会社の発展に尽力された経営者が万が一お亡くなりになった場合、ご遺族のその後の生活を支えるために「死亡退職金」が支払われることがあります。これは、故人の功績に報いる大切な制度ですが、「いくらまで支払っていいの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。実は、死亡退職金はいくらでも自由に支払えるわけではなく、適正な金額を超えてしまうと、会社やご遺族にとって税金の問題が発生する可能性があります。この記事では、経営者の死亡退職金の相場や計算方法、税金との関係、そして事前に準備すべきことについて、わかりやすく解説していきますね。
先に結論:経営者の死亡退職金の相場は「功績倍率法」で決まる
細かい説明に入る前に、いちばん知りたいところを先にお伝えしますね。経営者の死亡退職金には「相場は〇〇円」という決まった金額はありません。実務では、次の式で計算した金額が適正額の目安として使われています。
代表取締役(社長)であれば功績倍率は2.5〜3.0倍あたりが一つの目安ですので、最終報酬月額100万円・在任20年の社長なら、6,000万円前後が相場のイメージになります。そして、ご遺族側では「500万円×法定相続人の数」までが相続税の非課税となります。この2つを押さえておけば、大きく外すことはありません。それぞれの根拠と注意点を、ここから順番にご説明しますね。
経営者の死亡退職金とは?基本を理解しよう
まずは、経営者の死亡退職金がどのようなものなのか、基本的なところから押さえていきましょう。よく似た言葉である「通常の退職金」や「弔慰金」との違いを知ることで、理解が深まりますよ。
死亡退職金と通常の退職金の違い
一番大きな違いは、誰が受け取り、どんな税金がかかるかという点です。通常の退職金(生存退職金)は、退職した本人が受け取り、その方の「所得税・住民税」の対象となります。一方、死亡退職金は、役員が在任中にお亡くなりになった場合に、そのご遺族が受け取るものです。これは税法上、「みなし相続財産」として扱われ、ご遺族の「相続税」の対象となるのが原則です[国税庁 No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金]。
| 種類 | 内 容 |
| 死亡退職金 | 役員の死亡時に遺族が受け取る。原則として相続税の対象。 |
| 通常の退職金 | 役員の退職時に本人が受け取る。所得税・住民税の対象。 |
なお、ここでいう死亡退職金(退職手当金等)は、受け取る名目にかかわらず、実質的に故人の退職手当金等として支給される金品をいいます。「功労金」「弔慰金」といった名称で支払っても、中身が退職金であれば退職手当金等として扱われる、という点は最初に知っておいてくださいね。
死亡退職金と弔慰金(ちょういきん)の違い
死亡退職金と一緒によく耳にするのが「弔慰金」です。弔慰金は、故人への弔意を表し、ご遺族を慰めるために支払われるもので、故人の功績に対する報酬である死亡退職金とは目的が異なります。税務上の扱いも異なり、それぞれに非課税枠が設けられています。両方をうまく活用することで、ご遺族の税負担を軽減できる可能性があるんですよ。
| 種類 | 目的と性質 |
| 死亡退職金 | 故人の生前の功績に対する報酬。 |
| 弔慰金 | 故人への弔意と、遺族を慰めるためのもの。 |
この二つは性質が違うため、税金の非課税枠も別々に設けられています。詳しくは後ほど解説しますね。
経営者の死亡退職金はいくらが適正?計算方法と相場
では、具体的に経営者の死亡退職金はいくらくらいが妥当なのでしょうか。会社の経費として認められ、税務署から指摘を受けないための「適正額」の計算方法について見ていきましょう。
適正額の計算で使われる「功績倍率法」
役員の退職金の適正額を計算する際、最も一般的に用いられるのが「功績倍率法」という方法です。計算式は以下の通りで、とてもシンプルです。
例えば、最終報酬月額が100万円、役員在任年数が20年、功績倍率が3.0倍の場合は、次のように計算します。
この計算式は、会社の経費(損金)として認められるかどうかの判断のよりどころにもなるため、非常に重要です。なお、「功績倍率法で計算しなさい」と法律に書かれているわけではなく、実務と過去の裁判例の積み重ねから定着した考え方である点は押さえておいてくださいね。
役職ごとの功績倍率の目安
計算式の中でも特にポイントとなるのが「功績倍率」です。この倍率は法律で明確に定められているわけではありませんが、一般的に以下のような水準が目安とされています。
