土地を駐車場として活用しようと考えたとき、「どんな駐車場にするか」で税金が変わるのか気になりますよね。特に、砂利を敷くだけの場合と、きれいにアスファルトで舗装した場合、さらには機械式駐車場を設置した場合では、固定資産税や償却資産税の扱いが異なります。この記事では、駐車場の種類によって税金がどのように変わるのか、具体的なポイントを分かりやすく解説していきます。
駐車場経営にかかる主な税金
まず、駐車場経営に関わってくる主な税金について知っておきましょう。主に「固定資産税」と「償却資産税」の2つが重要になります。
固定資産税(土地)
固定資産税は、毎年1月1日時点で土地や家屋を所有している人にかかる税金です。土地を駐車場として利用している場合も、もちろんこの税金の対象となります。税額は、土地の評価額(課税標準額)に標準税率の1.4%をかけて計算されます。駐車場の種類によって土地の評価額が直接的に大きく変動することは基本的にありません。
償却資産税
償却資産税は、固定資産税の一種で、土地や家屋以外の事業用資産(償却資産)に対してかかる税金です。駐車場経営においては、アスファルト舗装やフェンス、精算機、機械式駐車設備などがこれに該当します。税率は固定資産税と同じく1.4%ですが、重要なポイントとして、課税標準額の合計が150万円未満の場合は課税されない「免税点」という制度があります。
その他の税金(所得税・住民税など)
駐車場経営で得た利益(所得)に対しては、所得税や住民税がかかります。これらの税金は、年間の収入から必要経費(固定資産税、修繕費など)を差し引いた金額をもとに計算されます。税負担を正しく把握するためには、これらの税金も考慮に入れておく必要があります。
駐車場の種類と固定資産税(土地)の関係
「砂利の駐車場をアスファルトにしたら、土地の固定資産税が上がるの?」という疑問を持つ方も多いかもしれません。結論から言うと、舗装の種類が土地の評価額に直接影響を与え、固定資産税が上がることはほとんどありません。ただし、注意すべき点が一つあります。
更地(雑種地)としての評価
駐車場として利用されている土地は、地目が「雑種地」として評価されるのが一般的です。これは、砂利敷きであってもアスファルト舗装であっても基本的に同じ扱いです。そのため、舗装工事をしたからといって、土地そのものの固定資産税評価額が急に上がるわけではないのです。
「住宅用地の特例」に注意
注意が必要なのは、もともと住宅が建っていた土地を駐車場にするケースです。住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が最大で6分の1に軽減されています。しかし、建物を解体して駐車場にすると、この特例が適用されなくなります。その結果、土地の固定資産税が実質的に3倍から4倍に跳ね上がることがあるので、この点は必ず覚えておきましょう。
【本題】駐車場の種類と償却資産税の関係
ここからが本題です。駐車場の種類によって大きく変わるのが、この償却資産税です。砂利、アスファルト、機械式駐車場でどう違うのか見ていきましょう。
砂利の駐車場
砂利を敷いただけの駐車場の場合、砂利は土地の一部と見なされることが多く、「構築物」としての資産価値は低いと判断されます。そのため、原則として償却資産税の課税対象にはなりません。初期費用を抑えたい場合や、将来的に別の土地活用を考えている場合に、税金面で最も手軽な方法といえます。
アスファルト・コンクリート舗装の駐車場
アスファルトやコンクリートで舗装した場合、その舗装は「構築物」という事業用の資産と見なされ、償却資産税の課税対象となります。ただし、課税されるかどうかは、工事費用が免税点である150万円を超えるかどうかが大きな分かれ目です。
| 舗装費用(取得価額) | 150万円未満の場合、償却資産税はかかりません。 |
| 舗装費用(取得価額) | 150万円以上の場合、償却資産税がかかります。 |
なお、アスファルト舗装の耐用年数は10年、コンクリート舗装は15年で、これに基づいて減価償却され、年々の評価額が算出されます。
機械式の駐車場
立体駐車場やターンテーブルなどの機械式駐車設備は、「機械及び装置」に分類され、明確に償却資産税の課税対象となります。これらの設備は高額なため、取得価額が150万円の免税点を下回ることはほとんどありません。したがって、機械式駐車場を設置する場合は、毎年償却資産税がかかるものと考えておきましょう。耐用年数は、一般的な機械式駐車設備(垂直循環方式、エレベータ・スライド方式など)で15年とされています。
