ご家族が亡くなられると、悲しみに暮れる間もなく様々な手続きに追われますよね。その中でも、多くの方が直面するのが銀行預金の相続手続きです。故人の口座は銀行が死亡の事実を知った時点で凍結され、簡単にお金を引き出すことはできなくなります。この手続き、実は思った以上に時間がかかることがあるんです。この記事では、銀行の相続手続きにどれくらいの日数がかかるのか、そしてその手続期間を短縮するための具体的な方法について、分かりやすく解説していきます。
銀行での相続手続の流れと一般的な日数
まず、銀行の相続手続きがどのような流れで進むのか、そして各ステップでどれくらいの日数がかかるのかを見ていきましょう。一般的に、申し出から払い戻し完了まで、スムーズに進んでも1ヶ月前後かかることが多いです。書類に不備などがあれば、さらに時間がかかってしまいます。
| 手続きのステップ | かかる日数の目安 |
| 1. 銀行へ相続発生の申し出 | 即日~1日 |
| 2. 必要書類の準備・取得 | 約1週間~1ヶ月 |
| 3. 書類の提出と銀行での審査 | 約1週間~2週間 |
| 4. 相続預金の払い戻し | 審査完了後、数日 |
亡くなった方の口座が凍結される
相続手続きの第一歩は、故人の口座が凍結されることから始まります。これは、相続人が確定する前に、誰かが勝手にお金を引き出してしまうといったトラブルを防ぐための大切な措置です。ご遺族が銀行に死亡の連絡をした時点や、銀行が新聞のお悔やみ欄などで死亡の事実を知った時点で口座は凍結され、入出金や引き落としが一切できなくなります。
銀行へ相続発生の申し出をする
口座が凍結されたら、相続人から銀行の窓口や電話で「相続が開始した」ことを正式に申し出ます。最近では、ウェブサイトの専用フォームから申し出ができる銀行も増えています。この申し出をすると、銀行から今後の手続きの流れや、具体的にどのような書類が必要になるのかについての案内があります。
必要書類を集めて提出する
ここが、相続手続きで最も時間がかかる部分です。銀行から案内された必要書類を、ご自身で役所などを回って集める必要があります。特に「被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの一連の戸籍謄本」は、本籍地を何度も変更している場合、複数の役所に請求する必要があり、すべて揃えるのに1ヶ月近くかかることもあります。すべての書類が揃ったら、銀行の窓口または郵送で提出します。
銀行での審査と預金の払い戻し
提出された書類に不備がないか、相続関係は正しいかなどを銀行が確認します。この審査期間が通常1週間から2週間程度かかります。もし書類に記入漏れや不足があれば、再提出を求められ、さらに時間がかかってしまいます。審査が無事に完了すると、ようやく指定された相続人の口座に預金が払い戻されます。
【金融機関別】相続手続にかかる日数の目安
手続きにかかる日数は、金融機関によっても少しずつ異なります。あくまで目安ですが、一般的な傾向を知っておくと心づもりができますよ。
| 金融機関の種類 | 手続き完了までの日数の目安 |
| ゆうちょ銀行 | 約1ヶ月~1ヶ月半 |
| 都市銀行・地方銀行 | 約2週間~1ヶ月 |
ゆうちょ銀行の場合
ゆうちょ銀行は全国に窓口があり利用者が多いですが、相続手続きは少し特徴的です。まず「相続確認表」という書類を提出し、その後、相続専門の部署から正式な必要書類の案内が郵送で送られてきます。書類のやり取りが複数回になることが多いため、他の銀行に比べて少し時間がかかり、1ヶ月以上を見込んでおくと良いでしょう。
都市銀行・地方銀行の場合
メガバンクや地方銀行の多くは、書類を提出してから2週間から1ヶ月程度で手続きが完了することが一般的です。ただし、遺言書の有無や相続人の数など、案件の複雑さによって期間は変動します。
銀行の相続手続期間を短縮する3つの方法
何かと忙しい中で、手続きは少しでも早く終わらせたいものですよね。ここでは、手続き期間を短縮するための3つの具体的なコツをご紹介します。
【方法1】必要書類を事前に準備しておく
最も効果的なのが、必要書類を早めに集め始めることです。銀行からの正式な案内を待つ前に、どの銀行でも共通して必要となる下記の書類の準備を進めておきましょう。特に戸籍謄本類は取得に時間がかかるため、相続が発生したらすぐに手配を始めるのがおすすめです。
| 書類の種類 | 取得場所 |
| 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等 | 本籍地の市区町村役場 |
| 相続人全員の戸籍謄本 | 各相続人の本籍地の市区町村役場 |
| 相続人全員の印鑑証明書 | 各相続人の住所地の市区町村役場 |
【方法2】書類の提出は郵送ではなく窓口で行う
書類の提出を郵送で行うと、往復の郵送期間だけで数日かかってしまいます。急ぐ場合は、直接銀行の窓口に持参するのがおすすめです。窓口であれば、その場で担当者に書類の不備がないかを確認してもらえます。もし簡単な記入ミスなどがあれば、その場で訂正できる可能性もあり、手戻りを防ぐことができます。複数の金融機関の手続きを1日で済ませることも可能になります。
