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電子帳簿保存法とは?対象書類や具体的な保存要件をわかりやすく解説

2025-09-11
目次

経理やバックオフィス業務に携わる皆様、日々の業務お疲れ様です。「電子帳簿保存法とは何か、自分たちにどう影響するのか」と疑問に思っていませんか。この記事では、電子帳簿保存法の基本から具体的な保存ルール、罰則までをわかりやすく解説していきます。正しい知識を身につけて、スムーズに業務の電子化を進めていきましょう。

電子帳簿保存法とは?基本を押さえよう

電子帳簿保存法とは、原則として紙での保存が義務付けられている国税関係の帳簿や書類を、電子データで保存するためのルールを定めた法律です。ペーパーレス化を推進し、企業の経理業務の負担を減らすことを目的としています。この法律は大きく3つの区分に分かれており、それぞれ対象となる書類や保存のルールが異なります。

電子帳簿保存法の3つの区分

電子帳簿保存法は、主に「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データの保存」の3つに分類されます。特に電子取引については、すべての事業者が対応しなければならない義務となっていますので、しっかりと確認しておきましょう。以下の表にそれぞれの概要をまとめました。

区 分 概  要
電子帳簿等保存(任意) 会計ソフトなどで最初から電子的に作成した帳簿や書類をデータのまま保存することです。
スキャナ保存(任意) 紙で受け取った領収書や請求書を、スキャナやスマートフォンで読み取って画像データとして保存することです。
電子取引データの保存(義務) メールやクラウドサービスを通じて電子データで受け取った領収書や請求書を、そのままデータで保存することです。

対象となる事業者とは?

「うちの会社は小規模だから関係ないのでは」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、電子取引データの保存に関しては、法人・個人事業主を問わず、すべての事業者が対象となります。たとえば、インターネット通販で備品を購入し、領収書をPDFでダウンロードした場合、それは電子取引に該当するため、紙に印刷して保存するのではなく、データのまま保存する義務があります。

なぜ電子保存のルールが改正されたの?

近年、働き方の多様化やデジタル化の波が押し寄せる中で、紙の書類を保管するための場所代や印刷代、ファイリングにかかる人件費などが企業の大きな負担となっていました。そこで国は、要件を緩和して電子化のハードルを下げる一方で、不正を防止するための罰則を強化しました。これにより、企業はより効率的に業務を行えるようになっています。

電子取引データ保存の義務と具体的な4つの要件

電子データでやり取りした請求書や領収書は、データのまま保存しなければなりません。これを正しく保存するためには、法律で定められた4つの要件を満たす必要があります。どのような書類が該当するのか、そしてどのようなルールを守るべきなのかを詳しく見ていきましょう。

電子取引に該当する具体的な書類

電子取引に該当するのは、インターネットを介してやり取りされた取引情報全般です。具体的には、メールの添付ファイルで受け取ったPDFの請求書、WEBサイトからダウンロードした領収書、クラウド上の電子契約サービスで交わした契約書、EDIシステムを利用した取引データなどが当てはまります。これらを紙に印刷して保存することは原則として認められません。

満たすべき4つの要件と検索機能の具体例

電子取引データを保存する際には、改ざんを防ぐための「真実性の要件」と、あとから探しやすくするための「可視性の要件」を満たす必要があります。具体的には以下の4つの要件が定められています。

要件名 具体的な内容
システムの概要書等の備え付け 使用しているシステムのマニュアルや操作説明書を、いつでも確認できるように用意しておくこと。
見読可能装置の備え付け 保存したデータをはっきりと画面で確認できるよう、パソコンやディスプレイ、プリンターを設置しておくこと。
検索機能の確保 「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3つの項目でデータを検索できる状態にしておくこと。
改ざん防止のための措置 タイムスタンプを付与する、改ざん防止機能のあるシステムを使う、または「不当な訂正削除の防止に関する事務処理規程」を定めて運用すること。

なお、前々年の売上高が5,000万円以下の事業者や、税務調査の際にデータをすべてダウンロードして提示できる状態にしている場合は、検索機能の要件が免除されます。

電子帳簿と電子書類の保存ルール(任意)

次に、会計ソフトなどで作成したデータをそのまま保存する「電子帳簿等保存」について解説します。こちらは義務ではなく任意ですが、要件を満たして電子保存することで、紙への印刷や保管スペースの確保といった手間を大きく省くことができます。

電子帳簿を保存するための要件

パソコンで作成した仕訳帳や総勘定元帳などを電子データで保存する場合、システムのマニュアルを備え付けることと、パソコンやディスプレイの画面で速やかに、かつ明瞭に確認できる状態にしておくことが求められます。一般的な市販の会計ソフトを使用していれば、これらの基本的な要件は問題なくクリアできることがほとんどです。