駐車場の種類別!税金比較まとめ
これまでの内容を、駐車場の種類ごとに表で分かりやすくまとめました。
| 駐車場の種類 | 税金への影響 |
| 砂利の駐車場 | 【固定資産税(土地)】 変化なし(※ただし、住宅用地からの変更の場合は増税に注意)【償却資産税】 原則、かからない。 |
| アスファルトの駐車場 | 【固定資産税(土地)】 変化なし(※ただし、住宅用地からの変更の場合は増税に注意)【償却資産税】 舗装やフェンス等の合計費用が150万円以上の場合にかかる。 |
| 機械式の駐車場 | 【固定資産税(土地)】 変化なし(※ただし、住宅用地からの変更の場合は増税に注意)【償却資産税】 設備費用が150万円を超えることがほとんどのため、かかると考えてよい。 |
駐車場経営で知っておきたい節税のポイント
駐車場経営をする上で、少しでも税金の負担を軽くするためのポイントをいくつかご紹介します。
償却資産税の免税点(150万円)を意識する
アスファルト舗装やフェンス、外灯などを設置する際は、取得価額の合計が150万円未満に収まるように計画を立てるのが賢い方法です。例えば、舗装工事とフェンス設置を別の年に行うなど、資産を取得するタイミングを分けることで、単年度の取得価額を150万円未満に抑えられる可能性があります。
相続税対策としての駐車場経営
実は、駐車場経営は相続税対策としても有効な場合があります。特にアスファルト舗装などを施工して事業として貸し出している土地は、「貸付事業用宅地等」として認められる可能性が高まります。この場合、「小規模宅地等の特例」を適用できれば、土地の評価額が200㎡まで50%減額されるため、相続税の大きな節税につながります。砂利敷きの駐車場よりも、アスファルト舗装のほうが事業としての実態を主張しやすくなります。
確定申告で経費をしっかり計上する
駐車場経営で得た収入は不動産所得または事業所得として確定申告が必要です。その際に、支払った固定資産税や償却資産税はもちろん、土地の整備費用、管理会社への手数料、修繕費などを必要経費として計上できます。経費を漏れなく計上することで、課税対象となる所得を減らし、所得税・住民税の節税につながります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。駐車場の種類と税金の関係について、ポイントをまとめます。
- 土地そのものにかかる固定資産税は、砂利かアスファルトかで直接変わることはありません。
- アスファルト舗装や機械式駐車場を設置すると、償却資産税の課税対象になる可能性があります。
- 償却資産税がかかるかどうかの大きな境目は、取得価額の合計が150万円以上か未満かという点です。
- 砂利の駐車場は、初期費用も税金も抑えられますが、相続税対策を考えるならアスファルト舗装も有効な選択肢になります。
ご自身の土地の状況や将来設計に合わせて、最適な駐車場の形態を選ぶことが大切です。税金について不明な点があれば、専門家である税理士に相談してみるのも良いでしょう。
参考文献
駐車場の種類で固定資産税は変わる?税金に関するよくある質問まとめ
Q.駐車場にすると土地の固定資産税は変わりますか?
A.土地の上に住宅があると「住宅用地の特例」で固定資産税が安くなりますが、駐車場にすると特例が外れるため税額は高くなる可能性があります。これは駐車場の種類(砂利、アスファルト、機械式)にかかわらず共通です。
Q.砂利を敷いただけの駐車場でも税金はかかりますか?
A.土地に対する固定資産税がかかります。砂利敷きは構築物とみなされないため、一般的に償却資産税はかかりません。
Q.アスファルト舗装の駐車場にすると、税金はどう変わりますか?
A.土地の固定資産税に加え、アスファルト舗装やフェンスなどが「構築物」として償却資産税の課税対象になります。
Q.機械式駐車場を設置した場合、税金は最も高くなりますか?
A.その可能性が高いです。土地の固定資産税に加え、駐車装置全体が「機械及び装置」として高額な償却資産となり、償却資産税が課税されます。
Q.償却資産税がかかるのはどの駐車場ですか?
A.アスファルト舗装、フェンス、外灯、機械式駐車装置など、事業用の設備を設置した場合にかかります。これらの設備は「償却資産」とみなされます。砂利を敷いただけの駐車場では基本的にかかりません。
Q.駐車場の種類によって土地の固定資産税評価額は変わりますか?
A.土地自体の評価額が駐車場の種類で直接変わることは基本的にありません。税金の違いは、主に償却資産税がかかるかどうかの差になります。