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老後破産は他人事じゃない!その原因と今からできる対策を解説

2026-01-11
目次

「老後破産」という言葉を聞くと、自分には関係ない遠い話だと思っていませんか?実は、今の日本では誰にでも起こりうる身近な問題になっています。この記事では、なぜ老後破産が起きてしまうのか、その原因と、そうならないために今からできる対策を、分かりやすく丁寧にご紹介します。将来のお金の不安を少しでも軽くするために、ぜひ一緒に考えていきましょう。

そもそも老後破産とは?

老後破産とは、定年退職後、年金などの収入だけでは生活費をまかなえず、これまで貯めてきたお金も底をついてしまい、経済的に立ち行かなくなる状態のことを指します。現役時代に普通の生活を送っていた方でも、さまざまな理由で陥ってしまう可能性がある、深刻な問題なんです。

老後破産はどれくらいの人がしているの?

「自分は大丈夫」と思っていても、データを見ると決して他人事ではないことがわかります。日本弁護士連合会の調査によると、自己破産する人の中で60歳以上の方の割合は年々増加傾向にあります。

年代 2020年調査での破産者の割合
60歳代 16.37%
70歳代以上 9.35%

このように、60歳以上の方を合わせると全体の約4分の1を占めており、老後破産は誰の身にも起こりうる社会問題になっているんですね。

老後破産したらどうなる?

もし老後破産の状態になってしまったら、生活はどうなるのでしょうか。多くの場合、子どもや親族からの援助を受けるか、それが難しい場合は生活保護を申請することになります。ただし、生活保護はすぐに受けられるわけではありません。預貯金はもちろん、持ち家や車といった資産は原則として売却し、生活費にあてることが求められます。長年住み慣れた家や愛着のある品物を手放さなければならないのは、精神的にも辛いことですよね。

生活保護で受け取れる金額は?

生活保護で支給される金額は、お住まいの地域や世帯の人数などによって決められた「最低生活費」が基準になります。そこから年金などの収入を差し引いた額が支給されます。あくまで一例ですが、食費や光熱費などの生活費にあたる「生活扶助基準額」は以下のようになっています。

世帯の状況 支給額の例(月額)
東京都区部等にお住まいの高齢者単身世帯(68歳) 約78,000円
地方郡部等にお住まいの高齢者単身世帯(68歳) 約68,000円

この他に、家賃にあたる「住宅扶助」や医療費の「医療扶助」などが加わりますが、決して余裕のある生活ができるわけではないことが分かります。

なぜ老後破産してしまうの?主な7つの原因

では、どうして老後破産に陥ってしまうのでしょうか。その原因は一つではなく、いくつかの要因が複雑に絡み合っていることが多いです。ここでは、主な7つの原因を見ていきましょう。

収入減と変わらない生活レベル

定年退職後の主な収入源は公的年金になりますが、その額は現役時代の収入より少なくなることがほとんどです。厚生労働省の統計によると、令和4年度の平均的な年金受給額は以下の通りです。

年金の種類 平均年金月額
厚生年金(国民年金含む) 約14万5,000円
国民年金のみ 約5万6,000円

収入が減ったにもかかわらず、現役時代と同じようなお金の使い方を続けていると、毎月の家計は赤字になり、貯蓄を切り崩す生活になってしまいます。この状態が続けば、いずれ貯蓄は底をついてしまいます。

そもそも老後資金が少ない

「老後2,000万円問題」が話題になりましたが、実際には十分な老後資金を準備できている世帯は多くありません。金融広報中央委員会の調査(令和5年)によると、高齢者世帯の貯蓄額は以下のようになっています。

世帯の状況(60歳代) 金融資産保有額
平均値 2,026万円(二人以上世帯)
中央値 700万円(二人以上世帯)

平均値は一部の富裕層によって引き上げられるため、より実態に近い「中央値」を見ると、700万円となっています。これでは、急な出費があった場合にすぐにお金が足りなくなってしまう可能性があります。

予期せぬ医療費・介護費の増加

年齢を重ねると、どうしても病気やケガのリスクは高まります。突然の入院や手術でまとまった医療費が必要になったり、親や配偶者の介護が必要になったりすることもあります。特に、介護施設や老人ホームに入居する場合、入居一時金だけで数百万円、月々の費用も15万円~30万円以上かかることも珍しくなく、家計を大きく圧迫する原因になります。

住宅ローンの返済

定年退職後も住宅ローンの返済が残っていると、年金収入の中から毎月数万円を支払い続けなければならず、生活は非常に苦しくなります。「退職金で一括返済すればいい」と考えていても、思ったより退職金が少なかったり、他の出費で使ってしまったりするケースも多いのです。

