税理士法人プライムパートナーズ

固定資産税が安くなる?小規模住宅用地と一般住宅用地の違いを解説

2025-06-17
目次

マイホームを持つと毎年かかってくる固定資産税。その納税通知書を見て「小規模住宅用地」という言葉を目にしたことはありませんか?実はこの制度を理解すると、固定資産税がなぜ安くなっているのかがよくわかります。今回は、よく似た「一般住宅用地」との違いや、どれくらい税金がお得になるのかを、初心者の方にもわかりやすく解説していきますね。

小規模住宅用地と一般住宅用地の基本的な違い

まず、この2つの用地の違いを簡単に押さえておきましょう。どちらも住宅が建っている土地「住宅用地」の一部なのですが、面積によって区別されています。そして、この区別が固定資産税の額に大きく影響してくるんです。

面積による区分の違い

住宅用地のうち、住宅1戸あたり200平方メートル(約60坪)までの部分を「小規模住宅用地」と呼びます。そして、200平方メートルを超える部分「一般住宅用地」と言います。例えば、300平方メートルの土地に一戸建てが建っている場合、200平方メートル分は小規模住宅用地、残りの100平方メートル分は一般住宅用地として扱われるんですよ。

項目 説明
小規模住宅用地 住宅用地のうち、200平方メートル以下の部分
一般住宅用地 住宅用地のうち、200平方メートルを超える部分

なぜ区分けされているの?

なぜわざわざ面積で分けるのかというと、税金の負担を軽くするための「特例措置」の割引率が違うからです。特に、生活に最低限必要と考えられる広さの土地については、税金の負担をより大きく軽減しようという目的があるんですね。この特例のおかげで、私たちの固定資産税はかなり抑えられているのです。

固定資産税の軽減率の違いを徹底比較

ここが一番大切なポイントです。小規模住宅用地と一般住宅用地では、固定資産税を計算する元となる「課税標準額」の軽減率が大きく異なります。具体的にどれくらい違うのか、比べて見ていきましょう。

固定資産税の特例措置

住宅用地には、課税標準額を減額する特例があります。この特例率が、小規模住宅用地と一般住宅用地で以下のように異なります。

用地の種類 課税標準額の軽減率
小規模住宅用地 固定資産税評価額の6分の1
一般住宅用地 固定資産税評価額の3分の1

見ていただくとわかるように、小規模住宅用地の方が断然お得ですよね。土地の評価額が6分の1になるので、税額も大きく下がることになります。

具体的な計算例で見てみよう

では、実際にどれくらい税額が変わるのか、例を挙げて計算してみましょう。

【前提条件】
・土地の面積:300平方メートル
・土地の固定資産税評価額:1,800万円
・固定資産税の税率:1.4%

この場合、土地の1平方メートルあたりの評価額は、1,800万円 ÷ 300平方メートル = 6万円です。

▼小規模住宅用地部分(200平方メートル)
評価額:6万円 × 200平方メートル = 1,200万円
課税標準額:1,200万円 × 1/6 = 200万円
固定資産税額:200万円 × 1.4% = 28,000円

▼一般住宅用地部分(100平方メートル)
評価額:6万円 × 100平方メートル = 600万円
課税標準額:600万円 × 1/3 = 200万円
固定資産税額:200万円 × 1.4% = 28,000円

▼合計の固定資産税額
28,000円 + 28,000円 = 56,000円

もしこの特例がなければ、1,800万円 × 1.4% = 252,000円もの税金がかかります。特例があることで、税負担が4分の1以下になっているのがわかりますね。

都市計画税も軽減される!

お住まいの地域が市街化区域内にある場合、固定資産税とあわせて「都市計画税」も課税されます。この都市計画税についても、住宅用地の特例が適用され、税負担が軽くなるんですよ。

都市計画税の特例措置

都市計画税の場合も、小規模住宅用地と一般住宅用地で軽減率が異なります。税率は上限0.3%で市町村によって定められています。

用地の種類 課税標準額の軽減率
小規模住宅用地 固定資産税評価額の3分の1
一般住宅用地 固定資産税評価額の3分の2

こちらも小規模住宅用地の方が優遇されていますね。固定資産税ほどではありませんが、それでも税負担を軽くする大きな助けになります。

知っておきたい注意点

とてもありがたい住宅用地の特例ですが、いくつか知っておきたい注意点があります。適用を正しく受けるために、しっかり確認しておきましょう。

更地は特例の対象外

最も重要な注意点は、この特例はあくまで「住宅が建っている土地」が対象だということです。住宅を取り壊して更地にしてしまうと、翌年からはこの特例が適用されなくなり、固定資産税が3倍から4倍、場合によってはそれ以上に上がってしまう可能性があります。使っていない空き家を解体する際には、税金への影響も考慮することがとても大切です。

