税理士法人プライムパートナーズ

離婚の財産分与で税金はかかる?発生するケースと注意点

2026-02-13
目次

離婚をすることになった際、夫婦で築いた財産を分け合う財産分与を行いますが、そこで気になるのが税金のことですよね。実はお金や家を分けるとき、もらう側にも渡す側にも税金が発生するケースがあります。後から「こんなはずじゃなかった」と困らないように、どのような場合に税金がかかるのか、具体的な金額や要件を交えながらわかりやすくお話ししていきますね。

離婚時の財産分与で税金はかかるの?

基本的に、離婚による財産分与では税金はかからないのが原則です。しかし、分ける財産の種類や金額によっては、思いがけず税金が発生することがあります。まずは全体像として、もらう側と渡す側でどのような税金が関わってくるのかを整理してみましょう。

対象者 かかる可能性のある税金
財産をもらう側 贈与税、不動産取得税、登録免許税
財産を渡す側 譲渡所得税、住民税

財産をもらう側は原則として税金がかからない

離婚によって相手から財産を受け取る場合、基本的には贈与税はかかりません。贈与税は「無償で財産をもらったとき」にかかる税金ですが、財産分与は夫婦が共同で築いた財産を清算する正当な権利として受け取るものだからです。ただし、例外として税金がかかるケースもありますので安心しすぎず、しっかりと確認することが大切です。

財産を渡す側に税金がかかることがある

現金を渡すだけなら税金はかかりませんが、マイホームや株式などの資産を渡す場合には、渡す側に譲渡所得税という税金がかかることがあります。「お金をもらっていないのになぜ?」と思うかもしれませんが、法律上は「財産を分与する義務が消滅した」という経済的な利益を得たとみなされるためです。もし購入したときよりも価値が上がっている不動産を渡す場合は、特に注意が必要です。

不動産の財産分与ではその他の税金にも注意

マイホームなどの不動産を財産分与で受け取った場合、名義変更の手続き(所有権移転登記)を行います。このとき、国に納める登録免許税という税金が発生します。また、不動産を所有することで毎年かかってくる固定資産税の負担も考えなければなりません。

税金の種類 金額の目安
登録免許税 固定資産税評価額の2%
固定資産税 固定資産税評価額の1.4%(標準税率)

財産を渡す側が気を付けるべきこと

財産分与でマイホームやマンションなどの不動産を相手に渡す場合、渡す側は譲渡所得税の対象になるかどうかを確認しておく必要があります。ここでは具体的な要件や計算方法について詳しく見ていきましょう。

譲渡所得税が課税されるケースとは?

譲渡所得税は、購入したときの金額よりも、財産分与したときの時価(現在の価値)が上がって利益(譲渡所得)が出ている場合にのみ課税されます。たとえば、2,000万円で買った家が、分与するときに3,000万円の価値になっていれば、その差額の1,000万円に対して税金がかかるということです。逆に、購入時よりも価値が下がっている場合は課税されません。

譲渡所得税の税率

譲渡所得税の税率は、その不動産を所有していた期間によって大きく2つに分かれます。売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかどうかで税率が倍近く変わってきますので、いつ買った家なのかを確認しておきましょう。

所有期間 税率(所得税・住民税・復興特別所得税の合計)
5年以下(短期譲渡所得) 39.63%
5年超(長期譲渡所得) 20.315%

自宅の財産分与では特例の適用が可能

マイホームを財産分与する場合、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例という制度を利用できる可能性があります。これは、譲渡して得た利益から最大3,000万円までを差し引くことができる特例です。利益が3,000万円以下であれば、譲渡所得税はかかりません。ただし、夫婦間で譲渡した場合には使えないため、必ず離婚が成立した後に財産分与を行うことが重要な要件となります。

譲渡所得税がかかる場合には確定申告が必要

財産分与によって譲渡所得税が発生する場合は、自分で税務署へ確定申告をして税金を納める必要があります。また、税金が発生しなくても、先ほどお話しした3,000万円の特別控除を利用して税額をゼロにするためには、必ず確定申告をしなければなりません。申告期間は、財産を渡した翌年の2月16日から3月15日までです。

財産をもらう側が気を付けるべきこと

財産分与で受け取る側は原則無税ですが、分け方や受け取る財産の名目によっては、思いがけない税金が発生することがあります。どのような場合に課税されるのか、具体的なケースを見てみましょう。

財産を多くもらい過ぎると贈与税がかかる

財産分与は夫婦の共有財産を原則として2分の1ずつ分けるものですが、一方が極端に多く受け取るような場合は注意が必要です。社会通念上、多すぎると判断された部分については「財産分与の形をとった贈与」とみなされ、その超過分に対して贈与税がかかってしまいます。また、税金逃れのための偽装離婚とみなされた場合も、受け取った財産すべてに贈与税が課税されます。

