「相続って何から始めたらいいの?」「誰に相談すればいいかわからない…」そんなお悩みはありませんか?超高齢社会の日本で「大相続時代」と言われる今、注目を集めているのが「相続診断士」という資格です。この記事では、相続診断士とはどんな資格で、どんな役割を担っているのか、わかりやすく解説していきますね。
相続診断士とは?「笑顔相続」の道案内人
相続診断士は、一言でいうと「笑顔相続の道案内人」です。大切なご家族が亡くなった後、財産をめぐって家族が争う「争族」はとても悲しいことですよね。相続診断士は、そんな悲しい事態を未然に防ぎ、誰もが円満に相続を終えられるようにサポートする専門家なんです。
相続診断士の具体的な役割
相続診断士は、相続に関する幅広い知識を持っています。まず相談者の方からご家庭の状況や財産について丁寧にヒアリングを行い、現状を分析します。その上で、将来どんな問題が起こりそうか、どんな準備が必要かを診断します。
そして、もし法的な手続きや税金の申告など、より専門的な対応が必要になった場合は、弁護士、税理士、司法書士といった専門家へスムーズに橋渡しをする役割も担っています。いわば、相続に関する「最初の相談窓口」のような存在ですね。
なぜ今、相続診断士が必要とされているの?
日本は今、年間約50兆円もの遺産が動く「大相続時代」を迎えています。そして驚くことに、家庭裁判所に持ち込まれる相続トラブルのうち、約74%が相続税のかからない「遺産5,000万円以下」の家庭で起きているというデータがあります。
つまり、相続は「お金持ちだけの問題」では決してなく、誰の家庭にも起こりうる身近な問題なのです。しかし、「誰に相談すればいいかわからない」と感じる方が多いのも事実。だからこそ、気軽に相談できる身近な専門家として、相続診断士のニーズが高まっているんですよ。
国家資格なの?
相続診断士は、一般社団法人 相続診断協会が認定する民間資格です。国家資格ではありませんが、相続に関する法令や税制の知識を体系的に学び、試験に合格した人だけが名乗ることができます。相続の基本的な知識を持つプロフェッショナルとして、金融機関や不動産業界など、さまざまな分野でその専門性が認められています。
相続診断士の仕事内容と活躍の場
相続診断士の資格は、さまざまな業界で活かすことができます。具体的にどのような場所で活躍しているのか見ていきましょう。
生命保険業界での活躍
生命保険は、相続税の納税資金対策や、遺された家族の生活保障として非常に重要な役割を果たします。相続診断士の知識があれば、「相続」という観点からお客様に最適な保険プランを提案できるようになり、より深い信頼関係を築くことができます。
不動産業界での活躍
相続財産の中でも、不動産は分割が難しく、トラブルの原因になりやすい資産です。相続を見据えた不動産の売買や活用方法についてアドバイスをしたり、税制の特例について情報提供をしたりすることで、お客様の大きな安心につながります。お客様の大切な資産を守るパートナーとして活躍できます。
金融機関や士業事務所での活躍
銀行や証券会社などの金融機関では、お客様の資産運用相談の一環として相続に関するアドバイスを提供できます。また、税理士事務所や司法書士事務所などでは、専門家と連携しながら、お客様の相続手続きをワンストップでサポートする窓口役として重要な役割を担います。
相続診断士資格試験の概要
「相続診断士の資格に興味が出てきた!」という方のために、試験の概要についてご紹介しますね。
試験内容と合格基準
試験は全国のテストセンターで、パソコンを使って受験するCBT方式で行われます。試験時間は60分で、60問の問題に答える形式です。100点満点中、70点以上で合格となります。出題範囲は以下の通りです。
| 出題分野 | 問題数と配点 |
| コンプライアンス | 10問 (10点) |
| 民法(相続編) | 15問 (30点) |
| 相続税 | 15問 (30点) |
| 相続税穴埋め | 12問 (12点) |
| 法定相続分 | 3問 (8点) |
| 基礎控除 | 2問 (4点) |
| 小規模宅地等の特例 | 3問 (6点) |
難易度と合格率
合格率は正式には公表されていませんが、難易度はそれほど高くなく、しっかりと対策すれば合格を目指せる資格と言われています。学習期間の目安としては、初めて法律や税金を学ぶ方で3ヶ月~6ヶ月、関連業務に携わっている方なら1ヶ月~2ヶ月ほどです。受験料にテキストや講義動画が含まれているので、それらを活用して勉強を進めるのが一般的です。