【方法3】専門家(司法書士など)に依頼する
「平日に役所や銀行に行く時間がない」「書類集めが複雑で自信がない」という方は、相続手続きの専門家である司法書士などに依頼するのも一つの有効な方法です。費用はかかりますが、面倒な戸籍謄本の収集から各金融機関とのやり取りまで、すべてを代行してもらえます。専門家は手続きに慣れているため、ご自身で進めるよりも早く、そして正確に手続きを完了させることができます。
注意!銀行の相続手続に期限はないが放置は危険
銀行の預金を相続する手続き自体には、「いつまでにやらなければならない」という法律上の期限は設けられていません。しかし、だからといって長期間放置しておくことにはいくつかのリスクが伴います。
相続税の申告期限は10ヶ月
最も注意したいのが相続税です。相続財産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続税の申告と納税が必要になります。この相続税の申告期限は、「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」と定められています。申告のためには故人の預金残高を正確に把握する必要があるため、銀行の相続手続きもこの期限に間に合うように進めなければなりません。
10年以上の放置で休眠口座になる可能性
最後の取引から10年以上入出金などの動きがない預金は、「休眠預金」として扱われる可能性があります。休眠預金になると、預金は金融機関から預金保険機構へ移管されます。もちろん後からでも払い戻しは可能ですが、通常の手続きよりもさらに時間と手間がかかる場合があります。また、銀行によっては2年以上利用のない口座に対して年間1,320円(税込)などの「未利用口座管理手数料」がかかるケースもありますので注意が必要です。
すぐにお金が必要な場合は「預貯金の仮払い制度」を活用
「遺産分割の話し合いはまだ終わらないけど、葬儀費用などの支払いですぐにお金が必要…」そんな時に役立つのが「預貯金の仮払い制度」です。これは、他の相続人全員の同意がなくても、相続人が単独で一定額までの預金を引き出すことができる制度です。
| 制度の概要 | 払い戻しできる上限額 |
| 家庭裁判所の手続きが不要な場合 | 相続開始時の預金額 × 1/3 × 払い戻しを行う相続人の法定相続分 (ただし、同一の金融機関からは150万円が上限) |
この制度を利用すれば、当面の資金を確保することができます。ただし、あくまで一時的な措置であり、引き出した分は遺産分割の際に自分の相続分から差し引かれることになりますので、その点は覚えておきましょう。
まとめ
銀行の相続手続きは、多くの場合、完了までに1ヶ月前後の日数を要します。特に、戸籍謄本などの必要書類を集める工程に時間がかかります。しかし、今回ご紹介したように、事前の書類準備を早めに始めたり、手続きを窓口で行ったりすることで、その期間を短縮することが可能です。相続税の申告期限という大きな締め切りもありますので、手続きは計画的に進めていきましょう。もし手続きが複雑で不安な場合や、お忙しくて時間が取れない場合は、無理せず司法書士などの専門家に相談することも検討してみてくださいね。
参考文献
銀行の相続手続き期間に関するよくある質問まとめ
Q.銀行の相続手続きは、どのくらいの日数がかかりますか?
A.一般的に、必要書類を提出してから1〜2ヶ月程度かかります。ただし、金融機関や相続人の数、遺言書の有無などによって期間は変動します。
Q.銀行の相続手続きを早く終わらせる方法はありますか?
A.事前に必要書類を完璧に準備しておくことが最も重要です。特に、戸籍謄本の収集には時間がかかるため、早めに着手しましょう。また、相続人全員の協力も不可欠です。
Q.相続手続きに必要な主な書類は何ですか?
A.主に、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書、遺産分割協議書または遺言書などが必要です。金融機関所定の書類も必要になります。
Q.戸籍謄本を集めるのに時間がかかります。どうすればいいですか?
A.亡くなった方の本籍地が遠方であったり、転籍を繰り返している場合は収集に時間がかかります。時間に余裕がない場合は、専門家に依頼することも一つの方法です。
Q.遺産分割協議書がないと、手続きは進められませんか?
A.遺言書がなく、法定相続分と異なる分け方をする場合は遺産分割協議書が必須です。法定相続分通りに分ける場合でも、相続人全員の同意書(金融機関所定の様式)が必要になることがほとんどです。
Q.複数の銀行に口座がある場合、手続きはまとめてできますか?
A.残念ながら、各銀行で個別に手続きを行う必要があります。それぞれの銀行で必要書類や手続きの流れが異なる場合があるため、事前に各銀行のウェブサイトや窓口で確認することをおすすめします。