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遺品整理はどうすれば良い?自分でやる手順と業者選びのコツを解説

2025-02-25
目次

大切な方が亡くなられた後、残された品々をどう整理すればいいのか、途方に暮れてしまう方は少なくありません。深い悲しみの中で行う遺品整理は、心身ともに大きな負担となりますよね。しかし、故人を偲び、ご自身の気持ちを整理するためにも、避けては通れない大切な作業です。この記事では、ご自身で遺品整理を進めるための具体的な手順から、信頼できる業者に依頼する際のポイント、そして気になる費用や相続の問題まで、一つひとつ丁寧に、わかりやすく解説していきます。後悔のない遺品整理を進めるために、ぜひ参考にしてくださいね。

遺品整理を始める前に知っておきたいこと

遺品整理をいざ始めようと思っても、「いつから手をつけるべき?」「誰がやるのが正しいの?」といった疑問が浮かびますよね。焦って始めてしまうと、後でトラブルになったり、大切なものまで処分してしまったりする可能性も。まずは、基本的な知識をしっかり押さえておきましょう。

遺品整理を始めるタイミング

遺品整理を始める時期に法的な決まりはありませんが、故人が住んでいた家の状況によって適切なタイミングは変わってきます。

賃貸物件の場合は、契約が続いている限り家賃が発生し続けるため、できるだけ早めに始めるのが一般的です。退去期限が設けられていることもあるので、まずは大家さんや管理会社に連絡し、スケジュールを確認しましょう。

一方、持ち家の場合は、急ぐ必要はありません。心が落ち着いてから、ご自身のペースで進めることができます。親族が集まりやすい四十九日や一周忌などの法要のタイミングで、皆で協力して始めるのも良いでしょう。ただし、相続税の申告が必要な場合は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内という期限があるので、それまでには財産の全体像を把握しておく必要があります。

遺品整理は誰が行うべき?

遺品は故人の財産(遺産)ですので、整理を行うのは基本的に相続人です。相続人とは、故人の配偶者や子ども、親などを指します。勝手に整理を進めてしまうと、他の相続人との間で「大切なものを捨てられた」「価値のあるものを勝手に持ち出した」といったトラブルに発展しかねません。作業を始める前には、必ず相続人全員で話し合い、同意を得ておくことがとても大切です。誰が中心になって進めるのか、作業の進め方やスケジュールなどを共有しておきましょう。

絶対に捨ててはいけないものを確認

遺品の中には、法的な手続きや相続に関わる非常に重要なものが含まれていることがあります。これらを誤って処分してしまうと、後で大変なことになる可能性があります。片付けを始める前に、まず以下のものを探して安全な場所に保管しましょう。

最優先で探すべきもの 具体例
遺言書・エンディングノート 故人の意思が記されています。特に自筆の遺言書は、家庭裁判所での「検認」という手続きが必要なため、勝手に開封してはいけません
財産に関する書類 預金通帳、印鑑、有価証券(株券など)、不動産の権利書、保険証券、各種契約書など。
身分証明書など マイナンバーカード、パスポート、運転免許証、健康保険証、年金手帳など。各種手続きに必要です。
デジタル遺品 パソコンやスマートフォン内のデータ、各種オンラインサービスのID・パスワードなど。

【自分で行う】遺品整理の5つのステップ

ご自身で遺品整理を行う場合は、やみくもに手を付けるのではなく、計画的に進めることが成功の鍵です。ここでは、効率よく作業を進めるための具体的な5つのステップをご紹介します。

ステップ1:準備とスケジューリング

まずは必要な道具を揃え、無理のない計画を立てましょう。作業を始めてから「あれがない、これがない」となると、時間も労力もロスしてしまいます。誰が、いつ、どこを片付けるのか、大まかなスケジュールを立てておくとスムーズです。

準備するものリスト ポイント
作業用品 軍手、マスク、汚れてもよい服装、スリッパ(安全のため)
梱包用品 段ボール箱(大小)、ゴミ袋(自治体指定のもの)、ガムテープ、油性マジック
仕分け・掃除道具 カッター、はさみ、ビニール紐、雑巾、ほうき、掃除機など

ステップ2:貴重品と重要書類の捜索

ステップ1で確認した「絶対に捨ててはいけないもの」を、家の中から最優先で探し出します。タンスの引き出しや仏壇、金庫、机の周りなど、故人が大切に保管していそうな場所を重点的に確認しましょう。見つかったものは一つの箱にまとめて、責任者を決めて厳重に管理してください。

