お葬式は、多くの場合、予期せず突然やってくるものです。その際に心配になるのが、まとまった費用のことですよね。「もしもの時」のために備えておきたいけれど、どうすれば良いか分からないという方も多いのではないでしょうか。そんな時に選択肢の一つとなるのが「互助会(ごじょかい)」という制度です。このブログでは、互助会の仕組みから、加入するメリット・デメリット、そして税金のことまで、わかりやすく丁寧にご説明しますね。
互助会ってどんな仕組み?
まずは、「互助会」が一体どのようなものなのか、基本的なところから見ていきましょう。言葉は聞いたことがあっても、詳しい内容は知らないという方も多いかもしれませんね。
互助会の基本的な仕組み
互助会は、正式には「冠婚葬祭互助会」といいます。将来行われる結婚式やお葬式などのセレモニーに備えて、会員が毎月少しずつお金(掛金)を積み立てていくシステムです。経済産業大臣の許可を得た企業だけが運営できる、国のお墨付きがある事業なんですよ。
よく保険と混同されがちですが、大きな違いがあります。保険は万が一の時に「現金」が支払われるのに対し、互助会は積み立てた掛金に応じて「サービスの提供」を受ける権利を得る、という点が特徴です。つまり、お金ではなく、お葬式や結婚式のプランという「形」で受け取ることになります。
毎月の掛金はいくらくらい?
では、実際に毎月どれくらいの金額を積み立てるのでしょうか。プランによって様々ですが、一般的には月々2,000円から5,000円程度で、無理なく続けられる金額設定が多くなっています。
総額としては、24万円から50万円くらいのプランが主流で、支払い回数は60回(5年)から120回(10年)など、長期的な視点で備えることができます。
| 月々の掛金の目安 | 2,000円 ~ 5,000円 |
| 総額プランの目安 | 24万円 ~ 50万円 |
互助会と保険・貯金の違い
互助会、保険、貯金は、どれも「将来に備える」という点では似ていますが、目的や性質が異なります。ご自身の目的に合った方法を選ぶために、それぞれの違いを理解しておきましょう。
| 種類 | 特 徴 |
| 互助会 | ・「サービス」を受け取る権利を得る ・物価が上がっても契約時のサービス内容が保証される ・現金として引き出すことはできない |
| 保険 | ・万が一の際に「現金」が給付される ・現金なので使い道は自由 ・保障内容によって保険料が変わる |
| 貯金 | ・いつでも「現金」として自由に引き出せる ・利息はつくが、インフレで価値が目減りする可能性がある ・急な出費で使ってしまう可能性がある |
互助会に加入するメリット
互助会に加入すると、具体的にどのような良いことがあるのでしょうか。ここでは、主なメリットを4つご紹介しますね。
急な出費に備えられる安心感
最大のメリットは、やはり突然の不幸があった際に、費用の心配を大きく減らせることです。あらかじめ積み立てておくことで、経済的な負担だけでなく、「どうしよう」という精神的な負担も軽くすることができます。いざという時に慌てずに済むのは、ご遺族にとって大きな支えになります。
会員価格でお得にサービスを利用できる
互助会の会員になると、葬儀プランなどを一般価格よりも割安な会員価格で利用することができます。割引率は互助会やプランによって異なりますが、一般価格に比べて3割から5割ほどお得になるケースもあり、費用を大きく抑えることが可能です。
物価の変動に影響されにくい
これは互助会の大きな特徴の一つです。契約した時点でのサービス内容が、将来利用する時まで保証されます。例えば、10年後、20年後に物価が上昇してお葬式の費用が高くなっていたとしても、契約時の掛金で約束されたサービスを受けられるため、インフレに強いというメリットがあります。
家族も利用できる場合がある
契約者本人だけでなく、同居しているご家族もサービスを利用できる互助会が多いです。例えば、ご自身のために加入していたけれど、お子様が結婚する際に結婚式のプランで利用する、といったことも可能です。ただし、1つの契約で利用できるのは1回限りなので、どのタイミングで権利を使うかは家族で話し合っておくと良いでしょう。
知っておきたい互助会のデメリットと注意点
メリットがたくさんある一方で、もちろんデメリットや注意すべき点もあります。加入してから「こんなはずじゃなかった」とならないように、事前にしっかりと確認しておきましょう。
積立金は自由に使えない
互助会の掛金は、銀行の預貯金とは違って、現金として自由に引き出すことはできません。あくまで冠婚葬祭のサービスを受けるための積立金なので、「急にお金が必要になったから解約して使おう」ということができない点は覚えておきましょう。
利用できる斎場が限られる
サービスを利用できるのは、その互助会が運営している、あるいは提携している斎場に限られます。もし将来引越しをして、利用できる斎場が遠くなってしまった…という可能性も考えられます。加入を検討する際は、ご自身が利用したいエリアに提携斎場があるかを確認することが大切です。
積立金だけでは葬儀費用をすべて賄えないことが多い
「積立金さえ払っておけば、お葬式の費用はすべて安心」と思いがちですが、注意が必要です。互助会のプランに含まれているのは、祭壇や棺など、葬儀の基本的な部分であることがほとんどです。参列者への飲食費や返礼品、お寺様へのお布施などは別途費用がかかることが一般的ですので、総額でどれくらいになるのか、事前に確認しておくと安心です。
解約時には手数料がかかる
もし途中で解約することになった場合、解約手数料が発生します。手数料は、それまでに支払った掛金総額の15%~20%程度かかることが多く、全額が戻ってくるわけではありません。契約する前に、必ず約款で解約に関する項目を確認し、納得した上で加入するようにしましょう。
互助会の税金の取り扱いについて
互助会に関連するお金は、税金にどう影響するのでしょうか。少し難しい話に聞こえるかもしれませんが、大切なことなので簡単にご説明しますね。
毎月の掛金は所得控除の対象?
