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親からの借入で贈与税!?契約書など必要な書類を分かりやすく解説

2025-10-17
目次

ご両親からお金を借りることは、人生の様々な場面で助けになることがありますよね。ですが、親子間だからといって口約束だけで済ませてしまうと、後から税務署に「贈与」と判断され、思わぬ贈与税がかかってしまう可能性があります。そうならないために、きちんと「借金である」ことを証明する書類を準備することがとても大切です。この記事では、親から借入を行う際に必要な書類や、契約書の作り方のポイントを分かりやすく解説します。

親からの借入が「贈与」とみなされるケースとは?

税務署は、親子間のお金の移動について、それが「贈与」なのか「貸し借り」なのかを厳しく見ています。もし「贈与」と判断されてしまうと、年間110万円の基礎控除額を超えた部分に贈与税が課税されます。では、どのような場合に贈与とみなされてしまうのでしょうか。

契約書がなく、貸し借りの事実を証明できない

最も多いのが、口約束だけでお金のやり取りをしてしまうケースです。親子間ではつい「言わなくても分かる」と思ってしまいがちですが、第三者である税務署には通用しません。「お金を貸した、借りた」という客観的な証拠がなければ、それは贈与と判断されても仕方がないのです。そのため、法的な効力を持つ契約書の存在が不可欠になります。

返済の事実が客観的に確認できない

契約書を作ったとしても、実際に返済が行われていなければ意味がありません。特に、手渡しでの返済は証拠が残らないため、避けるべきです。税務署から見れば、返済の実態が確認できなければ、それは「返済するつもりのないお金=贈与」と見なされてしまいます。いつ、誰から誰へ、いくら返済されたのかが明確に分かる形で記録を残すことが重要です。

返済計画が非現実的

「ある時払いの催促なし」「出世払い」といった返済の約束は、貸し借りとは認められません。また、借りた側の収入に対して返済額があまりにも高額であるなど、明らかに返済が不可能だと思われる計画も贈与と見なされる原因になります。返済能力に見合った、現実的な返済計画を立てることが、貸し借りであることの信憑性を高めます。

贈与税を回避!親からの借入で作成すべき書類

親子間の借入を「贈与」ではなく、きちんと「借入」として認めてもらうためには、証拠となる書類をしっかりと作成する必要があります。最低限、以下の2つは必ず準備しましょう。

金銭消費貸借契約書

「金銭消費貸借契約書(きんせんしょうひたいしゃくけいやくしょ)」は、お金の貸し借りを証明するための最も重要な書類です。この契約書があることで、当事者間でお金を貸し借りしたという合意があったことを客観的に証明できます。誰が、いつ、いくら借りて、どのような条件で返済していくのかを明確に記載します。

返済を証明する記録(銀行通帳など)

契約書通りに返済していることを証明するために、証拠が残る方法で返済することが大切です。最も良い方法は、銀行振込です。毎月、決まった日に、決まった金額を親の口座に振り込むことで、通帳に「〇月〇日 AからBへ 〇円」という記録が明確に残ります。この通帳の記録が、契約通りに返済を履行している何よりの証拠となります。

【重要】金銭消費貸借契約書に記載すべき項目

金銭消費貸借契約書は、ただ作れば良いというわけではありません。税務署にきちんと認めてもらうためには、記載すべき項目がいくつかあります。以下の項目は必ず盛り込むようにしましょう。

記載すべき項目 ポイント
契約日 実際にお金の受け渡しがある日より前の日付で作成します。
貸主と借主の氏名・住所 親子それぞれのフルネームと住所を正確に記載します。
借入金額 借りる金額を正確に記載します。改ざん防止のために漢数字(大字)も併記するとより丁寧です。例:金1,000,000円也
利息(利率) 無利子ではなく、市場の金利を参考に適正な利率(例:年1.0%程度)を設定することが望ましいです。
返済方法 「毎月末日までに貸主指定の銀行口座に振り込む」など、具体的に記載します。
返済期間・返済期日 「令和〇年〇月から令和〇年〇月まで、毎月〇円ずつ返済する」のように、期間と毎月の返済額を明記します。
遅延損害金 返済が遅れた場合のペナルティを定めておくことで、契約の信憑性が高まります。
署名・捺印 貸主・借主それぞれが自筆で署名し、実印で捺印するのが理想です。

利息(利率)はなぜ必要なの?

親子間だと「利息はなしでいいよ」となりがちですが、税法上、無利子での貸し借りは「利息分に相当する利益を贈与された」と見なされる可能性があります。 zwar 親子間の貸し借りでは利息を取らないことも多いですが、税務署からの指摘を避けるためには、たとえ少額でも利息を設定しておくのが安全です。市場の金利(例えば、銀行の貸付利率などを参考に年1.0%程度)を参考に、親子で話し合って決めましょう。

返済方法と返済期間は具体的に

返済計画は、誰が見ても分かるように具体的かつ現実的に設定することが重要です。「毎月3万円を、5年間かけて返済する」というように、毎月の返済額と総返済期間を明確にしましょう。借りる側の収入や生活状況を考慮し、無理なく返済を続けられる計画を立てることが、貸し借りの実態を証明する上で非常に大切になります。

