フリーランスや個人事業主としてお仕事をしていると、源泉徴収額が記載された請求書を受け取ることがありますよね。でも、もしその源泉徴収額が「あれ?なんだか違うかも…」と感じた時、どう対応すれば良いかご存知ですか?そのまま支払っていいのか、それとも連絡すべきなのか、迷ってしまうかもしれません。この記事では、請求書の源泉徴収額が誤っている場合の正しい対処法と、もし誤った金額で支払ってしまった場合の解決策を、わかりやすく解説していきますね。
請求書の源泉徴収額が誤っていたら?まずは落ち着いて対処しましょう
請求書に記載された源泉徴収額が間違っていることに気づいたら、まずは慌てずに正しい対応を取りましょう。そのままにしておくと、後々の経理処理や確定申告で混乱してしまう可能性があります。正しい手順を知っておけば、スムーズに解決できますよ。
まずは請求書の発行元に連絡する
一番初めに行うべきことは、請求書の発行元(取引先)に連絡することです。電話やメールで「お送りいただいた請求書の源泉徴収額に誤りがあるようなのですが」と丁寧に伝えましょう。どの部分がどのように違うのか、自分で計算した正しい金額も一緒に伝えると、お相手も状況を理解しやすくなります。その上で、正しい金額に修正した請求書の再発行をお願いしてください。
正しい源泉徴収税額の計算方法を確認しよう
連絡する前に、自分でも正しい源泉徴収税額を計算できると安心ですよね。源泉徴収税額は、原則として報酬の支払金額によって計算方法が変わります。この機会にしっかり覚えておきましょう。
| 支払金額(税抜) | 源泉徴収税額の計算式 |
| 100万円以下 | 支払金額 × 10.21% |
| 100万円を超える部分 | (支払金額 – 100万円)× 20.42% + 102,100円 |
この「10.21%」や「20.42%」という税率には、復興特別所得税が含まれています。計算する際は、消費税を抜いた本体価格(報酬額)で計算するのがポイントです。請求書に消費税が明記されている場合は、必ず税抜きの金額を基に計算してくださいね。
請求書を再発行してもらう際の注意点
取引先から修正された請求書が届いたら、必ず内容を再確認しましょう。源泉徴収額が正しくなっているか、合計金額に間違いはないか、しっかりチェックしてください。また、古い請求書と新しい請求書を間違えて処理しないように、古いものは破棄するか、「再発行分」と明確にわかるようにしておくことが大切です。請求書番号などが新しくなっている場合もあるので、その点も確認しておくと経理処理がスムーズに進みます。
誤った源泉徴収額のまま支払ってしまったらどうなる?
「うっかり気づかずに、間違った金額で支払ってしまった…」そんな時も大丈夫です。気づいた時点ですぐに対応すれば問題ありません。源泉徴収税額を「多く」控除した場合と、「少なく」控除した場合で少し対応が変わります。
源泉徴収税額を【多く】控除して支払った場合
これは、本来よりも税金を多く天引きされてしまい、受け取った金額が少なくなっている状態です。この場合は、まず取引先に連絡し、状況を説明しましょう。そして、多く控除されてしまった差額分を、追加で支払ってもらうようにお願いしてください。取引先が税務署に納税する前であれば、社内での調整で対応してもらえることがほとんどです。
源泉徴収税額を【少なく】控除して支払った場合
こちらは、本来よりも税金の天引きが少なく、受け取った金額が多くなっている状態です。この場合も、すぐに取引先に連絡し、多く受け取ってしまった差額分を返金する旨を伝えましょう。返金方法については、相手方の指示に従ってください。そのままにしておくと、後から「返してください」と言われてトラブルになったり、確定申告の際に計算が合わなくなったりする原因になります。
支払者がすでに税務署に納付してしまった後は?
取引先が誤った税額のまま税務署に納税してしまった後の対応は、少し手続きが必要になります。
多く納めすぎていた場合は、支払者(取引先)が税務署に対して「源泉所得税及び復興特別所得税の誤納額還付請求書」という書類を提出し、還付手続きを行う必要があります。この手続きを経て、後日あなたに差額が戻ってくることになります。
少なく納めていた場合は、支払者が税務署に不足分を追加で納付します。それに伴い、あなたは支払者に対して、不足していた税額分を支払う(返金する)ことになります。
そもそも、なぜ源泉徴収額の間違いが起こるの?
なぜこのような間違いが起きてしまうのでしょうか。原因を知っておくことで、自分が請求書を発行する際のミス防止にもつながります。
消費税を含んだ金額で計算している
最も多い原因の一つが、消費税を含んだ税込金額で源泉徴収税額を計算してしまうケースです。原則として、源泉徴収は税抜きの報酬額に対して行います。請求書に報酬額と消費税額がはっきりと分けられていないと、支払者が勘違いしてしまうことがあります。請求書を作成する際は、本体価格と消費税額を分けて記載することを心がけましょう。
単純な計算ミスや税率の間違い
手計算で税額を算出している場合に起こりがちなのが、単純な計算ミスです。特に、100万円を超える報酬の計算式は少し複雑なので、間違えやすいポイントです。また、復興特別所得税を含めずに10%で計算してしまうといった、税率の適用ミスも考えられます。
源泉徴収の対象外の報酬なのに徴収している
すべての報酬が源泉徴収の対象ではありません。例えば、講演料や原稿料、デザイン料などは対象ですが、商品の売買代金などは対象外です。支払者が、源泉徴収の対象となる報酬の範囲を誤解している可能性も考えられます。
支払者側(請求書を受け取る側)の対応はどうする?
