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検認前に自筆証書遺言を開封したら無効?ペナルティと正しい対処法

2025-11-29
目次

故人が残してくれた自筆証書遺言。中身が気になって、ついすぐに開けてしまいたくなりますよね。でも、「検認前に開封すると無効になる」という話を聞いて、不安に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。本当に遺言書が無効になってしまうのでしょうか?この記事では、家庭裁判所の検認手続きを経ずに自筆証書遺言を開封してしまった場合の効力や、科される可能性のあるペナルティ、そして正しい手続きについて、相続の専門家がわかりやすく解説します。

検認前に自筆証書遺言を開封!遺言書は無効になる?

いきなり結論からお伝えすると、家庭裁判所の検認手続きを経ずに自筆証書遺言を開封してしまっても、遺言書そのものが無効になることはありません。遺言書に書かれている内容は、法律で定められた要件を満たしている限り有効です。しかし、だからといって勝手に開封して良いわけではありません。ペナルティが科される可能性があるので注意が必要です。

遺言書が無効になるわけではない

民法では、遺言書を勝手に開封した場合の罰則については定められていますが、遺言の効力については何も触れていません。つまり、「開封したから無効になる」というルールはないのです。遺言書が無効になるのは、作成日が書かれていない、遺言者の署名や押印がない、全文が自筆でないなど、法律で定められた形式に不備がある場合です。開封したかどうかは、遺言の有効性とは別の問題として扱われます。

ただし、ペナルティ(過料)があるので注意

封印のある遺言書を家庭裁判所以外の場所で開封すると、5万円以下の過料に処される可能性があります(民法第1005条)。過料とは、行政上の軽い罰則のようなもので、前科がつくわけではありません。しかし、法律で定められたルールを破ったことに対する制裁であることは間違いありません。また、他の相続人から「内容を改ざんしたのではないか」と疑われ、後のトラブルに発展する大きな原因にもなり得ますので、必ず決められた手続きを守りましょう。

検認が必要ない遺言書もある

すべての遺言書に検認が必要というわけではありません。検認が不要なケースを知っておくことで、スムーズに相続手続きを進めることができます。

検認が不要な遺言書 理由
公正証書遺言 公証人が作成に関与しており、偽造や変造の心配が極めて少ないためです。
法務局で保管されている自筆証書遺言 法務局が遺言書の原本を保管し、「遺言書情報証明書」を発行するため、偽造・変造のリスクが低く、検認は不要とされています。

そもそも遺言書の「検認」ってどんな手続き?

「検認」という言葉は、あまり聞き慣れないかもしれませんね。検認とは、相続人に対して遺言書の存在とその内容を知らせるとともに、遺言書の形状や日付、署名など、その時点での状態を明確にして、偽造や変造を防ぐための手続きです。あくまで遺言書の「状態を確認・保存」するためのものであり、遺言内容が有効か無効かを判断する手続きではないという点が大切なポイントです。

検認手続きの目的

検認の主な目的は以下の2つです。

  • 遺言書の現状を保全する:検認日時点での遺言書の状態(紙の種類、筆跡、訂正の有無など)を家庭裁判所が「検認調書」として記録することで、その後の改ざんを防ぎます。
  • 相続人に遺言の存在を知らせる:家庭裁判所から相続人全員に検認期日の通知が送付されるため、すべての相続人が遺言書の存在を公式に知ることができます。

検認手続きの流れ

検認は、一般的に以下のような流れで進められます。

  1. 家庭裁判所への申立て:遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、必要書類を添えて検認の申立てをします。
  2. 検認期日の通知:裁判所から相続人全員へ、検認を行う日時と場所が通知されます。
  3. 検認の実施:指定された日時に、申立人が遺言書を持参し、裁判官と出席した相続人の前で開封され、内容が確認されます。相続人全員が出席しなくても手続きは行われます。
  4. 検認済証明書の申請:検認が終わると、遺言書に「検認済証明書」を付けてもらうことができます。不動産の名義変更(相続登記)や預貯金の解約といった相続手続きの際には、この証明書が必要になります。

検認の申立てに必要な費用と書類

検認手続きには、費用といくつかの書類が必要です。事前に準備しておきましょう。

費用 内容
収入印紙 遺言書1通につき800円分が必要です。
連絡用の郵便切手 裁判所によって金額が異なります。数千円程度が目安ですが、事前に申立て先の家庭裁判所に確認しましょう。

また、主な必要書類は以下の通りです。相続関係によって追加の書類が必要になる場合もありますので、詳しくは裁判所のホームページなどで確認してください。

  • 検認申立書
  • 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • (遺言者の子や親が亡くなっている場合など)その他、関係者の戸籍謄本

もし自筆証書遺言を検認前に開封してしまったら?

