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がん保険の先進医療特約とは?安い掛け金の理由と使い方、注意点を解説

2025-05-30
目次

がん保険を検討するとき、「先進医療特約」という言葉をよく見かけませんか?「月々数百円で付けられますよ」と勧められることも多いですが、具体的にどんなものかよく分からない…という方もいらっしゃるかもしれません。この特約は、いざという時に高額な治療費の負担を大きく減らしてくれる、とても心強い味方なんです。この記事では、がん保険の先進医療特約の仕組みやメリット、そして知っておきたい注意点について、一つひとつ分かりやすく解説していきますね。

がん保険の先進医療特約ってどんなもの?

まずは、「先進医療特約」がどのようなものなのか、基本から見ていきましょう。これは、がん治療で使われる先進的な医療技術にかかる費用を保障してくれる、がん保険のオプション(特約)のことです。

先進医療とは?

先進医療とは、厚生労働大臣が定めた高度な医療技術のことです。公的医療保険(健康保険)の対象にするかを評価している段階の治療法で、大学病院など、国が定めた特定の医療機関でしか受けることができません。がん治療では、陽子線治療重粒子線治療などが有名です。これらは、がん細胞をピンポイントで狙い撃ちできるため、体への負担が少ないといったメリットが期待されています。

保障される内容と金額

先進医療特約で保障されるのは、先進医療にかかる費用のうち「技術料」と呼ばれる部分です。この技術料は全額自己負担となり、時には数百万円と非常に高額になることもあります。先進医療特約は、この高額な技術料を、保険会社が定めた上限額(例えば通算2,000万円など)の範囲内で保障してくれます。
ただし、先進医療を受ける際の診察料や入院費、薬代など、公的医療保険が適用される部分については、この特約の保障対象外となるので注意してくださいね。

先進医療特約の必要性

がん治療で先進医療を受ける可能性は、決して高くはありません。しかし、もし主治医から先進医療を提案されたとき、治療費が理由で諦めなければならないのはとても辛いですよね。先進医療の技術料は、治療法によっては300万円を超えることもあり、貯蓄だけで賄うのは簡単なことではありません。月々数百円というわずかな掛け金で、高額な治療費に備えられるという点が、この特約の大きな必要性と言えるでしょう。

なぜ先進医療特約の掛け金は安いの?

「通算2,000万円も保障してくれるのに、なぜ掛け金は月々数百円なの?」と不思議に思いませんか。その安さには、ちゃんとした理由があるんです。

利用する人が少ないから

一番の理由は、実際に先進医療を受ける人の数が限られているためです。保険は、多くの人が少しずつお金(保険料)を出し合い、困った人が出たときにまとまったお金(保険金)を渡す「相互扶助」の仕組みで成り立っています。先進医療特約の場合、保険料を支払う人の数に比べて、保険金を受け取る人の数が圧倒的に少ないため、一人ひとりの保険料を安く設定することができるのです。

保障範囲が限定的だから

もう一つの理由は、保障される範囲が「厚生労働大臣が認めた先進医療の技術料」に限定されている点です。例えば、まだ国に承認されていない最先端の治療(自由診療)や、公的医療保険が適用される一般的な治療は保障の対象外です。保障する範囲をピンポイントに絞っているからこそ、安い保険料が実現できるんですね。

どんな時に使える?先進医療の具体例

では、実際にがん治療ではどのような先進医療が行われているのでしょうか。ここでは代表的なものをいくつかご紹介します。技術料はあくまで目安ですが、どれも高額であることが分かります。

陽子線治療

水素の原子核である「陽子」を加速させて、がん細胞に照射する放射線治療の一種です。がん細胞に集中的にダメージを与え、正常な細胞への影響を最小限に抑えられるのが大きな特徴です。特に、脳や頭部、小児がんなど、周囲の正常な組織を守りたい場合に有効とされています。

重粒子線治療

陽子線よりもさらに強力な「重粒子線(炭素イオン線)」を使ってがん細胞を破壊する治療法です。陽子線治療よりも殺傷能力が高く、これまで治療が難しかった体の深い部分にあるがんや、放射線が効きにくいタイプのがんにも効果が期待されています。

先進医療技術の例(がん治療) 技術料の目安
陽子線治療 約260万円
重粒子線治療 約310万円

※上記はあくまで一例であり、治療法や医療機関によって費用は異なります。

先進医療特約を持っている場合の留意点

心強い先進医療特約ですが、加入する前や利用する際に知っておきたい注意点がいくつかあります。後で「知らなかった…」とならないように、しっかり確認しておきましょう。

対象となる医療技術は変動する

先進医療の対象となる医療技術は、実は常に同じではありません。安全性や有効性が認められて公的医療保険の対象になったり、逆に承認が取り消されたりと、定期的に見直しが行われます。つまり、保険に加入したときには対象だった治療法が、いざ自分が治療を受けるときには対象外になっている、という可能性もゼロではないのです。