今度は、あなたが支払いを行う側で、受け取った請求書の源泉徴収額が間違っていた場合の対応についても確認しておきましょう。
支払う前に気づいた場合
請求書の発行元にすぐに連絡し、源泉徴収額が誤っていることを伝えます。そして、正しい金額で計算した請求書の再発行を依頼しましょう。修正された請求書を受け取ってから、正しい金額を支払います。
誤った金額で支払い、税務署への納付前に気づいた場合
源泉所得税の納付期限(原則、支払った月の翌月10日)より前に気づいた場合は、正しい税額で税務署に納付すれば問題ありません。取引先との間では、多く払いすぎた場合は差額を返金してもらい、不足している場合は追加で支払うなどして調整します。
誤った金額で支払い、税務署への納付後に気づいた場合
納付後に間違いに気づいた場合は、税務署への手続きが必要です。
多く納付しすぎた場合は、「源泉所得税及び復興特別所得税の誤納額還付請求書」を提出して還付を受けるか、「誤納額充当届出書」を提出して翌月以降に納める税額と相殺します。
少なく納付した場合は、気づき次第、不足分を追加で納付します。この際、本来の納付期限を過ぎていると、不納付加算税や延滞税といったペナルティが課される可能性があるので、注意が必要です。
確定申告で最終的な調整はできる?
もし取引の時点での修正がうまくいかなくても、最終的には確定申告で税額を正しく調整することができますので、安心してください。
確定申告で正しい税額を申告する
確定申告は、1年間の所得とそれに対する正しい所得税額を計算し、すでに源泉徴収などで納めた税額との差額を精算する手続きです。たとえ取引の際に源泉徴収額が間違っていたとしても、確定申告では、実際に源泉徴収された税金の合計額を申告します。そして、あなたの所得全体から計算した本来納めるべき所得税額と比較し、納めすぎていれば還付され、足りなければ追加で納税することになります。
支払調書との金額が違う場合は?
1月頃になると、取引先から「支払調書」が送られてくることがあります。これは、取引先が「誰に、いくら支払って、いくら源泉徴収したか」を税務署に報告するための書類です。もし、この支払調書に記載された金額が、自分の記録と異なっている場合は、取引先に連絡して確認しましょう。確定申告自体は、支払調書ではなく、ご自身の帳簿や請求書の控えに基づいて行うのが基本です。
まとめ
請求書に記載された源泉徴収額が誤っていた場合、まずは落ち着いて請求書の発行元に連絡し、請求書の再発行を依頼するのが基本の対応です。もし誤った金額で支払ってしまっても、支払者と連携して修正することができますし、最終的には確定申告で正しい税額に調整されます。しかし、日々の取引で正確な処理を心がけることが、後々の手間を減らし、取引先との信頼関係を保つことにも繋がります。請求書を受け取った際、また発行する際には、源泉徴収額が正しく計算されているか、一度確認する習慣をつけておくと安心ですね。
参考文献
国税庁: No.2506 源泉所得税及び復興特別所得税を納め過ぎたとき
源泉徴収額のよくある質問まとめ
Q. 請求書の源泉徴収額が間違っていました。どうすればいいですか?
A. まずは請求書の発行元に連絡し、誤りを伝えて正しい請求書の再発行を依頼してください。
Q. 間違った源泉徴収額を引かれた金額が振り込まれました。どうなりますか?
A. 支払者に連絡し、差額の調整(追加支払いや返金)を依頼してください。最終的には確定申告で正しい税額に精算されます。
Q. 源泉徴収の正しい計算方法を教えてください。
A. 100万円以下の報酬は「報酬額×10.21%」、100万円を超える部分は「(報酬額-100万円)×20.42% + 102,100円」で計算します。
Q. 源泉徴収額の間違いは、支払者と受取人のどちらの責任ですか?
A. 源泉徴収を行い、国に納税する義務は支払者にあります。そのため、最終的な責任は支払者にあります。
Q. 確定申告で調整すれば、相手に連絡しなくても良いですか?
A. 最終的には確定申’
‘告で調整できますが、相手方の帳簿と金額のズレが生じ、トラブルの原因になりかねません。気づいた時点ですぐに連絡・修正するのが最善です。
Q. 誤った源泉徴収額で支払ってしまった場合、ペナルティはありますか?
A. 支払者が税額を少なく納付し、税務署からの指摘で修正した場合、不納付加算税や延滞税が課される可能性があります。速やかな自主的な修正が重要です。