税理士法人プライムパートナーズ

資本金50百万円の減資で均等割はどうなる?振替と欠損填補を解説

2025-12-04
目次

会社の決算書を見直していると、利益剰余金が大きなマイナスになっており、財務状況の改善を検討されることがあると思います。とくに資本金が50百万円、利益剰余金がマイナス50百万円といったケースでは、無償減資を行ってマイナスを消す方法がよく選ばれます。その際、単に資本剰余金へ振り替える場合と、赤字と相殺する欠損填補を行う場合とで、法人住民税の均等割にどのような違いが生じるのでしょうか。ここでは、具体的な金額を交えながら優しく詳しく解説していきます。

均等割と資本金等の額の基本的な仕組み

会社が赤字であっても納付しなければならない税金について、まずは基本的なルールを確認しておきましょう。

法人住民税の均等割とは?

法人住民税の均等割は、法人がその地域に事務所を構えていることで生じる行政サービスへの負担金として、利益の有無に関わらず課税される地方税です。この均等割の金額を決めるベースとなるのが資本金等の額と、従業員の人数です。資本金等の額が大きいほど、均等割の負担も重くなる仕組みになっています。

資本金等の額の規模 均等割の目安額(東京都・従業員50人以下の場合)
1,000万円以下 70,000円
1,000万円超 1億円以下 180,000円

均等割の基準となる資本金等の額の計算方法

均等割の判定に使われる金額は、法人税法上の資本金等の額をベースにして計算されます。これは、株主から出資された金額の合計などを意味しますが、会社法上の資本金とは必ずしも一致しません。税務上独自の計算ルールがあるため、帳簿上の資本金を減らしたからといって、すぐに税金の判定額が下がるわけではない点に注意が必要です。

平成27年度税制改正による無償減資の取り扱い変更

以前は、帳簿上で資本金を減らす無償減資を行っても、税務上の資本金等の額は変わらず、均等割を下げることはできませんでした。しかし、平成27年度の税制改正により、過去の赤字を埋める欠損填補の手続きを正しく行えば、その填補に充てた金額を資本金等の額から差し引くことができるようになりました。

資本金50百万円から減資する具体的なケース

それでは、資本金が50百万円、利益剰余金がマイナス50百万円の会社が、資本金を40百万円減資して資本金10百万円にする場面を想定して比較してみましょう。

利益剰余金がマイナス50百万円の現状

現状では、会社に50百万円の赤字が累積しています。このままでは銀行などの金融機関からの見栄えも悪いため、資本金50百万円のうち40百万円を取り崩して、なんとか財務を綺麗にしたいと考える状況です。この時点での均等割の基準額は、そのまま50百万円となります。

減資して資本剰余金へ振り替えた場合

まず、資本金を40百万円減少し、そのままその他資本剰余金という項目に振り替えて終わらせたケースです。この場合、単に純資産の項目間で数字が移動しただけで、税制改正で認められた減算の条件を満たしていません。法人税法上の資本金等の額は50百万円のままであり、会社法上の資本金等(10百万円)と比較しても大きい方の50百万円が均等割の基準として採用されるため、均等割の税額はまったく下がりません。

項目 判定される金額
会社法上の資本金+資本準備金 10百万円
均等割の基準となる資本金等の額 50百万円

減資して欠損填補を行った場合

次に、資本金を40百万円減少し、その他資本剰余金とした後、その40百万円をマイナス50百万円の利益剰余金と相殺(欠損填補)したケースです。この手続きを行うと、欠損填補に充てた40百万円を法人税法上の資本金等の額(50百万円)から差し引くことができます。その結果、地方税の計算上の資本金等の額は10百万円となります。会社法上の金額(10百万円)と比較しても10百万円となるため、均等割の税率区分が下がり、大幅な節税につながります。

項目 判定される金額
会社法上の資本金+資本準備金 10百万円
均等割の基準となる資本金等の額 10百万円

減資と欠損填補の税務上の手続きと注意点

均等割の引き下げを成功させるためには、会社法に基づいた適切な手順を踏むことと、税務署や自治体への正しい申告が不可欠です。

欠損填補に充てるための要件と期限

平成18年5月1日以後に実施する減資の場合、大きな条件があります。それは、資本金を減らしてその他資本剰余金として計上してから、必ず1年以内に利益剰余金のマイナスを埋める損失の填補に充てなければならないという点です。期間が空いてしまうと減算が認められなくなってしまいます。

