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知らないと損!個人事業税の計算方法を初心者向けに徹底解説

2025-07-16
目次

個人事業主になると、所得税や住民税のほかに「個人事業税」という税金がかかることがあります。でも、「自分は対象なのかな?」「どうやって計算するの?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。この記事では、個人事業税の基本的な仕組みから、具体的な計算方法、納税の時期まで、わかりやすくステップバイステップで解説していきますね。

個人事業税ってどんな税金?

個人事業税は、個人事業主が都道府県に納める地方税の一つです。私たちが事業を行うにあたって、道路や公共施設など、さまざまな行政サービスを利用していますよね。個人事業税は、そうしたサービスの経費の一部を、事業を営む人が負担するという考え方に基づいています。所得税が国に納める「国税」であるのに対し、個人事業税は事業所のある都道府県に納めるという違いがあります。

納税が必要な人(対象者)

個人事業税は、すべての個人事業主にかかるわけではありません。納税が必要になるのは、主に次の2つの条件を満たした方です。

  1. 法律で定められた「法定業種」の事業を営んでいること
  2. 年間の事業所得などが290万円を超えていること

たとえ税務署に開業届を出していなくても、事業の実態があり、これらの条件に当てはまる場合は納税の対象になる可能性がありますので注意してくださいね。

対象となる事業(法定業種)

個人事業税の対象となる事業は、地方税法で70業種が定められています。これを「法定業種」と呼び、ほとんどの事業がこのいずれかに該当します。法定業種は、事業内容によって3つの区分に分けられ、それぞれ税率が異なります。

区分 税率
第1種事業(37業種) 5%
第2種事業(3業種) 4%
第3種事業(30業種) 5% または 3%

例えば、物品販売業や飲食店業、コンサルタント業、デザイン業などは税率5%、畜産業や水産業は4%です。また、あん摩・マッサージ・指圧師、柔道整復師などは3%と定められています。ご自身の事業がどの区分に該当するかは、各都道府県のホームページなどで確認できますので、一度チェックしてみてくださいね。

個人事業税の具体的な計算方法

個人事業税の計算は、一見複雑に思えるかもしれませんが、基本的な式を理解すれば大丈夫です。まずは、計算の全体像を掴みましょう。

計算式の基本ステップ

個人事業税は、次の計算式で求められます。

(所得金額 - 各種控除) × 税率 = 個人事業税額

ここで言う「所得金額」は、1年間の総収入金額から必要経費を差し引いた金額のことです。そして、最も重要な控除が「事業主控除」の290万円です。つまり、多くの場合、計算式は次のようになります。

(前年の事業所得など - 290万円の事業主控除) × 税率

注意点:所得税の計算との違い

個人事業税の計算で最も注意したいのが、所得税の確定申告との違いです。特に、青色申告をしている方は注意が必要です。

所得税の計算では、最大65万円の青色申告特別控除を適用できますが、個人事業税の計算ではこの控除は適用されません。そのため、所得税の申告で算出した所得金額に、青色申告特別控除額を「足し戻して」から計算する必要があります。

シミュレーション:実際に計算してみよう

それでは、具体的な例で計算の流れを見てみましょう。

  • 業種:コンサルタント業(第3種事業、税率5%)
  • 総収入金額:700万円
  • 必要経費:200万円
  • 青色申告特別控除:65万円

ステップ1:個人事業税の計算に使う所得金額を出す
まず、総収入金額から必要経費を引きます。青色申告特別控除はここでは引きません。
700万円(収入) - 200万円(経費) = 500万円

ステップ2:課税標準額を計算する
ステップ1で出した所得金額から、事業主控除290万円を差し引きます。
500万円 - 290万円(事業主控除) = 210万円
この210万円が、税率をかけるもとになる「課税標準額」です。

ステップ3:個人事業税額を計算する
課税標準額に、業種ごとの税率をかけます。
210万円 × 5% = 105,000円

この場合、納める個人事業税は105,000円となります。

個人事業税で使える控除制度

税金の負担を軽くしてくれるのが控除制度です。個人事業税には、主に以下のような控除があります。

事業主控除:年間290万円

個人事業税の計算で最も大きな控除が、年間を通じて事業を営んだ場合に適用される290万円事業主控除です。この控除があるため、所得が290万円以下の方は、原則として個人事業税がかかりません。
もし、年の途中で開業したり廃業したりして、事業を行った期間が1年に満たない場合は、月割りで計算されます。

事業月数 事業主控除額
3ヶ月 725,000円
6ヶ月 1,450,000円
12ヶ月 2,900,000円

その他の控除(繰越控除など)

事業主控除のほかにも、特定の条件に当てはまる場合に利用できる控除があります。

  • 損失の繰越控除:青色申告者の方で、事業が赤字(損失)になった場合、その損失額を翌年以降3年間にわたって所得から差し引くことができます。
  • 被災事業用資産の損失の繰越控除:白色申告者の方でも、災害などによって事業用の資産に損失が出た場合、その損失を翌年以降3年間繰り越して控除できます。
  • 事業用資産の譲渡損失控除:事業で使っていた機械や車両などを売却して損失が出た場合に、その損失額を所得から控除できます。

申告と納税のスケジュール

個人事業税の計算方法がわかったら、次は申告と納税のタイミングを確認しておきましょう。

申告はいつまで?