課税される対象 課税される税金
多すぎると判断された超過分 贈与税
税金逃れの偽装離婚とみなされた場合 財産全額に対して贈与税

慰謝料がわりに不動産をもらうと不動産取得税がかかる

夫婦の財産を清算する目的で不動産を受け取る場合は、原則として不動産取得税はかかりません。しかし、不倫などの慰謝料として不動産を受け取った場合は、清算ではなく損害賠償の代わりとみなされるため、不動産取得税が課税されます。不動産取得税は固定資産税評価額の原則4%(土地や住宅は3%の軽減措置あり)がかかるため、数十万円単位の負担になることも少なくありません。

離婚時の財産分与で節税する方法

少しでも手元に多くの財産を残し、無駄な税金を払わずに済むよう、財産分与の進め方にはいくつか工夫できるポイントがあります。

財産を多くもらい過ぎない

相手から少しでも多くもらいたいというお気持ちがあるかもしれませんが、必要以上に財産をもらいすぎると、結果として高額な贈与税を納めることになってしまいます。贈与税の最高税率は55%にもなるため、多くもらった分の大半が税金で消えてしまうケースもあります。夫婦で築いた財産の半分(2分の1)を目安に、客観的に妥当な範囲で話し合うことが大切です。

自宅の譲渡は離婚後に行う

マイホームを渡す場合、譲渡所得税をゼロにできる「3,000万円の特別控除」を利用するのが効果的です。しかし、この特例は配偶者などの身内に対する譲渡では利用できないというルールがあります。そのため、離婚届を提出して法的に他人になってからマイホームの名義変更を行うことで、この特例を適用でき、大幅な節税につながります。

譲渡のタイミング 3,000万円特別控除の利用
離婚成立前(夫婦のとき) 利用できない
離婚成立後(他人になってから) 利用できる

贈与税の配偶者控除を利用する

婚姻期間が20年以上の夫婦であれば、贈与税の配偶者控除を利用する方法もあります。これは、居住用の不動産を贈与する場合、最高2,000万円まで贈与税が非課税になる制度です。基礎控除の110万円と合わせて、最大2,110万円まで非課税で不動産を渡すことができます。ただし、離婚前に贈与すると受け取る側に不動産取得税がかかるため、離婚後に財産分与として受け取る場合とどちらが税金の負担が少なくなるか、事前によく比較しましょう。

まとめ

離婚による財産分与では、原則として税金はかかりませんが、状況によっては思いもよらない税金が発生することがあります。財産を渡す側は、価値の上がっている不動産を渡す際の譲渡所得税に注意し、必要に応じて離婚成立後に名義変更を行って3,000万円の特別控除を利用しましょう。もらう側は、極端に多すぎる財産を受け取ると贈与税がかかってしまうため、適切な割合での分割を心がけることが大切です。不安な場合は早めに専門家へ相談することをおすすめします。

参考文献

国税庁ホームページ

国税庁 No.4414 離婚して財産をもらったとき
国税庁 No.3114 離婚して土地建物などを渡したとき
国税庁 No.1237 離婚による財産分与で居住用家屋の共有持分を追加取得した場合の住宅借入金等特別控除について

離婚時の財産分与と税金に関するよくある質問まとめ

Q.離婚の財産分与でもらう側に税金はかかりますか?

A.原則として贈与税などの税金はかかりません。ただし、夫婦の財産の半分を大きく超えてもらいすぎた場合や、慰謝料として不動産を受け取った場合などは、贈与税や不動産取得税がかかることがあります。

Q.離婚の財産分与で渡す側に税金はかかりますか?

A.現金を渡す場合はかかりませんが、購入時より価値が上がっているマイホームや株式などを渡した場合は、利益が出たとみなされ譲渡所得税がかかることがあります。

Q.マイホームの財産分与で税金を抑える方法はありますか?

A.居住用財産の3,000万円特別控除という特例を使うと税金を抑えられます。ただし、夫婦間では使えないため、必ず離婚が成立して他人になってから財産分与の手続きを行うことがポイントです。

Q.財産分与で税金がかからなくても確定申告は必要ですか?

A.譲渡所得税がかからない場合でも、3,000万円の特別控除などの特例を利用して税額をゼロにするためには、必ず税務署へ確定申告をする必要があります。

Q.慰謝料として家をもらうと税金はどうなりますか?

A.財産分与(夫婦の財産の清算)として家をもらう場合は不動産取得税がかかりませんが、慰謝料(損害賠償)として家をもらうと不動産取得税が課税されます。

Q.離婚前の贈与と離婚後の財産分与、どちらが得ですか?

A.離婚前の贈与は不動産取得税がかかる場合があり、譲渡所得税の特例も使えません。基本的には離婚が成立した後に財産分与として手続きを行うほうが、非課税や特例の恩恵を受けやすく税金が抑えられるケースが多いです。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

\ 相続の不安、専門家にまずは無料相談 /
士業の先生向け専門家AI
士業AI【税務】
\ 相続の不安、専門家にまずは無料相談 /