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相続した財産で賢く暮らす!残りの人生を豊かにする資産運用ガイド

2025-02-22
目次

ご家族から大切な財産を相続されたとき、「このお金で残りの人生を安心して過ごしたい」と考えるのは自然なことですよね。しかし、同時に「まとまったお金をどう扱えばいいんだろう?」「ただ銀行に預けておくだけでいいのかな?」といった不安を感じる方も多いのではないでしょうか。この記事では、相続した財産を上手に活用して、これからの人生をより豊かに過ごすための資産運用の考え方や具体的な方法を、わかりやすくご紹介しますね。

相続した財産、まずは現状を把握しましょう

まず一番大切なのは、相続した財産の全体像を正確に把握することです。預貯金はいくらあるのか、不動産や株式などの有価証券はあるのか、まずは全体をリストアップしてみましょう。その上で、考えなければいけないのが「相続税」です。しっかりと現状を把握することが、賢い資産運用の第一歩になりますよ。

相続税はかかる?基礎控除額を確認

相続した財産のすべてに税金がかかるわけではありません。相続税には「基礎控除額」という非課税の枠があります。遺産の総額がこの基礎控除額を下回っていれば、相続税の申告も納税も必要ありません。まずはご自身のケースで相続税がかかるかどうか、確認してみましょう。

基礎控除額の計算方法は、「3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)」です。

法定相続人の例 基礎控除額
配偶者と子1人(計2人) 3,000万円 + (600万円 × 2人) = 4,200万円
配偶者と子2人(計3人) 3,000万円 + (600万円 × 3人) = 4,800万円
子1人のみ 3,000万円 + (600万円 × 1人) = 3,600万円

もし遺産総額が基礎控除額を超える場合は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に税務署へ申告と納税が必要です。忘れないように注意してくださいね。

預貯金のままは危険?インフレリスクを知ろう

「とりあえず安全な銀行に預けておけば安心」と思いがちですが、実はそこには「インフレリスク」という見えない危険が潜んでいます。インフレとは、モノの値段が上がってお金の価値が下がることです。例えば、現在100円で買えるジュースが、物価が2%上がると102円出さないと買えなくなりますよね。今の日本では、銀行預金の金利は非常に低いため、物価の上昇に追いつけず、預けているお金の価値が実質的に目減りしてしまう可能性があるのです。大切な財産を守るためにも、このリスクは知っておきたいですね。

あなたのライフプランを考えよう

財産の現状を把握したら、次にご自身のこれからの人生、つまり「ライフプラン」を考えてみましょう。「何歳まで働きたいか」「どんな趣味を楽しみたいか」「旅行にはどこへ行きたいか」など、思い描く生活によって必要なお金は変わってきます。例えば、生命保険文化センターの調査によると、夫婦2人でゆとりある老後生活を送るためには、月額で約38万円が必要というデータもあります。ご自身の理想の暮らしと照らし合わせながら、いつまでに、いくらくらいお金が必要になるのか、大まかな計画を立ててみることが大切です。

相続財産を「守りながら増やす」資産運用の基本

資産運用と聞くと「難しそう」「損をするのが怖い」と感じるかもしれません。しかし、資産運用の基本はギャンブルのようなものではなく、リスクを上手にコントロールしながら、お金に働いてもらうことです。ここでは、その基本となる3つの大切な考え方をご紹介します。

「長期投資」で時間を味方につける

資産運用は、時間を味方につけることで、より安定した成果が期待できます。短期間で売買を繰り返すのではなく、少なくとも5年、10年といった長い目でじっくりと資産を育てていく考え方です。長期間運用することで、利息が利息を生む「複利の効果」が大きくなり、効率的にお金を増やせる可能性があります。また、一時的に価格が下がっても、時間をかけて回復を待つことができるのも長期投資のメリットです。

