パスポートの申請や相続手続きなどで「戸籍謄本」や「戸籍抄本」が必要になったとき、「どっちを取得すればいいの?」と迷った経験はありませんか?名前は似ていますが、実は証明される内容に違いがあります。この記事では、戸籍謄本と戸籍抄本の違いから、それぞれの使い分け、取得方法まで、わかりやすく解説します。これを読めば、もうどちらを取得すべきか迷わなくなりますよ。
結論:迷ったら「戸籍謄本」でほぼ間違いありません
先に結論からお伝えしますね。戸籍謄本は戸籍に入っている「全員分」、戸籍抄本は「一部の人だけ」の証明書です。謄本には抄本の情報がすべて含まれているため、どちらか分からないときは戸籍謄本を取っておけば足りるケースがほとんどです。手数料もどちらも1通450円で同じなので、謄本を選んで損をすることはありません。
用途別・どちらが必要かの早見表
よく相談をいただく手続きについて、どちらが必要になるかを一覧にまとめました。
| 手続き | 必要な書類 | ひとこと |
|---|---|---|
| 相続手続き・相続税申告 | 戸籍謄本 | 亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍が必要 |
| パスポートの申請 | 戸籍謄本 | 現在は戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)の提出が必要です |
| 婚姻届(本籍地以外に提出) | 戸籍謄本 | 本籍地の役所に出す場合は不要なこともあります |
| 公正証書遺言の作成 | 戸籍謄本 | 相続人を特定するために使います |
| 年金の受給手続き | 戸籍抄本でも可の場合あり | 提出先に確認するのが確実です |
| 資格の登録・変更 | 戸籍抄本でも可の場合あり | 本籍の確認だけで済むことが多い |
| 迷ったとき | 戸籍謄本 | 謄本は抄本の内容をすべて含みます(手数料は同額) |
それでは、この違いをもう少し詳しくご説明しますね。
戸籍謄本と戸籍抄本の基本的な違い
まず、戸籍謄本と戸籍抄本の最も大きな違いは、「証明される人の範囲」です。簡単に言うと、「全員分」か「一人(または一部の人)分」かの違いなんですね。それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
戸籍謄本(こせきとうほん)とは?
戸籍謄本は、その戸籍に入っている全員の身分事項(出生、婚姻、死亡など)を証明する書類です。戸籍は「夫婦と未婚の子」を一つの単位として作られるので、例えばご夫婦とお子さん二人の4人家族であれば、その4人全員の情報が記載されています。現在は多くの自治体で戸籍がコンピュータ化されており、その場合の正式名称は「戸籍全部事項証明書」といいます。内容は戸籍謄本とまったく同じです。
戸籍抄本(こせきしょうほん)とは?
一方、戸籍抄本は、その戸籍に入っている人のうち、一人または複数人など、一部の人の情報だけを抜き出して証明する書類です。先ほどの4人家族の例でいうと、「お子さん一人の情報だけ」や「ご夫婦二人の情報だけ」が必要な場合に取得するのが戸籍抄本です。こちらもコンピュータ化された戸籍では、「戸籍個人事項証明書」という名称で呼ばれています。
一目でわかる!違いのまとめ表
違いを分かりやすく表にまとめてみました。
| 種類 | 正式名称(コンピュータ化後) | 証明される範囲 |
|---|---|---|
| 戸籍謄本 | 戸籍全部事項証明書 | 戸籍に記載されている全員分の証明 |
| 戸籍抄本 | 戸籍個人事項証明書 | 戸籍に記載されている人のうち一部の人(一人でも可)の証明 |
どちらを選べばいい?シーン別の使い分け
では、具体的にどのような場面でどちらが必要になるのでしょうか。手続きによって求められる書類が違うので、しっかり確認しておきましょう。
戸籍謄本が必要になる主なケース
家族関係全体の証明が必要な手続きでは、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)を求められることが一般的です。
- 相続手続き:被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本や、相続人全員が記載された戸籍謄本が必要です。
- 婚姻届:本籍地以外の役所に婚姻届を提出する場合に必要です。
- パスポートの申請:身分関係の確認のために必要です。現在は戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)の提出が求められ、戸籍抄本では受け付けてもらえません。
- 公正証書遺言の作成:相続人を特定するために必要となります。
戸籍抄本が必要になる主なケース(何に使う書類?)