申告書に添付すべき必要な証明書類

税務申告の際には、無償減資と欠損填補を行った事実を証明する書類を提出しなければなりません。具体的には、株主総会議事録、株主資本等変動計算書、債権者に対する異議申立の公告が行われた官報の抜粋などを法人住民税の申告書に添付する必要があります。

法人税と地方税での取り扱いの違い

この無償減資による減算のルールは、あくまで地方税である法人住民税の均等割を計算するための特例です。法人税を計算する上での資本金等の額からは差し引かれません。そのため、申告書を作成する際は、国税用と地方税用で金額の調整が異なる点に気を付ける必要があります。

合併など組織再編が絡む場合の落とし穴

将来的にグループ会社と合併する予定がある場合などは、せっかくの節税効果が消滅してしまうことがあるため、実施のタイミングに注意が必要です。

適格合併を行う際の均等割の注意点

もし会社を立て直すために、親会社などの別の会社に吸収合併されることになったとします。このとき、合併前の法人が均等割を下げるために行っていた欠損填補の効果は、合併後の親会社には引き継がれません。合併後の会社の均等割は、減算前の金額をベースに計算されることになります。

被合併法人が過去に行った欠損填補の引き継ぎ

税務当局の見解においても、吸収されて消滅する被合併法人が過去に行った無償減資による欠損填補額は、合併法人の資本金等の額から控除することはできないと明記されています。合併を視野に入れている場合は、減資手続きを合併後に行うなどのスケジュール調整が必要です。

無償増資を行った場合の均等割への影響

減資によって均等割が下がる仕組みがある一方で、過去に利益を資本に組み入れる無償増資を行ったことがある会社は、逆に均等割が上がるケースがあります。

利益剰余金の資本組み入れによる加算調整

平成22年4月1日以後に、利益準備金やその他利益剰余金を取り崩して無償増資を行った場合、その増資した金額は均等割の基準となる資本金等の額に加算しなければならないというルールがあります。これにより税率区分が上がり、思わぬ税負担の増加を招くことがあるため、過去の資本異動には注意してください。

まとめ

資本金50百万円、利益剰余金マイナス50百万円の会社が資本金を減少させる場合、単に資本剰余金へ振り替えただけでは均等割の負担は変わりません。資本金を減少させた後、1年以内に赤字の補填に充てる欠損填補の手続きを行い、必要な証明書類を添付して申告することで、初めて資本金等の額が下がり、均等割を節税することができます。手続きの期限や合併時のルールに注意しながら、正しい処理を行いましょう。

参考文献

国税庁 No.5800 一定の大法人等の100%子法人等における中小企業向け特例措置の不適用について

均等割と減資に関するよくある質問まとめ

Q.均等割とはどのような税金ですか?

A.法人の利益の有無に関わらず、資本金等の額や従業員数に応じて課税される法人住民税のことです。赤字であっても支払う必要があります。

Q.無償減資とは何ですか?

A.株主に対して実際に金銭などを払い戻すことなく、帳簿上の手続きのみで資本金の額を減少させることをいいます。

Q.資本剰余金へ振り替えただけで均等割は下がりますか?

A.資本剰余金へ振り替えただけでは、税務上の資本金等の額は減少しないため、均等割は下がりません。欠損填補に充てる必要があります。

Q.欠損填補の期限はありますか?

A.はい、資本金を減少しその他資本剰余金として計上してから、1年以内に損失の填補に充てた金額のみが減算の対象となります。

Q.申告に必要な書類は何ですか?

A.株主総会議事録、株主資本等変動計算書、債権者に対する異議申立の公告の官報の抜粋など、事実関係と金額を証明する書類の添付が必要です。

Q.合併時には過去の欠損填補額を引き継げますか?

A.適格合併により被合併法人となる場合、合併前に実施した無償減資による欠損填補額は、合併法人の均等割計算において引き継ぐことはできません。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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