契約書作成時の注意点

契約書の内容だけでなく、作成のプロセスにもいくつか注意点があります。これらを押さえることで、より確実な証拠となります。

契約書は借入前に作成する

お金の受け渡しが終わった後に慌てて契約書を作成すると、「税務署に指摘されたから後付けで作ったのではないか」と疑われる可能性があります。必ず、実際にお金を借りる日よりも前に契約書を作成し、契約を締結しておきましょう。

収入印紙を貼る

金銭消費貸借契約書は、印紙税法上の課税文書にあたるため、借入金額に応じた収入印紙を貼付し、消印を押す必要があります。収入印紙は郵便局やコンビニで購入できます。印紙を貼って消印をすることで、その契約書がその時点で存在していたことの間接的な証明にもなります。

契約金額 印紙税額
1万円未満 非課税
10万円以下 200円
10万円を超え50万円以下 400円
50万円を超え100万円以下 1,000円
100万円を超え500万円以下 2,000円

公正証書にするメリット

必須ではありませんが、作成した契約書を公証役場に持ち込み、「公正証書」にしておくという方法もあります。公正証書は、公証人が作成に関与するため、非常に高い証明力を持ちます。特に借入金額が高額になる場合や、将来の相続トラブルを避けたい場合には有効な手段です。ただし、作成には手数料がかかります。

親からの借入Q&A

ここでは、親からお金を借りる際によくある質問にお答えします。

住宅ローンの頭金として親から借りる場合は?

住宅ローンの頭金を親から借りる場合も、同様に金銭消費貸借契約書を作成し、返済実績を残すことが重要です。なお、この借入は金融機関の住宅ローン審査の際に「既存の借入」として申告する必要があります。隠していると契約違反になる可能性があるので注意しましょう。ちなみに、一定の要件を満たせば贈与税が非課税になる「住宅取得等資金の贈与の特例」という制度もありますので、贈与を受ける選択肢も合わせて検討すると良いでしょう。

返済途中で親が亡くなったらどうなる?

返済途中で貸主である親が亡くなった場合、その貸付金(あなたにとっては借金)は親の相続財産となります。あなたが相続人の一人である場合、その借金も相続することになります。他の相続人がいる場合は、その借金を誰が相続するのか、遺産分割協議で話し合う必要があります。あなたの借金が相続財産に含まれることで、他の相続人との間で不公平が生じないよう、きちんと話し合いましょう。

契約書があれば絶対に贈与税はかからない?

残念ながら、契約書さえあれば100%安心というわけではありません。最も重要なのは「契約書通りの返済が実行されているか」という実態です。契約書を作成しても、全く返済が行われていなかったり、返済が途中で止まってしまったりすれば、それは贈与とみなされる可能性が高くなります。契約書はあくまでスタートラインであり、計画通りの返済を続けることが何よりも大切です。

まとめ

親からの借入は、家族の温かい支援ですが、税金の面では注意が必要です。後々のトラブルを避けるためにも、以下のポイントを必ず守りましょう。

  • 親子間であっても「金銭消費貸借契約書」を必ず作成する。
  • 契約書には、借入額、利率、返済方法、返済期間を具体的に明記する。
  • 返済は手渡しではなく、記録が残る「銀行振込」で行う。
  • 契約書通りの返済を、計画的に継続する。

これらの手続きをきちんと行うことで、贈与税のリスクを回避できるだけでなく、親子間の信頼関係を保つことにも繋がります。大切な家族との間で不要なトラブルが起きないよう、しっかりと準備を進めてくださいね。

参考文献

親からの借入に関するよくある質問

Q.そもそも、親からお金を借りるのに書類は必要ですか?

A.はい、必要です。口約束だけだと、税務署から「贈与」とみなされ、贈与税が課されるリスクがあります。金銭消費貸借契約書(借用書)を作成しましょう。

Q.どんな書類を作成すれば良いですか?

A.「金銭消費貸借契約書(借用書)」を作成するのが一般的です。借入額、返済期間、返済方法、金利などを明記し、貸主(親)と借主(子)が署名・捺印します。

Q.借用書に記載すべき項目は何ですか?

A.最低限、①契約日、②借入額、③返済方法(毎月の返済額、返済日など)、④返済期間、⑤金利、⑥貸主と借主の氏名・住所・署名・捺印が必要です。

Q.親子間の借入でも金利は必要ですか?

A.無利子でも問題ありませんが、贈与とみなされるリスクを避けるためには、わずかでも金利を設定することが推奨されます。市場の金利を参考に、適切な利率を設定しましょう。

Q.借用書に収入印紙は必要ですか?

A.はい、契約書に記載された借入額に応じて収入印紙の貼付が必要です。例えば、1万円以上100万円以下なら200円、100万円超500万円以下なら2,000円の収入印紙を貼り、消印を押します。

Q.返済はどのように行えば証拠が残りますか?

A.贈与と疑われないよう、返済の事実が客観的にわかる形で記録を残すことが重要です。手渡しではなく、銀行振込を利用し、通帳に記録が残るようにしましょう。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
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電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

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