「積立投資」でリスクを平準化

相続したまとまったお金を一度に全額投資するのは、タイミングによっては高値で買ってしまうリスクがあります。そこでおすすめなのが、毎月一定額をコツコツと買い続ける「積立投資」です。価格が高いときには少なく、安いときには多く買うことができるため、平均購入単価を抑える効果が期待できます。これを「ドルコスト平均法」といい、投資のタイミングに悩むことなく始められる、初心者の方にも優しい方法です。

「分散投資」でリスクを抑える

「卵は一つのカゴに盛るな」という投資の格言があります。これは、すべての資産を一つの金融商品に集中させると、それが値下がりしたときに大きな損失を被ってしまうため、複数の異なる資産に分けて投資しましょう、という意味です。分散投資には、投資対象の「資産の分散」(株式や債券など)や「地域の分散」(国内や海外など)があります。複数の場所に分けておくことで、どこか一つが不調でも、他の資産でカバーしやすくなり、全体として大きな失敗をするリスクを減らすことができます。

初心者にもおすすめ!具体的な資産運用の方法

ここからは、資産運用の基本を踏まえた上で、初心者の方でも始めやすい具体的な方法をいくつかご紹介します。ご自身の考え方やライフプランに合ったものを選んでみてくださいね。

NISA(新NISA)で非課税の恩恵を最大限に

NISAは、個人投資家のための税金優遇制度です。通常、投資で得た利益(売却益や配当金など)には約20%の税金がかかりますが、NISA口座内での取引であれば、この税金が一切かからなくなります。2024年から始まった新しいNISAは、制度がより使いやすくなりました。

制度のポイント 内  容
生涯非課税保有限度額 生涯にわたって1,800万円まで非課税で投資できます。
年間投資枠 つみたて投資枠(年間120万円)と成長投資枠(年間240万円)の併用が可能です。
引き出しの自由度 いつでも自由に売却して現金化できます。

非課税のメリットが非常に大きいため、資産運用を始めるなら、まず活用を検討したい制度です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)で老後資金を準備

iDeCoは、自分で掛金を拠出して運用し、将来の年金を自分で作る私的年金制度です。最大のメリットは、掛金が全額所得控除の対象になること。つまり、毎年の所得税や住民税を軽くしながら、老後資金を準備できるんです。運用して得た利益も非課税になります。ただし、原則として60歳になるまで引き出すことができないので、あくまでも長期的な老後資金作りのための制度と理解しておきましょう。相続した財産の一部を、将来のために確実に確保しておきたいという方に向いています。

個人向け国債で元本割れリスクを避ける

「とにかく元本を減らしたくない」という安定志向の方には、個人向け国債がおすすめです。これは国が発行する債券で、国が元本と利子の支払いを保証してくれるため、非常に安全性が高い金融商品です。最低金利が年0.05%で保証されており、現在の銀行預金よりも有利な条件です。1万円から購入でき、発行から1年経てばいつでも換金できる手軽さも魅力です。

投資信託で手軽に分散投資

投資信託は、運用の専門家(ファンドマネージャー)が、私たち投資家から集めた資金をひとまとめにして、国内外の株式や債券などに分散投資してくれる金融商品です。少額から購入でき、商品を選ぶだけで手軽に分散投資が実践できるのが大きなメリットです。特に、日経平均株価などの特定の指数に連動することを目指す「インデックスファンド」は、運用コストが低く、値動きが分かりやすいため、初心者の方におすすめです。

まとまった資金ならではの運用方法

相続財産は、ある程度まとまった金額になることが多いですよね。ここでは、そうした資金を活かした運用方法もご紹介します。

不動産投資で安定収入を目指す

マンションやアパートなどを購入し、それを貸し出すことで家賃収入を得るのが不動産投資です。毎月安定した収入が期待できるのが魅力ですが、空室のリスクや建物の修繕・管理にコストと手間がかかるという側面もあります。始めるには専門的な知識も必要になるため、しっかりと情報収集をしてから慎重に検討しましょう。

