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50戸連たん制度廃止地域の土地、相続税は?水道・浄化槽一体型の評価も解説

2024-11-15
目次

ご家族から相続した土地が「50戸連たん制度が廃止された地域」にあると聞いて、どのように評価すればよいかお困りではありませんか?また、「水道・浄化槽が一体型」という言葉も、あまり聞き慣れないかもしれませんね。これらの要素は、土地の評価額、つまり相続税額に大きく影響を与えることがあります。この記事では、これらのキーワードを一つひとつ分かりやすく解説し、相続税評価への具体的な影響と、評価額を適切に抑えるためのポイントについて、丁寧にお話ししていきます。

50戸連たん制度とその廃止について知ろう

まずはじめに、「50戸連たん制度」とは一体どのような制度だったのか、そしてなぜ廃止されてしまったのかを理解することが大切です。この制度が土地の価値にどう関わっていたのかを知ることで、廃止された後の土地評価への影響がぐっと分かりやすくなりますよ。

50戸連たん制度って、そもそも何?

「50戸連たん制度」とは、もともと「市街化調整区域」というエリアでの開発を、ある条件のもとで緩和するための制度でした。市街化調整区域は、街の無秩序な拡大を防ぐため、原則として新しい建物を建てることが制限されている場所です。しかし、この制度によって、すでに建物が50戸以上つながって存在している地域(これを「連たん」と言います)では、一定の条件を満たせば、ご自身が住むための住宅の建築などが特別に認められていたのです。これは、昔からあるコミュニティを維持し、暮らしを守るための特例的な措置だったんですね。

制度の目的 市街化調整区域内にある既存集落の維持・活性化
対象地域 50戸以上の建物が概ね50m以内の間隔で連なっている地域
許可されることの例 一定の要件を満たす自己用住宅の建築や建て替えなど

なぜ廃止されたの?その背景とは

では、なぜこの便利な制度が多くの自治体で廃止されることになったのでしょうか。一番大きな理由は、無秩序な市街化を防ぐためです。この制度があることで、本来は開発を抑えるべき市街化調整区域に住宅が少しずつ増え続け、いわゆるスプロール化(虫食い状に市街地が広がってしまう現象)が進んでしまうという問題がありました。道路や水道などのインフラ整備が追いつかず、住みやすい環境が損なわれる心配もあったため、平成14年の都市計画法改正などをきっかけに、多くの自治体で都市計画が見直され、この制度が廃止される流れになったのです。

制度廃止が土地の価値に与える影響

制度が廃止されると、その土地にはとても大きな影響が出ます。最も重要な変化は、「新たに家を建てたり、建て替えたりすることが原則できなくなる」ということです。昨日まで建築が可能だった土地が、制度がなくなったことで、建築ができない土地に変わってしまうのです。当然ながら、建物を建てられない土地は利用価値が大きく下がります。そのため、不動産市場での売買価格も、そして相続税を計算する際の市場での売買価格も、そして相続税評価額も低くなる傾向にあります。

相続税評価額はどう変わる?50戸連たん制度廃止地域の影響

それでは、具体的に相続税を計算するとき、土地の評価額はどのように変わるのでしょうか。土地評価の基本的な考え方と、評価額が下がる要因について、もう少し詳しく見ていきましょう。

基本的な評価方法「路線価方式」と「倍率方式」

相続税の土地評価には、主に「路線価方式」と「倍率方式」という2つの方法があります。路線価(道路に面する土地1㎡あたりの価格)が定められている市街地の土地は路線価方式で評価し、路線価が定められていない郊外や農村部の土地は倍率方式で評価します。50戸連たん制度があったような市街化調整区域は、路線価が設定されていないことが多いため、土地の固定資産税評価額に国税庁が定める一定の倍率を掛けて計算する「倍率方式」が用いられるのが一般的です。

建築できない土地の評価減

ここが一番のポイントです。50戸連たん制度が廃止されたことで建築が一切できなくなった土地の場合、その利用価値は著しく低くなります。そのため、相続税評価額を計算する際に、その状況を反映して評価額を下げることができます。具体的には、その土地の周辺で家を建てられる宅地の評価額を参考にし、建築制限の度合いに応じて評価額を減額できる可能性があるのです。この減額割合は、土地の場所や周辺の状況によって大きく異なりますが、ケースによっては最大で50%程度の減額が認められることもあります。ただし、これは非常に専門的な判断が必要となるため、税理士などの専門家への相談が欠かせません。

評価額が下がる具体例

ひとつ例を挙げてみましょう。例えば、固定資産税評価額が1,000万円の土地があったとします。評価倍率が1.1倍だと、原則的な評価額は1,100万円になりますね。しかし、50戸連たん制度の廃止によってこの土地に家を建てることが一切できなくなり、利用価値が著しく低いと判断された場合を考えてみましょう。専門家が土地の状況を詳しく調査した結果、建築できる土地と比べて価値が40%低いと認められれば、評価額は1,100万円 × (1 – 0.4) = 660万円となります。このように、制度の廃止という事実は、相続税評価額に大きな差を生む可能性があるのです。

「水道・浄化槽が一体型」とは?これも評価に影響する?