子どもや孫への資金援助

最近は晩婚化の影響で、親が定年を迎えても子どもがまだ学生というケースが増えています。少ない収入の中から教育費を支出し続けるのは大変です。また、「かわいい孫のためなら」と、お祝い事や習い事の費用などを援助しすぎて、自分たちの生活費が足りなくなってしまうこともあります。

退職金の運用失敗

まとまった退職金を手にして、「少しでも増やそう」と投資を始める方は少なくありません。しかし、投資の知識がないまま金融機関に勧められるがままにハイリスクな商品に手を出してしまい、大切な資産を大きく減らしてしまうケースが後を絶ちません。退職金は、老後の生活を支える最後の砦です。安易な投資は禁物です。

特殊詐欺などの被害

高齢者を狙った「オレオレ詐欺」や「還付金詐欺」などの手口は年々巧妙になっています。真面目にコツコツ貯めてきた大切なお金を、一瞬にしてだまし取られてしまう被害も老後破産の一因です。少しでも「おかしいな」と思ったら、一人で判断せず、家族や警察(相談ダイヤル#9110)に相談することが大切です。

老後破産しやすい人の特徴セルフチェック

自分は大丈夫か、ちょっと心配になってきた方もいるかもしれませんね。ここでは、老後破産に陥りやすい方の特徴をいくつかご紹介します。もし当てはまる項目が多い場合は、早めの対策が必要かもしれません。

支出を管理できていない

毎月のお給料がいくらで、何にいくら使っているのかを正確に把握していますか?家計簿をつけていなかったり、どんぶり勘定だったりすると、気づかないうちにお金を使いすぎてしまいます。まずは自分の家計の現状を知ることが第一歩です。参考までに、高齢無職世帯の平均的な支出を見てみましょう。

支出項目 夫婦のみ無職世帯(65歳以上)の月平均額
消費支出 合計 約23万7,000円
食料 約6万8,000円
交通・通信 約2万9,000円
教養娯楽 約2万1,000円
交際費 約2万3,000円

ご自身の家計と比べてみていかがでしょうか。

固定費が高い

毎月必ず出ていく固定費(住宅ローン、家賃、保険料、通信費、車の維持費など)が高いと、収入が減ったときに家計を柔軟に見直すのが難しくなります。特に見直しやすいのは通信費や保険料です。一度見直すだけで、長期的な節約効果が期待できますよ。

貯蓄習慣がない・貯蓄額が少ない

「給料が入ったら、残った分を貯金しよう」と思っていても、なかなかお金は貯まらないものです。現役時代から計画的に貯蓄する習慣がないと、十分な老後資金を準備することは難しいでしょう。急な病気や家の修繕など、いざという時のための備えが少ないと、一気に生活が苦しくなってしまいます。

老後の生活設計(シミュレーション)ができていない

自分が将来もらえる年金額を把握していますか?老後にどんな生活を送りたいですか?そのためには、毎月いくらくらい必要になるでしょうか?こうした具体的なシミュレーションができていないと、漠然とした不安を抱えたままになり、有効な対策を立てることができません。

今からできる!老後破産を防ぐ5つの対策

ここまで読むと不安になってしまったかもしれませんが、大丈夫です。老後破産は、早くから意識して対策を始めることで、十分に防ぐことができます。今日から始められる具体的な対策を5つご紹介しますね。

家計を見直して支出を減らす

まずは、家計の現状を「見える化」することから始めましょう。家計簿アプリなどを活用して、最低でも1ヶ月、何にいくら使っているのかを記録してみてください。無駄な支出がきっと見つかるはずです。特に効果が大きいのは固定費の見直しです。

  • 通信費:スマートフォンの料金プランを安いものに変える、格安SIMに乗り換える
  • 保険料:ライフステージに合わせて保障内容を見直す。不要な特約を外す
  • サブスク:利用頻度の低い動画配信サービスなどを解約する

これだけでも、月々数千円から一万円以上の節約につながることもあります。

老後資金を計画的に貯める・増やす

支出を減らして生まれた余裕は、しっかりと貯蓄に回しましょう。給料から天引きされる財形貯蓄や、自動で積み立てられる定期預金などを活用するのがおすすめです。また、ただ銀行に預けておくだけでなく、NISA(ニーサ)iDeCo(イデコ)といった税金が優遇される制度を使って、お金にも働いてもらう「資産運用」を始めるのも有効な手段です。少額からでも長期的にコツコツ続けることが大切ですよ。

