先に結論からお伝えすると、相続診断士は一般社団法人 相続診断協会が認定する民間資格で、国家資格ではありません。受験料は38,500円(税込・テキストや講義動画込み)で、合格ラインは100点満点中70点以上。難易度はそれほど高くなく、教材を一巡すれば十分に合格を狙えるレベルです。資格の有効期間は2年間で、更新料は16,500円(税込)かかります。なお、受験料や試験の形式は認定団体が決めるもので、見直されることもあります。ここでご紹介する金額や形式は記事更新時点の目安として、受験前には相続診断協会の公式情報で最新の内容をご確認くださいね。この記事では、相続診断士とはどんな資格で何をしてくれるのかに加えて、試験の難易度・合格率・勉強時間の目安、受験料や更新料などの費用、上級相続診断士や名前の似た「相続士」との違い、「意味がない資格では?」という疑問への答えまで、順番にご説明しますね。
相続診断士とは?「笑顔相続」の道案内人
相続診断士は、一言でいうと「笑顔相続の道案内人」です。大切なご家族が亡くなった後、財産をめぐって家族が争う「争族」はとても悲しいことですよね。相続診断士は、そんな悲しい事態を未然に防ぎ、誰もが円満に相続を終えられるようにサポートする専門家なんです。
相続診断士の具体的な役割
相続診断士は、相続に関する幅広い知識を持っています。まず相談者の方からご家庭の状況や財産について丁寧にヒアリングを行い、現状を分析します。その上で、将来どんな問題が起こりそうか、どんな準備が必要かを診断します。
そして、もし法的な手続きや税金の申告など、より専門的な対応が必要になった場合は、弁護士、税理士、司法書士といった専門家へスムーズに橋渡しをする役割も担っています。いわば、相続に関する「最初の相談窓口」のような存在ですね。
なぜ今、相続診断士が必要とされているの?
日本は今、高齢化にともなって相続を迎えるご家庭が増え、「大相続時代」とも呼ばれています。そして家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割の争いは、資産家に限らず、遺産が数千万円以下のご家庭でも多く起きているといわれています。
つまり、相続は「お金持ちだけの問題」では決してなく、誰の家庭にも起こりうる身近な問題なのです。しかし、「誰に相談すればいいかわからない」と感じる方が多いのも事実。だからこそ、気軽に相談できる身近な専門家として、相続診断士のニーズが高まっているんですよ。
国家資格なの?
相続診断士は、一般社団法人 相続診断協会が認定する民間資格です。国家資格ではありませんが、相続に関する法令や税制の知識を体系的に学び、試験に合格した人だけが名乗ることができます。相続の基本的な知識を持つプロフェッショナルとして、金融機関や不動産業界など、さまざまな分野でその専門性が認められています。
国家資格との大きな違いは、法律で決められた「その資格がないとできない仕事」がないことです。たとえば、相続税の申告書の作成や税務署への申告の代理、個別の税務相談を仕事として行えるのは、税理士法で税理士・税理士法人に限られています。相続診断士は、こうした専門家へつなぐ前の「整理役」と考えるとイメージしやすいですよ。
e-Gov法令検索 税理士法
相続診断士の仕事内容と活躍の場
相続診断士の資格は、さまざまな業界で活かすことができます。具体的にどのような場所で活躍しているのか見ていきましょう。
生命保険業界での活躍
生命保険は、相続税の納税資金対策や、遺された家族の生活保障として非常に重要な役割を果たします。相続診断士の知識があれば、「相続」という観点からお客様に最適な保険プランを提案できるようになり、より深い信頼関係を築くことができます。