次に、もう一つのキーワード「水道・浄化槽が一体型」についてです。これは土地のインフラ、つまり生活基盤の状況を示す言葉で、こちらも土地の評価に関わってきます。

いわゆる「合併処理浄化槽」のこと

「水道・浄化槽が一体型」という少し分かりにくい表現は、一般的に「合併処理浄化槽」が設置されている状態を指していることが多いです。合併処理浄化槽とは、トイレの排水だけでなく、キッチンやお風呂、洗面所などから出るすべての生活排水をまとめて処理し、きれいな水にしてから川などに放流するための設備です。公共の下水道が整備されていない地域でよく利用されています。公共下水道との大きな違いは、浄化槽本体の設置費用や、定期的な清掃・点検といったメンテナンス費用が、すべて自己負担になる点です。

インフラ未整備による評価減

相続税の土地評価では、その土地の利便性が重要な評価要素となります。誰もが利用できる公共下水道が整備されている地域に比べて、ご自身で合併処理浄化槽を設置・管理しなければならない地域は、一般的に利便性が低いと判断されます。そのため、土地の評価額を計算する際に、インフラが未整備であることによる減価、つまり評価額の引き下げが考慮される場合があるのです。

評価額への具体的な影響

公共下水道が利用できない土地は、利用できる土地に比べて評価額が低くなります。どのくらい減額されるかは、地域や土地の状況によって異なりますが、ひとつの目安として10%程度の減額が認められることがあります。例えば、路線価などで計算した評価額が2,000万円の土地だった場合、公共下水道が未整備であることによる減価が認められれば、評価額は1,800万円となる可能性があります。これは、将来その土地を買う人が浄化槽の設置費用や維持管理費を負担する必要があることを、評価額に反映しているためです。

相続税を抑えるためのポイントと注意点

ここまでのお話を踏まえて、相続税の負担を少しでも軽くするためにできること、そして注意すべき点についてお話しします。

土地の現況を正確に把握する

何よりもまず、相続した土地の現状を正確に知ることが第一歩です。お住まいの市役所の都市計画課などの窓口で、その土地がどの区域にあり、どのような建築制限があるのかを必ず確認しましょう。「50戸連たん制度が廃止された地域である」という事実や、公共下水道が整備されているか、都市ガスは来ているかといった情報も、評価額を正しく計算するための重要な手がかりになります。

専門家(税理士・不動産鑑定士)に相談する

50戸連たん制度が廃止された地域にある土地のような、特殊な条件を持つ土地の評価は、非常に専門的で複雑です。ご自身だけで判断するのは難しく、もし評価を間違えてしまうと、税金を払い過ぎてしまったり、逆に申告漏れを指摘されて後から追徴課税されたりするリスクがあります。土地の評価に詳しい税理士や、不動産評価のプロである不動産鑑定士に相談し、現地の状況をしっかりと見てもらった上で適正な評価をしてもらうことが、最も確実で安心できる方法です。

「小規模宅地等の特例」などの適用も忘れずに検討

今回のキーワードとは直接関係ありませんが、土地の評価額を大きく下げられる制度も知っておきましょう。例えば、亡くなった方がご自宅として住んでいた土地などを相続した場合、「小規模宅地等の特例」という制度を使える可能性があります。この特例を適用できれば、土地の評価額を最大80%減額できる場合もあります。こうした特例が使えるかどうかも含めて、専門家と一緒に最適な申告方法を検討することがとても大切です。

まとめ

今回は、「50戸連たん制度が廃止された地域」と「水道・浄化槽が一体型」というキーワードが、土地の相続税評価にどのように影響するかを詳しく解説しました。これらの特徴を持つ土地は、建築ができない、インフラが整っていないといったマイナス要因があるため、原則的な評価方法で計算した評価額よりも低く評価される可能性があります。しかし、その減額を正しく適用するためには、専門的な知識と適切な手続きが不可欠です。もし相続した土地にこうした特徴がある場合は、まずは役所で土地の情報を確認し、その上で必ず相続税に詳しい税理士などの専門家にご相談ください。適切な評価を受けることで、安心して相続手続きを進めることができますよ。

参考文献

財産を相続したとき|国税庁

50戸連たん制度と相続税のよくある質問まとめ

Q.そもそも「50戸連たん制度」とは何ですか?廃止されるとどうなるのですか?

A.市街化調整区域において、一定の条件で建物の建築を許可する制度です。この制度が廃止された地域では、新たに建物を建てることが原則できなくなり、土地の利用価値が制限される可能性があります。

Q.50戸連たん制度が廃止された地域の土地を相続した場合、相続税評価額は変わりますか?

A.はい、変わる可能性が高いです。建物の建築が困難になることで土地の利用価値が下がると判断され、相続税評価額が減額されることがあります。

Q.「水道・浄化槽が一体型」とはどういう状況で、相続税に影響しますか?

A.公共下水道が整備されておらず、敷地内に浄化槽の設置が必要な土地を指します。上下水道が完備された土地に比べて利便性が劣るため、その不便さが考慮され、相続税評価額の減額要因となります。

Q.相続した土地が「50戸連たん制度廃止地域」で、かつ「上下水道未整備」の場合、評価額は大きく下がりますか?

A.はい、その可能性は高いです。建築制限とインフラの不備という二つの減額要因が重なるため、土地の利用価値が著しく低いと判断され、相続税評価額が大きく減額されるケースがあります。

Q.相続税の申告で、土地の評価額を減額してもらうには特別な手続きが必要ですか?

A.自動的に減額されるわけではありません。相続税申告の際に、50戸連たん制度の廃止やインフラの未整備といった事実を根拠資料と共に示し、「利用価値が著しく低下している宅地」として評価額を算定・申告する必要があります。

Q.土地の評価額が下がると、相続税対策として有利になりますか?

A.相続税の納税額を抑えるという点では有利に働きます。しかし、それは土地の資産価値自体が低いことの裏返しでもあります。将来的な売却や活用を考える際には、そのデメリットも理解しておくことが重要です。

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