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相続ってそもそも何?誰が財産をもらえる?税金の基本をやさしく解説

2025-08-25
目次

ご家族が亡くなられたとき、避けては通れないのが「相続」です。でも、相続って何から始めたらいいの?税金はかかるの?と不安に思う方も多いのではないでしょうか。この記事では、相続の基本的な仕組みから、誰が財産を受け取れるのか、相続税の計算方法まで、初めての方にも分かりやすく解説していきますね。

相続って、そもそもどういうこと?

相続とは、亡くなった方(被相続人といいます)が持っていた財産や権利、義務などを、その方の家族などが引き継ぐことを指します。大切なのは、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も引き継ぐということです。そのため、どんな財産があるのかをきちんと把握することが、相続の第一歩になります。

相続される「財産」には何があるの?

相続の対象となる財産は、大きく「プラスの財産」と「マイナスの財産」に分けられます。また、生命保険金のように、もともとは被相続人の財産ではないけれど、亡くなったことをきっかけに受け取る財産も「みなし相続財産」として相続税の計算対象になることがあります。

プラスの財産 預貯金、現金、土地、建物、株式、投資信託、自動車、貴金属など
マイナスの財産 借金、住宅ローン、未払いの税金や医療費など

財産を引き継ぐ人(相続人)は誰になるの?

財産を引き継ぐ権利がある人は、法律で決められていて「法定相続人」と呼ばれます。誰が法定相続人になるかには、ルールと優先順位があります。

まず、亡くなった方の配偶者(夫または妻)は、常に法定相続人になります。そして、配偶者以外の親族には、次の通りの順位が定められています。

常に相続人 配偶者
第1順位 子(子がすでに亡くなっている場合は、その子である孫が代わって相続します。これを代襲相続といいます)
第2順位 父母(第1順位の人がいない場合に相続人になります。父母が亡くなっている場合は祖父母が相続人になります)
第3順位 兄弟姉妹(第1順位も第2順位もいない場合に相続人になります。兄弟姉妹が亡くなっている場合は、その子である甥・姪が代襲相続します)

上位の順位の人が一人でもいる場合、それより下の順位の人は相続人にはなれません。

財産はどれくらいの割合で分けるの?(法定相続分)

亡くなった方が遺言書を残していない場合、相続人全員で話し合って財産の分け方を決めます(これを遺産分割協議といいます)。その際の目安となるのが、法律で定められた「法定相続分」です。相続人の組み合わせによって、割合は変わります。

相続人の組み合わせ 法定相続分
配偶者と子 配偶者:1/2、子:1/2(子が複数いる場合は全員で1/2を均等に分けます)
配偶者と父母 配偶者:2/3、父母:1/3(父母ともに健在の場合は全員で1/3を均等に分けます)
配偶者と兄弟姉妹 配偶者:3/4、兄弟姉妹:1/4(兄弟姉妹が複数いる場合は全員で1/4を均等に分けます)

もちろん、相続人全員が合意すれば、この割合と違う分け方をすることも可能です。

相続税は必ずかかるの?

「相続=税金がかかる」というイメージがあるかもしれませんが、実は相続税を支払う必要があるのは、全体の約1割程度なんです。ほとんどの場合、相続税はかかりません。なぜなら、相続税には「これだけの金額までは税金がかかりませんよ」という非課税の枠が設けられているからです。この非課税枠のことを「基礎控除」と呼びます。

相続税のキホン!「基礎控除」とは

基礎控除は、相続税がかかるかどうかを判断するためのボーダーラインです。相続した財産の合計額が基礎控除額以下であれば、相続税はかからず、税務署への申告も原則不要です。基礎控除額は、次の計算式で求められます。

【基礎控除額の計算式】
3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

つまり、法定相続人の数が多ければ多いほど、非課税になる金額も大きくなる仕組みです。

法定相続人の数 基礎控除額
1人(例:配偶者のみ) 3,600万円
2人(例:配偶者と子1人) 4,200万円
3人(例:配偶者と子2人) 4,800万円
4人(例:配偶者と子3人) 5,400万円

法定相続人の数え方で注意するポイント

基礎控除額を計算するときの「法定相続人の数」には、いくつか注意点があります。数え方を間違えると控除額が変わってしまうので、しっかり確認しましょう。

  • 相続放棄:もし相続人の誰かが家庭裁判所で「相続放棄」の手続きをしたとしても、基礎控除の計算では、その人も法定相続人の数に含めて計算します
  • 養子:養子も法定相続人になりますが、含められる人数に制限があります。亡くなった方に実の子がいる場合は1人まで、実の子がいない場合は2人までを法定相続人の数に含めることができます。
  • 代襲相続:本来相続人である子が先に亡くなっていて、その子(被相続人の孫)が相続する場合、その孫も法定相続人として数えます。

相続税はどうやって計算するの?5つのステップ

もし財産の合計額が基礎控除額を超えた場合、相続税の計算が必要になります。少し複雑に感じるかもしれませんが、5つのステップに沿って進めていくと理解しやすいですよ。

ステップ1:課税対象になる財産の価格を計算する

まず、相続するすべてのプラスの財産(預貯金、不動産など)を評価し、そこから借金などのマイナスの財産と葬儀費用を差し引きます。これが「正味の遺産額」です。生命保険金や死亡退職金を受け取った場合は、「500万円 × 法定相続人の数」で計算した非課税枠を超える部分を、この正味の遺産額に加えます。