| 役 職 | 功績倍率の目安 |
| 代表取締役(社長) | 2.5~3.0倍 |
| 専務取締役 | 2.0~2.5倍 |
| 常務取締役 | 1.5~2.0倍 |
| 取締役 | 1.0~1.5倍 |
| 監査役 | 1.0~1.5倍 |
会社の規模や業種、故人の貢献度によって変動しますが、この目安から大きく外れた高い倍率を設定すると、税務調査で否認されるリスクが高まるので注意が必要です。
在任年数・報酬額別に見る死亡退職金の相場
「うちの社長だといくらぐらいになるのだろう」とイメージしやすいように、代表取締役の功績倍率を3.0倍とした場合の計算例を並べてみました。あくまで功績倍率法に当てはめた計算結果であり、相場として保証された金額ではありませんが、金額感をつかむ手がかりになりますよ。
| 最終報酬月額 | 役員在任年数 | 死亡退職金の目安 (功績倍率3.0倍) |
| 50万円 | 10年 | 1,500万円 |
| 80万円 | 20年 | 4,800万円 |
| 100万円 | 20年 | 6,000万円 |
| 100万円 | 30年 | 9,000万円 |
| 150万円 | 30年 | 1億3,500万円 |
表を見ていただくと分かるとおり、金額を大きく左右するのは「最終報酬月額」です。役員報酬を極端に低く抑えてきた会社では、在任年数が長くても死亡退職金の適正額は伸びにくくなります。反対に、退職の直前だけ報酬を引き上げて退職金を膨らませるようなやり方は、税務上問題視されやすいところですので避けてくださいね。
不相当に高額だとどうなる?
もし、功績倍率法で計算した適正額を大幅に超える死亡退職金を支払った場合、その「高額すぎる」と判断された部分は、会社の経費(損金)として認められなくなります。これを「損金不算入」といいます。損金として認められないと、その分会社の利益が増えることになるため、結果的に法人税の負担が増えてしまうのです。ご遺族のためを思ったつもりが、会社の経営を圧迫することにもなりかねないので、適正額の範囲内で支給することが大切です。
では、何をもって「不相当に高額」と判断されるのでしょうか。法人税法の政令では、その役員が業務に従事した期間、退職の事情、そして同種の事業を営み事業規模が類似する法人での退職給与の支給状況などに照らして、相当と認められる金額を超える部分が損金不算入になると定められています[e-Gov法令検索 法人税法施行令第70条]。つまり、最後は「在任期間」「退職の事情」「同業・同規模の他社の水準」という物差しで見られるということですね。功績倍率法は、この物差しを数値に置き換えるための実務的な手段だとお考えください。より詳しい論点は役員退職金が高すぎる?適正額の算出方法と税務上の落とし穴でも解説していますので、あわせてご覧くださいね。
死亡退職金にかかる税金の種類と非課税枠
ご遺族が死亡退職金を受け取った場合、どのような税金がかかるのでしょうか。受け取るタイミングや金額によって扱いが異なるため、しっかり確認しておきましょう。
亡くなってから3年以内の支給は「相続税」の対象
役員の死亡後3年以内に支給が確定した死亡退職金は、「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。これは、故人が亡くなったことを原因として受け取る財産であるため、相続財産と同じように扱われる、という考え方です[国税庁 No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金]。みなし相続財産の全体像はみなし相続財産とは|課税される財産一覧と非課税枠の計算で詳しくまとめていますので、あわせてご確認ください。
亡くなってから3年を超えると「所得税」の対象に
もし、何らかの事情で死亡退職金の支給が確定するのが亡くなってから3年を超えた場合、その退職金は相続税の対象ではなく、受け取ったご遺族の「一時所得」として所得税の課税対象となります。ただ、このようなケースは非常に稀ですし、意図的に支給を遅らせると税務署から指摘を受ける可能性もあるため、通常は3年以内に手続きを完了させることが一般的です。
死亡退職金の非課税限度額
死亡退職金には、ご遺族の生活保障という側面があるため、税金の負担を軽くするための非課税枠が設けられています。非課税になる金額の上限は、以下の式で計算します。
例えば、法定相続人が配偶者と子供2人の合計3人いる場合は、次のとおりです。