年金の繰下げ受給を検討する

公的年金は原則65歳から受け取れますが、受け取り開始を遅らせる「繰下げ受給」という制度があります。受け取りを1ヶ月遅らせるごとに受給額が0.7%増え、最大で75歳まで繰り下げると、なんと84%も増額されます。健康で、定年後も働く意欲のある方にとっては、将来の年金額を増やす有効な選択肢になります。

受給開始年齢 増額率
66歳 +8.4%
70歳 +42.0%
75歳 +84.0%

健康寿命を延ばす

意外かもしれませんが、健康でいることが最大の節約につながります。医療費や介護費がかからなければ、その分お金に余裕が生まれますよね。日頃からバランスの取れた食事を心がけ、ウォーキングなどの適度な運動を習慣にしましょう。また、自治体が行っている健康診断などを定期的に受診して、病気の早期発見・早期治療に努めることも大切です。

持ち家を活用する(リースバック・リバースモーゲージ)

もし持ち家がある場合、いざという時のための資金調達方法として知っておくと安心です。「リースバック」は、自宅を一度売却して現金を受け取り、その後は家賃を払って同じ家に住み続ける方法です。「リバースモーゲージ」は、自宅を担保にお金を借り、亡くなった後に自宅を売却して返済する方法です。どちらもメリット・デメリットがあるので、利用する際は家族とよく相談し、慎重に検討しましょう。

もしもに備える相談先

お金の悩みは、一人で抱え込んでいるとどんどん不安が大きくなってしまいます。困ったときには、専門の機関に相談することも大切です。

自治体の相談窓口

お住まいの市区町村の役所には、生活に困っている方のための相談窓口(福祉事務所や自立相談支援機関など)があります。公的な支援制度について教えてくれたり、専門機関につないでくれたりします。

ファイナンシャルプランナー(FP)

家計の見直しや保険、資産運用など、お金に関する幅広い相談に乗ってくれる専門家です。客観的な視点から、あなたに合ったライフプランや資金計画のアドバイスをしてくれます。

弁護士などの法律専門家

すでに借金の返済が苦しいという状況であれば、弁護士や司法書士といった法律の専門家に相談しましょう。債務整理という法的な手続きによって、借金を減らしたり、支払いを免除してもらったりする方法があります。

まとめ

老後破産は、特別な誰かの話ではなく、私たちの誰もが直面する可能性のある問題です。しかし、将来のリスクを正しく理解し、元気なうちから少しずつ対策を始めることで、その可能性を大きく下げることができます。大切なのは、問題を先送りにせず、「今」行動を起こすことです。まずはご自身の家計を見直すことから始めてみませんか?この記事が、あなたの明るい未来を築くための一助となれば幸いです。

参考文献

厚生労働省「度厚生年金保険・国民年金事業の概況」

総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」

日本年金機構「年金の繰下げ受給」

老後破産に関するよくある質問まとめ

Q. 老後破産とは何ですか?

A. 老後破産とは、老後に収入が減少し、年金や貯蓄だけでは生活費を賄えなくなり、経済的に破綻状態に陥ることです。持ち家があっても生活が困窮するケースも含まれます。

Q. 老後破産の主な原因は何ですか?

A. 主な原因として、退職金の減少、予期せぬ病気や介護による高額な医療費・介護費、住宅ローンの残債、熟年離婚、子や孫への過度な資金援助などが挙げられます。

Q. 年収がいくらだと老後破産のリスクがありますか?

A. 特定の年収額で決まるわけではありません。現役時代の年収が高くても、支出が多い生活習慣が抜けなかったり、十分な貯蓄がなかったりするとリスクは高まります。重要なのは収入と支出のバランスです。

Q. 老後破産を避けるためには、いつから何をすれば良いですか?

A. 理想は現役世代、特に40代〜50代から準備を始めることです。具体的には、家計の見直し、資産状況の把握、iDeCoやNISAなどを活用した資産形成、繰り上げ返済によるローン完済などが有効です。

Q. 貯金がいくらあれば老後破産しませんか?

A. 必要額は個人のライフスタイルや年金額によって大きく異なりますが、一般的に「老後資金2,000万円問題」が目安の一つとされます。ただし、これはあくまで一例であり、ご自身の生活設計に合わせた目標額を設定することが重要です。

Q. もし老後破産しそうになったら、どこに相談すれば良いですか?

A. 地域の消費生活センター、社会福祉協議会、法テラス(日本司法支援センター)などが公的な相談窓口です。弁護士や司法書士、ファイナンシャルプランナーなどの専門家への相談も有効な手段となります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
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電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。