保障は「契約時点」か「療養時点」か確認しよう

保険会社によって、保障対象となる先進医療の基準が異なります。具体的には、「保険を契約した時点」で先進医療とされていたものを保障するタイプと、「治療を受けた(療養した)時点」で先進医療とされているものを保障するタイプがあります。新しい技術にも対応できる後者の「療養時点」を基準とするタイプの方が、より安心して備えることができるので、契約前に必ず確認しましょう。

全ての医療機関で受けられるわけではない

先進医療は、どの病院でも受けられるわけではありません。国が定めた厳しい施設基準をクリアした、ごく一部の大学病院や専門機関でのみ実施されています。そのため、お住まいの地域によっては、治療を受けるために遠方の病院まで通う必要が出てくるかもしれません。その際の交通費や宿泊費は自己負担となることが多い点も覚えておきましょう。

先進医療特約はつけるべき?判断のポイント

ここまで解説してきた内容を踏まえて、先進医療特約を付けるべきかどうか、判断するためのポイントを整理してみましょう。

少額の保険料で高額な治療に備えたい人

月々数百円という手頃な掛け金で、数百万円にもなる可能性のある治療費に備えられるのは、この特約最大の魅力です。コストパフォーマンスを重視する方や、万が一の出費に備えて貯蓄を切り崩したくないと考えている方には、非常におすすめです。

がん治療の選択肢を広げたい人

「もしもの時、お金の心配をせずに、その時点で最善と思われる治療を受けたい」と考える方にとって、先進医療特約は精神的なお守りになります。経済的な理由で治療の選択肢が狭まってしまう事態を避けたい方には、付加する価値が高いと言えるでしょう。

十分な貯蓄がある場合は検討の余地あり

もし、300万円~500万円程度の急な出費にも問題なく対応できるほどの貯蓄がある方なら、必ずしもこの特約が必要ではないかもしれません。ただし、その大切な貯蓄を治療費で使い切ってしまうのではなく、その後の生活費やご家族のために残しておきたいと考えるのであれば、特約を付けておくというのも賢い選択の一つです。

まとめ

がん保険の先進医療特約は、月々数百円という安い掛け金で、陽子線治療重粒子線治療といった高額な治療費に備えられる、非常に心強い存在です。実際に利用する頻度は高くないかもしれませんが、「もしも」の時に経済的な心配をせずに治療に専念できるという安心感は、何物にも代えがたい価値があります。
ただし、対象となる医療技術が変動する点や、保障内容が「療養時点」の基準になっているかなど、加入前に確認すべき留意点もあります。ご自身のライフプランや貯蓄状況と照らし合わせ、がん治療の選択肢を広げるためのお守りとして、付加することを検討してみてはいかがでしょうか。

参考文献

参考文献リスト

厚生労働省 「先進医療の概要について」

国税庁 「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」

がん保険の先進医療特約に関するよくある質問

Q.がん保険の先進医療特約とは何ですか?

A.厚生労働大臣が認める先進的な医療技術(先進医療)を受けた際の、公的医療保険が適用されない高額な技術料を保障する特約です。

Q.なぜ先進医療特約の保険料(掛け金)は安いのですか?

A.先進医療を受ける人の数がまだ少なく、保険金支払いの発生確率が低いためです。そのため、月々数百円程度の少ない負担で高額な保障に備えることができます。

Q.先進医療特約はどんな時に使えますか?

A.がん治療において、厚生労働大臣が定めた「先進医療」に該当する治療を受けた時に使えます。陽子線治療や重粒子線治療などが代表例ですが、対象となる医療技術は随時見直されます。

Q.先進医療特約で保障される金額はいくらですか?

A.保険商品により異なりますが、通算で1,000万円~2,000万円を上限として、かかった技術料の実費が支払われるのが一般的です。

Q.先進医療特約を使う際の注意点はありますか?

A.治療を受ける時点で厚生労働大臣に承認された「先進医療」である必要があります。また、治療を受けられる医療機関が限定されている点にも注意が必要です。

Q.先進医療特約は必ず付けた方が良いですか?

A.必須ではありませんが、少ない保険料で高額な治療費に備えられるメリットは大きいです。利用頻度は高くありませんが、万が一の経済的負担を軽減したい場合には付帯を検討すると良いでしょう。

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