優良な電子帳簿を利用するメリット

電子帳簿の中でも、訂正や削除の履歴が残るシステムを使うなど、より厳しい要件を満たしたものを「優良な電子帳簿」と呼びます。あらかじめ税務署に届出書を提出して優良な電子帳簿を備え付けていると、万が一申告漏れがあった場合に課される過少申告加算税が5%軽減されるという大きなメリットがあります。税務リスクを減らすためにも、ぜひ活用を検討してみてください。

スキャナ保存の具体的なルールと注意点(任意)

取引先から紙で受け取ったレシートや請求書を、スキャナやスマートフォンのカメラで読み取ってデータ保存するのが「スキャナ保存」です。こちらも任意の制度ですが、導入すれば紙の原本を破棄できるようになり、オフィスの省スペース化につながります。

スキャナ保存の対象となる書類

スキャナ保存の対象となるのは、紙で受け取った契約書、領収書、請求書、納品書、見積書などです。重要度に応じて資金や物の流れに直結する重要書類と、見積書などの一般書類に分けられますが、どちらもスキャナ保存が可能です。ただし、読み取る際の画質には規定があり、解像度200dpi以上、かつ赤・緑・青の256階調以上(カラー)で読み取る必要があります。

タイムスタンプと入力期間の具体的な要件

スキャナで読み取ったデータには、いつそのデータが作成され、それ以降改ざんされていないことを証明する「タイムスタンプ」を付与する必要があります。また、書類を受け取ってからデータ化するまでの入力期間にもルールがあり、原則として最長約2ヶ月と7営業日以内にタイムスタンプを付与しなければなりません。ただし、入力期間内にデータを保存したことが確認でき、訂正や削除の履歴が残るクラウドシステムなどを利用する場合は、タイムスタンプの付与を省略することも可能です。

電子帳簿保存法に違反した場合の重い罰則

電子帳簿保存法のルールを守らなかった場合、企業にとって大きなダメージとなる罰則が設けられています。「バレないだろう」と軽く考えず、正しいルールで運用することが大切です。ここでは具体的なリスクを2つご紹介します。

青色申告の承認が取り消されるリスク

法律で定められた保存要件を満たしていない場合や、そもそもデータを保存していなかった場合、帳簿の保存がないとみなされ、青色申告の承認を取り消される可能性があります。青色申告が取り消されると、最大65万円の特別控除や赤字の繰越控除といった税制上の優遇措置が受けられなくなり、税負担が大幅に増えてしまいます。

重加算税が10%加重される厳しい措置

電子データに関して、意図的なデータの改ざんや隠蔽、仮装などの不正行為を行って申告漏れが生じた場合、本来課される重加算税に加えて、さらに10%の重加算税が加重されるという厳しい措置がとられます。不正が発覚した際の経済的、そして社会的なダメージは計り知れませんので、日頃から透明性の高い経理運用を心がけましょう。

まとめ

電子帳簿保存法は、経理業務の効率化を強力に後押しする法律です。特に「電子取引データの保存」はすべての事業者に義務付けられているため、要件を満たすシステムや運用ルールの整備が急務となります。まずは自社がどの区分に該当する書類を扱っているのかを整理し、必要な対策を一つずつ進めていきましょう。具体的な要件や制度の詳細については、必ず国税庁の公式情報を確認してください。

参考文献

国税庁:電子帳簿等保存制度特設サイト

電子帳簿保存法のよくある質問まとめ

Q. 電子帳簿保存法はすべての事業者が対象ですか?

A. はい、法人・個人事業主を問わず、すべての事業者が対象となります。特に「電子取引データの保存」については、規模に関わらず要件を満たしたデータ保存が義務付けられています。

Q. メールで受け取った請求書を印刷して保存しても良いですか?

A. 原則として、印刷した紙での保存は認められていません。メールなどの電子データで受け取った請求書や領収書は、そのまま電子データとして、法律で定められた要件を満たして保存する必要があります。

Q. スキャナ保存をする際、紙の原本はどうすれば良いですか?

A. 法律で定められた解像度(200dpi以上など)やタイムスタンプの付与といった要件を満たして正しくデータ化・保存ができれば、紙の原本はすぐに破棄して問題ありません。

Q. 検索機能の要件は必ず満たさなければなりませんか?

A. 基本的には「取引年月日」「取引金額」「取引先」での検索が必要ですが、前々年の売上高が5,000万円以下の事業者や、税務調査時にデータを提示・ダウンロードできる状態にしている場合は、検索機能の要件が免除されます。

Q. タイムスタンプは必ず付与する必要がありますか?

A. 電子取引データやスキャナ保存において改ざん防止の措置としてタイムスタンプは有効ですが、訂正や削除の履歴が残るクラウドシステムを使用する場合や、改ざん防止のための事務処理規程を定めて運用する場合は省略可能です。

Q. 電子帳簿保存法に違反した場合どうなりますか?

A. データの保存要件を満たしていない場合、青色申告の承認が取り消されるリスクがあります。また、意図的なデータの改ざんや隠蔽を行って申告漏れが生じた場合は、重加算税がさらに10%加重されるなど重い罰則が科されます。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。

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