すべての相続人が受け取った死亡退職金の合計額がこの非課税限度額以下であれば相続税はかからず、超えた部分だけが課税対象になります[国税庁 No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金]。
非課税枠を使えない人がいる点に注意
この非課税枠は、誰が受け取っても使えるわけではありません。ここは実務でも間違えやすいところですので、丁寧に見ておきましょう。
- 非課税枠を使えるのは相続人が受け取った場合だけです。相続を放棄した人や相続権を失った人は「相続人」に含まれないため、その人が受け取った死亡退職金に非課税の適用はありません。
- 相続人以外の人(たとえば内縁の方や、相続人でない兄弟姉妹など)が受け取った場合も、非課税の適用はなく全額が課税対象になります。
- 一方で、非課税限度額を計算するときの「法定相続人の数」には、相続を放棄した人も、放棄がなかったものとして数えます。受け取る人の判定と、枠を計算するときの人数の数え方が違う、という点がポイントですね。
- 法定相続人の中に養子がいる場合、人数に含められる養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までに制限されます。
いずれも国税庁が示している取扱いです[国税庁 No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金]。
生命保険金の非課税枠と併用できる
「生命保険金でも500万円×法定相続人の数の非課税枠があるけれど、死亡退職金の枠と取り合いになるの?」というご質問をよくいただきます。結論からお伝えすると、この2つは別々の枠で、併用できます。生命保険金(死亡保険金)の非課税限度額も「500万円×法定相続人の数」ですが、死亡退職金の枠とは独立して計算されます[国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金]。
法定相続人が3人であれば、生命保険金で1,500万円、死亡退職金で1,500万円、合計3,000万円までを非課税で受け取れる計算になります。会社で役員向けの生命保険に加入し、その保険金を原資に死亡退職金を支給する形にしておくと、資金の手当てと非課税枠の活用を同時に進められますよ。ただし、生命保険金を退職手当金等として支給する旨が社内の規程や決議で明らかにされていない場合、その保険金は生命保険金として扱われます。どちらの枠で受けるつもりなのかを、規程と議事録できちんと形にしておくことが大切ですね。
弔慰金の非課税枠も活用しよう
先ほど少し触れた「弔慰金」にも、死亡退職金とは別に非課税の枠があります。この枠を上手に使うことで、さらに税負担を抑えることができます。基準になるのは「普通給与」で、俸給・給料・賃金・扶養手当・勤務地手当などの合計額を指し、賞与は含みません。
| 死亡の原因 | 弔慰金として扱われる金額 |
| 業務上の死亡の場合 | 死亡当時の普通給与の3年分に相当する額 |
| 業務外の死亡の場合 | 死亡当時の普通給与の半年分に相当する額 |
例えば、業務外で亡くなった役員の普通給与が月額100万円だった場合、600万円までの弔慰金は相続税の対象になりません。そして、この金額を超える部分は「退職手当金等」として扱われ、死亡退職金と合算したうえで相続税の対象になります[国税庁 No.4120 弔慰金を受け取ったときの取扱い]。「弔慰金という名前にしておけば非課税」というわけではないんですね。
また、業務上の死亡かどうかは、株主総会や取締役会で「業務上の死亡とする」と決議すればそのとおりになる、というものではありません。実際に業務に起因した死亡なのか、業務と相当因果関係があるのかという実態で判断されます。ここを取り違えると、3年分のつもりで支給した弔慰金の大部分が退職手当金等として課税されてしまいますので、判断に迷う場合は支給前にご相談いただくのが安心です。
死亡退職金の規定がない場合の対応方法
中小企業では、役員の退職金に関する明確な規定(ルール)を設けていないケースも少なくありません。もし規定がない場合、どのように死亡退職金を支払えばよいのでしょうか。
原則は株主総会の決議が必要
従業員の退職金は就業規則に基づいて支払われますが、役員の退職金は法律で支払いが義務付けられているわけではありません。そのため、定款や「役員退職慰労金規程」に定めがない場合は、原則として株主総会の決議を経て、支給額や支給方法を決定する必要があります。株主の承認が得られなければ、退職金を支払うことはできません。もし決議なしに支払ってしまうと、後から返還を求められるなどのトラブルに発展する可能性もあります。
