税理士法人プライムパートナーズ

自宅売却の税金対策!
3000万円控除と軽減税率の要件の違いを解説

2025-06-25
目次

ご自宅の売却を考えたとき、「税金がどれくらいかかるんだろう?」と不安になりますよね。でも、ご安心ください。マイホームの売却には、税金の負担を大きく軽くしてくれる特別な制度があります。それが「3000万円特別控除」と「10年超所有軽減税率の特例」です。この2つの特例は名前も似ていて少し複雑ですが、要件の違いをしっかり理解すれば、とても大きな節税につながります。この記事では、それぞれの要件の違いや、どうすればお得になるのかを、分かりやすく解説していきますね。

そもそも自宅売却で利益が出るとかかる税金とは?

まず基本として、ご自宅を売却して利益が出た場合、その利益に対して「譲渡所得税」という税金がかかります。この税金は、所得税と住民税を合わせたものです。利益(譲渡所得)は、以下の計算式で求められます。

譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)

「取得費」はご自宅を購入したときにかかった費用、「譲渡費用」は売却時にかかった仲介手数料などの経費のことです。この計算で出た譲渡所得がプラスになった場合に、税金がかかる仕組みですね。今回ご紹介する2つの特例は、この譲渡所得や、それにかかる税率をぐっと抑えてくれる心強い味方なんです。

3000万円特別控除とは?

正式には「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。これは、自宅を売却して出た利益(譲渡所得)から、最大で3,000万円を差し引くことができる、非常にパワフルな特例です。もし譲渡所得が3,000万円以下なら、この特例を使うことで税金がゼロになるんですよ。

制度の概要

この特例の最大のメリットは、なんといっても控除額の大きさです。たとえば、譲渡所得が4,000万円だった場合、3,000万円を差し引けるので、課税対象となる所得は1,000万円にまで減ります。譲渡所得が2,500万円であれば、全額控除されて課税所得は0円となり、税金を納める必要がなくなります。とても大きな節税効果が期待できますよね。

適用要件

この強力な特例を使うためには、いくつかの要件を満たす必要があります。特に注目してほしいのは、家の所有期間に決まりがない点です。買ってから短い期間しか経っていなくても、他の要件を満たせば適用できます。

主な適用要件 内容
所有期間 制限がありません。(極端に短い場合は目的を疑われる可能性はあります)
居住要件 自分が住んでいる家であること。または、住まなくなってから3年目の年末までに売却すること。
売却相手 親子や夫婦、生計を一つにする親族など、特別な関係の相手への売却ではないこと。
過去の適用 売却した年の前年、前々年にこの特例や買換え特例などを使っていないこと。(3年に1度しか使えません)
その他 家屋を取り壊した場合は、取り壊してから1年以内に土地の売買契約を結ぶなどの要件があります。

10年超所有軽減税率の特例とは?

こちらは、長く住んだご自宅を売却する方を優遇する制度です。通常、5年以上所有した不動産を売却した場合の税率は約20%ですが、この特例を使えると、譲渡所得6,000万円以下の部分の税率が約14%にまで下がります。

制度の概要

税率がどれくらい変わるのか、具体的に見てみましょう。

区分 税率(所得税・復興特別所得税・住民税の合計)
通常の長期譲渡所得(所有期間5年超) 20.315%
軽減税率の特例(譲渡所得6,000万円以下の部分) 14.21%

税率が約6%も変わるので、譲渡所得が大きいほど節税効果も高くなります。例えば譲渡所得が2,000万円の場合、この特例だけで約120万円も税金が安くなる計算です。

適用要件

この特例の最も重要なポイントは、所有期間です。名前の通り、長く所有していることが大前提となります。

主な適用要件 内容
所有期間 売却した年の1月1日時点で、家と土地の両方の所有期間が10年を超えていること。
居住要件 3000万円控除と同様、自分が住んでいる家、または住まなくなってから3年目の年末までの売却であること。
売却相手 こちらも親子や夫婦など、特別な関係の相手への売却は対象外です。
過去の適用 売却した年の前年、前々年にこの特例を使っていないこと。
他の特例との関係 買換え特例など、一部の特例とは併用できませんが、3000万円特別控除とは併用できます。

所有期間の「10年超」の数え方には注意が必要です。購入した日から単純に10年ではなく、「売却した年の1月1日」時点で10年を超えている必要があります。例えば2014年8月に購入した家を2024年9月に売却した場合、カレンダー上は10年を超えていますが、2024年1月1日時点ではまだ10年経っていないため、この特例は使えません。このケースでは、2025年1月1日以降に売却する必要があります。

