2026年3月31日に国税庁の通達が改正され、2026年4月1日より従業員に支給する食事や深夜勤務の夜食代にかかる所得税の取扱いが大きく変更されました。物価の上昇などに伴い、これまで長年据え置かれてきた非課税の限度額が大幅に引き上げられています。従業員の方にとっても企業にとっても嬉しいニュースですね。今回は、給与として課税されないための具体的な条件や、新しい非課税枠の金額について、わかりやすく詳しく解説していきます。
2026年4月1日から食事補助の非課税上限が大幅に変更
これまで、企業が従業員のお昼ご飯などを補助する場合、非課税となる企業負担の上限は月額3,500円(税別)でした。しかし、昨今のランチ代の値上がりなどを受け、2026年4月1日以降に支給する食事からは、この非課税枠が月額7,500円(税別)へと引き上げられました。これにより、従業員の方の手取りを減らすことなく、より手厚い食事のサポートができるようになります。
食事補助が非課税になる2つの具体的な要件
従業員への食事支給が給与として所得税の課税対象にならないためには、以下の2つの要件を同時に満たす必要があります。どちらか一つでも欠けてしまうと、全額が課税されてしまうため注意が必要です。
| 要件1 | 従業員が食事代の50%以上を負担していること |
|---|---|
| 要件2 | 企業の負担額が1ヶ月あたり7,500円(税別)以下であること |
たとえば、1ヶ月の食事代が16,000円(税別)の場合、従業員が8,000円を負担し、企業が8,000円を補助すると、従業員は50%を負担していますが、企業の負担額が7,500円を超えてしまうため要件を満たしません。
非課税上限額を超えた場合の所得税の扱い
もし、企業の負担額が月額7,500円(税別)を超えてしまった場合、どうなるのでしょうか。実は、上限を超えた分の金額だけが課税されるわけではありません。企業が負担した全額が給与として扱われ、所得税の課税対象となってしまいます。先ほどの例のように企業が8,000円を負担した場合、超過した500円ではなく、8,000円全額に税金がかかってしまうので、事前の計算がとても大切です。
消費税の軽減税率と標準税率による計算の違い
企業の負担額が月額7,500円以下かどうかを判定する際は、税別の金額で計算します。ここで気をつけたいのが、お弁当の宅配を利用する場合と、社員食堂や外食を利用する場合で消費税率が異なる点です。
| お弁当の購入や宅配 | 軽減税率の8%が適用されます |
|---|---|
| 社員食堂や外食 | 標準税率の10%が適用されます |
同じ税込金額の食事代でも、税率が違うと税別換算したときの企業負担額が変わってきます。ギリギリの金額で補助を設定している場合は、税別で7,500円を超えないよう、税率ごとの正確な計算を行ってくださいね。
深夜勤務の夜食代の現金支給も非課税枠が引き上げ
今回の2026年3月31日の通達改正では、通常の食事補助だけでなく、深夜勤務を行う従業員への夜食代についての取り扱いも変更されました。夜遅くまで頑張ってくれる従業員へのサポートも、より手厚くできるようになります。
夜食代が現金で非課税になる具体的な条件
原則として、食事の補助を現金でそのまま渡したり、お給料に上乗せして支給したりすると、給与として所得税が課税されます。しかし、22時から翌5時までの深夜勤務に限っては、お店が閉まっているなどの理由でお弁当などの現物支給が難しい場合に限り、現金で支給しても非課税となる特別なルールが設けられています。
引き上げられた夜食代の具体的な金額
この深夜勤務の夜食代として現金支給する場合の非課税限度額も、今回の改正で大きく引き上げられました。以前の金額では現代の物価に合っていなかったため、より実態に即した金額へと見直されています。
| 2026年3月31日までの支給 | 1食あたり300円(税別)以下 |
|---|---|
| 2026年4月1日以後の支給 | 1食あたり650円(税別)以下 |
1食あたり650円(税別)までであれば、深夜勤務の方に現金で夜食代を渡しても税金はかかりません。ただし、通常の昼間勤務の方がたまたま残業で夜遅くなった場合は対象外ですので、間違えないようにしましょう。
残業や宿日直勤務時の食事代の取り扱い
深夜勤務の特別なルールはお伝えしましたが、それ以外の通常の残業や、休日の宿日直勤務の際に出前やお弁当を頼む場合は、所得税の取り扱いはどうなるのでしょうか。わかりやすく整理してみましょう。
残業中や宿日直勤務でお弁当を現物支給するケース
通常の残業時間中や宿日直を行う従業員に対して、企業が無料で夕食や朝食などのお弁当を現物支給した場合、その費用は全額が福利厚生費となり、所得税は非課税となります。この場合は、従業員に食事代の半分を負担してもらったり、月額の上限を気にしたりする必要はありません。業務を行う上で必要な食事の提供と考えられるからです。