「個人事業税のためだけに、また別の申告が必要なの?」と心配になるかもしれませんが、ご安心ください。毎年2月16日から3月15日までに行う所得税の確定申告をきちんと提出していれば、原則として個人事業税の申告を別途行う必要はありません。税務署に提出された確定申告書の情報が、お住まいの都道府県税事務所に共有される仕組みになっているからです。ただし、確定申告書第二表にある「事業税に関する事項」の欄に、必要事項を記入するのを忘れないようにしましょう。

納税はいつ・どうやって?

納税は、都道府県から送られてくる「納税通知書」を使って行います。この通知書は、通常8月頃に自宅に届きます。納税の時期は、原則として8月末(第1期)11月末(第2期)の年2回に分けられています。ただし、税額が1万円以下の場合は、8月に一括で納付することもあります。
納付方法は、金融機関の窓口やコンビニエンスストアでの支払いのほか、口座振替やクレジットカード、スマートフォン決済アプリなど、さまざまな方法が選べます。

知っておくと役立つ豆知識

最後に、個人事業税に関する知っておくとお得なポイントを2つご紹介します。

支払った個人事業税は経費になる!

実は、支払った個人事業税は、その全額を支払った年の必要経費として計上することができます。これは、所得税や住民税にはない大きな特徴です。経費として計上することで、翌年の所得税や住民税の節税につながります。帳簿付けの際は、「租税公課」という勘定科目で処理するのが一般的です。納税通知書は、経費計上の証拠になるので、大切に保管しておきましょう。

個人事業税がかからない業種もある?

法定業種に該当しない事業は、個人事業税の課税対象外となります。例えば、作家、漫画家、システムエンジニア、プログラマーなどの業種は、一般的に非課税とされることが多いです。ただし、自治体の判断や契約内容(例えば「請負業」とみなされる場合など)によっては課税対象となるケースもあります。ご自身の事業が課税対象かどうかがはっきりしない場合は、管轄の都道府県税事務所に問い合わせてみるのが最も確実です。

まとめ

今回は、個人事業税の計算方法について詳しく解説しました。最後にポイントをおさらいしましょう。

  • 個人事業税は、法定業種を営み、所得が290万円を超える個人事業主にかかる税金です。
  • 計算式は「(所得 – 290万円の事業主控除など) × 税率」が基本です。
  • 所得税の計算とは違い、青色申告特別控除は適用されない点に注意しましょう。
  • 所得税の確定申告をしていれば、個人事業税の申告は基本的に不要です。
  • 納税は8月と11月の年2回が一般的です。
  • 支払った個人事業税は、翌年の確定申告で経費にできます。

仕組みを正しく理解すれば、個人事業税は決して難しいものではありません。この記事を参考に、納税の準備をスムーズに進めてくださいね。

参考文献

東京都主税局|個人事業税

国税庁|No.2210 必要経費の知識

個人事業税の計算方法に関するよくある質問まとめ

Q.個人事業税の計算方法を教えてください。

A.個人事業税は「(所得金額 – 事業主控除290万円 – その他の控除) × 税率」で計算します。所得金額は、確定申告書の事業所得や不動産所得の金額がもとになります。

Q.個人事業税がかからない業種はありますか?

A.はい、法定業種に該当しないライター、プログラマー、デザイナー、翻訳業などは原則として課税対象外です。ただし、自治体の判断による場合もあるため、詳細は管轄の都道府県税事務所にご確認ください。

Q.事業主控除とは何ですか?

A.事業主控除は、所得から一律で差し引ける控除のことです。金額は年間290万円で、事業期間が1年未満の場合は月割りで計算されます。

Q.個人事業税はいつ、どのように支払いますか?

A.通常、8月上旬に都道府県から納税通知書が送付され、納付は8月と11月の年2回です。納付書を使って金融機関やコンビニ、ペイジーなどで支払えます。

Q.個人事業税は経費にできますか?

A.はい、支払った個人事業税は、その年の事業の必要経費(租税公課)として計上できます。これにより、翌年の所得税や住民税の節税につながります。

Q.所得がいくらから個人事業税がかかりますか?

A.年間の所得金額が事業主控除の290万円を超えると、個人事業税が課税される可能性があります。つまり、所得が290万円以下であれば原則かかりません。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
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電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。