税理士法人プライムパートナーズ

遺言執行者が必要な人は誰?選任すべきケースと手続きをわかりやすく解説

2025-11-30
目次

遺言書を書いた、または遺言書を見つけたけれど、「遺言執行者って本当に必要なの?」「どんな人が選ぶべきなの?」と疑問に思うことはありませんか?遺言執行者は、遺言の内容をスムーズに実現するためにとても大切な役割を担います。この記事では、どんな場合に遺言執行者が必要になるのか、そしてどのような人が選任すべきなのかを、具体的なケースを交えながら優しく解説していきます。

遺言執行者とは?その大切な役割

遺言執行者とは、一言でいうと「遺言の内容を実現するための手続きを専門に行う人」のことです。故人(遺言者)の最後の意思を、その代理人として、正確かつスムーズに実行する重要な役割を担います。具体的には、相続財産の調査や管理、預貯金の解約や不動産の名義変更、財産の分配など、相続に関するあらゆる手続きを行います。相続人全員の代理人として中立的な立場で動くため、感情的な対立を避け、公平な手続きを進めることができるのです。

遺言執行者が「絶対に必要」な3つのケース

ほとんどの場合、遺言執行者の選任は任意ですが、法律上、遺言執行者でなければ手続きができないと定められているケースが3つあります。ご自身の遺言がこれらに当てはまる場合は、必ず遺言執行者を指定しておく必要があります。

遺言で「子の認知」をする場合

婚姻関係にない男女の間に生まれた子どもを、父親が自分の子であると法的に認めることを「認知」といいます。この認知を遺言書で行う場合、遺言執行者が就任から10日以内に、役所へ認知の届出を行う必要があります。これは遺言執行者だけに認められた役割であり、相続人が代わりに行うことはできません。

遺言で「相続人の廃除・廃除の取り消し」をする場合

被相続人に対して虐待や重大な侮辱などを行った相続人から、相続権を剥奪することを「相続人の廃除」といいます。遺言書でこの意思表示をする場合、遺言執行者が家庭裁判所に対して「推定相続人廃除」の申立てを行う必要があります。また、一度行った廃除を取り消す場合も同様に、遺言執行者が手続きを行います。

遺言で一般財団法人を設立する場合

遺言によって一般財団法人を設立する意思表示をする場合も、遺言執行者が必要です。遺言執行者は、遺言の内容に沿って定款を作成し、公証役場で認証を受けるなど、法人の設立に関する一連の手続きを進めることになります。

遺言執行者を選んだ方が「安心」なケース

法律上の義務はなくても、遺言執行者を選任しておくことで、相続トラブルを未然に防ぎ、手続きを円滑に進められるケースが多くあります。以下のような状況に心当たりがある方は、遺言執行者の選任を検討することをおすすめします。

相続人同士の仲が良くない・揉める可能性がある

残念ながら、相続をきっかけに関係が悪化してしまうケースは少なくありません。相続人同士の仲が良くない場合や、遺産の分け方で意見が対立しそうな場合は、第三者である遺言執行者がいることで、冷静に手続きを進められます。当事者同士で話し合うよりも、専門家が間に入ることで感情的なしこりを残さずに済むというメリットがあります。

相続財産の種類が多い・手続きが複雑

相続財産が預貯金だけでなく、不動産、株式、投資信託、ゴルフ会員権など多岐にわたる場合、それぞれの手続きは非常に複雑で手間がかかります。特に不動産の名義変更(相続登記)や、金融機関での手続きは専門的な知識も必要です。このような場合に専門家を遺言執行者に選任すれば、相続人の負担を大幅に軽減できます。

相続人以外の人に財産を遺贈したい

「お世話になった友人へ」「長年活動を支援してきたNPO法人へ」など、相続人以外の人や団体に財産を渡すこと(遺贈)を遺言に記す場合、遺言執行者の存在が非常に重要になります。遺言執行者がいれば、他の相続人の協力を得なくても、単独で不動産の名義変更などの手続きを進めることができます。もし遺言執行者がいないと、相続人全員の協力が必要となり、手続きが滞ってしまう可能性があります。

相続人がいない・遠方に住んでいる・高齢である

相続人がいない場合(おひとりさまなど)や、海外など遠方に住んでいて手続きのために何度も帰国するのが難しい場合、また相続人が高齢で複雑な手続きが負担になる場合なども、遺言執行者が頼りになります。遺言執行者がいれば、相続人に代わってすべての相続手続きを責任を持って行ってくれます。

遺言執行者は誰になれる?どうやって選ぶの?

