戸籍謄本や婚姻届を前にして、「本籍って、どこまで書けばいいの?」「なぜ番地までで、マンション名や〇号がないの?」と手が止まったことはありませんか。
結論からお伝えすると、本籍は「都道府県名から番地(または番)まで」を書けば完成です。本籍は土地を指す番号で表示するため、建物を特定するための「〇号」やマンション名・部屋番号は書きません。迷ったら「本籍・筆頭者の記載あり」の住民票に印字されているとおりに書き写すのがいちばん確実です。
また、戸籍謄本には、いま住んでいる住所は載りません。住所を証明するのは住民票、住所の履歴をたどるのは戸籍の附票です。この記事では、本籍の書き方と「どこまで書くか」の線引きから、番地までになる理由、戸籍と住所の関係まで、順番にご説明しますね。
本籍はどこまで書く?早見表
まずは「書くもの」と「書かないもの」を一覧で確認しておきましょう。本籍欄で迷うポイントは、ほとんどがこの表で解決します。
| 本籍欄に書くもの | 本籍欄に書かないもの |
|---|---|
| 都道府県名・市区町村名 | 「〇号」(住居番号) |
| 町名・字名・丁目 | マンション・アパートの名前 |
| 「〇番地」または「〇番」 | 部屋番号・号室 |
| 番地のあとに続く数字(「1番地2」の「2」など) | 郵便番号 |
「番地のあとに続く数字」は、建物の番号ではなく土地の番号の一部です。こちらは省略せずに書く、と覚えておいてくださいね。
本籍の書き方|どこまで書くかを記載例で確認
ここからは、実際に婚姻届や各種の申請書で本籍を書くときの手順を、記載例を交えてご説明しますね。
書く範囲は「都道府県名」から「番地(番)」まで
本籍は、都道府県名から書き始めて、番地(または番)で書き終えるのが基本です。たとえば、次のような形になります。
- 〇〇県〇〇市〇〇町123番地
- 東京都〇〇区〇〇二丁目5番
- 〇〇県〇〇郡〇〇町大字〇〇456番地7
住所を書くときのクセで、最後に「〇号」や建物名を足してしまう方がとても多いのですが、本籍ではそこまで書く必要はありません。届書の様式によっては「番地」「番」の文字があらかじめ印刷されていることもありますので、その場合は数字だけを記入してくださいね。
「番地」と「番」はどっち?
「本籍は番地までと言われても、うちは「〇番」で終わっているけれど大丈夫?」というご質問もよくいただきます。結論としては、どちらもあり得ますので、ご安心くださいね。
本籍は、土地の番号である地番か、住居表示の「街区符号」の番号のどちらかで表示されます。e-Gov法令検索 戸籍法施行規則第3条 住居表示が実施された地域では、本籍も「〇丁目〇番」という形になることがあるわけです。大切なのは、ご自身の戸籍に実際に記録されているとおりに書くことなんです。
| 本籍の記載例 | どんな表示か |
|---|---|
| 東京都〇〇区〇〇一丁目1番地 | 土地の番号(地番)で表示している |
| 東京都〇〇区〇〇一丁目1番 | 住居表示の街区符号で表示している |
| 東京都〇〇区〇〇1番地の2 | 枝番(分かれた土地の番号)まで含む地番で表示している |
番地のあとの数字や「〇号がない」のは正しい?
「本籍に号がないのは間違いでは?」と心配される方もいますが、号がないのが正しい形です。本籍に「号」が出てこないのは、号が建物に付けられる住居番号だからなんですね。
一方で、「123番地7」「1番地の2」のように番地のあとに数字が続いている場合は、それも地番の一部です。土地が分かれたときに付く枝番のことが多く、省略すると別の土地を指してしまうおそれがあります。「の」が入るかどうかも含めて、記録されているとおりに書き写してください。
婚姻届などで「〇号」まで書いてしまったときはどうなる?
