賃貸併用住宅を売却して利益が出た場合、税金がいくらかかるのか心配になりますよね。結論からお伝えしますと、マイホームを売却したときに使える3000万円の特別控除は、賃貸併用住宅でも利用できます。ただし、建物全体に使えるわけではなく、ご自身が住んでいる部分と人に貸している部分で分けて計算する必要があるなど、いくつかの決まりがあります。この記事では、どのような条件で適用されるのか、具体的な計算方法や注意点について優しく分かりやすく解説していきます。
賃貸併用住宅の売却で3000万円控除は使えるの?
賃貸併用住宅は、1つの建物の中に自分たちが住む自宅スペースと、他人に貸し出す賃貸スペースが混ざっている建物のことです。このような住宅を売却した際に、税金を減らせる制度がどのように適用されるのかを見ていきましょう。
| スペースの種類 | 3000万円控除の適用 |
|---|---|
| 自宅部分(居住用) | 適用できる |
| 賃貸部分(事業用) | 適用できない |
自宅部分のみ適用可能
3000万円の特別控除は、あくまでご自身が生活の拠点として住んでいるマイホームを売却したときの税金負担を減らすための制度です。そのため、賃貸併用住宅を売却した場合は、ご自身が住んでいる自宅部分の面積に対してのみ特例を使うことができます。例えば、建物の面積の50%が自宅であれば、売却して得た利益の50%部分に対して最大3000万円まで税金をゼロにすることが可能です。
賃貸部分には適用できない
人に貸して家賃収入を得ている賃貸スペースは、事業用として扱われるため、マイホーム向けの特別控除は使えません。この部分で出た利益に対しては、所有期間が5年を超える場合は20.315%、5年以下の場合は39.63%の税率で譲渡所得税を支払う必要があります。
居住用部分が90%以上なら全体に適用できる
例外として、建物の床面積のうち、ご自身が住んでいる自宅部分が90%以上を占めている場合は、建物全体をご自身のマイホームとして扱うことができます。この場合、わずかな賃貸部分も含めて、得た利益全体から最大3000万円を差し引くことが認められています。
3000万円特別控除を受けるための具体的な要件
この特例を利用するためには、税務署が定めた複数のルールを満たす必要があります。代表的な要件を確認しておきましょう。
| 確認するポイント | 要件の内容 |
|---|---|
| 売却の期限 | 住まなくなった日から3年目の12月31日まで |
| 売却する相手 | 親族などの特別な関係者ではないこと |
| 過去の利用履歴 | 過去2年間に同特例を利用していないこと |
住まなくなった日から3年目の12月31日までに売却する
すでに引っ越しをして建物が空き家になっている場合、住まなくなった日から3年目を迎える年の12月31日までに売買契約と引き渡しを完了させる必要があります。期限を1日でも過ぎてしまうと特例が使えなくなり、多額の税金がかかる恐れがあるため注意しましょう。
親族や特別な関係者への売却ではないこと
売却するお相手が、配偶者や親、子ども、同居している親族、あるいはご自身が経営する会社などの場合、この特例は使えません。全く関係のない第三者に、適切な市場価格で売却することが条件となります。
過去2年間に同じ特例を受けていないこと
不動産を売却した年の前年、および前々年に、この特別控除やマイホームの買い替え特例などを利用していないことが求められます。3年に1度しか使えない制度ですので、過去に不動産を売却したことがある方は申告履歴を確認してみてください。
賃貸併用住宅を売却したときの税金計算方法
賃貸併用住宅の売却では、自宅部分と賃貸部分の計算をしっかりと分ける作業が必要になります。その手順を順番に見ていきましょう。
| 分ける必要がある項目 | 計算の基準 |
|---|---|
| 売却価格や譲渡費用 | 建物の床面積の割合 |
| 購入時の取得費 | 建物の床面積の割合 |
面積で自宅と賃貸の割合を分ける
まずは建物の床面積の合計から、ご自身が住んでいる部分と人に貸している部分の割合を正確に出します。例えば、建物全体の床面積が100平方メートルで、自宅部分が60平方メートルなら、自宅の割合は60%、賃貸の割合は40%となります。
取得費や譲渡費用も面積割合で計算する