不動産業界での活躍
相続財産の中でも、不動産は分割が難しく、トラブルの原因になりやすい資産です。相続を見据えた不動産の売買や活用方法についてアドバイスをしたり、税制の特例について情報提供をしたりすることで、お客様の大きな安心につながります。お客様の大切な資産を守るパートナーとして活躍できます。
金融機関や士業事務所での活躍
銀行や証券会社などの金融機関では、お客様の資産運用相談の一環として相続に関するアドバイスを提供できます。また、税理士事務所や司法書士事務所などでは、専門家と連携しながら、お客様の相続手続きをワンストップでサポートする窓口役として重要な役割を担います。
相続診断士資格試験の概要と難易度
「相続診断士の資格に興味が出てきた!」という方のために、試験の概要についてご紹介しますね。
試験内容(CBT方式・60分60問)
試験は全国のテストセンターで、パソコンを使って受験するCBT方式で行われます。試験時間は60分で、60問の問題に答える形式です。出題範囲と配点の目安は以下の通りです(出題の構成は変わることがありますので、最新の内容は相続診断協会の案内でご確認ください)。
| 出題分野 | 問題数と配点 |
| コンプライアンス | 10問 (10点) |
| 民法(相続編) | 15問 (30点) |
| 相続税 | 15問 (30点) |
| 相続税穴埋め | 12問 (12点) |
| 法定相続分 | 3問 (8点) |
| 基礎控除 | 2問 (4点) |
| 小規模宅地等の特例 | 3問 (6点) |
合格点・合格基準は「100点満点中70点以上」
合格基準は100点満点中70点以上です。約7割の得点が必要と聞くと少し身構えてしまうかもしれませんが、出題は受験時に提供されるテキストと講義動画の範囲が中心なので、教材をきちんと一巡すれば十分に届くラインですよ。配点の大きい「民法(相続編)」と「相続税」(合わせて60点分)を重点的に押さえるのが合格への近道です。
難易度と合格率
合格率は、公式に公表された数字が見当たりません。インターネット上で見かける合格率の数字も、認定団体が発表したものかどうかは確認できないため、参考程度に受け止めるのが安心です。そのうえで、難易度はそれほど高くなく、しっかりと対策すれば合格を目指せる資格と言われています。理由は3つあります。1つ目は出題範囲が受験時に提供されるテキストと講義動画の中心であること、2つ目は合格ラインが7割で満点を求められないこと、3つ目は不合格でも再受験料16,500円で挑み直せることです。弁護士や税理士のような国家資格と同じ感覚で身構える必要はありませんよ。
勉強時間の目安はどのくらい?
学習期間の目安は、初めて法律や税金を学ぶ方で3ヶ月~6ヶ月、金融・保険・不動産など相続に関わる業務に携わっている方なら1ヶ月~2ヶ月ほどです。受験料にテキストと講義動画が含まれているので、市販の教材を買い足さずに進められるのが一般的です。配点の大きい「民法(相続編)」と「相続税」で合わせて60点分を占めるので、限られた時間ならこの2分野から手をつけるのが効率的ですね。
受験料・更新料などの費用まとめ
受験料や更新料の目安は以下の通りです(金額は改定されることがあるため、申し込み前に相続診断協会の公式情報でご確認ください)。取得して終わりではなく、維持にも費用がかかる点は事前に知っておきたいポイントですね。
| 項目 | 費用(税込) |
| 初回受験料 | 38,500円 |
| 再受験料 | 16,500円 |
| 資格更新料(2年ごと) | 16,500円 |
更新料・維持費用はどのくらい?