婚姻届や転籍届で、うっかり住所と同じように「〇番〇号」と書いてしまった——これも、とてもよくあるお悩みです。
この場合、窓口で職員の方が確認し、正しい地番に直したうえで受理してくれるのが一般的です。届出が無効になったり、書き直しのために出直しになったりするケースはあまり多くありません。ただし、確認のために連絡が来ることはありますので、提出前に住民票で地番を確かめておくと安心ですね。
すでに提出したあとで気づいた場合も、慌てずに提出先の市区町村役場へお問い合わせください。戸籍に記録される本籍は、あくまで地番などに沿った形で整えられます。
自分の本籍が分からないときの確認方法
「そういえば、自分の本籍地ってどこだっけ?」という方は、次の方法で確認できます。
- 住民票の写しを取得する:市区町村の窓口で住民票を請求する際に、「本籍・筆頭者の記載あり」で申請すると、正確な本籍地が記載された住民票が取得できます。住民票には「戸籍の表示」を記載する仕組みになっているためです。e-Gov法令検索 住民基本台帳法第7条
- 運転免許証のICチップを読み取る:ICカード免許証であれば、免許センターや警察署に設置されている端末機で確認できます。スマートフォンのアプリでも読み取ることが可能です。
- 両親や親族に確認する:結婚などで籍を移していない場合は、ご両親と同じ戸籍に入っていることが多いため、確認してみるのが確実です。
書類に書き写すときは、住民票の本籍欄を横に置いて、一字ずつ照らし合わせるのがおすすめです。
なぜ本籍は番地まで?土地の番号で表示する理由
本籍が番地までしか記載されないのは、本籍と、私たちが普段使っている住所とでは、場所の表し方の目的がまったく違うからなんです。
本籍は戸籍の「置き場所」を示すもの
本籍とは、その人の戸籍が置かれている場所を示すものです。戸籍は、出生・婚姻・死亡といった身分関係を記録・証明する大切な公文書で、本籍はその戸籍をどの市区町村が管理するかを決める「目印」の役割を持っています。
ですから、本籍は今住んでいる場所である必要はありません。建物を特定する必要がないので、土地の番号までで役割を果たせる、というわけです。
地番と住居表示は別の番号
地番(ちばん)は、法務局が土地一筆ごと(登記上の土地の単位)に付けている番号で、不動産の登記で土地を特定するために使われます。一方、住所で使う「〇番〇号」は、住居表示に関する法律にもとづいて、街区に付ける「街区符号」と、建物に付ける「住居番号」で表すものです。e-Gov法令検索 住居表示に関する法律第2条
この2つは別々に付けられた番号で、一致しないことが多い点に注意が必要です。法務局 不動産登記に関するよくある質問 住所の「〇番〇号」をそのまま本籍の「〇番地」に置き換えると、別の土地を書いてしまうことがあるんですね。
| 比べる点 | 本籍 | 住所(住居表示) |
|---|---|---|
| 何のための場所か | 戸籍を置く場所 | 実際に生活している場所 |
| 表し方 | 地番または街区符号 | 街区符号と住居番号 |
| 表示の最後 | 「〇番地」「〇番」 | 「〇号」、建物名・部屋番号 |
| 確認できる書類 | 戸籍謄本、本籍記載ありの住民票 | 住民票 |
アパート名や「〇号」が入らないのはこのため
もうお分かりかと思いますが、本籍はあくまで「土地」を指定するものです。「〇号」という住居番号や、アパート・マンション名は「建物」を特定するための情報ですので、本籍には出てきません。建物は建て替えや取り壊しがありますが、土地の番号は比較的変わりにくいため、長く記録を残す戸籍の目印に向いている、と考えると分かりやすいですね。
本籍と住所がそもそも違う場所でも問題ないのか、といった点は、次のコラムで詳しくご説明しています。
関連コラム本籍と住所の違いは?違うのはなぜ・問題ない?一覧表と本籍地の調べ方▸
戸籍と住所の関係|戸籍謄本に住所は載る?
