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調整対象固定資産とは?消費税の3年縛りや影響を優しく解説

2024-12-28
目次

事業で使う車や機械など、少し高価な買い物をしたときに知っておきたいのが「調整対象固定資産」という言葉です。なんだか難しそうに聞こえますが、消費税の納税額に関わる大切なルールなんですよ。もし、知らずに進めてしまうと、後から思わぬ税金が発生してしまう可能性もあります。この記事では、調整対象固定資産とは何か、どんな影響があるのか、そしてよく似た「高額特定資産」との違いについて、一つひとつ丁寧に解説していきますね。

調整対象固定資産とは?

まずは、「調整対象固定資産」がどんなものなのか、基本から見ていきましょう。簡単に言うと、「税抜100万円以上の特定の事業用資産」のことです。事業で長く使うことを目的とした比較的高価な資産が対象になります。

調整対象固定資産の具体的な範囲

調整対象固定資産に当てはまるのは、建物や機械、車両といった資産で、一つの取引単位で税抜100万円以上のものを指します。具体的には、下の表のような資産が該当します。ただし、販売目的で仕入れた商品などの「棚卸資産」は含まれないので注意してくださいね。

対象となる資産の例 建物、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権など
対象とならない資産の例 棚卸資産(販売用の商品など)、土地、税抜100万円未満の資産

例えば、300万円の社用車を購入した場合は調整対象固定資産に該当しますが、販売するために仕入れた500万円の中古車は棚卸資産なので該当しません。

なぜ「調整」が必要なの?

固定資産は、一度購入すると何年にもわたって事業で使われますよね。消費税の計算では、資産を買ったときに支払った消費税を、その年の売上から預かった消費税から差し引くことができます。これを「仕入税額控除」といいます。
しかし、固定資産を買った年と、その後の年とで、消費税がかかる売上(課税売上)の割合が大きく変わることがあります。もし購入した年だけの状況で仕入税額控除の金額を決めてしまうと、長期的な事業の実態とズレが生じてしまいます。そのズレを後から正しく直す、つまり「調整」するために、この制度があるんです。

調整対象固定資産を取得した場合の2つの大きな影響

調整対象固定資産を取得すると、消費税の申告において主に2つの大きな影響があります。どちらも将来の納税額や事業計画に関わる重要なポイントなので、しっかり押さえておきましょう。

仕入税額控除の調整が必要になるケース

調整対象固定資産を取得してから3年以内に、特定の状況に変化があった場合、一度計算した仕入税額控除の金額を見直す(調整する)必要が出てきます。具体的には、次の2つのケースが挙げられます。

  1. 課税売上割合が著しく変動した場合
  2. 資産の使いみちを「転用」した場合

これらのケースについては、後ほど詳しくご説明しますね。

3年間は免税事業者や簡易課税になれない「3年縛り」

もう一つの大きな影響が、いわゆる「3年縛り」です。特定の事業者が調整対象固定資産を取得した場合、その資産を取得した課税期間から3年間は、消費税の納税が免除される「免税事業者」になることや、計算が簡単になる「簡易課税制度」を選ぶことができなくなります。
これは、高額な資産を買って消費税の還付を受けた直後に免税事業者になる、といった税負担を不当に回避する行為を防ぐためのルールです。つまり、3年間は原則的な方法(一般課税)で消費税を計算し、納税し続けることが強制されるということなんです。

ケース1:課税売上割合が著しく変動した場合の調整

それでは、仕入税額控除の調整が必要になる一つ目のケース「課税売上割合が著しく変動した場合」について見ていきましょう。これは、資産を取得した後の事業内容の変化によって、納税額が変わる可能性があるというお話です。

「課税売上割合が著しく変動」とは?

「課税売上割合」とは、全体の売上のうち、消費税がかかる売上がどれくらいの割合を占めるかを示す数値です。この割合が、資産を取得した年度と、その後の3年間の平均(通算課税売上割合)とを比べたときに、「50%以上」変動し、かつ「5%以上」の差がある場合に「著しく変動した」と判断されます。

調整が必要になる3つの要件

この調整を行うには、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。

要件1 調整対象固定資産を取得した課税期間に、仕入税額控除を「一括比例配分方式」または「個別対応方式(共通対応分)」で計算していること。
要件2 取得から3年目の課税期間の最終日に、その調整対象固定資産を保有していること。
要件3 課税売上割合が「著しく変動」していること。

調整額の計算方法

3つの要件を満たした場合、3年目の課税期間で消費税額の調整を行います。

  • 通算課税売上割合が増加した場合:納税者にとって有利になるため、3年目の仕入税額控除に調整額を加算します(納税額が減ります)。
  • 通算課税売上割合が減少した場合:納税者にとって不利になるため、3年目の仕入税額控除から調整額を減算します(納税額が増えます)。

ケース2:調整対象固定資産を転用した場合の調整

次に、二つ目のケース「調整対象固定資産を転用した場合」の調整です。これは、資産の使いみちを変えたときに発生する調整です。

「転用」とはどんなこと?