事前に「役員退職慰労金規程」を作成するメリット
いざという時に慌てたり、株主間で揉めたりするのを避けるためにも、生前のうちに「役員退職慰労金規程」を作成しておくことを強くおすすめします。規程を整備しておくことには、以下のようなメリットがあります。
- 支給基準が明確になり、スムーズに手続きを進められる。
- 株主総会での承認が得やすくなる。
- 税務調査の際に、支給額の妥当性を証明する根拠となる。
- 弔慰金や生命保険金を「退職手当金等として支給する」意思を、書面で明らかにできる。
- ご遺族に「思ったより少ない」といった不満を与えずに済む。
規程という形で客観的なルールを定めておくことで、会社とご遺族の双方を守ることにつながるのです。
規程を作成する際のポイント
「役員退職慰労金規程」を作成する際は、誰に、いつ、いくら、どのように支払うのかを具体的に定めておくことが大切です。特に金額の算定根拠となる功績倍率法の計算式や、役職ごとの倍率を明記しておくと良いでしょう。規程を作成した後は、株主総会で承認を得て、議事録をきちんと保管しておくことも忘れないようにしてくださいね。
死亡退職金を支払う会社の注意点
最後に、死亡退職金を支払う会社側が注意すべき点をいくつかご紹介します。手続きをスムーズに進め、税務上のリスクを避けるために大切なポイントです。
損金算入のタイミングはいつ?
会社が死亡退職金を経費(損金)として計上できるタイミングは、原則として「株主総会の決議等によって支給額が具体的に確定した日」の属する事業年度です。ただし、実際に支払った事業年度に損金経理をすれば、その事業年度に損金算入することも認められています[国税庁 No.5208 役員の退職金の損金算入時期]。なお、金額が確定する前の事業年度に、取締役会で内定した金額を未払金として計上しても、その時点では損金になりません。会社の利益状況を見ながら、どちらのタイミングで損金算入するのが有利かを検討すると良いでしょう。
資金繰りの確保を忘れずに
死亡退職金は数千万円単位の高額になることも珍しくありません。突然の支出は会社のキャッシュフローを大きく圧迫する可能性があります。そうした事態に備え、事前に生命保険などを活用して、退職金の支払原資を計画的に準備しておくことが非常に重要です。生命保険金を原資にすれば、会社の資金繰りに影響を与えることなく、スムーズに退職金を支払うことができます。
必要な手続きと提出書類
役員が亡くなった場合、会社は様々な手続きを行う必要があります。例えば、役員変更の登記申請(死亡後2週間以内)や、税務署への「退職手当金等受給者別支払調書」の提出(支払額が100万円を超える場合)などです。これらの手続きには期限が設けられているものも多いため、税理士などの専門家と連携しながら、漏れなく進めていくことが大切です。
まとめ
今回は、経営者の死亡退職金について、その仕組みや適正額の計算方法、税金との関係、そして事前の準備について解説しました。最後に、大切なポイントをもう一度おさらいしましょう。
- 経営者の死亡退職金は、故人の功績に報い、ご遺族の生活を守るための大切な制度です。
- 支給額は「最終報酬月額 × 役員在任年数 × 功績倍率」で計算される功績倍率法で適正額を算出するのが一般的で、社長であれば功績倍率2.5〜3.0倍が目安です。
- 不相当に高額な部分は、会社の経費(損金)として認められず、法人税が増える可能性があります。判断は在任期間・退職の事情・同業同規模の他社の水準に照らして行われます。
- ご遺族が受け取る際は相続税の対象となり、「500万円 × 法定相続人の数」という非課税枠が使えます。ただし相続放棄をした人や相続人以外の人には適用されません。
- 生命保険金の非課税枠は死亡退職金とは別枠で、併用できます。
- 弔慰金にも別途の枠がありますが、基準は賞与を含まない「普通給与」で、枠を超えた部分は退職手当金等として課税されます。
- いざという時に備え、生前のうちに「役員退職慰労金規程」を整備し、株主総会で承認を得ておくことが最も重要です。
大切な経営者の功績にしっかりと報い、残されたご遺族の生活を安心して支えるためにも、ぜひ生前から税理士などの専門家と相談しながら、計画的に準備を進めておきましょう。
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参考文献
経営者の死亡退職金に関するよくある質問まとめ
Q.経営者(役員)の死亡退職金の相場はいくらですか?