次に、売却価格だけでなく、購入当時の価格から建物の減価償却費を引いた「取得費」や、不動産会社に支払った仲介手数料などの「譲渡費用」も、先ほど算出した60%と40%の割合で分けます。そのうえで、自宅部分となる60%の利益からのみ、最大3000万円を差し引いて税額を算出します。
賃貸併用住宅の売却で併用できる特例・できない特例
不動産を売却する際には、さまざまな税金の優遇制度があります。同時に使えるものと使えないものがありますので、しっかり整理しておきましょう。
| 特例の種類 | 3000万円控除との併用 |
|---|---|
| 10年超所有の軽減税率の特例 | 併用できる |
| 特定の事業用資産の買換え特例 | 部分ごとに併用できる |
| 新居の住宅ローン控除 | 併用できない |
10年超所有軽減税率の特例とは併用できる
マイホームを10年を超えて所有していた場合、利益のうち6000万円以下の部分にかかる税率が、通常時の20.315%から14.21%へと引き下がる軽減税率の特例があります。この制度は、ご自宅部分の3000万円の特別控除と同時に使うことができますので、より大きく税金を減らすことが可能です。
特定の事業用資産の買換え特例と併用できる
人に貸している賃貸部分は事業用資産となるため、売却して新しく賃貸用のアパートなどを買い替える場合は、特定の事業用資産の買換え特例を利用して税金の支払いを将来へ先送りすることができます。同じ建物内であっても、自宅部分には3000万円控除、賃貸部分には買換え特例というように、別々に適用させることが認められています。
新居の住宅ローン控除とは併用できない
賃貸併用住宅を売却した後に新しいマイホームを購入し、そこで住宅ローン控除を受けようとする場合、売却時の特別控除とは同時に利用できません。売却による利益が少なく税金があまりかからないなら住宅ローン控除を選ぶなど、ご自身の状況に合わせてどちらが有利になるか計算して比較する必要があります。
まとめ
賃貸併用住宅を売却した際は、建物全体をひとつとして扱うのではなく、自宅部分と賃貸部分を面積で分けて計算することが最も重要です。ご自身が住んでいた自宅部分には3000万円の特別控除を使って税金をゼロに近づけ、賃貸部分には事業用の特例を検討するなど、それぞれの特性に合った制度を活用しましょう。特例を受けるためには必ず確定申告が必要になりますので、売買契約書や購入時の資料などを早めに手元に揃えて準備を進めてくださいね。
参考文献
賃貸併用住宅の売却のよくある質問まとめ
Q.賃貸併用住宅を売却したとき、3000万円控除は建物全体に使えますか?
A.原則として、ご自身が住んでいる自宅部分のみに適用されます。ただし、自宅部分の面積が建物全体の90%以上を占める場合は、例外的に建物全体を自宅とみなして3000万円控除を適用することができます。
Q.自宅と賃貸部分の割合はどのように計算しますか?
A.建物の床面積の割合をもとに計算します。例えば、建物全体の床面積が200平方メートルで、そのうち自宅部分が100平方メートルの場合、売却で得た利益の50%が3000万円控除の対象となります。
Q.賃貸併用住宅の売却で、事業用資産の買換え特例は併用できますか?
A.はい、併用可能です。自宅部分については3000万円の特別控除を使い、人に貸している賃貸部分については特定の事業用資産の買換え特例を使うというように、それぞれの部分で別々の特例を利用することが認められています。
Q.住まなくなってから何年以内に売却すれば控除を受けられますか?
A.引っ越しをして住まなくなった日から3年目を迎える年の12月31日までに売却を完了すれば、3000万円の特別控除を受けられます。期限を過ぎると特例が使えなくなるため、早めの準備が必要です。
Q.売却後に新居を購入して住宅ローン控除を受けることはできますか?
A.3000万円の特別控除と、新居での住宅ローン控除は同時に利用することができません。売却の利益が大きく税金が高くなる場合は3000万円控除を、新居の借入額が大きい場合は住宅ローン控除を選ぶなど、どちらが有利か計算して比較することをおすすめします。
Q.親や子どもに賃貸併用住宅を売却しても控除は使えますか?
A.配偶者や親、子ども、同居している親族など、特別な関係にある人への売却では3000万円の特別控除を使うことはできません。第三者への売却であることが特例を利用する条件となります。