ここでいう「転用」とは、調整対象固定資産を取得してから3年以内に、その使いみちを課税売上に対応する業務(課税業務用)から非課税売上に対応する業務(非課税業務用)へ、またはその逆へ変更することをいいます。
例えば、課税売上である商品販売店舗として使っていた建物を、非課税売上である居住用アパートに用途変更した場合などが該当します。

調整額の計算方法

調整する金額は、転用した時期によって変わります。早く転用するほど、調整額は大きくなります。

転用した時期 調整される金額
取得日から1年以内に転用した場合 その資産に係る消費税額の全額
取得日から1年超2年以内に転用した場合 その資産に係る消費税額の3分の2
取得日から2年超3年以内に転用した場合 その資産に係る消費税額の3分の1

課税業務用から非課税業務用へ転用した場合は仕入税額控除から減算(納税額が増加)、非課税業務用から課税業務用へ転用した場合は加算(納税額が減少)します。

要注意!「3年縛り」が適用される事業者とは?

「3年縛り」は、調整対象固定資産を取得したすべての事業者に適用されるわけではありません。対象となるのは、特定の理由で課税事業者になった方に限られます。

3年縛りの対象となる事業者

具体的には、以下のような事業者が3年縛りの対象となります。

対象となる事業者 具体的な内容
課税事業者選択届出書を提出した事業者 自らの意思で免税事業者から課税事業者になった場合。
新設法人の特例を受けている事業者 資本金1,000万円以上で設立された法人など。
特定新規設立法人の特例を受けている事業者 特定の要件を満たす、新たに設立された法人。

これらの事業者が、特例の適用期間中に調整対象固定資産を取得すると、3年間の原則課税が強制されます。

「高額特定資産」との違いは?

調整対象固定資産と非常によく似た制度に「高額特定資産」があります。こちらも3年縛りがありますが、内容が少し異なりますので、違いを理解しておくことが大切です。

項目 調整対象固定資産
金額 税抜100万円以上
対象資産 建物、機械、車両など(棚卸資産は含まない
3年縛りの対象者 課税事業者選択届出書を提出した事業者など、一部の課税事業者
項目 高額特定資産
金額 税抜1,000万円以上
対象資産 調整対象固定資産+棚卸資産
3年縛りの対象者 理由を問わず、すべての課税事業者

一番大きな違いは、高額特定資産の3年縛りは、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えて課税事業者になった方も含め、すべての課税事業者が対象になるという点です。

まとめ

今回は、調整対象固定資産について解説しました。少し複雑に感じられたかもしれませんが、ポイントをまとめると以下のようになります。

  • 調整対象固定資産は、税抜100万円以上の特定の事業用資産のこと。
  • 取得すると、その後の仕入税額控除の調整が必要になる場合がある。
  • 特定の事業者が取得すると、3年間は免税事業者や簡易課税制度を選べなくなる「3年縛り」がある。
  • 税抜1,000万円以上の資産(高額特定資産)を取得した場合は、さらに厳しいルールが適用される。

事業で大きな設備投資を検討する際には、この「調整対象固定資産」という言葉をぜひ思い出してください。購入するタイミングやその後の事業計画によって、消費税の納税額が大きく変わる可能性があります。不安な点があれば、事前に専門家に相談することをおすすめします。

参考文献

国税庁 No.6421 課税売上割合が著しく変動したときの調整

国税庁 No.6502 高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除等の特例

国税庁 No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例

調整対象固定資産のよくある質問まとめ

Q. 調整対象固定資産とは何ですか?

A. 税抜100万円以上の建物、機械、車両などの資産のことです。消費税の計算において、仕入税額控除の調整が必要になる場合があります。

Q. どんなものが調整対象固定資産に該当しますか?

A. 建物、構築物、機械装置、車両運搬具、工具器具備品などで、一つの取引単位の税抜価格が100万円以上のものが該当します。土地は非課税取引のため対象外です。

Q. なぜ消費税の調整が必要なのですか?

A. 高額な資産を購入して仕入税額控除を受けた後、すぐに免税事業者になるなどして消費税を納めなくなることを防ぐためです。公平な税負担を実現するための制度です。

Q. 調整が必要になる期間はどのくらいですか?

A. 資産を取得した課税期間の初日から3年間です。この期間を「調整期間」と呼び、この間の課税売上割合の変動などに応じて消費税額を調整します。

Q. 調整期間中に免税事業者になったらどうなりますか?

A. 調整期間中に免税事業者になった場合、または課税売上割合が著しく変動した場合は、仕入れ時に控除した消費税額の一部を、その課税期間の消費税として納付する必要があります。

Q. 100万円未満の資産は調整対象になりませんか?

A. はい、一つの取引単位の税抜価格が100万円未満の資産は、調整対象固定資産には該当しません。そのため、消費税の調整計算は不要です。

事務所概要
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