相続診断士の資格の有効期間は2年間で、更新するには更新テストに合格する必要があります。更新料は2年ごとに16,500円(税込)なので、1年あたりに換算すると8,250円ほどの維持費用がかかる計算です。相続の法令や税制は改正が多い分野ですから、更新テストを通じて知識をアップデートし続けられる仕組みとも言えますね。
上級相続診断士との違い・難易度
相続診断士には、さらに専門性を高めた「上級相続診断士」という上位資格があります。この二つの資格にはどのような違いがあるのでしょうか。
知識と実務力の深化
上級相続診断士は、基本的な知識に加えて、より複雑なケースに対応するための実務的な知識を学びます。例えば、土地の評価方法や、会社の事業承継、遺産分割の具体的な事例など、より専門的で実践的な内容が問われます。コンサルティング能力を高めたい方が目指す資格です。
上級相続診断士の難易度・勉強時間
上級相続診断士の試験時間は90分と、相続診断士(60分)より長く設定されており、出題内容も実務寄りで一段階レベルが上がります。合格率は公表されていませんが、土地評価や事業承継といった応用分野まで問われるため、相続診断士よりも腰を据えた学習が必要です。まずは相続診断士で基礎を固めてからステップアップする、という流れが王道ですよ。
試験概要と費用の違い
費用も大きく異なり、上級は合格後に登録料と月会費が必要になります。
| 項目 | 上級相続診断士 |
| 初回受験料(税込) | 88,000円 |
| 合格後の登録料(税込) | 11,000円 |
| 月会費(税込) | 1,018円 |
相続診断士と「相続士」「相続実務士」との違い
相続の資格を調べていると、相続士や相続実務士といった名前の似た資格が出てきて混乱しやすいところです。結論としては、これらはいずれも認定している団体が異なる別の民間資格で、国家資格ではありません。相続診断士は一般社団法人 相続診断協会の認定資格で、ほかの資格はそれぞれ別の団体が独自のカリキュラムと試験で認定しています。
どれが難しいかは単純に比べられない
「相続士と相続診断士はどっちが難しいの?」というご質問をいただくことがありますが、いずれも合格率が公表されていないため、数字で優劣を比べることはできません。選ぶときは難易度よりも、認定団体の規模とネットワーク、学べる範囲が自分の仕事に合っているか、更新の手間と維持費用の3点で見比べるのがおすすめです。相続診断士は会員数が多く、資格取得後に他業種の会員と連携しやすいのが特徴ですよ。
相続診断士は「意味がない資格」なの?
「相続診断士は意味がないのでは?」と心配される方もいらっしゃいますが、これは資格の位置づけを知ると納得しやすくなります。相続診断士は業務独占資格ではありません。つまり、税務の代理や申告書の作成は税理士、法律相談や紛争の交渉は弁護士、登記は司法書士でなければ行えず、資格を取っても独占的にできる仕事が増えるわけではないのです。
その代わり、相続診断士の価値は「入口」にあります。ご家庭の状況を整理して起こりそうな問題を見つけ、必要な専門家へつなぐ役割です。保険・不動産・金融など本業を持つ方が、お客様の相続の悩みに一次対応できるようになる資格と考えると、活かし方が見えてきますね。逆に、この資格だけで相続の実務を完結させようとすると「意味がない」と感じてしまいます。
相続診断士に相談するメリット
では、実際に相続の悩みを抱えている方が、相続診断士に相談するとどんな良いことがあるのでしょうか。
誰に相談すればいいかが明確になる
相続の問題は、「遺言書なら司法書士?」「税金なら税理士?」「揉め事なら弁護士?」というように、相談内容によって専門家が異なります。多くの方は、まずどこへ行けばいいのか分からず困ってしまいます。相続診断士は、そんな時の最初の窓口として、お話を伺った上で最適な専門家を案内してくれます。道に迷った時の地図のような存在ですね。
ただし、相続税がかかりそうなとき、申告が必要かどうか判断に迷うときは、最初から相続税に詳しい税理士へ相談したほうが、手続きの二度手間を防ぎやすいです。悩みの内容ごとの相談先は、こちらで整理しています。
関連コラム相続の相談は誰にすべきか|悩み別の専門家の選び方と公的窓口▸
相続トラブルを未然に防げる
相続診断士への相談は、相続が発生する「前」から始めるのが理想的です。生前の元気なうちにご自身の財産や家族への想いを整理し、遺言書の作成や生前贈与といった対策を計画的に進めることができます。これにより、残された家族が困ったり、争ったりすることを未然に防ぎ、スムーズな相続を実現できます。
関連コラム相続でもめる家族の3つの特徴!揉めないための原因・予防策・対処法を解説▸
まとめ
最後に要点を整理しますね。相続診断士は国家資格ではなく相続診断協会の民間資格で、受験料38,500円・合格ラインは100点満点中70点以上、更新料は2年ごとに16,500円です。難易度はそれほど高くなく、初学者でも3ヶ月~6ヶ月が学習期間の目安になります。
相続診断士とは、相続に関する悩みを抱える人々と、弁護士や税理士などの専門家とをつなぐ、非常に重要な役割を担う専門家です。相続が「争族」になるのを防ぎ、円満な「笑顔相続」を実現するための心強いパートナーと言えるでしょう。相続は、いつか誰もが経験する身近な問題です。少しでも不安なことがあれば、まずは身近な専門家に相談してみてはいかがでしょうか。相続税の申告や生前の相続税対策など、税金が関わる具体的なケースは、税理士へのご相談をおすすめします。
相続診断士に関するよくある質問まとめ
Q.相続診断士は国家資格ですか?