ステップ2:課税遺産総額を計算する

次に、ステップ1で計算した金額から「基礎控除額」を差し引きます。この結果、残った金額が相続税の課税対象となる「課税遺産総額」です。もしこの時点で金額がゼロかマイナスになれば、相続税はかかりません。

課税遺産総額 = 正味の遺産額 - 基礎控除額

ステップ3:相続税の総額を計算する

ここが少しややこしいポイントです。ステップ2で計算した「課税遺産総額」を、いったん法律で決められた「法定相続分」の割合で分けたと仮定します。そして、それぞれの相続人が取得したとされる金額に、下の速算表を使って税率をかけ、各人ごとの仮の税額を計算します。最後に、全員分の仮の税額を合計したものが「相続税の総額」となります。

法定相続分に応ずる取得金額 税率
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15%
5,000万円以下 20%
1億円以下 30%
2億円以下 40%
3億円以下 45%
6億円以下 50%
6億円超 55%

ステップ4:実際に納める税額を計算する

ステップ3で計算した「相続税の総額」を、今度は「実際に財産を相続した割合」に応じて分け合います。これで、各相続人が負担するべき税額の基本が決まります。

ステップ5:税額控除を適用する

最後に、各相続人の状況に応じて適用できる税額控除があれば、ステップ4で計算した税額から差し引きます。この結果が、最終的に納める相続税額となります。

相続税の負担を軽くする主な控除や特例

基礎控除以外にも、相続税の負担を大きく軽減してくれる制度がいくつかあります。代表的なものを知っておきましょう。

配偶者の税額軽減

これは配偶者のための非常に強力な制度です。配偶者が相続した財産が、「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分」のいずれか多い金額までであれば、相続税はかかりません。多くの場合、この制度を使えば配偶者の相続税はゼロになります。ただし、この特例を受けるためには、相続税の申告が必要なので注意してくださいね。

小規模宅地等の特例

亡くなった方が住んでいた自宅の土地や、事業で使っていた土地などを相続した場合に使える特例です。一定の要件を満たせば、その土地の評価額を最大で80%も減額することができます。土地は評価額が高くなりがちなので、この特例が使えるかどうかで税額が大きく変わることがあります。

未成年者控除・障害者控除

相続人が未成年者や障害者である場合にも、税額を直接差し引くことができる控除制度があります。

  • 未成年者控除:その相続人が18歳になるまでの年数1年につき10万円が控除されます。
  • 障害者控除:その相続人が85歳になるまでの年数1年につき10万円(特別障害者の場合は20万円)が控除されます。

相続の手続きはどう進めるの?

相続が発生すると、さまざまな手続きを期限内に行う必要があります。慌てないためにも、大まかな流れを知っておくと安心です。

相続発生後の主な手続きと期限

特に重要な、期限が定められている手続きをまとめました。亡くなったことを知った日の翌日から数え始めます。

期限 主な手続き
7日以内 死亡届の提出
3ヶ月以内 相続放棄または限定承認の申述(借金が多い場合などに検討します)
4ヶ月以内 所得税の準確定申告(亡くなった方のその年分の所得税の申告)
10ヶ月以内 相続税の申告と納付

特に相続税の申告・納付期限である10ヶ月は、長いようで意外とあっという間です。財産の調査や遺産分割協議など、やるべきことはたくさんあるので、計画的に進めることが大切です。

まとめ

相続は、誰の身にも起こりうることです。難しく感じるかもしれませんが、基本的な仕組みを知っておくだけで、いざという時に落ち着いて対応できます。まずは、ご自身の家庭では誰が相続人になるのか、財産は基礎控除額に収まりそうか、といった点を確認してみるのが良いでしょう。もし財産が多くて手続きが複雑になりそうだったり、少しでも不安な点があったりする場合は、早めに税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

参考文献

相続のよくある質問まとめ

Q.相続ってそもそも何ですか?

A.亡くなった方の財産や権利、義務などを、配偶者や子などの親族が法律に基づいて引き継ぐことです。これには預貯金などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。

Q.誰が相続人になるのですか?

A.法律で定められた「法定相続人」が相続人になります。配偶者は常に相続人となり、それ以外は子、親、兄弟姉妹の順に優先順位が決まっています。遺言書がある場合は、その内容が優先されることもあります。

Q.どんなものが相続財産になりますか?

A.預貯金、不動産、株式などのプラスの財産と、借金やローンなどのマイナスの財産の両方が相続の対象となります。プラスの財産だけを選んで相続することは原則としてできません。

Q.相続税は必ず払わないといけないのですか?

A.いいえ、必ずかかるわけではありません。相続財産の総額が「基礎控除額」という一定の金額を超えた場合にのみ、相続税の申告と納税が必要になります。多くの場合、相続税はかかりません。

Q.遺言書があった場合はどうなりますか?

A.遺言書がある場合は、原則としてその内容に従って財産が分けられます。ただし、法定相続人には「遺留分」という最低限の財産を受け取る権利が保障されているため、遺言書の内容がすべてではありません。

Q.相続が始まったら、まず何をすればいいですか?

A.まずは遺言書の有無を確認することから始めます。その後、誰が相続人になるのか(相続人の調査)、どのような財産があるのか(財産調査)を確定させることが、相続手続きの第一歩となります。

事務所概要
社名
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対応責任者
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