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実家じまいで仏壇はどうする?処分方法と費用、供養の仕方を徹底解説!

2025-10-08
目次

最近よく耳にする「実家じまい」。ご両親が高齢者施設に入居されたり、残念ながらお亡くなりになったりして、空き家になった実家を片付けることを指します。その中でも、多くの方が頭を悩ませるのが「仏壇の扱い」ではないでしょうか。ご先祖様が祀られている大切なものですから、粗末にはできませんよね。この記事では、実家じまいにおける仏壇の供養や処分方法、費用について、分かりやすく解説していきます。後悔のない選択ができるよう、一緒に考えていきましょう。

そもそも実家じまいで仏壇はどうするべき?3つの選択肢

実家にある仏壇をどうするか、主な選択肢は3つあります。ご自身の状況やご家族の考えに合わせて、最適な方法を選びましょう。

自宅で引き取って祀る(移動)

まず考えられるのが、ご自身の自宅に仏壇を移動させて、引き続き供養していく方法です。ご先祖様とのつながりを大切にしたい方にとっては、最も安心できる選択肢かもしれませんね。ただし、実家の仏壇が大きくて自宅に置けないというケースも多いでしょう。その場合は、仏壇を小さくリフォームする「洗濯(せんたく)」や、新しいコンパクトな仏壇に買い替える方法もあります。仏壇を移動させる際には、移動前に「魂抜き(閉眼供養)」、移動後に「魂入れ(開眼供養)」という儀式をお坊さんにしていただくのが一般的です。

永代供養を依頼する

「自宅に仏壇を置くスペースがない」「後を継ぐ人がいない」といった場合には、お寺や霊園に永代供養を依頼する方法があります。永代供養とは、ご家族に代わって、お寺や霊園が永続的にご先祖様の供養と管理をしてくれることです。この場合、仏壇そのものではなく、中に祀られているご本尊や位牌を預かってもらう形になります。仏壇本体は、後述する方法で供養じまい(処分)するのが一般的です。管理の手間がなくなり、無縁仏になる心配がなくなるのが大きなメリットです。

処分(供養じまい)する

様々な事情から、どうしても仏壇の引き取りや永代供養が難しい場合は、処分(供養じまい)するという選択肢もあります。「処分」と聞くと少し抵抗があるかもしれませんが、きちんと手順を踏んで供養すれば、決してご先祖様に失礼なことではありません。大切なのは、感謝の気持ちを込めて、閉眼供養(へいがんくよう・魂抜き)を行うことです。この儀式によって、仏壇に宿っているとされるご先祖様の魂を抜き、仏壇を「ただの家具」に戻します。その後、専門の業者などに引き取ってもらうのが一連の流れです。

仏壇の供養じまいの流れと費用

仏壇を処分することに決めた場合、どのような手順で進めればよいのでしょうか。一般的な流れと費用の目安をご紹介します。

ステップ1:家族や親族と相談する

まず何よりも大切なのが、家族や親族への相談です。仏壇はご家族やご親族にとっても大切なものですから、一人で勝手に話を進めてしまうと、後々トラブルに発展しかねません。なぜ処分する必要があるのか、どのような方法を考えているのかを丁寧に説明し、皆さんの理解を得てから進めるようにしましょう。この段階で、誰が費用を負担するのかについても話し合っておくとスムーズです。

ステップ2:菩提寺に相談し、閉眼供養(魂抜き)を行う

親族の同意が得られたら、菩提寺(先祖代々のお墓があるお寺)に連絡し、仏壇じまいをしたい旨を伝えます。そして、お坊さんに来ていただいて「閉眼供養(魂抜き)」の儀式を執り行います。宗派によっては「お性根抜き(おしょうねぬき)」など呼び方が異なる場合もあります。この儀式に対するお礼として、お坊さんにお布施をお渡しします。お布施の金額に決まりはありませんが、一般的には3万円~10万円程度が相場とされています。遠方から来ていただく場合は、別途「お車代」として5,000円~1万円程度を包むのがマナーです。

