故人を偲ぶ大切な法要である3回忌。一周忌の次に行われる重要な節目ですが、「いつ行うの?」「どんな準備が必要?」「お布施や香典はいくら包めばいいの?」など、分からないことも多いのではないでしょうか。特に施主(主催者)となると、その不安は大きいかもしれません。この記事では、3回忌の基本的な意味から、具体的な準備、服装やお金のマナーまで、施主と参列者どちらの立場でも役立つ情報を分かりやすく解説します。心のこもった3回忌を執り行うために、ぜひ参考にしてください。
3回忌とは?基本的な意味と数え方
はじめに、3回忌がどのような法要なのか、基本的な知識をおさえておきましょう。いつ、どのように数えるのかを知ることで、法要の準備もスムーズに進められます。
3回忌はいつ行う?正しい数え方
3回忌は、故人が亡くなってから満2年目の祥月命日(しょうつきめいにち)に行う年忌法要です。少しややこしいのですが、法要の年数は「亡くなった年を1年目」とする数え年で計算します。そのため、「3回忌」という名前ですが、亡くなってから3年後ではない点に注意が必要です。
例えば、2023年6月10日に亡くなった場合、3回忌は2025年6月10日となります。しかし、祥月命日が平日の場合、親族が集まりにくいことも多いため、その直前の土日祝日に行われるのが一般的です。
3回忌と一周忌の違い
一周忌と3回忌は、どちらも故人を偲ぶ大切な年忌法要ですが、行う時期が異なります。その名の通り、一周忌は亡くなってから満1年目、3回忌は満2年目に行います。一般的に、一周忌は近親者だけでなく、故人の友人や知人も招いて比較的規模の大きな法要となることが多いですが、3回忌以降は徐々に規模を縮小し、家族や親しい親族のみで執り行う傾向があります。
法要名 | 時 期 |
一周忌 | 故人が亡くなって満1年目の祥月命日 |
三回忌 | 故人が亡くなって満2年目の祥月命日 |
年忌法要はいつまで続ける?
年忌法要は、三回忌、七回忌、十三回忌…と続いていきますが、「いつまで続ければよいのか」という決まりは実はありません。一般的には、33回忌や50回忌を最後の法要とし、「弔い上げ(とむらいあげ)」とすることが多いです。弔い上げをもって、故人の霊はご先祖様の仲間入りをすると考えられています。ただし、これは宗派や地域の慣習、ご家庭の考え方によって異なりますので、家族や親族、お寺様と相談して決めるとよいでしょう。
3回忌の準備でやるべきことリスト
施主として3回忌を執り行う場合、やるべきことがいくつかあります。慌てずに準備を進められるよう、遅くとも法要の2〜3ヶ月前には準備を始めましょう。ここでは、主な準備内容を順番にご紹介します。
日程と会場の決定
まず最初に決めるべきは、法要の日程と会場です。何よりも先に、読経をお願いするお寺(僧侶)の都合を確認しましょう。希望の日時をいくつか伝え、調整するのがスムーズです。日程が決まったら、次に会場を決めます。会場としては、自宅、お寺、斎場、ホテルなどが考えられます。法要後の会食(お斎)を行う場合は、その場所も併せて予約しておきましょう。
参列者への案内状
日程と会場が決まったら、参列していただく方へ案内状を送ります。親族のどこまでを招待するかを家族で相談して決めましょう。案内状は、法要の1ヶ月前には相手の手元に届くように送付するのがマナーです。往復はがきを使い、出欠の返信期日を記載しておくと、人数の把握がしやすくなります。親しい間柄であれば、電話やメールで連絡しても問題ありません。
お布施・お供え物・返礼品の準備
参列者の人数がある程度固まったら、お布施やお供え物、返礼品(引き出物)の準備をします。
- お布施:読経していただいた僧侶へお渡しする謝礼です。金額の相場は後ほど詳しく解説します。
- お供え物:祭壇にお供えするものです。故人が好きだったお菓子や果物、日持ちのする乾物などが一般的です。
- 返礼品:参列いただいた方への感謝の気持ちとしてお渡しする品物です。お茶や海苔、お菓子などの「消え物」がよく選ばれます。相場は、いただいた香典の3分の1から半額程度が目安です。
3回忌の服装マナー【施主・参列者別】
3回忌の服装は、一周忌までのような正喪服ではなく、準喪服または略喪服(平服)を着用するのが一般的です。案内状に「平服でお越しください」と書かれている場合もありますが、これは「普段着で良い」という意味ではないため注意しましょう。
施主(遺族)の服装
施主や遺族は、参列者をお迎えする立場として、きちんとした服装を心がけます。基本的には準喪服を着用します。
- 男性:光沢のないブラックスーツに白無地のワイシャツ、黒のネクタイ、黒の靴下、黒の革靴。
- 女性:光沢のない黒のアンサンブルやワンピース、スーツなどのブラックフォーマル。アクセサリーは一連の真珠のネックレス程度にし、ストッキングや靴、バッグも黒で統一します。
参列者の服装
参列者も、施主側に合わせるのが基本です。案内状に服装の指定がなければ準喪服を着用します。「平服で」と指定があった場合は、略喪服を選びましょう。
- 男性:ダークグレーや濃紺などのダークスーツに白シャツ、黒や地味な色のネクタイ。
- 女性:ダークグレーや濃紺、黒のワンピースやアンサンブル、スーツ。