ステップ3:遺品の仕分け(残す・処分する・保留)

いよいよ本格的な仕分け作業です。部屋ごと、あるいは場所ごとにエリアを決めて進めると効率的です。遺品は「残すもの」「処分するもの」「保留するもの」の3つに分類しましょう。段ボール箱にそれぞれマジックで書いておくと、作業が混乱しません。

  • 残すもの:形見分けする品、写真や手紙などの思い出の品、資産価値のあるもの。
  • 処分するもの:明らかに不要なもの、壊れているもの。
  • 保留するもの:判断に迷うもの。故人との思い出が蘇ってつらくなったり、価値が分からなかったりするものは、無理に判断せず「保留」箱に入れておき、後日改めて考えましょう。

ステップ4:不用品の処分

「処分するもの」に分類した遺品は、適切な方法で手放します。ただゴミとして捨てるだけでなく、さまざまな選択肢があります。

  • 自治体のルールに従って処分:可燃ゴミ、不燃ゴミ、資源ゴミ、粗大ゴミなど、お住まいの自治体の分別ルールをしっかり確認して処分します。
  • 買取業者・リサイクルショップに売却:まだ使える家電や家具、骨董品、貴金属などは専門業者に買い取ってもらうことで、処分費用を抑えられます。
  • 寄付する:衣類や介護用品などは、NPO団体や施設に寄付するという方法もあります。
  • 供養・お焚き上げ:故人が大切にしていた人形や仏壇など、そのまま捨てることに抵抗があるものは、神社やお寺で供養やお焚き上げをしてもらうと、気持ちの整理がつきやすいでしょう。

ステップ5:清掃と原状回復

すべての遺品を搬出したら、最後に部屋の清掃を行います。長年動かさなかった家具の裏などは、ほこりや汚れが溜まっていることが多いです。賃貸物件の場合は、契約内容に従って原状回復が必要になるため、隅々まできれいに掃除しましょう。

遺品整理を業者に依頼する場合

「遺品の量が多すぎる」「遠方に住んでいて作業に通えない」「体力的に自信がない」といった場合は、無理せず専門の遺品整理業者に依頼するのも賢明な選択です。ここでは、業者に依頼する際のポイントを見ていきましょう。

業者に依頼するメリット・デメリット

業者に依頼することには、良い点も注意すべき点もあります。両方を理解した上で検討することが大切です。

メリット デメリット
時間と労力を大幅に削減できる 費用がかかる
専門知識でスムーズに作業が進む(分別、搬出、法的手続きなど) 業者選びに手間がかかる
重量物の搬出や清掃も任せられる 悪質な業者に当たるリスクがある
精神的な負担が軽くなる 故人の品を他人の手で整理することになる

遺品整理業者の費用相場

遺品整理の費用は、部屋の広さや遺品の量、作業内容によって大きく変わります。あくまで目安ですが、一般的な費用相場は以下の通りです。

間取り 費用相場の目安
1R・1K 30,000円~80,000円
1LDK 70,000円~200,000円
2LDK 120,000円~300,000円
3LDK 170,000円~500,000円

※上記は基本的な仕分け・搬出・清掃の料金です。エアコンの取り外しや特殊清掃、遺品の供養などはオプション料金となることがほとんどです。

信頼できる業者の選び方

残念ながら、中には法外な料金を請求したり、不法投棄を行ったりする悪質な業者も存在します。大切な遺品を安心して任せられる業者を選ぶために、以下のポイントをチェックしましょう。

  • 複数の業者から相見積もりを取る:必ず3社以上から見積もりを取り、料金だけでなくサービス内容もしっかり比較検討しましょう。
  • 見積書の内容が明確か:「作業一式」といった曖昧な記載ではなく、何にいくらかかるのかが詳細に書かれているかを確認します。追加料金が発生する条件も事前に聞いておきましょう。
  • 許可や資格を持っているか:家庭から出る不用品を回収するには「一般廃棄物収集運搬業許可」が必要です。また、「遺品整理士」という民間資格を持つスタッフが在籍しているかも、信頼の一つの目安になります。
  • 訪問見積もりに対応してくれるか:電話やメールだけで正確な見積もりを出すのは困難です。実際に現場を見て、遺品の量や作業環境を確認した上で見積もりを出してくれる業者を選びましょう。