「戸籍謄本を取れば住所も分かるはず」と思っていた方は、少し驚かれるかもしれません。戸籍謄本(全部事項証明書)に、現在の住所は記載されていないんです。ここは本籍と住所の違いが、いちばん実務で効いてくるところですね。
戸籍謄本に書かれているのは「本籍」と身分事項
戸籍に記載されるのは、本籍のほか、一人ひとりの氏名・生年月日・父母の氏名と続柄・戸籍に入った原因などの身分に関する事項です。e-Gov法令検索 戸籍法第13条 住所は記載事項に含まれていません。
本籍・住所・住所の履歴が、それぞれどの書類に載っているかを整理すると次のとおりです。
| 書類 | 本籍 | 現在の住所 | 過去の住所 | 請求先 |
|---|---|---|---|---|
| 戸籍謄本(全部事項証明書) | 載る | 載らない | 載らない | 本籍地の市区町村(広域交付も可) |
| 住民票の写し | 希望すれば載る | 載る | 前住所のみ | 住所地の市区町村 |
| 戸籍の附票の写し | 載る | 載る | その戸籍にいる間の履歴が載る | 本籍地の市区町村 |
役所の手続きで「住所を証明する書類」と言われたら、戸籍謄本ではなく住民票を用意する、と覚えておくと迷いません。戸籍謄本と戸籍抄本の使い分けは、こちらも参考にしてくださいね。
関連コラム戸籍謄本と戸籍抄本の違いは?相続手続きでの使い方まで徹底解説▸
住所の履歴を調べたいときは「戸籍の附票」
「この人が過去どこに住んでいたか」を公的に確認したいときに使うのが「戸籍の附票(ふひょう)」です。戸籍の附票は、本籍地の市区町村が戸籍を単位として作る住所の記録で、その戸籍に在籍している間の住所と、その住所に住み始めた日が記録されます。
相続手続きで「亡くなった方の最後の住所と、登記簿上の住所がつながらない」といった場面では、この附票がつなぎ役になってくれるんですよ。ただし、附票は戸籍ごとに作られるため、結婚や転籍で戸籍が変わっている場合は、それぞれの戸籍の附票を取り寄せないと住所の履歴が途切れてしまう点に注意してくださいね。
関連コラム戸籍謄本と戸籍の附票の違い|住所の履歴が載るのは附票|相続で必要なのはどっち▸
住所しか分からないとき、そこから本籍は調べられる?
「住所は分かるけれど、本籍が分からない」というご相談もあります。この場合、他人の住所から本籍をたどることは原則としてできません。戸籍謄本を請求できるのは、その戸籍に記載されている本人や配偶者、直系の親族などが基本で、それ以外の方は正当な理由がある場合などに限られているためです。
ご自身やご家族の本籍であれば、先ほどの住民票の方法で確認できます。相続手続きなどで戸籍をさかのぼって集める必要がある場合は、こちらもあわせてご覧ください。
関連コラム「出生から死亡までの戸籍」とは?取得方法から目的まで徹底解説▸
本籍地はどこにでも置ける?変更(転籍)と注意点
本籍は、日本国内で地番などがある場所であれば、今住んでいる場所に限らず自由に定めることができます。思い出の土地やご実家を本籍にしている方もいらっしゃいますね。
すでにある本籍は、「転籍届」を提出することで変更できます。新しい本籍を届書に記載し、戸籍の筆頭者とその配偶者が届け出る手続きです。引っ越しに合わせて新居の地番にしたり、家を建てたタイミングでその土地にしたりと、ライフイベントに合わせて変更する方もいらっしゃいます。
ただし、転籍を繰り返すと、相続手続きで過去の戸籍をすべて集める必要が出たときに、請求先が増えて手続きが煩雑になるというデメリットがあります。先ほどの附票も戸籍ごとに分かれますので、変更は慎重に検討しましょう。
なお、令和6年3月1日からは、本籍地でなくても、お近くの市区町村の窓口で戸籍証明書を請求できる「広域交付」が始まっています。政府広報オンライン 戸籍証明書の広域交付制度等の開始(令和6年(2024年)1月掲載) 遠い場所を本籍にしていても、以前より取り寄せの負担は軽くなりました。ただし、請求できる方の範囲や、コンピュータ化されていない古い戸籍は対象外になるなどの制限もあります。
関連コラム戸籍の広域取得メリット・デメリットを解説!相続手続きが楽になる新制度▸
まとめ