いずれの場合も、殺生を連想させる動物柄や革製品、華美なアクセサリーは避けるのがマナーです。
3回忌のお布施・香典の金額相場
法要で気になるのが、お布施や香典などのお金に関するマナーです。失礼にあたらないよう、それぞれの相場や渡し方を確認しておきましょう。
お布施の相場と渡し方
お布施は、僧侶への感謝の気持ちを表すものです。金額に決まりはありませんが、一般的な相場は以下の通りです。地域やお寺との関係性によっても異なるため、不安な場合は直接お寺に尋ねてみても失礼にはあたりません。
項 目 | 金額相場 |
お布施 | 1万円~5万円 |
お車代(僧侶に会場まで来てもらう場合) | 5,000円~1万円 |
御膳料(僧侶が会食を辞退された場合) | 5,000円~1万円 |
お布施は、奉書紙に包むか、白い無地の封筒に入れます。表書きは「御布施」または「お布施」とし、その下に施主の氏名を書きます。渡す際は、直接手渡しせず、切手盆(小さなお盆)に乗せてお渡しするのが丁寧なマナーです。
香典(御仏前)の相場とマナー
参列者が持参する香典は、故人との関係性によって金額が異なります。表書きは、四十九日を過ぎているため「御霊前」ではなく「御仏前」や「御佛前」「御供物料」とします。
故人との関係 | 金額相場(会食ありの場合) |
親・兄弟・子 | 1万円~5万円 |
祖父母・その他の親族 | 1万円~3万円 |
友人・知人 | 1万円~2万円 |
上記の金額は会食に参加する場合の目安です。会食がない場合は、この金額から5,000円~1万円程度を引いた額を包むのが一般的です。新札は避け、不祝儀袋に入れて袱紗(ふくさ)に包んで持参しましょう。
3回忌法要当日の流れ
事前に当日の流れを把握しておくことで、落ち着いて法要に臨むことができます。ここでは、一般的な3回忌法要の流れと、施主の挨拶例文をご紹介します。
法要の一般的な流れ
宗派や地域によって多少の違いはありますが、おおむね以下のような流れで進みます。
- 参列者着席、僧侶入場
- 施主による開始の挨拶
- 僧侶による読経
- 参列者による焼香(施主、親族、友人の順)
- 僧侶による法話
- 僧侶退場
- お墓参り(行う場合)
- 施主による終了の挨拶と会食の案内
- 会食(お斎)
- 施主による締めの挨拶、返礼品のお渡し
- 解散
施主の挨拶例文
施主の挨拶は、長く話す必要はありません。故人を偲ぶ気持ちと、参列者への感謝の気持ちを簡潔に伝えましょう。
【開始時の挨拶】
「本日はご多忙のなか、亡き父(母)〇〇の三回忌法要にお集まりいただき、誠にありがとうございます。これより、〇〇寺のご住職様にお願いし、法要を執り行いたいと存じます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。」
【終了・会食前の挨拶】
「本日は最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。おかげさまで、滞りなく三回忌法要を終えることができました。故人もさぞかし喜んでいることと存じます。ささやかではございますが、食事の席をご用意いたしましたので、故人の思い出話などをお聞かせいただければ幸いです。」
まとめ
3回忌は、故人が亡くなってから満2年という節目に行われる、故人を偲び冥福を祈るための大切な法要です。遺族や親族にとっては、故人を思い出し、皆で語り合うことで、悲しみを乗り越えていくための重要な時間でもあります。準備することは多岐にわたりますが、一つひとつ丁寧に進めることで、心のこもった供養ができます。この記事が、3回忌に関する不安や疑問を解消し、心穏やかに当日を迎えるための一助となれば幸いです。
参考文献
3回忌のよくある質問まとめ
Q.3回忌はいつ行うのですか?
A.故人が亡くなってから満2年後の命日に行います。祥月命日(しょうつきめいにち)に行うのが理想ですが、平日の場合は直前の土日など、参列者が集まりやすい日にずらすのが一般的です。
Q.3回忌には誰まで呼ぶのが一般的ですか?
A.一般的には、家族や親族、故人と特に親しかった友人を招きます。一周忌よりも規模を縮小する傾向がありますが、決まりはないため、家族で相談して決めましょう。
Q.3回忌の服装に決まりはありますか?
A.遺族は準喪服(ブラックスーツやブラックフォーマル)を着用するのが基本です。参列者は、案内に「平服で」とない限り、準喪服または略喪服(ダークスーツやダークカラーのワンピースなど)を着用するのがマナーです。
Q.3回忌の香典の相場はいくらですか?
A.故人との関係性によりますが、親族は1万円~5万円、友人・知人は5千円~1万円程度が相場です。法要後の会食に参加する場合は、相場より少し多めに包むのが一般的です。
Q.3回忌のお布施の相場は?
A.お布施の相場は1万円~5万円程度が一般的です。ただし、地域やお寺との関係性によって異なるため、不安な場合は直接お寺に尋ねてみても失礼にはあたりません。
Q.3回忌に欠席する場合、どうすればよいですか?
A.欠席の連絡を早めに行い、お詫びを伝えます。香典やお供え物を現金書留で郵送するか、他の参列者に預けるなどの配慮をすると丁寧です。お悔やみの手紙を添えるとより気持ちが伝わります。