「戸籍抄本って何に使うの?」とよく聞かれますが、戸籍抄本(戸籍個人事項証明書)はご本人一人の身分事項だけを証明すれば足りる手続きで使う書類です。ご家族の情報を提出先に見せずに済む、というのが最大のメリットなんですね。具体的には、次のような場面で使われます。
- 資格の登録・変更:特定の国家資格などで、本籍地の確認のために個人の証明として使用される場合があります。
- 年金手続き:受給手続きの際に、個人の身分関係を証明するために必要となることがあります。
- 就職・入社時の提出:本籍や氏名の確認のために求められることがあります(提出先の指定に従ってください)。
- 奨学金や各種申請:申請者ご本人の身分事項の確認だけで足りるケースがあります。
反対に、相続手続き・パスポート申請・本籍地以外への婚姻届といった「家族関係そのもの」を示す必要がある手続きでは、戸籍抄本は使えません。この線引きだけ押さえておくと迷いにくくなりますよ。
ただし、最近では手続きの簡略化やマイナンバー制度の活用により、戸籍抄本の提出を求められる場面は減ってきています。「どちらか分からない」と迷った場合は、戸籍謄本を取得しておくと安心です。もちろん、一番確実なのは、事前に提出先へどちらの書類が必要かを確認することですよ。
相続手続きで戸籍謄本が「大量に」必要になる理由
相続の場面では、戸籍謄本の集め方が他の手続きと大きく違います。金融機関の口座解約や不動産の名義変更、相続税の申告では、亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が求められるためです。これは「ほかに子どもがいないか」「離婚歴による子がいないか」など、相続人が誰なのかを漏れなく確認するためなんですね。
戸籍は結婚や転籍、法改正による作り替え(改製)のたびに新しく作られます。そのため一生分をたどると、現在の戸籍謄本だけでなく除籍謄本や改製原戸籍謄本もあわせて何通も必要になり、本籍地が何度も変わっている方だと5通以上になることも珍しくありません。相続人全員分の現在の戸籍謄本も別途必要です。
関連コラム相続税申告の必要書類一覧|全員必須と財産別の集め方▸
なお、集めた戸籍一式を法務局に提出して認証を受けると「法定相続情報一覧図」が発行され、その写しを戸籍の束の代わりに各手続きで使えるようになります。金融機関や法務局を何か所も回る場合は、こちらを用意しておくと戸籍を何セットも取り直す手間が省けます。
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パスポート申請で必要な戸籍はどっち?範囲・枚数・有効期限
「パスポートの申請に戸籍謄本と戸籍抄本のどっちがいるの?」というご質問は本当に多いので、ここだけ切り出してご説明しますね。結論は戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)1通です。以前は戸籍抄本でも受け付けられていましたが、現在は戸籍抄本では申請できませんので、必ず謄本を用意してください。
取る戸籍の範囲は「今の戸籍1通」だけ
相続手続きのように「出生から死亡までの連続した戸籍」をそろえる必要はありません。パスポート申請で使うのは、申請するご本人が現在入っている戸籍の謄本1通だけです。過去の戸籍(除籍謄本・改製原戸籍謄本)や、戸籍の附票を一緒に出す必要も原則としてありません。
家族で同時に申請するなら1通で足りる
同じ戸籍に入っているご家族(ご夫婦や親子など)が同時に申請する場合は、戸籍謄本1通を全員で共用できます。ご夫婦2人分で2通取る必要はありません。逆に、結婚してすでに別の戸籍になっているごきょうだいなどは、それぞれの戸籍謄本が必要になります。
発行から6か月以内のものを
提出できるのは発行日から6か月以内の戸籍謄本です。「前に取ったものが引き出しにあったから」と古い謄本を持って行くと受け付けてもらえないことがありますので、申請日から逆算して取り直してくださいね。
なお、戸籍謄本は本籍地の役所のほか、2024年3月からの広域交付制度でお近くの役所でも取得できます(詳しくは後述します)。取得後の細かな必要書類は、申請するパスポートセンター・都道府県の窓口の案内を必ずご確認ください。
戸籍謄本・戸籍抄本の取得方法
戸籍謄本も戸籍抄本も、取得方法や手数料は同じです。どこで、どのように取得できるのか見ていきましょう。
取得できる場所
