税理士法人プライムパートナーズ

賢く節税!事業用資産の買換特例と交換の特例をわかりやすく解説

2025-07-12
目次

事業で使っている土地や建物を売却して、新しい資産に買い換えるとき、思った以上に大きな税金がかかってしまうことがありますよね。そんなときにぜひ知っておきたいのが、「特定の事業用資産の買換えの特例」「固定資産の交換の特例」です。これらの制度を上手に活用すれば、譲渡にかかる税金の支払いを将来に繰り延べることができ、手元資金を有効に活用できます。今回は、少し複雑に感じるこれらの特例について、どんな制度なのか、どうすれば使えるのかを分かりやすくご紹介しますね。

買換資産の特例と交換の特例の基本

不動産などを売却して利益(譲渡所得)が出ると、その利益に対して所得税や住民税がかかります。しかし、事業を続けるために資産を買い換える場合、実質的には資産を継続して保有しているのと同じ状態ですよね。そこで、すぐに税金を負担しなくても済むように、特定の条件下で税金の支払いを先送りにできる制度が設けられています。それが「買換資産の特例」と「交換の特例」です。どちらも「課税の繰り延べ」制度であり、税金が免除されるわけではない、という点が大切なポイントです。

特定の事業用資産の買換えの特例とは

この特例は、個人や法人が事業で使っていた特定の資産を売却し、一定期間内に代わりの事業用資産に買い換えた場合に、譲渡益の原則80%に対する課税を将来に繰り延べることができる制度です。例えば、工場を売って新しい工場を建て替えるようなケースで活用できます。

固定資産の交換の特例とは

こちらは、個人が所有する土地と土地、建物と建物など、同じ種類の固定資産を他の人と交換した場合に、譲渡がなかったものとみなされる制度です。資産を売却するのではなく、直接交換するのが特徴で、一定の要件を満たせば、交換した時点では譲渡所得税がかかりません。

特定の事業用資産の買換えの特例【詳細解説】

事業のステップアップや効率化のために資産を買い換える際に、とても役立つ制度です。ただし、適用を受けるためにはいくつかの細かい要件をクリアする必要がありますので、一つずつ確認していきましょう。

適用を受けるための主な要件

この特例を使うには、売却する資産(譲渡資産)と購入する資産(買換資産)の両方が、定められた条件を満たしている必要があります。

項目 主な要件
譲渡資産の所有期間 譲渡した年の1月1日時点で、所有期間が10年を超えている国内の土地や建物などであること。(令和8年3月31日までの譲渡に適用)
資産の種類 譲渡資産も買換資産も事業用であること。貸駐車場やアパート経営なども事業に含まれます。
買換資産の要件 土地の場合、面積が300平方メートル以上であることなどの要件があります。
取得期間 資産を売却した年の前年、同年、翌年の3年間に買換資産を取得すること。
事業への使用 買換資産を取得した日から1年以内に事業に使うこと。
手続き 確定申告書にこの特例を受ける旨を記載し、必要書類を添付して提出することが必須です。

課税繰り延べの仕組み

この特例では、譲渡益の全額が非課税になるわけではなく、原則として20%だけが課税対象となり、残りの80%の課税が繰り延べられます。ただし、売却した金額と買い換えた金額によって計算方法が変わります。

ケース1:売却額 ≦ 購入額 の場合
例:5,000万円で売却し、6,000万円の資産に買い換えた場合
この場合、収入金額は売却額の20%である1,000万円(5,000万円×20%)として譲渡所得を計算します。残りの4,000万円部分に対応する税金は、将来その資産を売却する時まで繰り延べられます。

ケース2:売却額 > 購入額 の場合
例:5,000万円で売却し、4,000万円の資産に買い換えた場合
この場合、差額の1,000万円(5,000万円-4,000万円)はすぐに課税対象となります。さらに、購入額4,000万円の20%である800万円も課税対象です。合計1,800万円が収入金額として譲渡所得を計算することになります。

固定資産の交換の特例【詳細解説】

こちらは、現金のやり取りを伴わない「物々交換」に近い形の取引で使える特例です。適用できれば、交換の時点では課税されず、手続きも比較的シンプルです。

適用を受けるための主な要件

交換の特例にも、守らなければならないルールがあります。特に資産の種類と価格差が重要です。

項目 主な要件
資産の種類 同じ種類の資産同士の交換であること。(例:土地と土地、建物と建物)
所有期間 交換で譲渡する資産も取得する資産も、どちらも1年以上所有されていたものであること。
用途 交換で譲渡する資産は、交換の相手方が同じ用途に使うこと。
価格の差額 交換する両方の資産のうち、高い方の時価の20%以内の価格差であること。