A.いいえ、相続診断士は一般社団法人 相続診断協会が認定する民間資格で、国家資格ではありません。相続に関する法令や税制の知識を体系的に学び、試験に合格した人だけが名乗ることができます。
Q.相続診断士の難易度はどのくらいですか?
A.難易度はそれほど高くありません。試験はCBT方式60分60問で、100点満点中70点以上が合格ラインです。学習期間の目安は初学者で3ヶ月~6ヶ月、実務経験者なら1ヶ月~2ヶ月ほどです。
Q.相続診断士の更新料はいくらですか?
A.資格の有効期間は2年間で、2年ごとに更新料16,500円(税込)がかかり、更新テストに合格する必要があります。1年あたりに換算すると約8,250円の維持費用です。
Q.相続診断士とはどんな資格ですか?
A.相続診断士は、相続に関する幅広い知識を持ち、問題点を整理して専門家への橋渡し役を担う民間資格です。「争族」を未然に防ぎ、円満な相続を実現するためのアドバイスを行います。
Q.相続診断士の合格率はどのくらいですか?
A.合格率は、公式に公表された数字が見当たりません。ただし出題範囲が配布テキストと講義動画中心で、合格ラインも100点満点中70点以上のため、難易度はそれほど高くないとされています。
Q.相続診断士の勉強時間はどのくらい必要ですか?
A.初めて法律や税金を学ぶ方で3ヶ月~6ヶ月、金融・保険・不動産など相続に関わる業務の経験がある方なら1ヶ月~2ヶ月が目安です。配点の大きい民法(相続編)と相続税から進めると効率的です。
Q.相続士や相続実務士との違いは何ですか?
A.いずれも認定団体が異なる別の民間資格で、国家資格ではありません。合格率が公表されていないため難易度の単純比較はできず、認定団体のネットワーク・学べる範囲・維持費用で選ぶのがおすすめです。
Q.相続診断士に相談するメリットは何ですか?
A.相続に関する悩みを誰に相談すれば良いかわからない場合でも、まずは相続診断士が全体像を把握し、必要な専門家(税理士、弁護士、司法書士など)を適切に紹介してくれます。初期相談の窓口として最適です。
Q.税理士や弁護士との違いは何ですか?
A.税理士は税務申告、弁護士は法的な紛争解決の専門家です。一方、相続診断士は相続全般の課題を洗い出し、各専門家と連携して円滑な相続をサポートするコーディネーター的な役割を担います。
Q.相続診断士は具体的に何をしてくれますか?
A.相続財産の概算評価、相続税の簡易シミュレーション、遺言書の必要性の判断、生前対策のアドバイスなどを行います。相続に関する現状を診断し、起こりうる問題を可視化することが主な役割です。
Q.相続診断士に相談したい場合、どうやって探せばいいですか?
A.資格を認定している協会のウェブサイトで、お住まいの地域の相続診断士を検索することができます。また、金融機関や保険代理店、不動産会社などに所属している場合もあります。