一番知りたい!2つの特例の要件の違いを比較

ここまでご説明した2つの特例ですが、一番の違いはやはり「所有期間」の要件です。そして、何より嬉しいのは、この2つの特例は併用できるということです。違いと併用できる点をしっかり押さえておきましょう。

項目 3000万円特別控除
所有期間の要件 定めなし
効果 譲渡所得から最大3,000万円を控除
併用の可否 軽減税率の特例と併用できる
項目 10年超所有軽減税率の特例
所有期間の要件 売却した年の1月1日時点で10年超
効果 譲渡所得6,000万円以下の部分の税率が軽くなる
併用の可否 3000万円特別控除と併用できる

特例を併用した時の税金計算シミュレーション

では、実際に2つの特例を併用すると、税金がどれくらいお得になるのか見てみましょう。

【条件】
・売却価格:7,000万円
・取得費+譲渡費用:2,500万円
・所有期間:15年

ステップ1:譲渡所得を計算する
7,000万円 - 2,500万円 = 4,500万円(譲渡所得)

ステップ2:3000万円特別控除を適用する
4,500万円 - 3,000万円 = 1,500万円(課税譲渡所得)

ステップ3:軽減税率の特例を適用して税額を計算する
1,500万円 × 14.21% = 2,131,500円

もし、特例を何も使わなかった場合、税額は「4,500万円 × 20.315% = 9,141,750円」となります。特例を併用することで、税額を約700万円も抑えることができました。これだけ大きな差が出るのですから、使わない手はありませんよね。

まとめ

今回は、自宅売却の際に頼りになる「3000万円特別控除」と「10年超所有軽減税率の特例」について解説しました。

  • 3000万円特別控除は、所有期間に関わらず、譲渡所得から最大3,000万円を引ける強力な特例です。
  • 10年超所有軽減税率の特例は、所有期間が10年を超える場合に、税率そのものを低くしてくれる特例です。
  • この2つの特例は併用することができ、組み合わせることで絶大な節税効果を発揮します。

これらの特例を受けるためには、ご自身で確定申告を行う必要があります。自動的に適用されるわけではないので、忘れないようにしましょう。要件が少し複雑なので、ご自身の状況で適用できるか不安な場合は、税務署や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。大切な資産を守るためにも、制度を正しく理解して、賢く活用してくださいね。

【参考文献】
国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例
国税庁 No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例

自宅売却の税金対策!3,000万円控除と軽減税率のよくある質問まとめ

Q. 自宅売却時の「3,000万円特別控除」と「軽減税率の特例」の最も大きな違いは何ですか?

A. 「3,000万円特別控除」は売却益から最大3,000万円を差し引く『控除』の制度です。一方、「軽減税率の特例」は、控除をしても残った利益にかかる『税率』を低くする制度です。控除額そのものが違うのではなく、税金の計算段階で適用される場所が異なります。

Q. 「3,000万円特別控除」と「軽減税率の特例」は一緒に使えますか?

A. はい、要件を満たせば併用できます。まず「3,000万円特別控除」を適用し、それでも利益が残る場合に、その残った利益に対して「軽減税率の特例」を適用するという順番で計算します。

Q. 適用に必要な家の所有期間に違いはありますか?

A. はい、大きな違いがあります。「3,000万円特別控除」には所有期間の長さの要件はありません。しかし、「軽減税率の特例」を適用するには、売却した年の1月1日時点で、家と土地の所有期間が共に10年を超えている必要があります。

Q. 売却益が3,000万円以下の場合、軽減税率の特例は関係ありますか?

A. いいえ、関係ありません。売却益が3,000万円以下であれば、「3,000万円特別控除」だけで利益が0円になり、所得税・住民税はかからなくなります。そのため、軽減税率を適用する場面はありません。

Q. どちらの特例も、住まなくなってから売却しても使えますか?

A. はい、どちらの特例も住まなくなった日から3年後の年末までに売却すれば適用対象になります。ただし、その家を賃貸に出すなど、他の用途で使っていた場合は適用できなくなるため注意が必要です。

Q. 手続きはどのように行いますか?

A. どちらの特例も、家を売却した翌年に確定申告を行う必要があります。確定申告書に特例の適用を受ける旨を記載し、譲渡所得の内訳書などの必要書類を添付して税務署に提出します。併用する場合も一度の確定申告で手続きできます。

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