受験料と更新について
受験料や更新料は以下の通りです。資格の有効期間は2年間で、更新するには更新テストに合格する必要があります。
| 項目 | 費用(税込) |
| 初回受験料 | 38,500円 |
| 再受験料 | 16,500円 |
| 資格更新料(2年ごと) | 16,500円 |
上級相続診断士との違い
相続診断士には、さらに専門性を高めた「上級相続診断士」という上位資格があります。この二つの資格にはどのような違いがあるのでしょうか。
知識と実務力の深化
上級相続診断士は、基本的な知識に加えて、より複雑なケースに対応するための実務的な知識を学びます。例えば、土地の評価方法や、会社の事業承継、遺産分割の具体的な事例など、より専門的で実践的な内容が問われます。コンサルティング能力を高めたい方が目指す資格です。
試験概要と費用の違い
上級相続診断士の試験は、試験時間が90分と長くなります。また、費用も異なり、合格後には登録料と月会費が必要になります。
| 項目 | 上級相続診断士 |
| 初回受験料(税込) | 88,000円 |
| 合格後の登録料(税込) | 11,000円 |
| 月会費(税込) | 1,018円 |
相続診断士に相談するメリット
では、実際に相続の悩みを抱えている方が、相続診断士に相談するとどんな良いことがあるのでしょうか。
誰に相談すればいいかが明確になる
相続の問題は、「遺言書なら司法書士?」「税金なら税理士?」「揉め事なら弁護士?」というように、相談内容によって専門家が異なります。多くの方は、まずどこへ行けばいいのか分からず困ってしまいます。相続診断士は、そんな時の最初の窓口として、お話を伺った上で最適な専門家を案内してくれます。道に迷った時の地図のような存在ですね。
相続トラブルを未然に防げる
相続診断士への相談は、相続が発生する「前」から始めるのが理想的です。生前の元気なうちにご自身の財産や家族への想いを整理し、遺言書の作成や生前贈与といった対策を計画的に進めることができます。これにより、残された家族が困ったり、争ったりすることを未然に防ぎ、スムーズな相続を実現できます。
まとめ
相続診断士とは、相続に関する悩みを抱える人々と、弁護士や税理士などの専門家とをつなぐ、非常に重要な役割を担う専門家です。相続が「争族」になるのを防ぎ、円満な「笑顔相続」を実現するための心強いパートナーと言えるでしょう。相続は、いつか誰もが経験する身近な問題です。少しでも不安なことがあれば、まずは身近な相続診断士に相談してみてはいかがでしょうか。
相続診断士に関するよくある質問まとめ
Q.相続診断士とはどんな資格ですか?
A.相続診断士は、相続に関する幅広い知識を持ち、問題点を整理して専門家への橋渡し役を担う民間資格です。「争族」を未然に防ぎ、円満な相続を実現するためのアドバイスを行います。
Q.相続診断士に相談するメリットは何ですか?
A.相続に関する悩みを誰に相談すれば良いかわからない場合でも、まずは相続診断士が全体像を把握し、必要な専門家(税理士、弁護士、司法書士など)を適切に紹介してくれます。初期相談の窓口として最適です。
Q.税理士や弁護士との違いは何ですか?
A.税理士は税務申告、弁護士は法的な紛争解決の専門家です。一方、相続診断士は相続全般の課題を洗い出し、各専門家と連携して円滑な相続をサポートするコーディネーター的な役割を担います。
Q.相続診断士は具体的に何をしてくれますか?
A.相続財産の概算評価、相続税の簡易シミュレーション、遺言書の必要性の判断、生前対策のアドバイスなどを行います。相続に関する現状を診断し、起こりうる問題を可視化することが主な役割です。
Q.資格を取得するのは難しいですか?
A.相続診断士の資格は、所定の講座を受講し、試験に合格することで取得できます。他の国家資格と比較すると難易度は高くなく、相続の基礎知識を学びたい方にも門戸が開かれています。
Q.相続診断士に相談したい場合、どうやって探せばいいですか?
A.資格を認定している協会のウェブサイトで、お住まいの地域の相続診断士を検索することができます。また、金融機関や保険代理店、不動産会社などに所属している場合もあります。