A.法律で決まった相場はありませんが、実務では「最終報酬月額 × 役員在任年数 × 功績倍率」で計算する功績倍率法が使われます。代表取締役の功績倍率を3.0倍とすると、最終報酬月額100万円・在任20年で6,000万円、在任30年で9,000万円が目安の金額になります。
Q.経営者(役員)の死亡退職金は、いくらまで損金にできますか?
A.税務上、明確な上限額はありませんが、「不相当に高額」と判断されると一部が損金不算入となります。判断は、その役員の在任期間、退職の事情、同種・同規模の法人での支給状況などに照らして行われ、その目安として功績倍率法で計算された金額が用いられます。
Q.死亡退職金の計算で使われる「功績倍率」とは何ですか?
A.功績倍率は、故人の役職や会社への貢献度を示す係数です。一般的な目安は、代表取締役(社長)が2.5〜3.0倍、専務取締役が2.0〜2.5倍、常務取締役が1.5〜2.0倍、取締役・監査役が1.0〜1.5倍程度とされていますが、会社の規模や同業他社の水準も考慮されます。
Q.死亡退職金と弔慰金(ちょういきん)の違いは何ですか?
A.死亡退職金は故人の生前の功績に対する報酬の後払い的な性格を持つのに対し、弔慰金は遺族への見舞金・お悔やみの意味合いで支払われます。弔慰金として扱われるのは、業務上の死亡なら死亡当時の普通給与の3年分、業務外の死亡なら半年分までで、その金額を超える部分は退職手当金等として相続税の対象になります。
Q.遺族が受け取る死亡退職金に税金はかかりますか?
A.はい、相続税の課税対象となります。ただし、「500万円 × 法定相続人の数」という非課税枠が設けられており、その金額を超える部分が課税対象です。これを「みなし相続財産」と呼びます。なお、相続を放棄した人や相続人以外の人が受け取った場合、この非課税枠は使えません。
Q.死亡退職金の非課税枠は、生命保険金の非課税枠と併用できますか?
A.はい、併用できます。生命保険金の非課税限度額と死亡退職金の非課税限度額は、それぞれ「500万円 × 法定相続人の数」で別々に計算されます。法定相続人が3人であれば、生命保険金で1,500万円、死亡退職金で1,500万円の合計3,000万円まで非課税で受け取れる計算になります。
Q.死亡退職金の金額で税務調査の対象になることはありますか?
A.はい、あります。特に功績倍率が著しく高い場合や、計算根拠が不明確な場合、「不相当に高額な部分」として損金算入を否認されるリスクがあります。議事録などの証拠資料を整備しておくことが重要です。
Q.死亡退職金を支払うには、どのような手続きが必要ですか?
A.一般的に、株主総会や取締役会で死亡退職金の支給額や支給方法を決議し、その議事録を作成・保管する必要があります。定款や役員退職慰労金規程に定めがある場合は、その規定に従って手続きを進めます。