では、具体的に誰が遺言執行者になれるのでしょうか。また、どのように選べばよいのか、その方法について見ていきましょう。

遺言執行者になれる人・なれない人

実は、未成年者と破産者を除けば、誰でも遺言執行者になることができます。信頼できる親族や友人を指定することも可能ですし、法律や税金の専門家である弁護士、司法書士、税理士、あるいは信託銀行などを指定することもできます。ただし、相続手続きは非常に専門的で責任も重いため、中立性や専門知識が求められる場合は、専門家を選ぶ方が安心です。

遺言執行者の選任方法

遺言執行者を選ぶ方法は、主に2つあります。

1. 遺言書で指定する方法
最も一般的な方法です。遺言書を作成する際に、「遺言執行者として、〇〇(氏名、住所、生年月日)を指定する」といった形で明記します。事前に指定したい人や専門家に相談し、内諾を得ておくとスムーズです。

2. 家庭裁判所に選任してもらう方法
遺言書に遺言執行者の指定がない場合や、指定された人がすでに亡くなっていたり、辞退したりした場合などは、相続人などの利害関係者が家庭裁判所に申し立てて、遺言執行者を選任してもらうことができます。申立てには、遺言書1通につき収入印紙800円分と、連絡用の郵便切手が必要になります。

遺言執行者を専門家に依頼するメリットと費用

相続を円滑に進めるために、専門家への依頼は有効な選択肢です。ここでは、そのメリットと費用の目安について解説します。

専門家に依頼するメリット

専門家を遺言執行者に指定する最大のメリットは、その専門性と中立性です。法律や税務に関する正確な知識に基づいて、煩雑な手続きを迅速かつ適切に進めてくれます。また、相続人の一人が執行者になると他の相続人から不満が出る可能性もありますが、第三者の専門家であれば公平な立場で業務を行うため、トラブル防止に繋がります。

専門家に依頼する場合の費用相場

専門家に依頼する場合、報酬が発生します。報酬額は遺産総額や手続きの複雑さによって変わりますが、一般的な目安は以下の通りです。

依頼先 報酬の目安
弁護士 30万円~120万円程度
司法書士・税理士 20万円~75万円程度
信託銀行 最低報酬額として100万円以上(別途、各種手数料がかかる場合も)

※上記はあくまで目安であり、遺産総額の1%~3%程度を基準に報酬が設定されている場合もあります。依頼する際には、必ず事前に見積もりを確認しましょう。

まとめ

遺言執行者は、子の認知や相続人の廃除など法律上「絶対に必要」なケースと、相続トラブルを避け、手続きをスムーズに進めるために「選んだ方が安心」なケースがあります。ご自身の家族関係や財産状況をふまえて、遺言執行者が必要かどうかを検討することが、故人の大切な想いを確実に実現するための第一歩です。特に相続関係が複雑な場合や、ご自身での手続きに不安を感じる方は、信頼できる専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

参考文献

裁判所「遺言執行者の選任」

遺言執行者に関するよくある質問まとめ

Q.遺言執行者は必ず必要ですか?

A.必ずしも必要ではありません。しかし、遺言の内容をスムーズに実現するため、また相続人間のトラブルを防ぐために指定しておくことを強くおすすめします。

Q.相続人の仲が悪い場合、遺言執行者はいた方がいいですか?

A.はい、強く推奨します。中立的な立場の遺言執行者が手続きを進めることで、感情的な対立を避け、公平かつ円滑に相続手続きを進めることができます。

Q.遺言で子の認知や相続人の廃除をしたい場合、遺言執行者は必要ですか?

A.はい、この場合は法律で遺言執行者を必ず定めなければならないとされています。遺言執行者だけが、子の認知の届出や相続人廃除の申し立て手続きを行うことができます。

Q.相続財産が不動産や預貯金など多岐にわたる場合、遺言執行者は必要ですか?

A.いた方が手続きが格段にスムーズになります。遺言執行者がいれば、金融機関での預貯金の解約や不動産の名義変更(登記)などを単独で行えるため、相続人全員の協力が不要になります。

Q.相続人以外の人に財産を遺贈したい場合、遺言執行者は必要ですか?

A.はい、指定しておくべきです。遺言執行者がいない場合、受遺者(財産をもらう人)と相続人全員で不動産の名義変更などの手続きを行う必要があり、協力が得られないと手続きが滞る可能性があります。

Q.遺言執行者を指定しないとどうなりますか?

A.遺言の内容によっては、相続人全員の協力がなければ手続きが進まなくなります。もし相続人間で意見が対立したり、手続きに非協力的な人がいたりすると、遺言の内容が実現できないリスクがあります。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。