結論から言うと、互助会の掛金は、生命保険料控除や社会保険料控除のように、年末調整や確定申告で所得控除の対象にはなりません。あくまでサービスの対価を前払いしている、という扱いになるためです。
葬儀で利用した場合の相続税
互助会に加入して「サービスを受ける権利」は、法律上、相続財産とみなされます。ただし、被相続人の逝去に伴ってその権利を葬儀サービスとして利用した場合、権利はそこで消滅します。そのため、実際には相続税の課税対象から外れることがほとんどです。また、葬儀費用そのものは相続財産から控除できるため、互助会を利用することで相続税の負担を直接的に増やす心配は少ないと言えるでしょう。
弔慰金が支払われた場合の非課税枠
互助会によっては、会員が亡くなった際に弔慰金が支払われることがあります。この弔慰金には、相続税がかからない非課税枠が設けられています。非課税となる金額は、亡くなった原因によって異なります。
| 死亡の原因 | 非課税限度額 |
| 業務上の死亡の場合 | 死亡時の普通給与の3年分に相当する額 |
| 業務外の死亡の場合 | 死亡時の普通給与の半年分に相当する額 |
この金額を超えた部分については、退職手当金等として相続税の課税対象となります。
加入前に確認したいチェックポイント
ここまで読んで、互助会についてだいぶ理解が深まったのではないでしょうか。最後に、もし加入を検討するなら、必ず確認してほしいポイントをまとめました。
- 運営会社の信頼性:経済産業大臣の許可を受けているか、経営状況は安定しているか確認しましょう。
- プラン内容の詳細:積立金でどこまでのサービスが受けられるのか、追加費用が発生する項目は何かを詳しく確認しましょう。
- 斎場の場所と質:利用したいエリアに提携斎場があるか、希望に合った雰囲気の斎場かを確認しましょう。
- 解約の条件:解約手数料はいくらかかるのか、手続きはどのように行うのかを、契約前に約款でしっかり読みましょう。
- 家族との情報共有:加入したことを家族に伝えておきましょう。せっかく備えても、家族が知らずに別の葬儀社に依頼してしまうと、権利が無駄になってしまう可能性があります。
まとめ
互助会は、将来のもしもの時に備えて、計画的に準備をするための心強い選択肢の一つです。月々少額の掛金で、急な出費や物価上昇のリスクに備えられるという大きなメリットがあります。一方で、一度始めるとお金が拘束されたり、解約時に手数料がかかったりといったデメリットも存在します。大切なのは、メリットとデメリットの両方をしっかりと理解し、ご自身のライフプランや考え方に合っているかを見極めることです。加入を検討される際は、いくつかの互助会を比較し、契約内容をじっくりと確認した上で、ご家族ともよく相談して決めることをお勧めします。
参考文献
互助会のよくある質問まとめ
Q.互助会とは何ですか?
A.互助会とは、将来の冠婚葬祭(特に葬儀や結婚式)に備えて、毎月一定の金額を積み立てるシステムです。会員になることで、一般価格よりも割安な価格でサービスを利用できるのが特徴です。
Q.互助会に入るメリットは何ですか?
A.主なメリットは、将来の冠婚葬祭費用を計画的に準備できる点と、会員価格でサービスを利用できるため費用を抑えられる点です。また、物価が上昇しても契約時のサービス内容は保証されることが多いです。
Q.互助会のデメリットや注意点はありますか?
A.デメリットとして、途中解約すると解約手数料がかかる場合があることや、積立金は現金で戻ってくるわけではなく、あくまでサービスの利用権利である点が挙げられます。契約内容をよく確認することが重要です。
Q.互助会と保険(葬儀保険など)との違いは何ですか?
A.互助会は「サービス(役務)」を提供する契約であるのに対し、保険は「現金(保険金)」が支払われる契約である点が大きな違いです。互助会は特定の儀式サービスに利用が限定されますが、保険金は使途が自由です。
Q.互助会は途中で解約できますか?
A.はい、解約は可能です。ただし、多くの場合、所定の解約手数料が差し引かれた金額が返金されます。解約手続きや手数料については、加入している互助会の規約を確認する必要があります。
Q.もし加入している互助会が倒産したら、積み立てたお金はどうなりますか?
A.互助会は法律(割賦販売法)に基づき、前受金(積立金)の1/2に相当する額を法務局などに供託する義務があります。そのため、万が一倒産した場合でも、積立金の半分は保全されています。