アパートやマンションの場合

アパートやマンションなどの共同住宅が建っている土地の場合は、「戸数 × 200平方メートル」までが小規模住宅用地となります。例えば10戸のアパートなら、10戸 × 200平方メートル = 2,000平方メートル(約600坪)までが小規模住宅用地の対象です。そのため、ほとんどのマンションの敷地は、その全体が小規模住宅用地として扱われることが多いんですよ。

【補足】相続税の「小規模宅地等の特例」との違い

ここで少し補足ですが、相続税にも「小規模宅地等の特例」という、とてもよく似た名前の制度があります。これは、亡くなった方の自宅や事業用の土地を相続した際に、土地の評価額を最大80%も減額できるという、非常に強力な節税制度です。

目的と適用される税金が違う

今回解説している固定資産税の「住宅用地の特例」は、毎年かかる税金を軽減するためのものです。一方、相続税の「小規模宅地等の特例」は、相続が発生した時に一度だけ適用される、相続税を軽減するための制度です。名前は似ていますが、適用される税金の種類や目的、詳しい要件が全く異なるので、混同しないように注意しましょう。

制度名 適用される税金
住宅用地の特例 固定資産税・都市計画税(毎年)
小規模宅地等の特例 相続税(相続時1回のみ)

まとめ

今回は、小規模住宅用地と一般住宅用地の違いについて解説しました。最後にポイントを振り返ってみましょう。

・住宅用地は200平方メートルを境に「小規模住宅用地」と「一般住宅用地」に分かれる
・小規模住宅用地は、固定資産税の課税標準額が評価額の6分の1に、一般住宅用地は3分の1に軽減される
・都市計画税もそれぞれ3分の13分の2に軽減される
・住宅が建っていない更地には適用されないので注意が必要
・相続税の「小規模宅地等の特例」とは別の制度である

この制度があるおかげで、マイホームの維持費である固定資産税が大きく抑えられています。お手元に納税通知書があれば、ご自身の土地がどのように評価されているか、一度確認してみるのも良いかもしれませんね。

参考文献

総務省|地方税制度|固定資産税

※固定資産税は地方税のため、詳細な内容はお住まいの市区町村のホームページ等でご確認ください。

住宅用地の特例に関するよくある質問まとめ

Q.小規模住宅用地と一般住宅用地の基本的な違いは何ですか?

A.住宅用地のうち、住宅1戸あたり200㎡以下の部分を「小規模住宅用地」、200㎡を超える部分を「一般住宅用地」と区分します。主な違いは面積です。

Q.固定資産税はどれくらい安くなりますか?

A.小規模住宅用地は、課税標準額が価格の6分の1に軽減されます。一般住宅用地は、課税標準額が価格の3分の1に軽減されます。

Q.300㎡の土地に家が建っている場合、どう計算されますか?

A.200㎡までが小規模住宅用地として6分の1に、残りの100㎡が一般住宅用地として3分の1に、それぞれ課税標準額が軽減されます。

Q.マンションなどの集合住宅の場合はどうなりますか?

A.マンションの場合、敷地全体の面積を戸数で割った面積で判断されます。例えば、敷地面積2,000㎡で20戸のマンションなら、1戸あたり100㎡となり、敷地全体が小規模住宅用地の対象となります。

Q.家を解体して更地にしたら、住宅用地の特例は適用されますか?

A.いいえ、適用されません。住宅用地の特例は、その土地に住宅が建っていることが条件です。更地にすると特例の対象外となり、固定資産税が大幅に上がることがあります。

Q.住宅用地かどうかは、いつの時点で判断されるのですか?

A.毎年1月1日(賦課期日)時点の土地の利用状況で判断されます。年の途中で家を建てたり壊したりした場合、翌年度の固定資産税から評価が変わります。

事務所概要
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対応責任者
税理士 島本 雅史

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