もし、うっかり検認前に封のされた遺言書を開けてしまった場合でも、慌てずに対応することが大切です。先ほどお伝えしたように、遺言書が無効になるわけではありませんので、落ち着いて正しい手続きを進めましょう。

正直に家庭裁判所に申し出る

開封してしまった事実は隠さず、そのままの状態で家庭裁判所に提出し、検認の申立てを行ってください。申立ての際に、開封してしまった経緯を正直に伝えましょう。裁判所は、その遺言書が開封済みであることを記録した上で、通常通り検認手続きを進めてくれます。

他の相続人へ誠実に説明する

開封してしまったことは、他の相続人にも正直に伝え、事情を説明することが非常に重要です。隠していると、後から事実が発覚したときに「何か都合の悪いことを隠しているのでは?」「内容を書き換えたのでは?」といった不信感を持たれ、トラブルが大きくなってしまう可能性があります。誠実な対応が、無用な争いを避けるための鍵となります。

遺言書が無効になるのはどんな場合?

検認前に開封しても無効にはなりませんが、遺言書そのものに法律上の不備があれば無効になってしまいます。特にご自身で作成できる自筆証書遺言は、要件が厳格に定められているため注意が必要です。

自筆証書遺言が無効になる主なケース

自筆証書遺言が無効とされる主なケースをまとめました。ご自身の遺言書作成の際にも参考にしてください。

無効になるケース 具体例
全文が自筆でない 本文がパソコンで作成されている、他人が代筆している。(※財産目録はパソコン作成も可能ですが、各ページに署名押印が必要です)
日付がない・特定できない 作成日が書かれていない。「令和6年吉日」のように日付が特定できない書き方。
署名・押印がない 遺言者の署名がない、または押印がされていない。
訂正方法が間違っている 修正液や修正テープで消すなど、法律で定められた方法で訂正されていない。
共同で作成されている ご夫婦が1枚の紙に連名で書いているなど、2人以上で作成されている遺言書(共同遺言)は禁止されています。

これから遺言書を作成する方が注意すべきこと

ご自身の遺言書が、残された大切なご家族のトラブルの原因になってしまっては元も子もありません。確実に想いを伝えるために、作成時にはいくつか注意しておきたいポイントがあります。

法的に有効な形式で作成する

自筆証書遺言を作成する場合は、先ほどご紹介した無効になるケースに当てはまらないよう、法律で定められた要件(全文自筆、日付、署名、押印)を必ず守って作成しましょう。少しでも不安があれば、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

公正証書遺言や遺言書保管制度の利用を検討する

より確実に、そして残されたご家族の負担を減らす形で遺言を残したい場合は、公正証書遺言の作成が最もおすすめです。公証人が作成に関与するため、形式不備で無効になる心配がほとんどなく、検認も不要です。また、自筆証書遺言を作成した場合には、法務局の遺言書保管制度を利用すると良いでしょう。法務局で遺言書の原本を保管してもらえ、紛失や改ざんの心配がなく、こちらも検認が不要になるという大きなメリットがあります。

まとめ

今回は、「家庭裁判所の検認手続きを経ることなく、自筆証書遺言を開封すると無効になるのか」という疑問について詳しく解説しました。
結論として、開封してしまっても遺言書は無効にはなりません。しかし、5万円以下の過料というペナルティが科される可能性があり、相続人間のトラブルの火種にもなりかねません。もし開封してしまった場合は、正直に家庭裁判所や他の相続人にその旨を伝え、速やかに検認手続きを進めましょう。
遺言書は、故人の大切な想いが込められた最後のメッセージです。相続人の方はその想いを尊重し、法律に則った正しい手続きを行うことが、円満な相続への第一歩となります。これから遺言書を作成しようとお考えの方は、ご家族が困らないよう、公正証書遺言や法務局の遺言書保管制度の利用もぜひ検討してみてくださいね。

参考文献

裁判所「遺言書の検認」

法務省「自筆証書遺言書保管制度」

遺言書の検認と開封に関するよくある質問まとめ

Q. 家庭裁判所の検認前に自筆証書遺言を開封してしまったら、その遺言書は無効になりますか?

A. いいえ、遺言書自体が無効になることはありません。ただし、開封した人は5万円以下の過料(罰金のようなもの)に処される可能性があります。遺言の効力には影響しませんのでご安心ください。

Q. そもそも、なぜ遺言書の検認手続きが必要なのですか?

A. 検認は、遺言書の偽造や変造を防ぎ、遺言書の状態を保存するためです。また、相続人全員に遺言書の存在とその内容を知らせる目的もあります。

Q. すべての遺言書で検認が必要になるのでしょうか?

A. いいえ、検認が必要なのは「自筆証書遺言」と「秘密証書遺言」です。「公正証書遺言」や、法務局の「自筆証書遺言保管制度」を利用した遺言書は検認が不要です。

Q. 検認前に遺言書を開封した場合の「過料」とは、いくらぐらいですか?

A. 法律では5万円以下の過料に処されると定められています。ただし、悪意なく開封してしまった場合など、必ずしも科されるわけではなく、裁判所の判断によります。

Q. 誤って遺言書を開封してしまった場合は、どうすればよいですか?

A. 開封してしまっても、遺言書を破棄したり隠したりせず、そのままの状態で家庭裁判所に提出し、速やかに検認の申立てを行ってください。

Q. 遺言書の検認は、誰がどこに申し立てるのですか?

A. 遺言書を保管している人、または発見した相続人が、亡くなった方(遺言者)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。

事務所概要
社名
税理士法人プライムパートナーズ
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