書 発行後3ヶ月以内のもの。
新所有者の実印 本人が申請に行く場合に必要。代理人の場合は委任状に押印。
車庫証明書(自動車保管場所証明書) 新しい使用者の住所を管轄する警察署で取得。発行後おおむね1ヶ月以内のもの。

軽自動車の名義変更に必要な書類

軽自動車の手続きは、普通自動車と比べて少し簡素化されています。手続きは、新しい使用者の住所を管轄する軽自動車検査協会で行います。

書類の種類 主な入手先・備考
自動車検査証記入申請書(軽第1号様式) 軽自動車検査協会の窓口、またはウェブサイトでダウンロード
自動車検査証(車検証) 原本が必要です。
新所有者の住民票の写しまたは印鑑証明書 発行後3ヶ月以内のもの。コピーでも可。
戸籍謄本 亡くなった所有者と新所有者の関係がわかるもの。
ナンバープレート 管轄が変わる場合に必要です。

手続きを行う場所

手続きを行う場所は、車の種類と新しい所有者(使用者)の住所によって決まります。間違えないようにしましょう。

車の種類 手続き場所
普通自動車 新所有者の住所を管轄する運輸支局または検査登録事務所
軽自動車 新使用者の住所を管轄する軽自動車検査協会の事務所・支所

名義変更をしないとどうなる?知っておきたいデメリット

「手続きが面倒だから…」と名義変更を後回しにすると、思わぬデメリットやトラブルにつながることがあります。どんなリスクがあるのか見ていきましょう。

売却や廃車ができない

最大の問題は、自動車を売却したり、廃車にしたりすることができない点です。これらの手続きは、車検証上の所有者でなければ行えません。将来的に車を手放す可能性があるなら、必ず名義変更を済ませておく必要があります。

自動車保険(任意保険)の問題

名義変更をしないまま万が一事故を起こしてしまった場合、保険契約の内容によっては、任意保険が適用されず、十分な補償を受けられない可能性があります。自動車保険(自賠責保険・任意保険)の契約者変更も、名義変更とあわせて忘れずに行いましょう。

法律上の罰則について

先ほども触れましたが、道路運送車両法では15日以内の名義変更が義務付けられており、これに違反すると「50万円以下の罰金」が科される可能性があります。実際にすぐに罰金となることは稀ですが、法律で定められた義務であることは覚えておきましょう。

自動車と相続税の関係

預貯金や不動産だけでなく、自動車も価値のある財産です。そのため、相続税の計算に含まれることを忘れてはいけません。

自動車も相続税の対象になる?

はい、自動車も立派な相続財産です。そのため、その価値によっては相続税の課税対象となります。ただし、相続財産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下であれば、相続税の申告も納税も必要ありません。

自動車の評価額はどうやって決まる?

相続税を計算する際の自動車の価値は、亡くなられた日(相続開始日)時点の時価で評価します。一般的には、同じ年式・車種・走行距離の中古車の買取価格を参考にします。中古車買取業者に査定を依頼したり、インターネットの査定サイトで相場を調べたりして評価額を算出します。年式が非常に古いクラシックカーなどでない限り、年数が経つほど評価額は下がっていきます。

相続税の申告が必要なケース

自動車を含めたすべての遺産の総額が基礎控除額を超える場合は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に税務署へ相続税の申告と納税が必要です。自動車の評価額は少額なことが多いですが、申告漏れがないように、他の財産とあわせてきちんと計算しましょう。

ケース別!こんな時はどうする?

相続の状況はご家庭によって様々です。ここでは、よくあるケース別の対応方法について解説します。

自動車の価値が100万円以下の場合

相続する普通自動車の評価額が100万円以下である場合、手続きが少し簡単になります。通常は相続人全員の実印が必要な「遺産分割協議書」の代わりに、新しい所有者となる相続人一人の署名・押印で済む「遺産分割協議成立申立書」という書類で手続きができます。ただし、100万円以下であることを証明する査定証などの添付が必要です。

相続せずに廃車にしたい場合

誰も車を使わず廃車にする場合でも、一度、相続人の誰かに名義変更(一時抹消登録または永久抹消登録のための移転登録)をする必要があります。勝手に廃車にはできません。代表となる相続人を決めて名義変更手続きを行った後、解体業者に依頼し、永久抹消登録の手続きを進めるのが一般的な流れです。

手続きを専門家に依頼したい場合

「平日に時間が取れない」「書類集めが大変そう」という方は、行政書士などの専門家に手続きを代行してもらうこともできます。もちろん費用はかかりますが(数万円程度が相場)、複雑な手続きをすべて任せられるので安心です。ディーラーや中古車販売店でも代行してくれる場合がありますので、相談してみるとよいでしょう。

まとめ

自動車の所有者が亡くなった際の手続きは、少し複雑に感じるかもしれませんが、一つずつ順を追って進めれば決して難しいものではありません。大切なのは、放置せずに早めに行動することです。まずは車検証で所有者を確認し、相続人全員で今後どうするかを話し合いましょう。名義変更を済ませておくことで、将来の売却や廃車がスムーズになるだけでなく、保険のトラブルも防ぐことができます。また、自動車も相続税の対象となることを忘れずに、他の財産とあわせて正しく評価することが大切です。もし手続きに不安があれば、専門家の力を借りるのも良い選択肢ですよ。

参考文献

国土交通省 自動車の登録手続き

軽自動車検査協会 名義変更(売買・譲渡・その他)

No.4105 相続税がかかる財産|国税庁

自動車の相続手続きに関するよくある質問まとめ

Q.亡くなった人の自動車の名義変更はいつまでに行う必要がありますか?

A.法律上の明確な期限はありませんが、相続が発生してからできるだけ早く手続きすることをおすすめします。一般的には、遺産分割協議がまとまってから15日以内に手続きを行うのが目安です。放置すると、売却や廃車ができなくなったり、自動車税の納付書が届き続けるといった問題が発生します。

Q.自動車の相続手続きはどこで行えばよいですか?

A.普通自動車の場合は新しい所有者の住所を管轄する「運輸支局」で、軽自動車の場合は「軽自動車検査協会」の事務所・支所で手続きを行います。

Q.自動車を相続した場合、相続税はかかりますか?

A.自動車も相続財産の一部ですので、評価額によっては相続税の対象となります。一般的には中古車市場での売買価格などを参考に評価額を算出し、他の遺産と合算して相続税が課税されるかどうかが決まります。

Q.自動車の名義変更(相続)に必要な書類は何ですか?

A.主に、被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本(除籍謄本)、相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書、新しい所有者の車庫証明書などが必要です。ケースによって必要書類が異なるため、事前に運輸支局等へ確認することをおすすめします。

Q.相続人が複数いる場合、自動車の相続はどうすればよいですか?

A.相続人全員で話し合い(遺産分割協議)を行い、誰が自動車を相続するかを決定します。その内容を記した「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員が署名・実印を押印する必要があります。この書類が名義変更手続きに必要となります。

Q.相続した自動車に乗る予定がない場合、どうすればよいですか?

A.相続後に売却するか、廃車(抹消登録)手続きを行うことができます。どちらの場合も、一度相続人の誰かに名義変更してから手続きを進めるのが一般的です。ただし、業者によっては名義変更と売却を同時に代行してくれる場合もあります。

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