戸籍に関する証明書は、原則として本籍地のある市区町村役場で取得します。取得方法は主に3つです。
- 役所の窓口で請求:直接、本籍地の役所へ行って請求します。
- 郵送で請求:本籍地が遠い場合に便利です。役所のホームページなどから請求書をダウンロードし、必要書類と一緒に郵送します。
- コンビニで取得:マイナンバーカードがあれば、全国のコンビニエンスストアのマルチコピー機で取得できます(本籍地の自治体がコンビニ交付サービスに対応している必要があります)。
取得に必要なものと手数料
取得の際に必要なものと手数料は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 請求できる人 | ・本人 ・配偶者 ・直系の親族(父母、祖父母、子、孫など) ・代理人(委任状が必要) |
| 必要なもの(窓口の場合) | ・交付請求書(窓口にあります) ・本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど) ・手数料 ・委任状(代理人が請求する場合) |
| 手数料 | 1通 450円(戸籍謄本・抄本ともに同額です) |
※相続手続きなどで必要になる「除籍謄本」や「改製原戸籍謄本」は、1通750円です。
2024年3月から便利に!戸籍の広域交付制度
2024年(令和6年)3月1日から、戸籍法の一部が改正され、戸籍の広域交付制度がスタートしました。これにより、戸籍謄本の取得がさらに便利になりました。法務省 戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)
広域交付のメリット
これまでは本籍地でしか取得できませんでしたが、この制度により、自分の本籍地から遠く離れた市区町村の窓口でも、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)を取得できるようになりました。例えば、本籍地が北海道で、現在東京にお住まいの方でも、お近くの役所で取得できます。また、相続手続きで複数の戸籍謄本が必要な場合も、一つの窓口でまとめて請求できるため、手間が大幅に削減されます。
広域交付の注意点
とても便利な制度ですが、いくつか注意点があります。
- 請求できるのは、本人、配偶者、直系の親族(父母、子など)のみです。代理人や郵送での請求はできません。
- 戸籍抄本(戸籍個人事項証明書)は広域交付の対象外です。一部事項証明書も同じく請求できません。
- コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍は対象外です。
- 窓口に行く方の顔写真付きの本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)が必須です。健康保険証などでは受付できません。
よくある質問(Q&A)
最後によくあるご質問にお答えします。
戸籍謄本に住所は載っていますか?
いいえ、戸籍謄本や抄本に現在の住所は記載されません。戸籍は身分関係を証明するもので、住所の履歴は「戸籍の附票(こせきのふひょう)」という別の書類で証明します。住所の証明が必要な場合は、戸籍謄本とあわせて戸籍の附票も取得しましょう。
兄弟の戸籍は取れますか?
結婚すると親の戸籍から出て、夫婦で新しい戸籍が作られます。そのため、兄弟姉妹は直系の親族ではないため、原則として本人からの委任状がなければ取得できません。ただし、ご自身の相続手続きで、兄弟姉妹の戸籍が必要であるといった正当な理由がある場合は、請求が認められることもあります。
戸籍謄本と戸籍抄本で値段(手数料)は違いますか?
いいえ、どちらも1通450円で同額です。抄本のほうが記載される人数が少ないので安くなりそうな気がしますが、手数料は変わりません。そのため「安いほうを選ぶ」という考え方は不要で、迷ったら情報量の多い戸籍謄本を取るのが得ということになります。なお、除籍謄本・改製原戸籍謄本は1通750円です。
パスポートの申請は戸籍抄本でも大丈夫ですか?
いいえ、現在は戸籍抄本では申請できません。戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)を、発行から6か月以内のもの1通ご用意ください。同じ戸籍のご家族が同時に申請する場合は、その1通を全員で使えます。
戸籍謄本・戸籍抄本の読み方は?
