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遺産分割協議書の残高はいつ?相続発生日か協議日か徹底解説!

2025-12-07
目次

相続手続きで作成する遺産分割協議書。特に預貯金の残高を「いつの時点」の金額で書けばいいのか、迷われる方はとても多いのではないでしょうか。「相続が発生した日?」それとも「相続人みんなで話し合った日?」この基準日を間違えてしまうと、相続人の間で不公平が生まれたり、後々の手続きが滞ったりする原因にもなりかねません。この記事では、遺産分割協議書に記載する預金残高の正しい基準日と、その理由、具体的な確認方法まで分かりやすく解説していきます。

遺産分割協議書に記載する預金残高は「相続発生日」が原則

結論からお伝えしますと、遺産分割協議書や相続税申告書に記載する預貯金の残高は、被相続人(亡くなられた方)が亡くなった日、つまり「相続発生日」のものを記載するのが大原則です。相続人同士で遺産の分け方を話し合った「協議日」の残高ではありませんので、くれぐれもご注意ください。なぜなら、相続財産は、亡くなった瞬間に存在したものが対象となるからです。この基本をしっかり押さえておきましょう。

なぜ「相続発生日」の残高でなければならないの?

法律上、相続は被相続人が亡くなった瞬間に開始されます。そのため、誰がどの財産をどれだけ引き継ぐのかを決める対象となる財産は、亡くなった日の時点で全てが確定します。被相続人が亡くなった後に口座から公共料金などが引き落とされたり、利息がついたりして実際の残高が変動したとしても、遺産分割の基準となるのは、あくまで「相続発生日」の残高なのです。この基準日を統一することで、すべての相続人が公平な立場で話し合いを進めることができます。

相続発生日以降の利息や変動はどうなる?

相続発生日から遺産分割協議が成立するまでの間に発生した預金の利息も、実は遺産の一部です。これを法律上「法定果実(ほうていかじつ)」と呼びます。この利息も厳密には遺産分割の対象となりますが、通常は元本の預金を相続した人がそのまま受け取ることがほとんどです。後のトラブルを未然に防ぐため、遺産分割協議書には「下記預金およびそれに付随する利息等の一切の権利を相続する」といった一文を加えておくと、より安心です。

「協議日」の残高で記載してはいけないの?

もし協議日の残高で遺産分割協議書を作成してしまうと、相続発生日から協議日までの間にあった入出金が反映されてしまい、財産の評価が不正確になります。例えば、誰かが生活費を引き出していたり、自動引き落としがあったりすると、本来の遺産額と異なってしまいます。これは相続人間の不公平感につながり、トラブルの火種となりかねません。また、相続税の申告が必要な場合、税務署に提出する財産の評価額は相続発生日のものと定められています。そのため、手続きをスムーズに進めるためにも、必ず「相続発生日」の残高で統一しましょう。

正確な「相続発生日」の残高を調べる方法

相続発生日の正確な預金残高を確認するためには、金融機関から「残高証明書」を取得する必要があります。手元にある通帳の最終記帳額だけでは、記帳後の取引が反映されていない可能性があるため、正確な証明にはなりません。必ず残高証明書を取り寄せて、客観的な証拠として財産額を確定させましょう。

「残高証明書」の取得方法

残高証明書は、被相続人が口座を持っていた金融機関の窓口で請求することができます。請求できるのは、原則として相続人、遺言執行者、相続財産管理人などに限られます。同じ金融機関であれば、取引支店以外の最寄りの支店でも手続き可能な場合が多いです。申請してから発行までには、通常1週間から2週間ほど時間がかかるため、余裕をもって手続きを進めましょう。

残高証明書の発行に必要な書類

金融機関によって必要書類が若干異なる場合がありますが、一般的には以下の書類の提出を求められます。二度手間にならないよう、事前に金融機関のウェブサイトを確認したり、電話で問い合わせておくと安心です。

必要書類 説  明
金融機関所定の発行依頼書 窓口に備え付けられているか、ウェブサイトからダウンロードできます。
被相続人の死亡が確認できる書類 戸籍謄本や除籍謄本などが必要です。
請求者が相続人であるとわかる書類 請求者自身の戸籍謄本などです。
請求者の本人確認書類 運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど顔写真付きのものです。
請求者の実印と印鑑証明書 金融機関によっては認印で可能な場合もあります。
被相続人の通帳やキャッシュカード 口座番号を特定するために持参すると手続きがスムーズです。

発行手数料と注意点

残高証明書の発行には、1通あたり770円~1,100円程度の手数料がかかります。また、最も注意すべき点は、金融機関が口座名義人の死亡を知ると、その口座は不正な引き出しを防ぐために凍結されることです。残高証明書の請求をきっかけに凍結されることが一般的です。口座が凍結されると、入出金はもちろん、公共料金などの自動引き落としもすべてストップします。事前に引き落とし口座の変更手続きを済ませておきましょう。

定期預金の残高はどうする?経過利息も忘れずに!

