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遺言書で家族の相続トラブルを回避!作成で何が変わるか徹底解説

2025-08-27
目次

「うちは家族の仲が良いから、遺言書なんて必要ない」と思っていませんか?実は、相続をきっかけに関係がこじれてしまうケースは少なくありません。大切な財産が原因で家族が争う「争族」を避けるために、遺言書はとても重要な役割を果たします。この記事では、遺言書があると何が変わり、どのようにして家族のトラブルを回避できるのかを、分かりやすくご説明しますね。

遺言書がないと、相続はどうなるの?

まず、もし遺言書がなかった場合、どのような流れで相続手続きが進むのか見ていきましょう。遺言書がない場合は、法律に基づいたルールで手続きを進めることになります。

相続人全員での「遺産分割協議」が必要に

遺言書がない場合、誰がどの財産をどれだけ受け取るのかを、相続人全員で話し合って決める必要があります。これを「遺産分割協議」と呼びます。たとえ仲の良いご家族でも、不動産や預貯金など、具体的な財産の分け方となると、それぞれの意見が食い違い、話がまとまらないことがよくあるんです。全員が納得して実印を押さない限り、預金の解約や不動産の名義変更などの手続きは一切進められません。

法律で決まった「法定相続分」が基本になる

遺産分割協議では、法律で定められた相続割合である「法定相続分」が一つの目安になります。誰が相続人になるかによって、この割合は変わってきます。

相続人の組み合わせ 法定相続分
配偶者と子 配偶者:1/2、子:1/2(子が複数いる場合は全員で1/2を均等に分ける)
配偶者と親 配偶者:2/3、親:1/3(両親ともに健在の場合は全員で1/3を均等に分ける)
配偶者と兄弟姉妹 配偶者:3/4、兄弟姉妹:1/4(兄弟姉妹が複数いる場合は全員で1/4を均等に分ける)

この法定相続分はあくまで目安であり、最終的には話し合いで決めることになりますが、この割合がトラブルの火種になることも少なくありません。

手続きが複雑で長期化しやすい

遺言書がない場合、まず誰が相続人なのかを確定させるために、亡くなった方の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を集める必要があります。さらに、すべての財産をリストアップし、評価額を算出しなければなりません。相続人が遠方に住んでいたり、連絡が取りづらかったりすると、遺産分割協議を進めるだけでも大変な時間と労力がかかってしまいます。

遺言書があると何が変わる?3つの大きなメリット

では、遺言書を準備しておくと、相続はどのように変わるのでしょうか。遺言書には、残された家族の負担を大きく減らすためのたくさんのメリットがあるんですよ。

遺産分割協議が原則不要になる

遺言書の一番大きなメリットは、原則として遺産分割協議が不要になることです。遺言書の内容は、法定相続分よりも優先されます。そのため、誰にどの財産を渡すかが明確に示されていれば、相続人同士で話し合う必要がなくなり、スムーズに手続きを進めることができます。これにより、感情的な対立や意見の食い違いによるトラブルを未然に防ぐことができるのです。

自分の意思で財産の分け方を自由に決められる

遺言書があれば、「長年連れ添った妻にすべての財産を渡したい」「事業を継いでくれる長男に会社の株式をすべて相続させたい」といったように、ご自身の意思を明確に反映させることができます。また、「お世話になった息子の嫁に感謝の気持ちとして〇〇万円を渡したい」など、法定相続人以外の人に財産を渡すこと(遺贈)も可能です。これは遺言書でしか実現できません。

相続手続きがスムーズに進む

遺言書の中で「遺言執行者」を指定しておくと、相続手続きはさらにスムーズになります。遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために、預貯金の解約や不動産の名義変更といった具体的な手続きを行う人のことです。信頼できる家族や専門家を指定しておくことで、他の相続人は煩雑な手続きに煩わされることなく、故人を偲ぶ時間に専念できます。

特に遺言書を作成した方が良い6つのケース

「うちは大丈夫」と思っていても、実は遺言書があった方が良いケースはたくさんあります。ご自身が当てはまるか、ぜひチェックしてみてください。

子供がいないご夫婦

お子さんがいないご夫婦の場合、夫が亡くなると、相続人は妻と夫の親になります。もし親がすでに亡くなっている場合は、夫の兄弟姉妹が相続人になります。つまり、妻は夫の親や兄弟姉妹と一緒に遺産分割協議をしなければなりません。関係性が良くないと話し合いが難航することも考えられます。「全財産を妻(夫)に」と考えているなら、遺言書は必須です。

再婚していて、前妻(夫)との間に子供がいる

再婚している場合、前妻(夫)との間のお子さんにも相続権があります。遺言書がないと、現在の配偶者や子供たちと、前妻(夫)との間のお子さんが一緒に遺産分割協議をすることになります。顔を合わせるのが気まずかったり、感情的なしこりがあったりすると、話し合いは非常に困難になる可能性があります。トラブルを避けるためにも、遺言書で分配方法を指定しておくことが賢明です。

相続人同士の仲が良くない、または疎遠

相続人同士の仲がもともと良くなかったり、長年連絡を取っていなかったりする場合、遺産分割協議で顔を合わせること自体が大きなストレスになります。遺言書を作成し、遺産分割協議そのものを不要にすることが、最も平和的な解決策と言えるでしょう。