ステップ3:仏壇を処分する

閉眼供養が終わった仏壇は、宗教的な意味合いから解放され、家具と同じ扱いになります。処分の方法はいくつかあり、それぞれ費用が異なります。

処分方法 費用の目安
菩提寺・お寺に依頼する 2万円~8万円
仏具店に依頼する 2万円~7万円
専門の処分業者に依頼する 1万円~8万円
自治体の粗大ごみに出す 500円~3,000円

どの方法を選ぶかは、費用だけでなく、ご自身の気持ちや手間なども考慮して決めるとよいでしょう。次の章で、それぞれのメリット・デメリットを詳しく見ていきます。

仏壇の処分方法ごとのメリット・デメリット

閉眼供養後の仏壇の処分方法は一つではありません。それぞれの方法のメリットとデメリットを理解して、ご自身に合った方法を選びましょう。

菩提寺に依頼する

閉眼供養をお願いしたお寺に、そのまま処分の相談をすることができます。多くのお寺では、お焚き上げなどの形で供養・処分を行ってくれます。長年お付き合いのあるお寺に最後までお願いできるという安心感が最大のメリットです。一方で、費用は他の方法に比べて少し高くなる傾向があります。また、檀家さんでないと受け付けてもらえない場合もあります。

仏具店に依頼する

新しい仏壇の購入を検討している場合は、購入する仏具店に古い仏壇の引き取りを依頼するのがスムーズです。仏壇の専門家なので、運搬から処分まで安心して任せられます。買い替えの場合は無料で引き取ってくれることもありますが、処分のみを依頼すると2万円~7万円程度の費用がかかるのが一般的です。

専門の処分業者に依頼する

最近では、仏壇の供養から処分までを専門に行う業者も増えています。複数の業者から見積もりを取って比較検討できるため、費用を抑えられる可能性があります。また、閉眼供養と処分をセットで依頼できるプランを用意している業者もあり、手間を省けるのがメリットです。ただし、業者によってサービス内容や料金が大きく異なるため、信頼できる業者を慎重に選ぶ必要があります。

自治体の粗大ごみとして出す

閉眼供養済みの仏壇は「家具」として扱われるため、自治体のルールに従って粗大ごみとして出すことも可能です。費用が数百円から数千円程度と、最も安く済むのがメリットです。しかし、「仏壇をごみとして出すのは忍びない」という宗教的・感情的な抵抗を感じる方も少なくありません。また、自治体によっては仏壇の回収を受け付けていない場合もあるため、事前に必ず役所に確認しましょう。この方法を選ぶ場合でも、閉眼供養は必須です。

仏壇と一緒に位牌や仏具はどうする?

仏壇を処分する際には、中に安置されている位牌や仏具の扱いも考えなければなりません。それぞれ適切な供養の方法があります。

位牌の供養と処分

位牌は、故人そのものとされる非常に大切なものです。仏壇以上に丁重な扱いが求められます。仏壇と同様に閉眼供養(魂抜き)を行った後、お寺でお焚き上げをしてもらうのが最も一般的な方法です。費用は、お布施として1万円~5万円程度が目安です。複数の位牌がある場合は、先祖代々の位牌として一つにまとめる「繰り出し位牌」を作成したり、過去帳に書き写したりする方法もあります。

仏具の処分

香炉、花立て、おりんといった仏具は、基本的に宗教的な意味合いは薄いとされています。そのため、特別な供養は不要で、素材ごとに分別して自治体のルールに従って処分することができます。金属製のものは、専門の業者に買い取ってもらえる場合もあります。ただし、ご本尊(仏像や掛け軸)は位牌と同様に魂が宿っていると考えられるため、必ず閉眼供養を行い、お寺に納めるようにしてください。

仏壇は相続財産?相続税はかかる?