遺品整理の費用を抑えるコツ

遺品整理には何かと費用がかかるもの。少しでも負担を減らすために、できる工夫を取り入れてみましょう。

自分でできる範囲は片付けておく

業者に依頼する前に、明らかなゴミや不用品を自分で処分しておくだけでも、業者の作業量が減り、費用が安くなる可能性があります。特に、貴重品や残しておきたいものを事前に仕分けておけば、作業当日の時間短縮にもつながります。

買取サービスを活用する

遺品整理と買取を両方行っている業者を選ぶのもおすすめです。価値のある品物を買い取ってもらい、その金額を作業料金から差し引いてもらうことで、全体の費用を大きく抑えることができます。骨董品やブランド品、新しい家電などがあれば、積極的に査定を依頼してみましょう。

相見積もりで料金を比較する

前述の通り、相見積もりは費用を抑える上で最も重要なポイントです。料金が安いというだけで決めるのではなく、サービス内容やスタッフの対応、口コミなどを総合的に判断して、最も納得できる業者を選びましょう。

遺品整理で出てくる相続の問題

遺品整理は、単なる片付けではなく相続と深く関わっています。思わぬトラブルを避けるためにも、税金に関する基本的な知識を持っておくことが大切です。

遺品はすべて相続財産?

故人が所有していた現金、預貯金、不動産、有価証券はもちろん、家具や家電、衣類などもすべて相続財産となります。これらはプラスの財産ですが、借金や未払金といったマイナスの財産も相続の対象になることを忘れてはいけません。遺品整理を進めながら、財産の全体像を正確に把握することが重要です。

遺品整理の費用は相続財産から控除できる?

残念ながら、遺品整理にかかった費用は、原則として相続税の計算上、相続財産から差し引く(控除する)ことはできません。ただし、お通夜や告別式にかかった葬式費用は、債務として相続財産から控除することが認められています。どこまでが控除対象になるか詳しくは国税庁のウェブサイトで確認できます。

空き家になった実家を売却する場合の特例

相続によって空き家になった実家を売却した場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得(売却によって得た利益)から最高3,000万円まで控除できる「空き家特例」という制度があります。この特例を使えるかどうかで税金の額が大きく変わるため、実家の売却を考えている場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

遺品整理は、故人との思い出と向き合い、ご自身の気持ちを整理するための、とてもパーソナルで大切な時間です。ご自身で行う場合も、業者に依頼する場合も、大切なのは後悔しないこと。そのためには、事前の準備と情報収集が欠かせません。この記事でご紹介した手順やポイントを参考に、ご自身の状況や心境に合わせて、無理のない方法を選んでくださいね。焦らず、一歩ずつ進めていくことが、故人への何よりの供養になるはずです。

参考文献

  • 国税庁: No.4105 相続税がかかる財産
  • 国税庁: No.4126 相続財産から控除できる債務

遺品整理のよくある質問まとめ

Q.遺品整理はいつから始めればいいですか?

A.法的な期限はありませんが、賃貸物件の退去期限などを考慮する必要があります。一般的には、四十九日や一周忌など親族が集まるタイミングで始める方が多いですが、ご自身の気持ちの整理がついてから進めるのが最も大切です。

Q.遺品整理は何から手をつければいいですか?

A.まずは遺言書やエンディングノート、通帳、印鑑、権利書などの貴重品や重要書類を探すことから始めましょう。その後、残すもの(形見分け)と処分するものを仕分ける作業に進むとスムーズです。

Q.遺品整理にかかる費用の相場はどれくらいですか?

A.費用は部屋の間取りや物量、作業内容によって大きく変わります。ワンルームで3万円~8万円程度が一般的な相場ですが、正確な料金は必ず専門業者に見積もりを依頼して確認しましょう。

Q.遺品整理は業者に頼むべきですか?

A.物が多い、遠方に住んでいる、時間がない、精神的に辛いといった場合は業者に依頼するのがおすすめです。遺品の供養や買取、特殊清掃など専門的なサービスも利用できます。

Q.自分で遺品整理を行う場合の注意点は何ですか?

A.一人で抱え込まず、親族と協力して進めることが大切です。無理のないスケジュールを立て、貴重品を誤って処分しないよう慎重に作業しましょう。また、不用品の処分は自治体のルールに従ってください。

Q.故人の貴重品が見つからない場合はどうすればいいですか?

A.故人が大切にしていた場所や、普段使っていたカバン、タンスの引き出し、仏壇などを丁寧に探してみましょう。専門業者には、遺品整理と合わせて貴重品の捜索を依頼することも可能です。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
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電話番号
対応責任者
税理士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊法人の税理士までお問い合わせください。