個人事業主や会社経営者

事業用の資産(自社株や事業用不動産など)が相続財産に含まれる場合、遺言書がないとこれらの資産が相続人に分散してしまい、事業の継続が困難になる恐れがあります。後継者に事業用資産を集中して相続させる旨の遺言書を作成しておくことで、円滑な事業承継が可能になります。

相続させたい人が相続人以外にいる(お世話になった人など)

内縁の妻(夫)や、自分の介護を献身的にしてくれた息子の妻など、法律上の相続人ではないけれど財産を残したい人がいる場合、遺言書で「遺贈する」と記さなければ、その人に財産を渡すことはできません。感謝の気持ちを形にするためにも、遺言書は不可欠です。

特定の相続人に財産を渡したくない

様々な事情から、特定の相続人には財産を渡したくない、あるいは少なくしたいと考える場合もあるかもしれません。遺言書でその旨を明確に示しておくことで、ご自身の意思を反映させることができます。ただし、後述する「遺留分」には注意が必要です。

注意!遺言書が新たなトラブルの火種にならないために

せっかく作成した遺言書が、かえってトラブルの原因になってしまっては元も子もありません。作成する際には、いくつか注意すべき大切なポイントがあります。

法的に有効な形式で作成する

遺言書には厳格なルールがあり、これを守らないと無効になってしまいます。特に自分で書く「自筆証書遺言」は、日付の記載漏れや押印がないだけで無効になるリスクがあります。確実性を求めるなら、公証役場で作成する「公正証書遺言」がおすすめです。

種類 特    徴
自筆証書遺言 費用が安く、手軽に作成できる。ただし、形式不備で無効になるリスクや、紛失・改ざんの恐れがある。(法務局の保管制度を利用すると検認不要・紛失リスク減)
公正証書遺言 公証人が作成に関与するため、形式不備で無効になる可能性が極めて低い。原本が公証役場で保管され、安全性も高い。作成に費用と手間がかかる。

「遺留分」に配慮する

「長男に全財産を相続させる」といった遺言書は、一見有効に見えますが、トラブルの原因になりやすいです。なぜなら、兄弟姉妹を除く法定相続人には、「遺留分」という最低限保障された財産の取り分があるからです。遺留分を侵害された相続人は、財産を多く受け取った人に対して、侵害された分のお金を請求(遺留分侵害額請求)することができます。遺言書を作成する際は、この遺留分に配慮した内容にすることが、後のトラブルを防ぐ鍵となります。

財産内容は誰が見てもわかるように具体的に書く

「預貯金は妻に」といった曖昧な書き方では、どの口座のことか特定できず、手続きが滞る可能性があります。「〇〇銀行 △△支店 普通預金 口座番号1234567」のように、金融機関名、支店名、口座の種類、口座番号まで具体的に記載しましょう。不動産の場合も、住所だけでなく、登記簿謄本(登記事項証明書)に記載されている通りに正確に書くことが重要です。

まとめ

遺言書は、単なる財産の分配指示書ではありません。それは、残された大切なご家族への「最後のメッセージ」であり、家族がこれからも仲良く過ごせるようにとの「思いやり」の表れです。遺言書があることで、面倒な手続きが簡略化され、何より相続をめぐる無用な争いを防ぐことができます。心身ともに元気なうちに、ご自身の想いを整理し、家族のために遺言書の作成を検討してみてはいかがでしょうか。それが、未来の家族の笑顔を守る、何よりの贈り物になるはずです。

参考文献

国税庁 No.4102 相続税がかかる場合

法務省 自筆証書遺言書保管制度

遺言書と家族のトラブル回避に関するよくある質問まとめ

Q. 遺言書がないと、どうして家族トラブルが起きるのですか?

A. 遺言書がない場合、法律で定められた割合(法定相続分)で遺産を分けることになります。しかし、不動産のように分けにくい財産があったり、「親の面倒を多く見たから多く欲しい」といった感情的な対立が生じたりして、話し合いがまとまらずトラブルに発展しやすくなります。

Q. 遺言書があれば、本当にトラブルを防げるのですか?

A. はい、遺言書は故人の意思を明確にするため、相続手続きがスムーズに進み、争いを大幅に減らすことができます。誰にどの財産をどれだけ渡すかを指定できるため、相続人同士の話し合い(遺産分割協議)が不要になるケースが多いです。

Q. 遺言書にはどのような種類がありますか?

A. 主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。「自筆証書遺言」は自分で手書きで作成でき手軽ですが、要件不備で無効になるリスクがあります。「公正証書遺言」は公証人が作成に関与するため、確実性が高くおすすめです。

Q. 遺言書はいつ書くのがベストですか?

A. 遺言書は、判断能力がはっきりしているうちであればいつでも作成できます。思い立った時が吉日ですが、特に退職や家の購入など、人生の節目に作成・見直しを検討すると良いでしょう。早めに準備することで、万が一の時に家族を安心させることができます。

Q. 特定の相続人に財産を多く残したい場合、遺言書は有効ですか?

A. はい、有効です。遺言書を使えば、法定相続分とは異なる割合で財産を分けることができます。例えば、事業を継ぐ子供や、介護でお世話になった家族に多く残す指定が可能です。ただし、他の相続人の「遺留分」を侵害しないよう配慮が必要です。

Q. 遺言書で相続人以外の人に財産を渡せますか?

A. はい、可能です。遺言書によって、法定相続人ではないお世話になった知人や内縁の配偶者、団体などにも財産を譲る「遺贈」ができます。遺言書がなければ、このようなことは原則としてできません。

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