今回は、「本籍はどこまで書くのか」「なぜ番地までなのか」という疑問について解説しました。最後にポイントをまとめておきましょう。
- 本籍は都道府県名から「〇番地」「〇番」までを書きます。「〇号」・建物名・部屋番号は書きません。
- 番地のあとに続く数字(枝番)は地番の一部なので、省略せずに書きます。
- 「番地」か「番」かは土地によって異なるため、本籍記載ありの住民票のとおりに書くのが確実です。
- 本籍は土地の番号(地番または街区符号)で表示され、住所の住居番号とは別のものです。
- 戸籍謄本に現在の住所は載りません。住所を証明するのは住民票、住所の履歴をたどるのは戸籍の附票です。
本籍や戸籍の読み方は、相続手続きで戸籍を集める場面でも役に立ちます。相続税の申告が必要になりそうな場合など、具体的なケースは税理士へのご相談をおすすめします。
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参考文献
- e-Gov法令検索 戸籍法施行規則第3条
- e-Gov法令検索 住民基本台帳法第7条
- e-Gov法令検索 住居表示に関する法律第2条
- 法務局 不動産登記に関するよくある質問
- e-Gov法令検索 戸籍法第13条
- 政府広報オンライン 戸籍証明書の広域交付制度等の開始(令和6年(2024年)1月掲載)
本籍の記載に関するよくある質問まとめ
Q.本籍はどこまで書けばよいですか?
A.都道府県名から「〇番地」または「〇番」までを書きます。「〇号」やマンション名・部屋番号は書きません。番地のあとに続く数字(枝番)は地番の一部なので省略せずに書いてください。
Q.なぜ本籍は番地までで、アパート名や部屋番号は記載されないのですか?
A.本籍は戸籍を置く場所を示すもので、土地の番号(地番または街区符号)で表示されるためです。「〇号」や建物名・部屋番号は建物を特定する情報なので、本籍には含まれません。
Q.本籍は「〇番地」と「〇番」のどちらで書くのが正しいですか?
A.土地によって異なります。地番で表示されていれば「番地」、住居表示の街区符号で表示されていれば「番」となることがあります。「本籍・筆頭者の記載あり」の住民票で確認し、記録されているとおりに書いてください。
Q.本籍に「号」がないのは間違いではありませんか?
A.間違いではありません。「号」は住所で建物に付けられる住居番号なので、本籍には出てきません。号がない形が本籍の正しい表示です。
Q.婚姻届で本籍に「〇号」まで書いてしまいました。大丈夫でしょうか?
A.多くの場合、窓口で正しい地番に確認・修正のうえ受理されます。提出後に気づいた場合も、提出先の市区町村役場へお問い合わせいただければ対応してもらえます。
Q.戸籍謄本に住所は記載されていますか?
A.いいえ、記載されていません。戸籍謄本に載るのは本籍と、氏名・生年月日・父母との続柄などの身分に関する事項です。現在の住所を証明する書類は住民票になります。
Q.過去に住んでいた住所を調べるにはどうすればよいですか?
A.本籍地の市区町村役場で「戸籍の附票」を取得します。その戸籍に在籍している間の住所の履歴が記録されています。結婚や転籍で戸籍が変わっている場合は、それぞれの戸籍の附票が必要です。
Q.自分の本籍地がわからない場合、どうすれば調べられますか?
A.「本籍・筆頭者の記載あり」の住民票を取得することで確認できます。お住まいの市区町村の役所で請求してください。ICカード免許証の情報を読み取ることでも確認できます。
Q.本籍は住んでいない場所にも設定できますか?
A.はい、できます。本籍は戸籍を置く場所なので、日本国内で地番などがある場所であれば、実際に住んでいない場所でも本籍として定めることができます。転籍届を出せば後から変更することも可能です。
Q.本籍地が遠いと戸籍謄本の取得が大変ですか?
A.令和6年3月1日から、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍証明書を請求できる広域交付が始まっています。ただし請求できる方の範囲や、対象にならない古い戸籍があるなどの制限があります。