生命保険を活用した資産承継と相続税対策

貯蓄性のある生命保険(終身保険など)を活用する方法もあります。これは、ご自身に万が一のことがあったときに、死亡保険金を指定した受取人(ご家族など)に残すことができるものです。死亡保険金には「500万円 × 法定相続人の数」という相続税の非課税枠があり、預貯金で残すよりも税制面で有利になる場合があります。ご自身の資産を、次の世代へスムーズに引き継ぎたいと考える場合に有効な選択肢の一つです。

相続財産を運用するときの注意点

最後に、大切な財産を運用する上で、心に留めておいてほしい注意点を3つお伝えします。

生活レベルを急に上げない

まとまったお金が入ると、つい気持ちが大きくなってしまいがちです。しかし、相続は一度きりの臨時収入です。ここで生活レベルを上げてしまうと、後で元に戻すのはとても大変です。将来のための大切な資金ですから、日々の生活はこれまで通り堅実に、計画的に使うことを心がけましょう。

1つの金融商品に集中投資しない

「これが儲かりそう」という情報に惑わされて、全財産を一つの株式や投資信託につぎ込むのは非常に危険です。資産運用の基本である「分散投資」を常に忘れないでください。いくつかの商品に分けて投資することで、予期せぬ値下がりが起きたときのリスクを和らげることができます。

不安なときは専門家に相談する

ご自身で判断することに不安を感じる場合は、一人で抱え込まずに専門家に相談するのも良い方法です。金融機関の窓口や、独立した立場からアドバイスをくれるファイナンシャルプランナー(FP)など、信頼できる相談相手を見つけることで、より安心して資産運用を進めることができますよ。

まとめ

相続した財産は、あなたのこれからの人生を支えてくれる、とても大切なものです。まずは焦らずに、財産の全体像を把握し、ご自身のライフプランをじっくりと考えることから始めましょう。そして、「長期・積立・分散」という資産運用の基本を守りながら、NISAなどの制度も上手に活用して、ご自身に合った方法で大切に育てていってくださいね。この記事が、あなたの豊かで安心な未来への第一歩となれば幸いです。

参考文献

金融庁 NISA特別サイト

厚労省 IDECOの概要

相続財産を賢く運用するためのよくある質問まとめ

Q.相続した財産を運用する上で、まず何から始めればいいですか?

A.まずは「ライフプランニング」が重要です。ご自身の年齢、今後の生活費、目標などを明確にし、どれくらいの利回りが必要か、どの程度リスクを取れるかを把握することから始めましょう。

Q.資産運用は全くの初心者です。どのような運用方法がおすすめですか?

A.初心者の方には、リスクを分散できる「インデックスファンド」への積立投資がおすすめです。世界中の株式などに少額から分散投資でき、専門家が運用してくれるため手間がかかりません。

Q.相続財産を減らさずに生活するには、年利何パーセントで運用すれば良いですか?

A.一般的に、資産を減らさずに生活するためには「年利4%」での運用がひとつの目安とされています。これは「4%ルール」と呼ばれ、年間の生活費を資産の4%以内に抑えることで、資産を長期間維持できる可能性が高まります。

Q.運用する際のポートフォリオはどのように組めば良いですか?

A.年齢やリスク許容度によりますが、株式と債券を組み合わせるのが基本です。例えば、安定性を重視するなら債券の比率を高め、積極的にリターンを狙うなら株式の比率を高めるなど、ご自身の目標に合わせてバランスを調整します。

Q.相続した不動産も運用に含めるべきですか?

A.はい、不動産も重要な資産です。そのまま居住する、賃貸に出して家賃収入を得る、売却して現金化し他の金融商品に投資するなど、様々な選択肢があります。ご自身のライフプランに合わせて最適な方法を検討しましょう。

Q.資産運用について、誰に相談すれば良いですか?

A.信頼できる専門家に相談することをおすすめします。特定の金融商品を勧めない中立的な立場のファイナンシャルプランナー(FP)や、資産運用のアドバイスを専門とするIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)などが相談先として考えられます。

事務所概要
社名
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電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。