相続財産に定期預金が含まれている場合は、普通預金とは別に注意すべき点があります。元本の金額だけでなく、相続発生日までに付いていた利息も大切な遺産の一部です。

「経過利息計算書」も一緒に取得しよう

定期預金の場合、残高証明書には満期前の利息が含まれず、預け入れた元本の金額しか記載されないことがほとんどです。しかし、相続財産としては、亡くなった日までに発生していた「経過利息(けいかりそく)」も計上しなければなりません。そのため、残高証明書を請求する際には、必ず「経過利息計算書」も一緒に発行してもらうよう依頼しましょう。この書類は、相続税申告の際にも必要となります。

経過利息にかかる税金

経過利息は、相続人がその定期預金を解約または満期で受け取る際に、利子所得として所得税と住民税(合計20.315%)が源泉徴収されます。ただし、相続税を計算する上での財産評価額は、この税金が引かれる前の金額(税引前経過利息額)で計算するのが原則ですので、覚えておきましょう。

遺産分割協議書への預貯金の書き方【文例】

相続発生日の残高が確定したら、いよいよ遺産分割協議書に記載します。誰が見てもどの財産か特定できるように、銀行名、支店名、預金種別、口座番号などを正確に書き記すことが非常に重要です。

金額を明記する場合の文例

相続する財産額を明確にするため、残高を具体的に記載する方法です。誰がいくら相続したかが一目で分かり、公平性を保ちやすい書き方です。

【記載例】

第〇条 相続人 山田 花子 は、以下の預貯金を相続する。
(1) 〇〇銀行 〇〇支店
種別:普通預金
口座番号:1234567
相続開始日(令和〇年〇月〇日)時点の残高:金3,543,210円

金額を明記しない場合の文例

あえて具体的な金額を記載せず、口座を特定する情報のみを記載する方法もあります。この書き方の場合、相続発生日以降に生じた利息なども含めて、その口座に関する一切の権利を相続するという意味合いになります。

【記載例】

第〇条 相続人 山田 太郎 は、被相続人 山田 一郎 名義の下記預貯金債権のすべてを相続する。
(1) △△銀行 △△支店
種別:定期預金
口座番号:7654321

こんな時どうする?

故人の口座がどこにあるか分からない場合

まずは故人のご自宅などを探し、通帳やキャッシュカード、金融機関から届いた郵便物(取引報告書や利息計算書など)がないか確認しましょう。見当たらなければ、自宅や勤務先の近隣にある金融機関の窓口で、口座の有無を調査してもらう「名寄せ」という手続きを依頼する方法もあります。ただし、各金融機関に個別に問い合わせる必要があるため、時間と手間がかかります。

協議中に残高が変動した

遺産分割の基準日は、あくまで「相続発生日」です。協議中に口座が凍結されておらず、公共料金の引き落としなどで残高が変動したとしても、遺産分割の対象となるのは相続発生日の残高です。このような残高の変動によるトラブルを避けるためにも、相続が発生したらできるだけ速やかに金融機関に死亡の事実を連絡し、口座を凍結してもらうことが重要です。

残高証明書の代わりに通帳のコピーは使える

相続人同士の話し合いであれば、お互いが納得していれば通帳のコピーで進めることも可能です。しかし、不動産の名義変更(相続登記)や金融機関での解約・払い戻し手続きでは、正式な遺産分割協議書の提出が求められます。そして、相続税申告が必要な場合は、税務署から残高証明書の提出を求められるのが一般的です。正確な財産を証明し、後の手続きを円滑に進めるためにも、残高証明書は必ず取得しておくことを強くおすすめします。

まとめ

遺産分割協議書に記載する預貯金の残高は、相続発生日(被相続人が亡くなった日)のものである、という点が最も重要なポイントです。これは、相続財産を正確に評価し、相続人間で公平に分割するため、そして相続税申告を正しく行うために欠かせません。正確な残高は、金融機関で「残高証明書」を取得して確認しましょう。手続きには戸籍謄本などの書類集めが必要で少し手間がかかりますが、将来のトラブルを避けるための大切なステップです。もし手続きに不安を感じたり、お忙しくて時間が取れなかったりする場合は、司法書士や税理士といった専門家に相談することもぜひ検討してみてください。

参考文献

国税庁「令和7年分 相続税の申告のしかた」

遺産分割協議書の残高基準日に関するよくある質問

Q.遺産分割協議書に記載する預貯金の残高は、いつの時点のものですか?

A.原則として「相続開始日(被相続人が亡くなった日)」の残高を記載します。相続税の計算もこの日の残高が基準となります。

Q.なぜ相続開始日(亡くなった日)の残高が基準になるのですか?

A.法律上、相続は被相続人が亡くなった瞬間に開始されると定められているためです。その時点で存在した財産が、相続の対象となります。

Q.相続人全員が合意すれば、協議日の残高で分割しても良いですか?

A.はい、相続人全員の合意があれば、協議日の残高を基準に分割することも可能です。ただし、相続税を申告する場合は、あくまで相続開始日の残高で計算する必要があるため注意が必要です。

Q.不動産や株式の評価はいつの時点ですか?

A.不動産や株式なども、預貯金と同様に原則として相続開始日の時価で評価します。これを基準に遺産分割の話し合いを進めます。

Q.相続開始後に発生した預金の利息はどうなりますか?

A.相続開始日以降に発生した利息は、法律上は遺産ではなく、その預金を相続した人のものとなります。ただし、これも含めて遺産として分割すると相続人全員で合意することも可能です。

Q.残高の基準日を間違えるとどうなりますか?

A.相続人間での不公平感からトラブルに発展したり、協議書が無効と判断されたりするリスクがあります。また、相続税の申告額にも影響するため、正確な基準日で記載することが重要です。

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