実家じまいとなると、相続の問題も気になりますよね。高価な仏壇の場合、「これも相続財産になるの?」「相続税はかかるの?」と心配になる方もいらっしゃるかもしれません。

仏壇は祭祀財産(さいしざいさん)

結論から言うと、仏壇は相続税の対象にはなりません。仏壇や仏具、位牌、お墓といったご先祖様を祀るための財産は「祭祀財産(さいしざいさん)」と呼ばれ、一般的な預貯金や不動産といった相続財産とは区別されます。祭祀財産は、先祖の祭祀を主宰する人(お祀りごとを引き継ぐ人)が一人で承継するもので、遺産分割の対象にもなりません。

祭祀財産は非課税!相続税の対象外

国税庁の定めにより、祭祀財産は非課税財産とされています。そのため、どれだけ高価な仏壇やお墓であっても、相続税が課されることはありません。これは、祭祀財産が日本の伝統や慣習に根ざしたものであり、課税対象とすることが国民感情にそぐわないと考えられているためです。したがって、仏壇を誰が引き継ぐかということで、相続税額が変わる心配はありませんのでご安心ください。

まとめ

実家じまいにおける仏壇の扱いについて、ご理解いただけたでしょうか。最後に、大切なポイントをもう一度おさらいしましょう。

  • 実家じまいの仏壇の選択肢は「自宅で引き取る」「永代供養する」「処分(供養じまい)する」の3つ。
  • 仏壇を処分する場合は、必ず事前に閉眼供養(魂抜き)を行う必要があります。
  • 事を進める前に、必ず家族や親族と十分に話し合うことがトラブル回避の鍵です。
  • 仏壇や位牌は、相続税のかからない「祭祀財産」です。

仏壇じまいは、ご先祖様への感謝を伝え、一つの区切りをつける大切な儀式です。何から手をつければいいか分からない、一人で決めるのは不安だという場合は、菩提寺のご住職や専門の業者など、信頼できる方に相談してみてください。きっと、あなたとご家族にとって最善の方法が見つかるはずです。

参考文献

国税庁 No.4108 相続税がかからない財産

実家じまいの際の仏壇に関するよくある質問まとめ

Q.実家じまいをするのですが、仏壇はどうすればよいですか?

A.主に「供養・処分する」「自分の家に移動する」「新しい仏壇に買い替える」の3つの選択肢があります。ご自身の状況やご家族の意向に合わせて選びましょう。

Q.仏壇を処分する前に、何か特別な儀式は必要ですか?

A.はい、「閉眼供養(へいがんくよう)」または「魂抜き(たましいぬき)」と呼ばれる儀式が必要です。これは、仏壇に宿っているご先祖様の魂を抜くための大切な儀式で、通常はお寺の僧侶にお願いします。

Q.閉眼供養(魂抜き)のお布施はいくらくらいが相場ですか?

A.お布施の相場は1万円〜5万円程度が一般的ですが、地域やお寺との関係性によって異なります。直接お寺に問い合わせるか、「お気持ちで」と言われた場合はこの相場を参考にするとよいでしょう。

Q.供養後の仏壇はどのように処分すればよいのでしょうか?

A.供養後は「粗大ごみとして自治体に回収してもらう」「仏壇店に引き取ってもらう」「専門の処分業者に依頼する」などの方法があります。自治体によってルールが異なるため、事前に確認が必要です。

Q.仏壇の処分にかかる費用の総額はどれくらいですか?

A.閉眼供養のお布施(1万円〜5万円)に加え、処分費用がかかります。仏壇店や専門業者に依頼する場合は数万円程度が目安です。自治体の粗大ごみとして出す場合は比較的安価で済みますが、供養は別途必要です。

Q.今の住まいに合う、小さな仏壇に買い替えることはできますか?

A.はい、可能です。最近ではマンションや現代のインテリアに合うモダンでコンパクトな仏壇も多くあります。古い仏壇の閉眼供養と新しい仏壇の開眼供養(かいげんくよう)を併せて僧侶にお願いしましょう。

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