現金での支給は給与として課税対象になるので注意
残業時の食事補助であっても、現金で渡して自由に食事を買ってもらう方法は原則としてNGです。現金で支給してしまうと、使い道が食事以外にも考えられるため、給与として所得税が課税されてしまいます。企業でお弁当を手配できない場合は、従業員に立て替えて買ってもらい、後日レシートや領収書と引き換えに実費を精算する方法をとれば、非課税で処理することができますよ。
食事補助を福利厚生費とするための社内ルール見直し
2026年4月1日からの制度変更に合わせて、これから食事補助を新しく導入したり、現在の補助額を増やしたりする場合は、社内のルールが税金のルールにしっかり合っているかを確認することが大切です。
従業員の負担割合と徴収方法の確認
まずは、従業員が食事代の50%以上を確実に負担する仕組みになっているかを確認しましょう。一番安心なのは、お給料から天引きする形で負担分を徴収する方法です。利用した日数や回数によって負担額が変わる場合は、毎月の集計と天引きの計算が正しく行われているか、経理の流れを見直してみてください。
全従業員を対象とする公平性の確保
福利厚生費として認められ、所得税を非課税にするための大前提として、すべての従業員を対象としていることが必要です。特定の役員だけ、あるいは一部の部署の従業員だけが利用できるような制度にしてしまうと、公平性がないとみなされ、給与として課税されてしまいます。雇用形態に関わらず、みんなが利用できる制度設計を心がけてくださいね。
食事補助の提供方法とそれぞれの特徴
実際に食事の現物支給を福利厚生として取り入れるには、いくつかの方法があります。会社の規模や働き方に合わせて、ぴったりの方法を選んでみてください。
お弁当のデリバリーや社員食堂の設置
決まった時間にお弁当をオフィスに届けてもらうデリバリー型や、社内に食堂を設ける方法は、温かい食事をみんなで楽しむことができます。ただし、テレワークをしている方や、外回りが多い営業職の方は利用しづらいというデメリットもあります。また、食堂の設置には初期費用や広いスペースが必要です。
電子カードや食事券を使った代行サービスの利用
全国のコンビニや飲食店で、社員食堂の代わりに食事ができる電子カードや食事券を配布する方法です。この方法なら、出社している人も在宅勤務の人も、全国どこにいても公平に食事補助を受けることができます。購入履歴もデータで管理できるため、従業員が50%以上負担していることの証明もしやすく、税務上の手続きがスムーズになるというメリットがあります。
まとめ
2026年3月31日の通達改正により、2026年4月1日から食事補助の非課税限度額が月額7,500円(税別)に、深夜勤務の現金による夜食代が1食650円(税別)へと大幅に引き上げられました。この変更を上手に活用すれば、従業員の手取りを減らすことなく、会社からのサポートを手厚くすることができます。ただし、非課税となるためには従業員が50%以上を負担する点や、現金支給ではなく現物支給にする点など、ルールをしっかり守る必要があります。新しい基準に合わせて社内の規定を見直し、みんなが喜ぶ働きやすい環境づくりにぜひ役立ててくださいね。
参考文献
国税庁:食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額の引上げについて
食事補助の非課税ルールに関するよくある質問まとめ
Q.食事補助の非課税上限額はいくらになりましたか?
A.2026年4月1日以降に支給する食事から、従来の月額3,500円(税別)から月額7,500円(税別)に引き上げられました。
Q.食事補助を非課税にするための条件は何ですか?
A.従業員が食事代の50%以上を負担していることと、企業の負担額が月額7,500円(税別)以下であることの2つの条件を同時に満たす必要があります。
Q.企業の負担額が月額7,500円を超えた場合はどうなりますか?
A.超過した分だけでなく、企業が負担した全額が給与として扱われ、所得税の課税対象となってしまいます。
Q.深夜勤務の夜食代は現金で渡しても非課税ですか?
A.22時から翌5時までの深夜勤務で、現物支給が難しい場合に限り、1食あたり650円(税別)以下であれば現金支給でも非課税となります。
Q.通常の残業中に出前を頼んだ場合の食事代はどうなりますか?
A.通常の残業や宿日直勤務で食事を現物支給した場合は、全額が福利厚生費となり非課税で処理できます。
Q.食事補助は一部の従業員だけでも導入できますか?
A.特定の役員や一部の従業員だけを対象とすると公平性がないとみなされ、給与として課税されてしまうため、全従業員を対象とする必要があります。