交換差金がある場合の注意点

交換する資産の価値が完全に同じであることは稀です。そのため、価値の差を埋めるために金銭(交換差金)のやり取りが発生することがあります。交換差金を受け取った場合は、その受け取った金額分が譲渡収入となり、その部分だけが課税対象となります。逆に交換差金を支払った側は課税されません。

立体買換えの特例について

少し特殊なケースとして、「中高層耐火建築物等の建設のための買換えの特例」、通称「立体買換えの特例」というものがあります。これは、都市部の再開発などでよく使われる手法です。

例えば、自分が持っている土地をデベロッパーに譲渡し、その土地の上に建設されたマンションの一室(区分所有権)を取得するような「等価交換」のケースで適用できます。この特例を使うと、譲渡した土地の代金でマンションを取得した部分については、譲渡がなかったものとみなされ、課税が繰り延べられます。

適用されるための主な要件

立体買換えの特例を受けるには、以下のような条件があります。

  • 譲渡する資産が、三大都市圏の既成市街地など特定の区域内にあること。
  • 買い換える資産が、譲渡した土地の上に建てられた地上3階建て以上の中高層耐火共同住宅などで、取得後、自分で住むか事業に使うこと。

特例を利用する際の共通の注意点

これらの特例は非常に有利な制度ですが、利用する際にはいくつか注意すべき点があります。

あくまで「課税の繰り延べ」であること

最も重要なポイントは、税金が「免除」されるわけではないということです。特例を使って取得した資産の取得価額は、もともと持っていた資産の取得価額を引き継ぐことになります。そのため、将来その新しい資産を売却する際には、繰り延べられていた利益が上乗せされて課税されることになります。長期的に見ると、いつかは税金を支払う必要があることを覚えておきましょう。

確定申告の手続きが必須

どちらの特例も、自動的に適用されるものではありません。必ず、確定申告の際に、特例の適用を受ける旨を申告し、所定の書類を添付する必要があります。手続きを忘れてしまうと特例は受けられませんので、十分注意してください。

他の特例との併用はできない

例えば、マイホームを売却したときに使える「3,000万円の特別控除」や「軽減税率の特例」など、他の譲渡所得に関する特例とは原則として併用できません。どちらの特例が自分にとって有利かしっかり検討する必要があります。

まとめ

今回は、事業用資産の買換えや交換に使える税金の特例について解説しました。「特定の事業用資産の買換えの特例」は譲渡益の80%の課税を繰り延べ、「固定資産の交換の特例」は等価に近い交換なら譲渡がなかったものとみなされる、という点が大きなポイントです。どちらの制度も、事業の継続や発展を税制面からサポートしてくれる心強い味方です。しかし、適用要件が細かく定められており、手続きも必要です。ご自身の状況に合わせて最適な選択をするためにも、資産の売却や交換を検討する際は、事前に税務署や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

参考文献

買換資産の特例と交換の特例に関するよくある質問

Q. 買換特例や交換特例は税金が免除される制度ですか?

A. いいえ、免除ではなく「課税の繰り延べ」制度です。特例を使って取得した資産を将来売却する際に、繰り延べられた利益を含めて課税されることになります。

Q. 事業用資産の買換特例は、どんな資産でも対象になりますか?

A. いいえ、国内にある土地や建物などで、定められた組み合わせの買換えである必要があります。また、譲渡する資産は原則として所有期間が10年を超えるなどの要件を満たす必要があります。

Q. 固定資産の交換の特例で、交換する資産の価格が違っていても使えますか?

A. はい、使えます。ただし、高い方の資産の時価の20%以内に価格差が収まっている必要があります。その差額(交換差金)を受け取った場合は、その部分が課税対象となります。

Q. 特例を使うにはどんな手続きが必要ですか?

A. どちらの特例も、確定申告書に特例の適用を受ける旨を記載し、譲渡所得の内訳書など必要な書類を添付して税務署に提出する必要があります。

Q. 親族間で不動産を売買した場合でも買換特例は使えますか?

A. いいえ、親子や夫婦、生計を一つにする親族といった特別な関係がある人との間の売買では、原則としてこれらの特例は適用できません。

Q. 買い換えた資産はすぐに事業に使わないといけませんか?

A. はい、事業用資産の買換特例の場合、原則として買換資産を取得した日から1年以内に事業の用に供する必要があります。この要件を満たさないと特例は受けられません。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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