戸籍謄本は「こせきとうほん」、戸籍抄本は「こせきしょうほん」と読みます。「妙本」ではなく「抄本」で、”抜き書き”という意味の言葉です。役所の窓口では「戸籍全部事項証明書」「戸籍個人事項証明書」という正式名称で案内されることも多いので、あわせて覚えておくと安心ですね。
まとめ
戸籍謄本と戸籍抄本の違いについて、ご理解いただけましたでしょうか。ポイントを最後にもう一度おさらいしましょう。
- 戸籍謄本は「全員」の証明、戸籍抄本は「一部の人」の証明。
- 相続手続きやパスポート申請など、家族関係・身分関係の証明には戸籍謄本が必要になる。
- パスポート申請は現在の戸籍謄本1通(発行から6か月以内)でよく、同じ戸籍の家族が同時に申請するなら1通を共用できる。
- 手数料はどちらも1通450円で同じ。迷ったら謄本を取れば間違いない。
- 相続では被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍が必要で、除籍謄本・改製原戸籍謄本も加わる。
- 2024年3月からの広域交付制度で、本籍地以外でも戸籍謄本が取得できるようになった(抄本は対象外)。
これらの違いをしっかり理解して、ご自身の用途に合った書類をスムーズに取得してくださいね。相続の戸籍集めは思いのほか時間がかかりますので、期限のある相続税申告を控えている方は早めに着手されることをおすすめします。
参考文献
戸籍謄本と戸籍抄本のよくある質問まとめ
Q. 戸籍謄本と戸籍抄本の根本的な違いは何ですか?
A. 戸籍謄本は、その戸籍に入っている「全員」の身分事項を証明するものです。一方、戸籍抄本は、戸籍に入っている人のうち「一部の人(一人または複数人)」の身分事項だけを証明するものです。「全部」か「一部」かが大きな違いです。
Q. どちらを取得すればよいか迷ったときはどうすればいいですか?
A. 迷ったときは戸籍謄本を取得しておけば足りるケースがほとんどです。戸籍謄本には戸籍抄本の情報がすべて含まれており、手数料も1通450円で同額だからです。相続手続きやパスポート申請では戸籍謄本が必要で、戸籍抄本では受け付けてもらえません。最も確実なのは提出先に確認することです。
Q. パスポートの申請に必要なのは戸籍謄本と戸籍抄本のどちらですか?
A. パスポートの申請では戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)の提出が必要です。以前は戸籍抄本でも受け付けられていましたが、現在は戸籍抄本では申請できませんのでご注意ください。
Q. 手数料に違いはありますか?
A. いいえ、ほとんどの市区町村で戸籍謄本(全部事項証明書)と戸籍抄本(個人事項証明書)の交付手数料は同額です。一般的には1通450円です。なお除籍謄本・改製原戸籍謄本は1通750円です。
Q. 「全部事項証明書」「個人事項証明書」という言葉も聞きますが、違いは何ですか?
A. 戸籍がコンピュータ化されている場合、戸籍謄本は「戸籍全部事項証明書」、戸籍抄本は「戸籍個人事項証明書」が正式名称となります。現在ではほとんどの自治体でコンピュータ化されているため、こちらの名称で呼ばれることが多くなっています。内容は同じものです。
Q. 相続手続きではどのくらいの戸籍謄本が必要ですか?
A. 相続手続きでは、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍が必要です。現在の戸籍謄本に加えて除籍謄本や改製原戸籍謄本も必要になり、本籍地を何度も移している方の場合は5通以上になることもあります。相続人全員の現在の戸籍謄本も別途必要です。
Q. 戸籍謄本や戸籍抄本はどこで取得できますか?
A. 原則として、本籍地のある市区町村の役所窓口で取得できます。窓口に行けない場合は、郵送で請求したり、マイナンバーカードを利用してコンビニのマルチコピー機で取得(対応自治体のみ)したりすることも可能です。2024年3月からは広域交付制度により、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍謄本を請求できるようになりました(戸籍抄本は対象外です)。
Q. 誰でも他人の戸籍謄本や抄本を取得できますか?
A. いいえ、プライバシー保護のため、取得できるのは原則として本人、その配偶者、直系の親族(父母、祖父母、子、孫など)に限られます。それ以外の人が代理で取得する場合は、委任状が必要です。